sexually transmitted diseases

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薬剤師が関わることができる
中学、高校での性教育の検討
○東 千鶴 福岡英樹 宮田 矛
原口恵子 井上嘉明 小野信昭
社団法人 福岡市薬剤師会
性教育に関わるのは、薬剤師よりも医師または保健師の方が適していると思
われる。
しかし、内容によっては薬剤師が適している項目もあり、薬剤師として関わる
性教育の項目の整理が必要となった。
中学校の保健の学習指導要領では、『「感染症」について「後天性免疫不全
症候群(エイズ)」及び「性感染症」についても取り扱うものとする』となってい
る。
また、性教育の根底には「モラル教育」があり、ややもするとモラル教育中心
の話になってしまいかねない。
今回、薬剤師として関わる性教育の項目を性感染症を中心に整理した表を
作成したので発表する。
項
目
内
容
備
考
ⅰ 性感染症(STD)が増加している *推移のグラフ
1) 何故性教育が
必要なのか
ⅱ 若年層の性感染症が増加して
いる
*性体験の低年齢化
ⅲ 正しい知識を持つことが感染予
防につながる
1)何故性教育が必要なのか
・「性感染症」が若年層に増加している。特に10代、20代女子の感染が増加している。
・クラミジア感染症は症状が少ないうえに、不妊症の原因にもなっている。
・正しい知識を持つことが、感染予防につながり、学生のうちからの教育が必要であ
る。
・推移を示すグラフの活用など視覚での表現が必要である。
項
目
2) 性に関する
基本的考え
内
容
備
考
ⅰ 思春期以降、ヒトには性欲はある
それをコントロールするのは、
ヒトとしてのモラルと知識である
2)性に関する基本的考え
・ヒトには性欲はある。それをヒトとしてのモラルと知識でコントロールしている。
・性行為は新しい命を生む可能性がある行為であり、命に対する尊厳の意識を持た
せ
なければならない。
・その意識なしに、妊娠の可能性がある行為を行うことは、命に対して失礼なことで
あ
ることを教えなければならない。
・
項
目
内
容
ⅰ モラル教育
3) 性教育の分野
ⅱ 知識教育
備
考
*薬剤師の立場でも、
モラル教育には多少は
触れざるを得ない
3)性教育の分野
・性教育には「モラル教育」と「知識教育」があることを認識し、モラル教育に偏ってしま
わないように注意が必要である。
・正しい知識を持たせることが、モラル向上につながる。
・薬剤師として伝えることができる「知識」は何があるのかを、きちんと整理しておかな
ければならない。
項
目
内
容
備
考
ⅰ 第一次性徴、第二次性徴
(思春期のからだの変化)
4) 知識教育の種類
ⅱ 避妊の知識(コンドーム、ピル)
*コンドーム、
ピルの話ができる
環境かどうかの
確認が必要
ⅲ 性感染症の知識
4)知識教育の種類
・知識教育は大きく「思春期におけるからだの変化」「避妊」「性感染症」に分かれる。
・避妊の話では、ピル、コンドームに触れてよいか学校との事前打ち合わせは必要であ
る。
・薬剤師の立場ではピルには触れなければならないが、ピルは避妊は出来るが性感染
症の予防にはならないことを伝えなければならない。
項
目
5) 性感染症の知識の種類
STD
(sexually transmitted diseases)
STI
(sexually transmitted infection)
内
容
備
考
ⅰ 性感染症の種類
ⅱ 性感染症の症状
ⅲ 感染経路
*ⅰ~ⅲは医師、保健
師の方が適しているが、
薬剤師として話は出来る
ⅳ 性感染症の薬剤による治療
ⅴ 薬剤の耐性
5)性感染症の知識の種類
・性感染症の知識は表の5項目に分かれるが、感染症対策の基本は
「感染源対策」「感染経路対策」「人体の感受性対策」 になる。
・感染源においては、細菌やウィルスの違いなど、学年で認識の差がある。それぞれ
の学年の知識の水準を考慮した説明が必要である。
項
目
6) HIV感染症、
AIDSの知識
HIV:ヒト免疫不全ウィルス
AIDS:後天性免疫不全症候群
内
容
備
考
ⅰ HIV感染とAIDSは違う
(感染と発病の違い)
ⅱ 感染経路
ⅲ 薬剤による治療
6)HIV感染症、AIDSの知識
・HIV感染症は「感染」の段階であり、AIDSは「発病」の段階である。
感染と発病の違いの説明が必要である。
・HIV感染経路には、薬剤感染があったことは伝えなければならない。
HIV感染、AIDSの偏見につながらないような配慮が必要である。
・HIV感染は症状がほとんどなく、またAIDS発病までの期間が長い。
検査の重要性を伝えなければならない。
*間違った情報で、
差別問題に
つながらないように
配慮が必要
項
目
7) 薬物乱用と性感染症
内
容
備
考
ⅰ 薬物乱用が性モラルの低下につながり、
性感染症の拡大につながる危険がある
7)薬物乱用と性感染症
・薬物乱用はモラルの低下につながる危険が大きい。
・その結果性感染症の拡大につながることを認識させる。
・アルコールも広い意味では薬物であり、
アルコールによる気のゆるみが性モラルの低下につながらないように警告することは、
中学生、高校生にも必要である。
・「酔った勢いで・・・」という気のゆるみが性感染症につながる危険があることを学生の
うちから教えておく必要がある。
今回、薬剤師として性教育に関わることができる項目を整理したこ
とによって、性教育で薬剤師として触れなければならない項目とそ
の流れが明確になってきた。
学校から講話や資料作成の相談を受けた場合、膨らませる項目を
明確にすることで、学校の要望に応じた内容を作成することが容
易になる。
性教育を話す場合には、薬剤師というスタンスを明確にしておかな
いと、モラル教育の内容に踏み込んでしまうおそれがある。また、
中学と高校では内容の踏み込み方の程度が違ってくる。
今回のまとめを基本にした今後の活動の中で、さらに検討を重ね、
薬剤師として関われる性教育の分野を確立していきたいと考える。