ホーングレンほか『マネジメント・アカウンティング』(第7章)

Download Report

Transcript ホーングレンほか『マネジメント・アカウンティング』(第7章)

C.T.ホーングレンほか、渡邊俊輔監訳
『マネジメント・アカウンティング』
~ Introduction to Management Accounting
明治大学経営学部 鈴木研一ゼミナール
担当 山口一郎
目次











第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
第10章
第11章
管理会計と企業組織
コストビヘイビアとCV関係の基礎
コストビヘイビアの測定
コスト管理システムとABC
関連情報と意思決定:販売の意思決定
関連情報と意思決定:生産の意思決定
総合予算
変動予算と差異分析
マネジメントコントロールシステムと責任会計
分権的組織のマネジメントコントロール
資本予算
2
第7章 総合予算
内容




予算とは何か
 予算‥活動計画の定量的な表現
予算編成の利点
 計画の公式化
 業績評価のためのフレームワークを提供
 コミュニケーションと調整を図る
予算編成の実際
 総合予算‥企業の全組織単位で計画された活動を要約した予算
 感度分析(What-if analysis)
予算編成における人的側面の重要性
4
はじめに

Ritz-Carltonの例
 高級ホテルの経営に必要なものとは何か?
 よいロケーション、おいしい食事、豪華さ、パーソナルなサービ
ス、品質などは、もちろん必要不可欠な要素

しかしながら、「予算編成プロセス」もまた、重要な成功要因
 なぜか?
 予算は、目標達成のロードマップとして役立つから
 予算は、マネージャーが業務を理解し、計画し、コント
ロールするためのツール、なのである
5
確認~予算とは何か

予算
 活動計画の定量的な表現であり、(必要があれば)計画を調整し、
経営計画を実行させるための主要な仕組み
※第1章「マネジメントプロセスと会計」より
6
確認~マネジメントプロセスと会計の役割

マネジメントプロセス
 計画とコントロールのサイクルにおける一連の活動のことであり、
組織運営には欠かせないものである
 計画(Planning)
 目標を設定し、それをどのようにして達成するかの概要を
示すもの
 コントロール(Action-Evaluation)
 目標を達成するために計画を実行し、フィードバックを行う
 フィードバックは、次の計画に影響を与える
※第1章「マネジメントプロセスと会計」より再掲
7
マネジメントプロセス
<マネジメントプロセス>
計画
計画と実行
に対する
訂正・修正
実 行
コントロール
評 価
(フィードバック)
8
マネジメントプロセスと会計
<マネジメントプロセス>
計画
計画と実行
に対する
訂正・修正
(図表1-2)
<会計システム>
予 算
実 行
活動の記録・測定・分類
コントロール
評 価
業績報告書
(フィードバック)
※業績報告書は予算と比較される
9
解説


図表の右上は、会計が計画を予算として表すことによって、計画を公
式化することを示している
 予算
 活動計画の定量的な表現であり、(必要があれば)計画を調整
し、経営計画を実行させるための主要な仕組み
 予算なしでは、計画は必要な焦点が定まらないであろう
図表の右下は、会計がコントロールを、業績報告書をまとめることに
よって、公式化することを示している
 業績報告書
 実績と予算との比較を意味する包括的な用語
 計画と結果を比較し、計画からの逸脱である差異を示す
ことによって、フィードバックを提供する
10
予算の種類



戦略計画
 企業の全社的な目的と目標を設定する計画
 但し、特定の時間枠は無く、予測財務諸表も作成されない
長期計画
 戦略計画に基づき作成される、5~10年間の見積財務諸表
 経営者が将来の財務諸表において期待していることの見積
 また長期計画は、資本予算と調整される
 資本予算
 施設、設備、新製品など、長期的な投資に関する支出計画を
詳細に示した予算
総合予算
 企業の全組織単位で計画された活動を要約する予算
 長期計画の初年度に関する広範囲の分析
11
戦略計画、長期計画、総合予算の関係
戦略計画
全社レベルの目的と目標を設定
特定の時間枠は無く、予測財務諸表も作成されない
長期計画
戦略計画を基に作成される、5~10年間の見積財務諸表
長期計画は、資本予算(第11章参照)と調整される
総合予算
企業の全組織単位で計画された活動を要約する予算
長期計画の初年度に関する広範囲の分析
12
総合予算とは


