環境をものにする,かねにする ーEcoGISのアプローチ

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第12回 エコシステムサービス
エコシステムにおける物質とエネルギのフロー
エコシステムの要素
は互いに資源とエネ
ルギーの元とする。そ
のような資源あるいは
エネルギーを利用す
ることは、サービスを
享受することである。
エコシステムは資源と
エネルギーを持つと
は、サービスを提供す
る能力があるというこ
とであり、エクセル
ギーを持つとのことで
ある。
エクセルギーによる熱拡散の過程とサービスの消耗
2500
2000
エクセルギー(kJ)
B
1500
A
1000
500
0
20
TE
TE
30
40
50
60
70
80
TA1
TB1
温度(℃)
容器AとBの温度がそれぞれ80℃、40℃から環境温度20℃へ変化する過程は、それぞれが
もっている熱が拡散される過程であり、拡散能力が消費される過程である。このことはエネ
ルギー保存則では説明できない。
地球ーかけがえのないエコシステム
地球エコシステムサービスの分布
Robert Costanza et al, The value of the world’s ecosystem services and natural capital, Nature, Vol. 387, 253-260, 1997
地球の自然資本(エコシステムサービス)の価値

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
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
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


大気の安定
気候の安定
環境変動への緩和
水の安定
水の供給
土壌浸食の防止
土壌の形成
養分の循環
廃棄物の処理
受粉
生物の自己コントロール
動物の生息地
食物の生産
原材料の提供
遺伝的資源
レクリエーション
文化
合 計
1,341 US$/ha/year
684
1,779
1,115
1,692
576
53
17,075
2,277
117
417
124
1,386
721
79
815
3,015
33,268
Robert Costanza et al, The value of the world’s ecosystem
services and natural capital, Nature, Vol. 387, 253-260, 1997
環境社会と相容れない現状
 都市化の巨大化
自然エコシステムの衰退、資源消費と廃棄物の増大
農業の工業化
 緑の革命、遺伝子組み換え、化学肥料の使用
交通の自動車化
 長距離通勤、都市集中、汚染の拡大
人・物の移動の国際化
 国際分業の進展、貧富の差の拡大
生活様式の西洋化
 伝統農業、伝統建築、伝統文化の喪失
・・・






→目標は経済効率の最大化
伝統的な需要と供給による資源利用の調整
過小に評価された自然の価値
生産物の価値
工業の経済効率=
投入費用(+環境修復費用)
生産物の価値(+公益的価値)
農業の経済効率=
投入費用
 工業の経済効率には、生産や消費にともなう環境破壊や汚染の修
復に要する費用が含まれていない。したがって、過大に評価されて
いる。
 工業化されていない農業のそれには、物質循環の完結や国土保全
などの公益的価値が含まれていない。したがって、過小に評価され
ている。
 また、工業化された農業は環境修復費用を必要としたり、公益的価
値を失うことが多い(瀬戸昌之、生態系、有斐閣ブックス、1995)
国連研究プロジェクトMA(Millennium Ecosystem Assessment):
ミレニアムアセスメントとエコシステムサービス
Provisioning
(生産)
Regulating
(制御)
Cultural
(文化)
Goods produced or provided
by ecosystems
Benefits obtained from
regulation of ecosystem
processes
Non-material benefits
obtained from ecosystems
• food (食料)
• fresh water(水)
• fuel wood(薪)
• fiber(繊維)
• biochemicals(生物化学)
• genetic resources(遺伝子)
• climate regulation(気候)
• disease regulation(疾病)
• flood regulation(洪水)
• detoxification (解毒)
• spiritual (精神)
• recreational (余暇)
• aesthetic(美観)
• inspirational(霊感)
• educational (教育)
• communal(共有)
• symbolic(信仰)
Supporting(基盤)
Services necessary for production of other ecosystem services
• Soil formation(土壌形成)
• Nutrient cycling(栄養循環)
• Primary production(一次生産)
世界中に行われているエコシステムアセスメントのプロジェクト
http://www.millenniumassessment.org
環境社会を支える要素
経済社会を支える要素
社会資本
Social Capital
道路、港湾、空港等
産業資本
Industrial Capital
現金、工場、機器等
経済社会
環境社会
人的資本
Human Capital
労働力、知識、技能等
自然資本
自然
Natural Capital
空気、水、土等
生命を支えるエコシステムの総和
国際情勢:京都議定書の発効に向けて
京都メカニズム
 クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism, CDM)
温室効果ガス排出量の数値目標が設定されている先進国が協力して、数
値目標が設定されていない途上国内において排出削減(または吸収増
大)等のプロジェクトを実施し、その結果生じた排出削減量(あるいは吸収
増大量)に基づきクレジットを発行した上で、そのクレジットをプロジェクト参
加者間で分け合うことである.
 共同実施(Joint Implementation, JI)
 温室効果ガス排出量の数値目標が設定されている先進国同士が協力し
て、先進国内において排出削減(または吸収増大)等のプロジェクトを実施
し、その結果生じた排出削減量(あるいは吸収増大量)に基づきクレジット
を発行した上で、そのクレジットを投資国側のプロジェクト参加者に移転さ
せることである。
 排出権取引(Emissions Trading)
 温室効果ガス排出量の数値目標が設定されている先進国間で直接的な
排出枠の取得・移転(取引)を認めるものであり、結果として市場メカニズ
ムにより目標達成のための全体費用を低下させることが可能になる。

