江藤敏治

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Transcript 江藤敏治

平成22年度禁煙医師連盟総会
大学生のアルバイト
実態調査から提言すべき
分煙社会撤廃の意義と重要性
宮崎大学 安全衛生保健センター 准教授
産業医 ・ 労働衛生コンサルタント
江 藤 敏 治
HEALTH CARE AND SECURITY CENTER
UNIVERSITY OF MIYAZAKI
平成23年2月11日 北九州市
【背景と目的】
平成14年、健康増進法第25条において、
「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、
集会場、展示場、百貨店、事務所、官
公庁施設、飲食店その他多数の者が利
用する施設を管理する者は、これらを
利用する者について、受動喫煙を防止
するために必要な措置を講ずるよう努
めなければならない」こととされた。
宮崎大学は平成14年以降建物内禁煙から敷地内
分煙を経て平成21年敷地内全面禁煙となった。そ
の間、ハード面だけでなくソフト面としての講演
会や禁煙支援を充実させた。
学生喫煙率は男子学生30%→10%、女子学生
6.5%→0.9%と低下すると同時に、学生による禁
煙支援が2000名を超える現状は今までに報告して
きた通りである。
今回、多くが未成年者である学生が受動喫煙か
ら保護されているかどうかを把握することを目的
に、アルバイト環境の実態調査を行なった。
【対象と方法】
平成22年7月、主に大学1,2年生が受講す
る共通教育科目「ヘルスサイエンス」受講
生471名を対象にアンケート調査を実施した。
アンケート項目は下記の3項目である。
1,アルバイトの有無
2,アルバイト先の受動喫煙対策の有無
3,受動喫煙の暴露の有無
アルバイト
アルバイト
%
計
あり あり なし
なし
女性
女性
108 65
57
165
35
男性
男性
175 57 131
306
43
総計
総計
283 60 188
471
40
表1:学生のアルバイト就労実態
%
アルバイト先
アルバイト先
総計
禁煙
対策無し
禁煙 分煙 分煙
対策無し
女性
女性
44 41
28
26 36
33108
男性
男性
50 29
65
37 60
34175
総計
総計
94 33
93
33 96
34283
表2:勤務先受動喫煙対策有無
女性
受動喫煙
あり
なし
総計
男性
男性
受動喫煙
受動喫煙
総計
あり
あり
なし
なし
アルバイト先
禁煙
分煙 対策無し
2
5
24
86
29
81
42
95
14
4
19
7
44
28
36
禁煙
禁煙
3
6
47
94
50
アルバイト先
アルバイト先
分煙 対策無し
分煙 対策無し
44
42
68
70
21
18
32
30
65
60
総計
51
55
53
49
108
総計
総計
89
51
86
49
175
表3:学生受動喫煙の有無
禁煙
分煙
対策無し
居酒屋
0
1/1
15/16
飲食店
4/5
17/23
12/14
SS
0
0
3/4
コンビニ
2/18
4/6
3/10
スーパー
0
6/7
4/4
派遣
0/1
3/3
3/4
塾講師
0/26
0/3
1/2
家庭教師
0/7
0
0/1
表4:アルバイト種類と受動喫煙
学生数
受動喫煙
なし
受動喫煙
あり
受動
喫煙率
居酒屋
17
1
16
94.1%
スーパー
11
1
10
91.0%
派遣
8
1
7
87.5%
飲食店
42
9
33
78.5%
SS
4
1
3
75.0%
コンビニ
34
25
9
26.5%
塾講師
31
30
1
3.2%
家庭教師
8
8
0
0.0%
表5:アルバイト種類と受動喫煙率
タバコ
総計
非喫煙
禁煙
喫煙
女性
165
0
0
165
男性
284
20
2
306
表6:学生の喫煙状況
禁煙学生
アルバイト先
アルバイト先
学生
非喫煙学生
あり
受動喫煙
なし
総計
禁煙
分煙 対策無し
0
3
6
2 禁煙 1 分煙2
2
4
8
非喫煙学生
あり
5
73
学生
受動喫煙
受動喫煙
総計
あり
なしなし
アルバイト先
禁煙
分煙 対策無し
5
65
63
87 95 24 27 23
92
89
86
総計
9
対策
5
無し
14
73
総計
133
27
134
267
【結果ならびに考察】
受講生471名の構成は女性165名、男性306
名。アルバイトしている学生は女性108名、男
性175名、計283名と全体の60%であった。
アルバイト先の受動喫煙対策は、禁煙、分
煙、対策無しがそれぞれ94、93、96施設とほ
ぼ同数だったが、女子学生は男子学生に比
べ禁煙施設を選ぶ傾向にあった。
実際の受動喫煙の有無は禁煙施設5%、
分煙施設73%、対策無し74%であった。
【まとめ】
名目上、分煙を謳っているアルバイト先
の受動喫煙は喫煙対策を施していない施
設と同じであった。社会全体は緩やかに
禁煙へと動いてはいるが、未だ分煙をうた
う趨勢も根強い。
しかし今回の調査結果は分煙の無力さ
を如実に物語っている。我々はこの現実
を社会に強く訴えていかなければならない。