総合予算
 企業の全組織単位で計画された活動を要約する予算
 経営者の定める販売、コストドライバー活動、仕入、生産、純
利益、資金状態などの目標に関するターゲットが計量化される
 その金額は、見積財務諸表と付属明細表という形で表示
総合予算は、見積財務諸表と調整された詳細な付属明細表を含む、
期間的な事業計画である
13
整理~予算の利点

予算の利点
 計画の公式化
 予算を編成することによって、計画に対する責任が公式化され、
マネージャーは将来について考えなければならなくなる


業績評価のためのフレームワークを提供
 予算の提供する明確な予測が、その後の業績を判断するため
のフレームワークとなる
 過去データ(例えば前期実績)との比較だけでは不十分
コミュニケーションと調整を図る
 予算編成は、企業全体の目標と部分目標を整合させる
 後述「補足(1)、(2)」参照
14
総合予算の編成


Campus Specialty Company (CSC)の例
 2種類の製品を製造・販売
 デラックス
 スタンダート
 販路は、U.bookstore
総合予算編成の手順
 業務予算
 財務予算
 四半期予算→年次予算
15
製造業の総合予算編成の例
売上高予算
販売費予算
一般管理費
予算
製造高予算
業務予算
直接材料費
予算
直接労務費
予算
製造間接費
予算
売上原価
予算
財務予算
見積キャッシュ
フロー計算書
見積
損益計算書
見積
貸借対照表
現金予算
資本支出
予算
出所:鈴木研一先生(2002年)http://oh-o.meiji/ac.jp
16
業務予算

業務予算
 損益計算書と付属明細表に着目する総合予算の主要な要素
 売上高予算
 製造高予算
 直接材料費予算
 直接労務費予算
 製造間接費予算
 売上原価予算
 販売費予算
 一般管理費予算
 見積損益計算書

個々の予算表を表す用語は、企業によって異なる
17
財務予算

財務予算
 総合予算のうち、業務予算とその他の計画(資本予算や債務の返
済など)が、資金に与える影響に焦点をあてた部分
 資本支出予算
 現金収支表
 現金予算
 見積貸借対照表
 見積キャッシュフロー計算書

個々の予算表を表す用語は、企業によって異なる
18
売上高予算の編成


売上高の予測
 販売量
 デラックス
 4,800-7,200-7,800-6,000
 スタンダート
 7,200-9,600-10,200-8,400
 販売価格
 デラックス
@72㌦
 スタンダート @42㌦
 製品市場ミックス
売上高予算を完成させる
19
売上高予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度売上高予算
第1四半期
デラックス
販売量
第3四半期
第4四半期
年度
4,800
7,200
7,800
6,000
25,800
$72.00
$72.00
$72.00
$72.00
$72.00
売上高
$345,600
$518,400
$561,600
$432,000
$1,857,600
販売量
7,200
9,600
10,200
8,400
35,400
$42.00
$42.00
$42.00
$42.00
$42.00
$302,400
$403,200
$428,400
$352,800
$1,486,800
$648,000
$921,600
$990,000
$784,800
$3,344,400
販売単価
スタンダード
第2四半期
販売単価
売上高
売上高合計
20
製造高予算の編成



期間製造量
 期間販売量+期末在庫量-期首在庫量
適正在庫量の意思決定
 期間販売量の予測
 原材料や労働力の入手
 製造設備の能力
 生産リードタイム
 在庫政策
 最適ロットサイズ、など
製造高予算を完成させる
 各四半期の期末在庫量
 次の四半期の予定販売量の3分の1(1ヵ月分)とする
21
製造高予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度製造高予算
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年度
4,800
7,200
7,800
6,000
25,800
2,400
2,600
2,000
1,600
1,600
7,200
9,800
9,800
7,600
27,400
期首在庫量
1,620
2,400
2,600
2,000
1,620
期間製造量
5,580
7,400
7,200
5,600
25,780
7,200
9,600
10,200
8,400
35,400
3,200
3,400
2,800
2,400
2,400
10,400
13,000
13,000
10,800
37,800
期首在庫量
2,400
3,200
3,400
2,800
2,400
期間製造量
8,000
9,800
9,600
8,000
35,400
デラックス 販売量
期末在庫量
小計
スタンダード販売量
期末在庫量
小計
22
直接材料費予算の編成



