風力発電とリスクマネジメント

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Transcript 風力発電とリスクマネジメント

宗
谷
岬
ウ
ィ
ン
ド
フ
ァ
ー
ム
風力発電と鳥の共存について
リスクトレードオフ
枯渇する化石燃料に代わる新エネルギー開発
vs. 風車に希少猛禽類などが衝突する
松田裕之(横浜国立大学・環境情報学府・
• 環境リスクマネジメント専攻)
2007/10/6
1
2
今日の内容
• 広い視野で総合的な環境政策を!
– いずれ無くなる化石資源
• オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
• マガンの衝突リスク
– 風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
• 透明性の高い環境保全策を!
– 風力発電は環境重視の優良事業
– 3.16横浜国大シンポの概要
• インセンティヴのある行政施策を!
– 国は事業者にできない長期総合調査を
– 生態系保全措置にも補助金を!
• 提案
2007/6/22
3
島田泰夫氏
オジロワシWhite-tailed eagle
絶滅危惧IB類(EN)
天然記念物,種の保存法に基づく国内希少野生動植物種,LC(軽度懸念)IUCN
表.風車周辺での死骸発見
撮影:佐々木茂樹氏
No.
年月
発見場所
1
2004.2
苫前町
2
2004.3
苫前町
3
2004.12
根室市
4
2005.12
石狩市
5
2006.5
苫前町
6
2006.6
幌延町
7
2007.1
苫前町
8
2007.4
稚内市
9
2007.5
根室市
丸3年間で7個体
4
NEDO風況マップ:http://www2.infoc.nedo.go.jp/nedo/top.html
海外文献島田泰夫 (2006)生物科学
項目
死亡する鳥類個体数
備
考
自動車
6,000万~8,000万羽
道路総延長400万マイル
建物
9,800万~9億8,000万羽 450万のビルと9,350万の住宅
送電線
1億7,400万羽
送電線総延長50万マイル
通信鉄塔 400万~5,000万羽
80,000鉄塔
風力発電 1万~4万羽
15,000施設
Erickson WP et al (2001) Avian Collisions with Wind Turbines
項目
内容
全米での年間鳥類推定死亡数 3.5万個体/6,374MW/年
衝突率(既存文献全体)
鳥類全般5.55個体/MW/年
猛禽類1.85個体/MW/年
衝突率(最近の9論文から)
鳥類全般5.45個体/MW/年
猛禽類1.74個体/MW/年
California Energy Commission (2004) Developing Methods to
Reduce Bird Mortality In the Altamont Pass Wind Resource Area
5
風発技術は将来への投資
• 風力利用は化石資源枯渇に備えた国策!
– 温暖化対策、排出権取引への喫緊の政策!
• RPS法の数値目標が出発点
+ さらなる増産への具体的対応策を検討すべき!
– 「日本において2010年までに自然エネルギー10%導
入」(WWFジャパン気候変動プログラムの達成目標)
• 自然環境への配慮も国策!
