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日本と東アジア貿易専題研究(一)
日本對東亞貿易專題研究(一)
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今日学ぶこと
教科書:伊藤元重(2005)『ゼミナール国際経済入門』
日本経済新聞社。
第5章 国際貿易の基本構造
Ⅱ. 貿易の基礎理論
Ⅲ. 産業内貿易の理論
テクニカル・コラム
第6章 変貌する通商システム
Ⅴ. 規模の経済性の下での貿易
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●雁行形態の産業発展
⇒赤松要による研究
⇒産業の発展はそれまでに輸入されていた商
品が次第に国産に変わっていき(輸入代替)、
⇒さらには、輸出されていくパターンをとる。
⇒このパターンはいろんな産業で次々と起こっ
ていく。
⇒この産業発展を絵に描くと、雁の群れが飛ん
でいるように見える。
3
4
Ⅲ. 産業内貿易の理論
●プロダクト・サイクル
⇒Vernonは、多くの製品にはサイクル(Product
Cycle)があると主張した。
⇒そのサイクルの過程で生産形態や貿易形態
も大きく異なると主張した。
⇒例えば、
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プロダクト・サイクル
●第一段階 新製品の開発
(1) アメリカが電機皿洗い機を開発、生産し始める。
●第二段階 成熟化
(2)電機皿洗い機の標準化が始まる。
(3) 規模の経済性を生かした低コスト生産の競争と海
外輸出が始まる。
(4) 貿易によって生産技術の移転も始まり、日本や
ヨーロッパでも生産が始まる。
●第三段階 完全標準化
(5)電機皿洗い機の生産技術が完全に標準化され、ア
メリカは日本やヨーロッパから輸入を始める。
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プロダクト・サイクル
国内生産
国内需要
第一段階 開発
第二段階 成熟化
第三段階 標準化
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●プロダクト・サイクル(第一段階)
⇒第一段階にある製品(標準化されていない製
品)は、消費者のニーズ(需要)や輸送費の問
題を考察することが重要である。
⇒立地選択(需要決定型)
①したがって、工場は先進国の大都市などの
消費地の近くに立地する。
②標準化されていない製品の生産拠点は、需
要によって決定される。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●プロダクト・サイクル(第二段階)
⇒第二段階にある製品(標準化された製品)は、消費
者のニーズや輸送費の問題よりも、
⇒製品を大量生産し、規模の経済性を生かした低コス
ト生産がより重要となる。
⇒立地選択(コスト決定型)
①したがって、郊外の一箇所の大規模工場で生産さ
れる。
②製品仕様や部品の標準化が進めば、より生産費用
の低い海外の生産拠点に移動する。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●プロダクト・サイクルと貿易
⇒プロダクト・サイクルの第二段階の標準化された製
品の貿易は、伝統的な貿易理論(リカード理論やHO理論)によってうまく説明できる。
⇒この理論は、生産費用の低い生産拠点で生産され
るという意味で、コスト決定型の貿易理論である。
⇒VTR、DVD、薄型テレビなどが標準化されるにつれ
て、生産拠点がアジアに移転している。
⇒しかし、この理論は、標準化されていない製品の貿
易をうまく説明できない。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●プロダクト・サイクルと貿易
⇒プロダクト・サイクルの第一段階の標準化さ
れていない製品は、先ほども議論したように
消費地の近くで生産される。
⇒標準化されていない時点では、消費者のニー
ズ(需要)を把握する必要があるからである。
⇒したがって、標準化されていない製品の貿易
は、需要決定型の理論が必要となる。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●リンダー(Linder)の貿易理論
⇒この理論は、需要決定型の貿易理論である。
⇒リンダーは、所得水準などの需要条件によっ
て貿易が生じると考えた。
⇒工業品の貿易は、先進国、中進国、後進国
のうち、
⇒所得格差の小さい先進国同士、または、先進
国と中進国の間で活発に行われることを示し
た。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●リンダー(Linder)の貿易理論
⇒仮定1. 所得水準の異なる先進国(A国)、中進国(B
国)、後進国(C国)がある。
⇒仮定2. 繊維、化学製品、鉄鋼、自動車、電子製品
がある。
⇒仮定3. ①C国は繊維、化学製品に対する需要があ
り、生産している。
②B国は、化学製品、鉄鋼、自動車に対する需要があ
り、生産している。
③A国は、鉄鋼、自動車、電子製品に対する需要があ
り、生産している。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●リンダー(Linder)の貿易理論