期間購入量
 期間消費量+期末在庫量-期首在庫量
材料購入高
 予定単価×期間購入量
直接材料費予算を完成させる
 各四半期の期末在庫量
 次の四半期の予定販売量の3分の1(1ヵ月分)の製造のため
の必要量とする
 デラックスの単位あたりの消費量は5オンス
 材料単価は2㌦/オンス
23
直接材料費予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度直接材料費予算
第1四半期
デラックス 期間製造量
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年度
5,580
7,400
7,200
5,600
25,780
5
5
5
5
5
27,900
37,000
36,000
28,000
128,900
12,000
13,000
10,000
8,000
8,000
39,900
50,000
46,000
36,000
136,900
10,500
12,000
13,000
10,000
10,500
29,400
38,000
33,000
26,000
126,400
$2.00
$2.00
$2.00
$2.00
$2.00
材料購入高
$58,800
$76,000
$66,000
$52,000
$252,800
スタンダード期間製造量
8,000
9,800
9,600
8,000
35,400
4
4
4
4
4
32,000
39,200
38,400
32,000
141,600
12,800
13,600
11,200
9,600
9,600
44,800
52,800
49,600
41,600
151,200
13,900
12,800
13,600
11,200
13,900
30,900
40,000
36,000
30,400
137,300
$2.00
$2.00
$2.00
$2.00
$2.00
$61,800
$80,000
$72,000
$60,800
$274,600
$120,600
$156,000
$138,000
$112,800
$527,400
単位当り消費量
(ounce)
材料消費量
(ounce)
期末材料在庫量
(ounce)
小計
期首材料在庫高
(ounce)
期間購入量
(ounce)
材料単価
単位当り消費量
(ounce)
材料消費量
(ounce)
期末材料在庫量
(ounce)
小計
期首材料在庫高
(ounce)
期間購入量
(ounce)
材料単価
材料購入高
総材料購入高
24
直接労務費予算の編成


直接労務費
 単位あたり直接作業時間×時間賃率
直接労務費予算を完成させる
 デラックスの単位あたりの(直接)作業時間は2時間
 時間賃率は10㌦/時間
25
直接労務費予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度直接労務費予算
第1四半期
デラックス 期間製造量
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年度
5,580
7,400
7,200
5,600
25,780
2
2
2
2
2
11,160
14,800
14,400
11,200
51,560
$10
$10
$10
$10
$10
直接労務費
$111,600
$148,000
$144,000
$112,000
$515,600
スタンダード期間製造量
8,000
9,800
9,600
8,000
35,400
1
1
1
1
1
8,000
9,800
9,600
8,000
35,400
$10
$10
$10
$10
$10
$80,000
$98,000
$96,000
$80,000
$354,000
$191,600
$246,000
$240,000
$192,000
$869,600
19,160
24,600
24,000
19,200
86,960
単位当り作業時間
直接作業時間
時間賃率
単位当り作業時間
直接作業時間
時間賃率
直接労務費
総直接労務費
総直接作業時間
26
製造間接費予算の編成


直接原価計算の採用
 固変分解
 変動費のみを仕掛品にチャージ
製造間接費予算を完成させる
 変動費のドライバーは、直接作業時間とする
27
製造間接費予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度製造間接費予算
時間当り配
賦率
変動費
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年度
間接労務費
$0.60
$11,496
$14,760
$14,400
$11,520
$52,177
間接材料費
$0.30
$5,748
$7,380
$7,200
$5,760
$26,088
付加給付
$1.60
$30,656
$39,360
$38,400
$30,720
$139,138
動力費
$0.50
$9,580
$12,300
$12,000
$9,600
$43,481
変動費合計
$3.00
$57,480
$73,800
$72,000
$57,600
$260,883
19,160
24,600
24,000
19,200
86,960
$3.00
$3.00
$3.00
$3.00
$3.00
$50,600
$50,600
$50,600
$50,600
$202,400
固定資産税
$6,500
$6,500
$6,500
$6,500
$26,000
保険料
$7,200
$7,200
$7,200
$7,200
$28,800
保全費
$11,500
$11,500
$11,500
$11,500
$46,000
光熱費
$10,600
$6,600
$9,600
$6,600
$33,400
減価償却費
$24,000
$24,000
$24,000
$24,000
$96,000
$3,000
$3,000
$3,000
$3,000
$12,000
固定費合計
$113,400
$109,400
$112,400
$109,400
$444,600
製造間接費合計
$170,880
$183,200
$184,400
$167,000
$705,483
総直接作業時間
変動製造間接費予
定配賦率
固定費
第1四半期
監督給料
その他
28
売上原価予算の編成