– 民間事業者への補助金で成り立つ風発事業
– 鳥衝突対策などに多く費用をかけると採算割れ
– 採算割れしない方策が前提になる
2007/6/22
6
電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法
島田泰夫氏の試算
一部改変
補助金で成り立つ現在の風発(試算)
•
•
•
補助金がなければ採算割れ
原油高騰などで将来売電価格が上がれば採算が取れる
消費者価格は現在でも>20円
a.売電価格
b.設備容量
c.年間
d.時間
e.設備利用率
①年間総収入
f.環境保全費用
h.総建設費用
i.建設補助率
金利
j.返済期間
②年間返済価格
③年間維持管理費用
④損益(①-②-③)
単位
円/kwh
kW
日
時
%
千円
千円
千円
%
%
年
千円
千円/基 /年
Case 1
15
932
365
24
20%
24,493
Case 2
10
932
365
24
20%
16,329
Case 3
13
932
365
24
20%
21,227
233,000
33.3%
4%
17
12,283
2,000
10,210
233,000
0.0%
4%
17
19,152
2,000
-4,824
233,000
0.0%
4%
17
19,152
2,000
75
7
気候変動が鳥類に与える脅威
WWF岡安氏
・特に影響を受けるのは、渡り鳥、山岳や島嶼鳥
類、水禽類、極地方に生息する鳥類、海鳥。
Photo: Kevin Schafer, © WWF Canon
渡り鳥が渡りに失敗する例が出ている。
生態系の変動速度に同調できない種が増えている。
気候変動による影響で、エトピリカのカナダ
最大の繁殖コロニーが、繁殖不可能になる
かもしれない。
・産業革命前に比べ平均気温が2℃上昇した場合
(現在は0.8℃)、絶滅の比率はヨーロッパで38%、
オーストラリア北部で72%に達する可能性。
イギリス北海沿岸(2004):イカナゴ不足で7000つがいの
オオトウゾクカモメやウミガラスのコロニーが繁殖失敗。
カリフォルニア南部沿岸(2002):旱魃により、ズアカスズ
メモドキ、ミソサザイモドキ、2種のトウヒチョウの繁殖率
が例年の3%に落ち込む。
アジア:ソデグロヅル(絶滅危惧種)の繁殖地のツンドラ
の70%が失われ、旱魃で越冬地の国立公園が使えなくな
る。
『Bird Species and Climate Change: The Global Status Report』 Climate Risk Pty Ltd, (2006)
international specialists in climate change risk management
気候変動による影響の世界的傾向を見るために、すべての大陸から200件以上の鳥類に関する学術論文を再編。
8
自然の過保護
「自然の過保護」
• 風車への衝突リスクは0ではないが、
他のリスクよりずっと低い
• ≪高層ビル、高圧電線、鉛中毒
• 環境に悪い施設ならともかく、風車は
新エネルギーの重要な候補である
• 恒久改変と区別すべきである
↑野鳥の会の会報2007年4月号表紙と次号の会員の感想
2007/6/22
9
今日の内容
• 広い視野で総合的な環境政策を!
– いずれ無くなる化石資源
• オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
• マガンの衝突リスク
– 風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
• 透明性の高い環境保全策を!
– 風力発電は環境重視の優良事業
– 3.16横浜国大シンポの概要
• インセンティヴのある行政施策を!
– 国は事業者にできない長期総合調査を
– 生態系保全措置にも補助金を!
• 提案
2007/6/22
10
島田泰夫氏
AMUSEによる個体群管理
巣立
個体数を観測し
て,基準に応じ
た管理を行う.
死亡
バードストライク
保護増殖
安全→そのまま稼働
注意→徐々に衝突係
数を上げる
警戒→衝突係数を
最小に絞り,保護増
殖を実施する.
11
島田泰夫氏
管理モデル(AMUSE)の概要
【自然条件下】
個体数(t+1)
成長率
個体数(t)
保護増殖措置
発見数
【風車稼働】
個体数(t+1)
衝
突
数
個体数(t)
衝突率
衝
突
数
(管理)衝突数=個体数×衝突率×衝突係数(0~1)
衝突係数
12
衝突係数Fとは?
島田泰夫氏
• 衝突率を低減させる係数(0~1)である.
• (相対)稼動率の関数である.
表.衝突率の低減策
1.殺鼠剤の中止
×
2.餌資源(ネズミ類)の除去 ×
3.風車の撤去(移設)
×
4.風車の一時停止
○採用
5.大型風車への置換
×既に大型化
6.忌避設備の導入
△
7.ブレード視認性向上
△
8.警戒システム
△
Smallwood KS and Thelander CG.