CDMの仕組み
クレジット買方
実際排出->
クレジット売方
超過排出
<-排出目標
炭素クレジット
購入
仲炭
介素
会基
社金
吸収増加
<-基線
植林事業実施
海外会社A
排出目標->
資金投入
<-基線
排出削減
炭素クレジット
<-実際排出
環境事業実施
国内会社A
資金投入
海外会社B
地
域
レ
ベ
ル
横浜市における緑地の評価
衛星画像
画像分類
CITY
green
地域エコマップ
⑤地区別緑地
のエコサービス
地形分類図
地
区
レ
ベ
ル
⑥地域内緑地
のエコサービス
地質分類図
土地利用図
土地計画図
現存植生図
CITY
green
オーバーレイ
比
較
④地区内緑地
エコサービス
エコ区分定義
比
較
地区エコマップ
同エコトープの面積
×
②単位面積エコ
サービス
街
区
レ
ベ
ル
高精度空中写真
・樹木キャノピー
・群落区分
・土地被覆区分
③同エコトープ
のエコサービス
①大気汚染除去効果(例)
フィールドGIS
フィールド調査
・樹種,直径,高さ
・成長,健康の状態
街区エコマップ
コンセプト
=
CITY
green
街区樹木のエコシステムサービス
地域レベルのエコマップ
分類・統合
2002年8月10日
ASTER(VNIR)衛星画像
ASTL1B 0208100134490209145813
ASTL1B 0208100134580209145964
5つのエコトープ区分:
農地,不透水性地面,オープンスペース,森林,水域
地区レベルのエコマップ
街区レベルでの情報の収集
高精度空中写真
・樹木キャノピー
・群落区分
・土地被覆区分
フィールド調査
・樹種,直径,高さ
・成長,健康の状態
フィールドGIS
フィールド調査
・樹種
・高さ
(A 25f以下 B 25~45f C 45f以上)
・直径(インチ)
・健康状態
(A Excellent B Good C Fair
D Poor E Dead or Dying)
・成長状態
(A Good B Fair C Poor)
街区レベルのエコマップ
街区レベルの環境情報の
データベース管理
サイト2:低層住宅地
サイト1:斜面林
エコシステムサービス評価結果
The city scale
7,100 t/yr
$4.7mllion/yr
都市緑地のエコシステム
サービスの定量評価
N
W
E
S
The Ecomap of Yokohama Ci t y
Cr op Land
I mper vi ous Sur f ace
Open Space
Ur ban For est
Wat er Ar ea
0
4
8
12
16 km
Upper: carbon sequestration per year
Lower: value to air quality per year
The district scale
254t/yr
$167,000/yr
The block scale
20t/yr
$6,000/yr
最終課題

課題:


地球環境問題の解決と持続可能な発展への提言
要領:

授業で習った概念、提示された考えや方法、フィールドワークの体験をもとに、自分の
関心地域の環境問題(代表的なもの1つだけ)に関して、①対象問題の実態とメカニズ
ム、②その問題に取り組んできた政策や動き,③そこから生まれた効果や経験を整理
したうえで,④持続可能な社会を実現するためのあなたの提言をまとめてください。⑤
最後に授業,フィールドワーク,課題全般を通して学んだことを付記して下さい.


フォーム:http://ecogis.sfc.keio.ac.jp/lectures/cat57/cat55/kadai-2.doc
提出:

A4用紙に印刷し,

7月18日17:00までに

研究室E502またはE509に提出してください.