変動売上原価
 期首製品棚卸高+当期変動製品製造原価-期末製品棚卸高
 直接原価計算の場合
当期変動製品製造原価
 直接材料費
 直接労務費
 (変動)製造間接費
売上原価予算を完成させる
 仕掛品なし、とする
29
売上原価予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度売上原価予算
デラックス
期首製品棚卸高
スタンダード
合計
$58,320
$50,400
$108,720
$21,000
$27,800
$48,800
$252,800
$274,600
$527,400
$16,000
$19,200
$35,200
$257,800
$283,200
$541,000
直接労務費
$515,600
$354,000
$869,600
変動製造間接費
$154,680
$106,200
$260,880
当期変動製品製造原価
$928,080
$743,400
$1,671,480
$57,600
$50,400
$108,000
$928,800
$743,400
$1,672,200
直接材料費
期首材料棚卸高
購入高
期末材料棚卸高
直接材料費
期末製品棚卸高
変動売上原価
30
販売費予算の編成



マーケティング
 消費者が望む製品やサービスを、納得できる価格でかつ手に入
れやすい形で提供することによって、顧客の欲求を満足させること
マーケティング・ミックス(4P)
 Product
:製品・サービス政策
 Price
:価格政策
 Place
:チャンネル政策
 Promotion
:プロモーション政策
販売費予算を完成させる
 変動費のドライバーは、売上高とする
31
販売費予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度販売費予算
売上高比率
変動費
固定費
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年度
広告宣伝費
2%
$12,960
$18,432
$19,800
$15,696
$66,888
販売手数料
8%
$51,840
$73,728
$79,200
$62,784
$267,552
変動費合計
10%
$64,800
$92,160
$99,000
$78,480
$334,440
販売員給料
$38,000
$38,000
$38,000
$38,000
$152,000
旅費交通費
$3,600
$3,600
$3,600
$3,600
$14,400
交際費
$2,400
$2,400
$2,400
$2,400
$9,600
保険料
$600
$600
$600
$600
$2,400
固定資産税
$400
$400
$400
$400
$1,600
光熱水道費
$300
$300
$300
$300
$1,200
減価償却費
$3,000
$3,000
$3,000
$3,000
$12,000
$700
$700
$700
$700
$2,800
固定費合計
$49,000
$49,000
$49,000
$49,000
$196,000
販売費合計
$113,800
$141,160
$148,000
$127,480
$530,440
その他
32
一般管理費予算の編成


本社費など
 ABCの適応
 本社費配賦の適正化、抑制
一般管理費予算を完成させる
33
一般管理費予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度一般管理費予算
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年度
管理職給与
$40,848
$40,848
$40,848
$40,848
$163,392
事務職給与
$17,000
$17,000
$17,000
$17,000
$68,000
保険料
$2,150
$2,150
$2,150
$2,150
$8,600
固定資産税
$1,200
$1,200
$1,200
$1,200
$4,800
光熱水道費
$600
$600
$600
$600
$2,400
$1,400
$1,400
$1,400
$1,400
$5,600
$10,000
$10,000
$10,000
$10,000
$40,000
$800
$800
$800
$800
$3,200
$73,998
$73,998
$73,998
$73,998
$295,992
消耗品費
減価償却費
その他
一般管理費合計
34
資本支出予算の編成


設備投資の採算分析
 NPV
 IRR
 Real Option
資本支出予算を完成させる
 第4四半期に投資を行う
 機械設備 :80,000㌦
 建物
:70,000㌦
35
資本支出予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度資本支出予算
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年度
機械設備
$80,000
$80,000
建物
$70,000
$70,000
$150,000
$150,000
資本的支出合計
$0
$0
$0
36
現金収支表の編成