(2004)
13
島田泰夫氏
衝突係数Fのフィードバック制御
衝突係数F
1
過剰衝突分
の対処
警戒
注意
減り始めた
個体群の対処
これより
減らさない
0
0
安全
450
550
推定個体群サイズ
850
14
設備利用率AMUSE=設備利用率×(相対)稼動率
(相対)稼動率
設備利用率/年
9円/kWh
10円kWh
11円kWh
設備利用率AMUSE/年
設備利用率AMUSE/17年
業績悪化
9円/kWh
10円kWh
11円kWh
9円/kWh
10円kWh
11円kWh
15
島田泰夫氏
今日の内容
• 広い視野で総合的な環境政策を!
– いずれ無くなる化石資源
• オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
• マガンの衝突リスク
– 風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
• 透明性の高い環境保全策を!
– 風力発電は環境重視の優良事業
– 3.16横浜国大シンポの概要
• インセンティヴのある行政施策を!
– 国は事業者にできない長期総合調査を
– 生態系保全措置にも補助金を!
• 提案
2007/6/22
16
杉本寛氏
加賀市片野鴨池 ねぐら
あわら市風力発
電建設予定地
マガンの移動ルート
採餌場
2007/6/22
17
片野鴨池のマガン越冬数
18
マガンの分布(越冬地)
杉本寛氏
加賀市
片野鴨池
新潟(1,122羽)
福井(1,059羽)
島根(3,970羽)
2007/6/22
約3000羽
宮城(92,493羽)
環境省
平成17年度「全国ガンカモ科一斉調査」
目的
:生息状況の把握
調査日 :平成18年1月15日
(予備日: 1月8~22日)
調査地 :全国約9000地点の湖沼等
19
調査方法:目視
風発予定地をマガン・ヒシクイが通る
杉本寛氏
3月7日~3月23日
早朝の調査を5回
夕方の調査を17回実施
(日本野鳥の会 2006)
2007/6/22
20
杉本寛氏
方 法
1000m
120m
①風発計画地
②
40m
群
れ
②風車の高さ
×10回
③風車の断面積
個
体
③
衝
突
回
避
④
①
④ブレード
衝突
2007/6/22
( Desholm et al. 2006 )
21
杉本寛氏
方法
③風車の断面積 [p3]
パラメータ
• p3 :風車の断面積内を飛
行する確率
p3 
風車の断面積 2
計画地断面積
マガン・ヒシクイ
計画地断面積 [m2] 80000
( 80 * 1000)
風車の断面積[m2]
5027
( 40 * 40 * π )
p3 [%]
12.6
※風車10基、2列と仮定
風車の壁は5つ
22
2007/7/7
風と生き物のシンポジウム
22
杉本寛氏
方法
④ブレード [b]
• b :ブレード衝突確率
(Band et al. 2007 in press)
パラメータ
マガン
衝突確率
[%]
8.4
23
2007/7/7
風と生き物のシンポジウム
23
杉本寛氏
衝突モデル
(Band et al. 2007 in press)
パラメータ
Tp 
1
πR 2
 p(r, )r dr d
r r
 2  p(r)   d  
R R
p(r)  ( bΩ 2 πv )
[ K | c sinγ α c cosγ |  ξ]
 l for α  β
ξ
αwF for α  β
K
1D or 3D (0 or 1)
b
ブレード数
c
ブレードの最大幅(m)
[2]
[2]
2007/7/7
1
3
2.8
[1]
※
[1]
※
γ ピッチ角(度)
15
l
鳥の全長(m)
0.8
w