⇒A国 鉄鋼、自動車、電子製品
B国 化学製品、鉄鋼、自動車
C国 繊維、化学製品
⇒A国とB国は、C国よりも所得水準が高いので、
工業製品への需要がある。
⇒A国とB国はいずれも鉄鋼と自動車を生産し
ており、これらへの需要があるので、これらが
貿易される。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●リンダー(Linder)の貿易理論
⇒A国 鉄鋼、自動車、電子製品
B国 化学製品、鉄鋼、自動車
C国 繊維、化学製品
⇒B国は、C国よりも所得水準が高い。
⇒B国とC国はいずれも化学製品への需要があ
るので、これらが貿易される。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●リンダー(Linder)の貿易理論
⇒A国 鉄鋼、自動車、電子製品
B国 化学製品、鉄鋼、自動車
C国 繊維、化学製品
⇒C国で生産されている繊維や化学製品への
需要はA国ではない。
⇒A国で生産されている鉄鋼、自動車、電子製
品への需要はC国ではない。
⇒A国とB国とでは貿易が行われない。
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Ⅲ. 産業内貿易の理論
●リンダー(Linder)の貿易理論
⇒A国 鉄鋼、自動車、電子製品
B国 化学製品、鉄鋼、自動車
C国 繊維、化学製品
⇒結論1. 所得水準の似通ったA国とB国、B国
とC国の間で貿易が活発に行われる。
⇒結論2. 所得格差の大きいA国とC国の間で
は貿易は行われない。
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基礎知識
●需要曲線の見方
価格
200
150
需要曲線
需要量
50
100
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基礎知識
●需要曲線のもう一つの見方
価格
200
150
需要曲線
需要量
50
100
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基礎知識
●消費者余剰
⇒ある消費者がある製品を見て、「1500円なら
買いたい」と思ったとしよう。
⇒店主に値段を聞いて、1000円だったとしよう。
⇒消費者は当然この製品を購入するであろう。
⇒なぜですか?
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基礎知識
●消費者余剰
⇒消費者がある製品を見て、「1500円なら買い
たい」と思ったが、
⇒価格が1000円だったので、
⇒消費者は500円分の余剰を得たことになりま
す。
⇒このように購入費用を超える消費者の財に対
する評価を消費者余剰といいます。
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基礎知識
●需要曲線の見方
価格
P*=300
P=150
需要曲線
50個の購入費用
=150円×50個=7,500円
50個の需要から得られた効用
=□0PAD+△PAP*
=7,500+3,750=11,250円
A
消費者余剰=効用ー購入費用
=11,250円ー7,500円
=3,750円
需要量
0
D=50
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基礎知識
●消費者余剰はいくら?
価格
P*=500
P=200
10個の購入費用
=
需要曲線
50個の需要から得られた効用
A =□0PAD+△PAP*
=
消費者余剰=効用ー購入費用
=
需要量
0
D=10
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基礎知識
●供給曲線の見方
A
P=150
販売収入=150円×200個
=30,000円
200個生産するための可変費用
=△0ASの面積
=(200×150)/2=15,000円
生産者余剰=販売収入ー可変費用
=30,000ー15,000
=15,000円
0
S=200
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基礎知識
●生産者余剰はいくらですか?
販売収入=
A
P=100
0
200個生産するための可変費用
=△0ASの面積
=
生産者余剰=販売収入ー可変費用
=
S=300
25
基礎知識
●消費者余剰と生産者余剰はいくらですか?
価格
A=300
P=100
供給曲線
E
需要曲線
0
B=200
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テクニカルコラム⑪
●貿易利益はいくらですか?
価格
A=300
供給曲線
E
P=100
P*=80
G
貿易下の自国企業の供給曲線
F
世界の供給曲線
需要曲線
0
C=100
D=300
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テクニカルコラム⑬、⑮
●交易条件
輸入財 A
需要量
予算制約線
交易条件
=輸出財価格/輸入財価格
0
B
輸出財
需要量
28
テクニカルコラム⑬、⑮
●交易条件
輸入財 A
需要量
予算制約線
交易条件
=輸出財価格/輸入財価格
E
100
0
B
150
200
輸出財
需要量
29