現金収支表を完成させる
 売掛金の回収
 当期
:60%
 翌期
:30%
 翌々期
:10%
 買掛金(直接材料費)の支払
 当期
:80%
 翌期
:20%
37
現金収支表
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度現金収支表
第1四半期
現金収入
第2四半期
第3四半期
年度
売掛金期首残高
$301,000
$76,000
第1四半期
$388,800
$194,400
$64,800
$552,960
$276,480
$92,160
$921,600
$594,000
$297,000
$891,000
$470,880
$470,880
$860,040
$3,308,480
第2四半期
第3四半期
$377,000
第4四半期
現金収入合計
現金支出
第4四半期
$689,800
買掛金期首残高
$28,000
第1四半期
$96,480
第2四半期
$823,360
$935,280
$28,000
$24,120
$124,800
第3四半期
$120,600
$31,200
$110,400
第4四半期
現金支出合計
$648,000
$124,480
$148,920
$141,600
当期
翌期
翌々期
売掛金
60%
30%
10%
買掛金
80%
20%
$156,000
$27,600
$138,000
$90,240
$90,240
$117,840
$532,840
38
現金予算の編成

現金予算を完成させる
 最低現金保有残高 :30,000㌦
 期末の現金有高が30,000㌦を割り込む場合、当該四半期の
末日に借入を行い、資金余剰が発生した四半期の末日に返
済するとする
 金利 :12%(半年)
 現金配当
 四半期毎 :20,000㌦
 法人税等
 四半期毎 :40,000㌦
39
現金予算
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度現金予算
第1四半期
期首現金有高
年度
$35,007
$159,289
$36,000
$689,800
$823,360
$935,280
$860,040
$3,308,480
$725,800
$853,360
$970,287
$1,019,329
$3,344,480
直接材料費
$124,480
$148,920
$141,600
$117,840
$532,840
直接労務費
$191,600
$246,000
$240,000
$192,000
$869,600
製造間接費
$146,880
$159,200
$160,400
$143,000
$609,480
販売費
$110,800
$138,160
$145,000
$124,480
$518,440
$63,998
$63,998
$63,998
$63,998
$255,992
資本支出
$0
$0
$0
$150,000
$150,000
現金配当
$20,000
$20,000
$20,000
$20,000
$80,000
法人税等
$40,000
$40,000
$40,000
$40,000
$160,000
現金支出合計
$697,758
$816,278
$810,998
$851,318
$3,176,352
財務取引前現金有高
$28,042
$37,082
$159,289
$168,011
$168,128
$1,958
$0
$0
$0
$1,958
$1,958
$0
$0
$1,958
$0
$117
$0
$0
$117
$30,000
$35,007
$159,289
$168,011
$168,011
期首借入金残高
$0
$1,958
$0
$0
期末借入金残高
$1,958
$0
$0
$0
一般管理費
借入金借入
借入金返済
借入金利息
期末現金有高
参考
第4四半期
$30,000
利用可能現金
財務取引
第3四半期
$36,000
現金収入
現金支出
第2四半期
金利(
半年)
12%
40
見積損益計算書の作成

見積損益計算書を完成させよ
 実効税率 :40%
41
見積損益計算書
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度見積損益計算書
デラックス
スタンダード
合計
増減
販売量
25,800
35,400
61,200
0
売上高
$1,857,600
$1,486,800
$3,344,400
$0
$928,800
$743,400
$1,672,200
$0
$928,800
$743,400
$1,672,200
$0
$185,760
$148,680
$334,440
$0
$743,040
$594,720
$1,337,760
$0
製造間接費
$444,600
$0
販売費
$196,000
$0
一般管理費
$295,992
$0
固定費合計
$936,592
$0
営業利益
$401,168
$0
$117
$0
$401,051
$0
$160,420
$0
$240,630
$0
変動売上原価
製造差益
変動販売費
貢献利益
固定費
支払利息
税引前当期純利益
法人税等
当期純利益
実効税率
40.00%
42
見積貸借対照表の作成