鳥の翼開長(m)
0.8 (1.0)
F
羽ばたき(1)、滑空(2/π)
1
v
鳥の飛行速度(m/sec)
16.7
R
回転面の半径(m)
40
s
回転周期(sec)
2.46
β 鳥の縦横比
([1] 樋口ら、1996.[2] 牛山ら、2006)
値:マガン
※
1.0)
※
1.0 (1.0)
2.55 24※
※ :デフォルト
鳥の通過地点の半径
() :ヒシクイ
24
Ω 角速度(rad/s)
r
※
α ブレードの進入角
v/(r*Ω)
方法 (「風車を避ける効果」の考慮;
デンマーク洋上風力発電の事例)
⑤回避確率
パラメータ
• Af :風発施設を回避する
確率
設置基数
Af  1- ( 0.045 / 0.404)
• At :一基の風車を回避す
る確率
At  1- ( 1- ( 1- 0.123)1/8 )  ( 480 / 100 )
2007/7/7
ガン・カモ類
72 ( 9 * 8 )
[基]
風車接近距離 [m]
50
列間隔 [m]
850
行間隔 [m]
480
計画地飛行確率 [%]
40.4
施設飛行確率 [%]
4.5
施設内で50m接近 [%]
12.3
全50m接近 [%]
0.6
施設回避確率 [%]
88.9
風車回避確率 [%]
92.2
25
25
( Desholm et al. 2005 )
P1 計画地飛
行確率*
P2風車の高さ内を
飛行する確率
P3 風車の断面積内を
衝突率
飛行する確率
•
パラメータ
Cn :衝突率(避けない場合)
Tp:ブレード
衝突確率
5
Cn  p1 p2 (1- (1- p3 b) )
•
Af:風発施設を回
Ca:衝突率(避けた場合)
避する確率
At:一基の風車を
Ca 回避する確率
(1- Af)  p1 p2
結果
マガン
ヒシクイ
p1*
0.1
0.2
p2
78.9
74.2
p3
12.6
12.6
Tp
8.4
8,6
Af
88.9
88.9
At
92.2
92.2
0.0045
0.0106
0.0001
0.0001
Cn:衝突率(避け
 (1- (1- (1- At)  p3 b)5 ) Cn *
Ca *
ない場合)
Ca:衝突率(避け
2007/7/7
た場合)
*JPECの調査結果の場合26
風と生き物のシンポジウム
26
松田裕之
まとめ 推定衝突個体数
電源開発
電源開発
避ける効果
回避無し
回避あり
マガン(JPEC
調査)
野鳥の会
野鳥の会
あり
回避無し
回避あり
Pooled
なし
回避無し
Pooled
回避あり
0.8
87.1
2
2
5
5
7
7
マガン(野鳥の会
S
(3754.2)
103
103調査)41 33.7
41
137
137
Na
200
200
1,326 1,326
1,004
1,004
マガン(合計)
10.3
1151.3
P1
0.11%
0.01%
4.61%
0.51%
1.46%
0.16%
ヒシクイ(JPEC
調査) 0.1863% 0.2
Cn,Cp
0.0045% 0.000040%
0.0016%
0.0591%
19.1 0.00052%
Fa
Pn,Pa
1.60% 0.014% 48.90% 0.59% 19.18%
Nn,Nc
56.0
0.500
1,715
95%CI
42-71
0-2
1657-1773
27
20.7
673
12-30 627-718
0.19%
6.6
2-12
27
27
鳥衝突リスクはさらに低減可能
• 順応的リスク管理可能な典型例
– 季節,時刻,場所,天候によりリスクが違う
– 高リスク部分の稼動を避ければよい
– 最大の処方箋は衝突死のモニタリング
• 成鳥の衝突リスクは低い?
