スライド タイトルなし

Download Report

Transcript スライド タイトルなし

BASQUE
EU諸国に見られる地域主義
分離・独立運動の中のバスク
20世紀は「民族国家の時代」
↓
1960~ 国民国家を相対化する議論が盛ん
↑
「民族問題」5つの分類:①民族自決・分離問題
②国境・帰属変更問題
(原因)
少数民族問題
③国民形成・国家統合問題
④移民・難民問題
⑤少数民族・先住民問題
バスク
スペイン領内4県(アラバ・ビスカヤ・ギプスコア・ナバラ)
フランス領内3地域(ラブール・低ナバラ・スール)
<地方分立の略史>
1931 第2共和制 ← 統一地方選挙
31年憲法公布
1936 内戦発生
バスク語をはじめバスク独自の
↓
1936 フランコ独裁政権 (~1975)
1975 フランコ逝去 (民主体制の幕開け)
ブルボン朝復活
1978 78年憲法公布
文化を弾圧
<バスクの分離・独立運動>
伝統的なバスク社会を圧迫する対外勢力との
緊張関係によって盛んになる
フランコ独裁体制下
中央集権化のために地方を弾圧
↓
1950年以降の社会変化(工業化など) 非バスク人労働者の流入
↓
ETA成立
アイデンティティの危機
1970年代の経済不況
ETAテロリズム化
ETA (Euskadi Ta Askatasuna)「バスク祖国と自由」
バスク地域を「第3世界」とみなし、マルクス・レーニン主義によって、
バスク独立国家を築くことが最終目標
1959 ETA成立
1961 初のテロ活動
1968 テロによって初の犠牲者がでる。
「革命税」徴収や身代金目的の誘拐や無差別テロなど
徐々に過激なゲリラ化
1998.9.18 無期限・全面停戦宣言
1999.11.28
停戦宣言破棄
350
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
300
200
150
100
50
0
1977
1979
1981
1983
1985
1987
1989
1991
1993
1995
死亡者数
250
年
テロ件数
テロ発生数と犠牲者
死亡者数
テロ件数
エスノナショナリズム
エスノナショナリズムの高揚→国民国家を相対化
今までのナショナリズムと、基本的に類似しているが、それは国家レベルの
ナショナリズムではなく、既存の国家内の周辺的民族集団によって担われる。
国民国家の形態
国家
国家>民族
①多民族国家
国家=民族
②民族国家
国家<民族
③民族内国家
フランス革命を初めとして、多くの国が②のような理想的な国民国家を
築こうとしてきたが、ほとんどの場合が失敗であった。というのも、
②の国民国家を築いたつもりでも、実際は①型の多民族国家であったか
ら。
↓
近代国家の多くが エスニシティからくる問題に悩まされる原因
エスニシティ:民族共同体のアイデンティティ
↑
ある民族が、ある民族であり続けることができると民族の成員
一人一人が自覚できる共通の価値観や文化的独自性
エスノナショナリズム:エスニシティ+政治イデオロギー
背景)エスニック集団の政治的主体化
中央集権的支配の緩和=周辺部の地域的単位の自律性の増大
地域エスニック集団の要求の表出形態は多様。
(単一民族国家化、民族排他主義、民族純化、、、)
↓
紛争処理の複雑さ
エスノナショナリズム
高い
共
同
体
・
民
族
意
識
②エスニシティ
(静的)
③
エスノナショナリズム
(動的)
①国民国家
低い 国家志向 高い
バスク・ナショナリズムを促進させる要因
1)国家的要因
フランス:先進国、国民意識が浸透、国民に富の再分配
スペイン:中進国、国民意識は未浸透、富の配分は不十分
国家としての役割の達成度
2)地域的要因
政治的中心=経済的中心→民主主義の傾向は周辺部ではでない、
政治的中心=経済的中心→自治要求や分離要求が周辺部で起こる
フランス側バスク:後進地域
スペイン側バスク:先進地域
工業化の進展した地域にエスノナショナリズムが進展しやすい。
(バスクの独特のケース)
3)周辺国要因
①冷戦による影響
②他国の独立による影響 (バルト三国のリトアニア)
4)政治的要因(民主化)
5)経済的要因
経済成長率が歴史的・文化的アイデンティティと結びついて増幅
(工業化による影響)
・非バスク人労働者流入によって、アイデンティティの危機
・ブルジョワジーの社会的地位の危機
6)カタロニアとの比較で見えてくる要因
①工業化への移行速度要因
カタロニア:漸進的移行
バスク:急激な工業化により、農村・伝統・自民族の防衛などの
民族的な二項対立への傾向
②言語的要因
カタロニア:言語が普及
バスク:言語の普及率低
ナショナリズムの象徴を「言語」→「人種」へ
↓
自民族中心主義と他人種の絶対的排除主義へ
7)EC(EU)加盟による影響
・EUの政策:マイノリティに対して積極的な姿勢
・EU加盟に伴う民主化:民族文化的少数民族者の権利の保障
紛争の平和的手段での解決
ETA無条件の休戦宣言とその背景・問題点
背景)政府からの弾圧
アイルランド共和党(IRA)の英国政府との和平合意
問題点)・スペイン憲法の条文「国家は不可分の統合体」
・カタロニアなど、他の地域への影響
↓
ETA 無期限・休戦宣言の破棄
ETAのエスノナショナリズム
神話:純粋に「独立・分離」を求めるエスノナショナリズム
現実:単なるテロ・グループ
結論(今後のETA動向)
IRAの和平合意が暗礁に乗り上げる。
↓
停戦を破棄したばかりのETAにとって影響大
今度も 過激な行動に出る可能性は十分にある。
バスク・エスノナショナリズムの分析
・国家に対しての愛着心・帰属意識は低い
しかし、大多数の人にとって「国家」と「地域」は二者択一的な
ものではなく、共存が可能。
・エスノナショナリズムが活発な場合も、多くの人は分離を支持しない
しかし、分離・独立の態度とは関わりなく、自治強化を助長する政治
システムや民族自決の権利を得ることを、多くの人が望んでいる。
帰属意識調査
スペイン 地域
地域<スペイン 同等 スペイン<地域
<カタロニア>
1979 37 36 26
1984 22 45 30
1988 21 35 41
1991 22 31 46
<バスク>
1979 28 24 47
1984 13 36 49
1986 13 27 54
1991 9 14 73
・エスノナショナルな問題は、経済的要因で解決できない。
地域格差是正の問題より。