見積貸借対照表を完成させる
43
見積貸借対照表
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
見積貸借対照表
1986年度
資産
現金
$168,011
$0
売掛金
$377,000
$412,920
$0
製品
$108,720
$108,000
$0
$48,800
$35,200
$0
$570,520
$724,131
$0
$550,000
$550,000
$0
建物、機械設備、車両等
$1,330,932
$1,480,932
$0
減価償却累計額
-$620,000
-$768,000
$0
$1,831,452
$1,987,063
$0
$28,000
$22,560
$0
$0
$420
$0
$28,000
$22,980
$0
$500,000
$500,000
$0
$1,303,452
$1,464,082
$0
資本合計
$1,803,452
$1,964,082
$0
負債・
資本合計
$1,831,452
$1,987,063
$0
流動資産計
土地
資産合計
買掛金
未払法人税
負債合計
資本
増減
$36,000
原材料
負債
1987年度
資本金
資本及び利益剰余金
44
見積キャッシュフロー計算書の作成

見積キャッシュフロー計算書を完成させる
45
見積キャッシュフロー計算書
C A M PU S SPEC IA LITY C O M PA N Y
1987年度見積キャッシュフロー計算書
純利益
増減
$240,630
$0
-$35,920
$0
$720
$0
原材料在庫の増加
$13,600
$0
買掛金の減少
-$5,440
$0
$420
$0
$148,000
$0
$362,011
$0
-$150,000
$0
借入金の増加
$1,958
$0
借入金の返済
-$1,958
$0
-$80,000
$0
$132,011
$0
調整:
売掛金の増加
製品在庫の増加
未払法人税等の増加
減価償却費
営業からのネットキャッシュフロー
投資活動からのキャッシュフロー:
建物及び機械設備の購入
財務活動からのキャッシュフロー:
配当の現金支払
キャッシュの純増加
46
留意事項(1)~感度分析


感度分析( What-if analysis )
 予算に与える影響を明らかにするために、予算データのインプット
を体系的に変化させること
 金利が上昇したら?
 販売量が増加したら?
 後述「財務計画モデル」参照
 エクセルで計算してみよう
 CSCの利益を増加させる方策を3つ考えよ
 CSCの営業キャッシュフローを増加させる方策を3つ考えよ
Goal seek
 目標とする財務業績を達成するためには、政策変数をどの程度改
善すればよいか?
 目標利益を達成するためには、いくら値上げをすれば良いの
か?
47
留意事項(2)~継続予算形式


継続予算
 ころがし予算(rolling budget)
 総合予算の極めて一般的な形式であり、1ヶ月が終了するごと
に、その月を除いて将来の1ヶ月を加えていく
 従って、予算編成は定期的なプロセスではなく、継続的な
プロセスとなる
ころがし予算によって、マネージャーは固定的な予算サイクルの残り
の月だけではなく、常に先の12ヶ月について考えることになる
 12ヶ月目の新しい月をころがし予算に加える際には、他の11ヶ月
についても同様に更新する
 それによってマネージャーは、月次の実績を当初計画および
最新の修正計画の両方と比較することができるのである
48
補足(1)~コミュニケーションを図る


予算によって、従業員は、自分に何が期待されているのかが分かる
 「上司」が何を達成することを期待しているのかを知らずして、あて
もなく進もうとする人はいないだろう
優れた予算プロセスでは、トップダウンとボトムアップの両方のコミュニ
ケーションが行われる
 トップマネジメントは、予算方針において、企業の目的と目標を明
確にする
 従業員と下位のマネージャーは、どのように目的と目標を達成す
るのかを、上位レベルのマネージャーに知らせる
※後述「予算編成における人間的側面の重要性」参照
49
補足(2)~調整を図る


予算は、部門間の調整することにも役立つ
 例えば、予算によって仕入担当者は、計画を生産部門からの需要
と統合し、生産部門は売上高予算と配送スケジュールを利用しな
がら、必要な従業員と物的設備に関する予想と計画を立てる
 同様に、財務担当者は、企業の資金ニーズを予測するために、売
上高予算や仕入要求などを利用する
このように、予算編成プロセスによってマネージャーは、自部門の活
動と他部門および企業全体との関係が、分かりやすくなる
50
売上高予算の重要性


売上高予算は、総合予算全体の基礎
 仕入計画、生産計画、コストの正確さは、予算売上高の詳細さと
正確さに依存
 金額、数量、およびその両方において
その売上高予算は、売上高予測に依存している
51
売上高予測と売上高予算