• 恒久改変ではない 20年の実験
2007/6/22
28
松田裕之
「許容衝突数」と順応的リスク管理(案)
29
29
29
– 例:朝夕の移動時刻、風発施設に飛来した場合に風車を
止める
– 大群が上空に来たときだけ止める
– 小さな群れが来ても止める
– 毎日止める など
– 事業採算性の範囲での対応
2007/6/22
• 米国で海獣類の生物学的許容除去数PBRを援用
PBR=Nmin/2×Rmax×Fr (Barlow et al. 1995)
• ヒシクイPBR = 300/2×0.09×0.5 = 6.9羽
• マガンPBR = 3266/2×0.09×0.5 = 75.4羽
• 衝突数が許容限度を超えた場合か主たる採餌場が
変った場合には、稼働率を調節してリスクを減らす
http://www.env.go.jp/nature/yasei/sg_windplant/03/gijiroku.html
松田裕之
風力発電施設と自然環境保全に関する研究会
(第3回)議事録 2007.5.29 松田の発言
• 風力開発という技術は将来の投資であると思います。
今、採算が合うとか合わないとかいうのではなくて、風
力の利用というのは化石資源の枯渇に備えた国策な
のである。それを今民間企業がやっている
• 自然環境への配慮というのも国策であります。これを
全部民間企業に丸投げということでは、環境にやさし
く、しかも風力もつくるというふうにはなかなか進まな
いという現状があります。
• 民間企業に委託している以上、採算割れしない方策
というのをちゃんと国策として担保すべきだ
30
30
今日の内容
• 広い視野で総合的な環境政策を!
– いずれ無くなる化石資源
• オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
• マガンの衝突リスク
– 風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
• 透明性の高い環境保全策を!
– 風力発電は環境重視の優良事業
– 3.16横浜国大シンポの概要
• インセンティヴのある行政施策を!
– 国は事業者にできない長期総合調査を
– 生態系保全措置にも補助金を!
• 提案
2007/6/22
31
通常の事業
– 水面下で立地選定
– 事業計画公表
– 環境影響評価
– 操業開始
抽選は身も蓋もない
環境影響と採算性を
審査しよう!
• 風発事業
戦略影響評価
– 透明な計画評価
– 立地計画決定
– 操業開始
2007/6/22
– 立地ごとに事業者計画
– 抽選
– 2年限定の影響評価
– 操業開始
32
横浜国立大学21世紀COE第35回公開講演会
「生物・生態環境リスクマネジメント」
• 2007.3.16横浜国立大学
• 日本における風力資源エネルギーの可能性
• -環境への負荷,エネルギー源としての有効性
と将来性ならびに採算性を総合的に考慮した合
意形成にむけて-
• 共催:横浜国立大学21世紀COE「生物・生態環
境リスクマネジメント」・
科研費基盤研究C企画調査「生態リスク管理の
行政事例研究と管理手法の統合」
2007/6/22
33
2007.3.16横浜国大シンポジウムでの論点
自然保護のエンドポイント
•
•
•
•
•
•
•
個体群存続可能性の知識不足
個体群存続だけではない気持ちの問題
話し合うと反対が増える
単純な数理モデルでも管理可能
継続踏査が必要 衝突8羽の死後日数は?
風発に日本の鳥学者が無関心
景観の重要性(小さな風車がよいか?)
2007/6/22
34
ある鳥学者の発言
(3.16横浜国大シンポジウム)
• (猛禽類の)個体群の存続についてはそん
なに大きな問題ではないような気がします。
ただ、やっぱりメンタルな部分はすごく大事
になる【中略】。カラスがかわいそうという
人がいるわけですね。そんな人のことを
「あほか」と言うて、無視して進んでいくか
らいらんところで対立が起きてしまうんじゃ
ないかなあという印象があります。
2007/6/22
35
松田の発言 5.10環境省・エネ庁検討会
議事録
• オジロワシの剖見について、風発以
外の事例も提示頂きたい・・・風発だ
け衝突死を【記者発表して】大写しに
しているのは変だと思います。これは
多分、野鳥の会の方もそう仰ると思い
ます。すべて平等に【衝突死は】扱う
べきだと思います。
2007/6/22
36
2007.3.16横浜国大シンポジウムでの論点
風発の環境影響評価
•
•
•
•
•
•
•
•
H14年度までは方法書、準備書なし
1万kW以上しか評価対象でない
福島・兵庫・長崎などで評価条例化
自主評価では監修者がいない
計画段階での環境影響評価が必要(SEA)
合意形成の時宜(早めの相談は反対運動へ)
正直者の事業者ほど叩かれる
信頼に基づく内々の相談ができないか
2007/6/22
37
今日の内容
• 広い視野で総合的な環境政策を!