売上高予測と売上高予算の相違
 売上高予測
 所与の条件下における売上高の予測
 売上高予算
 目標売上高水準を生み出す状況を創出するための意思決定
の結果
 様々な広告水準における売上高予測を行い、その中から
選択した1つの水準に対する予測が売上高予算となる
52
売上高を予測する


売上高予測のための要素
 売上高は、以下の技法が組み合わされて予測される
 過去の売上高のパターン
 販売員の予測
 一般的な経済状況
 競合他社の行動
 価格変更
 プロダクトミックスの変更
 マーケットリサーチ
 広告・販売促進計画
売上高予測は、あいまいな部分もあるが、グローバルな競争圧力が
高まる中で、その手続きは公式化され、真剣に検討されるようになっ
てきている
53
売上高予測のための要素(1)


過去の売上高のパターン
 過去の経験を、製品ライン、地域、顧客ごとの過去の詳細な売上
高と組み合わせることによって、将来の売上高予測に役立つ
販売員の予測
 企業の販売員は、顧客の欲求と計画に関する最高の情報源であ
ることが多い
54
売上高予測のための要素(2)

一般的な経済状況
 国内総生産(GDP)など、多くの経済指標に関する予測が定期的
に公表されているが、これらの指標と売上高との関連を理解する
ことによって、売上高予測に役立つ
 相関に関する統計的分析
55
売上高予測のための要素(3)


競合他社の行動
 売上高は、競合他社の強みと行動に影響を受けるので、企業は、
価格、製品品質、サービスの変更といった、競合他社のあらゆる
戦略と反応を考慮しなければならない
 ゲーム理論
価格変更
 売上高水準は価格設定に影響されるので、企業は価格変更が顧
客需要に与えるに影響を考慮しなければならない
 第5章「価格の決定」参照
56
売上高予測のための要素(4)

プロダクトミックスの変更
 プロダクトミックスの変更は、売上高水準だけではなく、全社的な
貢献利益にも影響することが多い
 最も収益性の高い製品を明らかにし、売上高を増大させる方法を
考案することは、成功する経営の重要な要素である
57
売上高予測のための要素(5)


マーケットリサーチ
 市場条件と顧客の好みについての情報を収集するために、専門
の市場調査員を雇用している企業もある
 彼らから得られる情報は、マネージャーによる売上高予測とプロダ
クトミックスの意思決定に有用である
広告・販売促進計画
 広告などの販売促進コストは、売上高に影響を及ぼすので、売上
高予測は、その販売促進活動の影響を考慮しなければならない
58
予算編成における人的側面の重要性

売上高予測がどれだけ正確であっても、予算が企業に便益をもたらす
ためには、企業の全従業員からの支援が必要である

課題
 下位レベルのマネージャーと従業員の予算に対する意識
 異なる業績評価尺度のフリクション
59
予算に対する従業員の見解


マネージャーが部下の業績を評価する際には、実績と予算との比較
によることが多い
 しかし自分たちの業績をチェックするための技法を、そのまま心地
よく感じる人はほとんどいない
予算に対する下位レベルのマネージャーの意識
 予算をトップマネジメントの制約的で消極的な姿勢が具体化され
たものとみなす
 部下の失敗を指摘するためだけに予算を利用すると、この見
解はさらに強化されてしまう
 予算の主目的が支出を制限することにある場合、その消極的
な姿勢はますます強くなる
60
経営者の対策


トップマネジメントと会計担当者は、下位レベルのマネージャーと従業
員がより良い成果を得るために予算がどう役立つのかを、証明しなけ
ればならない
 その方法は何か?
 予算が組織と個人の目標を達成するためのロードマップであ
ることを証明する
そうすることによってはじめて、予算は、全レベルの従業員が目標に
向かって仕事を行い、目的を設定し、結果を正確に測定し、調査が必
要な領域に注意を向けることに、役立つであろう
61
異なる業績尺度のフリクション

また、予算によってある業績目標が強調されているにもかかわらず、
異なる業績尺度によって従業員とマネージャーを評価する場合には、
予算編成の利点を失わせてしまう、もう1つの深刻な人間関係問題が
生じる
 例示
 予算では現在の製造原価に焦点が当てられているのに対して、
マネージャーと従業員には生産品質(欠陥率)と顧客に対する
製品の適時配送に応じて報酬が与えられていることがある
 これらの業績尺度は、直接対立する
62
全従業員の参加による予算の編成


予算編成における人的側面の重要性は、いくら強調してもしすぎるこ
とはない
 トップマネジメントとマネージャーは、予算の構造ばかりに関心を
持っていることが多い
 予算編成システムの効果は、影響を受けるマネージャーと従業員
が予算を理解し受け入れるかどうかによって直接的に左右される、
という事実を無視している
一般に、影響を受ける全従業員の積極的な参加によって作成された
予算は、部下に強要した予算よりも効果的である
63
読み物

Ritz-Carltonでは、ホテルマネージャーからコントローラー、新人の清
掃係に至るまで、全従業員が予算作成プロセスに関わっている
 予算編成において、各従業員はチームで作業をし、自分が管理で
きる費用の予算目標を設定する

そこで決定された目標数値は、計画作成だけでなく、業績のコント
ロールと評価にも役立つ
 実績が過去の数値目標と比較され、従業員は両者の差異に
基づいて評価される
64
発展

また、非財務的業績尺度も重要である
 Ritz-Carltonのマネージャーは、従業員を評価し、報酬を与えるた
めに、財務報告書だけではなく、品質と顧客満足度に関する非財
務尺度を利用している
 第9章「財務的尺度と非財務的尺度」参照
65
予算編成と意思決定


予算をうまく利用すれば、効果的な意思決定モデルとして役立つ
 なぜ?
 予算は、企業の全ての側面、つまり全てのバリューチェーンを
考慮に入れるから
 例えば企業のマネージャーは、様々な意思決定が、長期
と短期において、企業にどのような影響を及ぼすかを予測
するために、総合予算を利用することができる
このように総合予算を利用することは、マネージャーが予想される活
動の様々な側面に対する見方を変更するにつれて、試案を修正して
いく段階的なプロセスとなる
66
財務計画モデル


財務計画モデル
 売上高、コスト、プロダクトミックスなどに関する、一連の仮定に対
応する総合予算の数学的モデル
財務計画モデルによる迅速な感度分析
 財務計画モデルによれば、最終的な意思決定をする前に、様々な
代替案の影響を迅速に評価することができる
 「what-if」問題
 売上高が予測を10%下回ったらどうなるか?
 材料価格が予測の4%ではなく、8%上昇したら?
 新規組合契約で生産性改善の報酬として、6%の上昇を
認めたらどうなるか?
67
財務計画モデル利用の便益


財務計画モデルによって、プロダクトミックス、売上高水準、生産上の
制約、品質水準、スケジューリングなどに関する代替的な仮定の下で
の、将来の業務予算と財務予算が適切に提供される
財務計画モデルによって、マネージャーの反応時間は劇的に短縮
 大企業では、多くの会計担当者が手作業で何日もかけて作成して
いた修正計画が数分で作成される
 パソコンの表計算ソフトウエアを利用することで、零細企業でも財
務計画モデルに手が届くようになった
68
財務計画モデル利用の注意点


しかし、強力なモデル化への迅速なアクセスが、もっともらしい、また
は信頼できる結果を保証するわけではない
 財務計画モデルの妥当性は、モデルの構築・操作するために利
用する仮定とインプットに支配される
ほとんど全てのCFOが、不完全な財務計画モデルからの誤った情報
に従ったことについて、恐ろしい経験を持っているのである
69
留意事項


少なくとも最初の総合予算案が、最終的な予算案になることは、ほと
んどない
 予算案が修正されるとき、予算編成プロセスは、それ自体が経営
管理プロセスの必須の部分となる
予算編成は計画作成であり、コミュニケーションである
70
Review




予算とは何か
 予算‥活動計画の定量的な表現
予算編成の利点
 計画の公式化
 業績評価のためのフレームワークを提供
 コミュニケーションと調整を図る
予算編成の実際
 総合予算‥企業の全組織単位で計画された活動を要約した予算
 感度分析(What-if analysis)
予算編成における人的側面の重要性
71
参考・引用文献


Horngren,C.T., G.L.Sundem, and W.O.Stratton, Introduction To
Management Accounting, Eleven Edition, Prentice Hall, 1999(渡
邊俊輔監訳『マネジメント・アカウンティング』TAC出版、2000年)
鈴木研一先生(2002) http://oh-o.meiji.ac.jp
72