– いずれ無くなる化石資源
• オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
• マガンの衝突リスク
– 風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
• 透明性の高い環境保全策を!
– 風力発電は環境重視の優良事業
– 3.16横浜国大シンポの概要
• インセンティヴのある行政施策を!
– 国は事業者にできない長期総合調査を
– 生態系保全措置にも補助金を!
• 提案
2007/6/22
38
国は事業者にできない長期総合調査を
• 鳥衝突リスク評価には猛禽類などの全国
調査が必要 (増減すら不明確)
• 鳥の絶滅リスク評価に使える全国調査
データは環境省が集約・提供すべき
• 希少猛禽類や天然記念物も定量評価可能
2007/6/22
39
環境省生物多様性センターhttp://www.biodic.go.jp/reports2/6th/6_bird_species/
分布データは環境省が持っている?
A:繁殖確認
B:繁殖可能性
C:生息確認
ca1975
A+B=49,C=96
希少猛禽類の多くは非公開
生息・消失区画数は公開できるはず
2007/6/22
ca2000
A+B=49,C=131
新たな生息区画の多くは新発見
消失区画数を知りたい 40
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=5218
たくさんいるクマタカ
普通種と比較可能な
データを環境省は公
表していない
2007/6/22
過去との比較が重要
発見努力は増えているが
消失区画数を知りたい
クマタカを守れば、内地の殆どの森を守れる 41
民間をやる気にさせる行政施策を!
現状
• 事前に計画公表したところ
が攻撃される
• 正直にリスクがあるというと
叩かれる
• 事故死調査をやるほど発見
率が高く叩かれる
• 環境影響評価に時間をかけ
ると期限切れ
• 保全措置に予算をかけると
採算割れ
2007/6/22
私の提案
• 事前に合意形成努力した事
業者を評価しよう
• リスクは合理的に評価しよう
• 事故死を共同調査し、
• 風発以外の事故死も公表し
よう
• 操業までの期限延長も
• 試験的な保全措置に環境省
が補助金を
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丸山康司氏
市民風車の波及効果
白神ツアー・特産品の開発
2007/6/22
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今日の内容
• 広い視野で総合的な環境政策を!
– いずれ無くなる化石資源
• オジロワシ順応的リスク管理(AMUSE)
• マガンの衝突リスク
– 風力発電鳥衝突の順応的リスク管理(案)
• 透明性の高い環境保全策を!
– 風力発電は環境重視の優良事業
– 3.16横浜国大シンポの概要
• インセンティヴのある行政施策を!
– 国は事業者にできない長期総合調査を
– 生態系保全措置にも補助金を!
• 提案
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提案(1:数値目標)
• 地球温暖化対策(化石燃料の代替エネル
ギー開発)は環境政策の最優先事項
• RPS法の数値目標の達成が最優先事項
– さらに数値目標の上方修正も視野に入れる
– 対案を示した建設的議論が必要
• その実現に向けた、<500mスケールでの
Positive Map(風発立地適地)を作成する。
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提案(2:鳥衝突対策)
• 鳥衝突対策の目的は地域個体群の存続
• 個体群存続可能性解析のために有用な
データ・解析手法を政府等が必要に応じて
提供
• 継続調査により鳥個体群の存続への深刻
な影響が判明すれば、回避対策を立てる
• 鳥衝突回避にはモニタリングによる情報蓄
積が重要であり、その予算補助を検討す
る
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提案(3:合意形成)
• 省益を超えた広い視野に立った議論を
• エネ庁・環境省自然局・環境省地球局の3
者の連携が必要!
• 国立公園内では立地選定・計画段階から
の総合的な環境影響評価を(SEAの先例)
• 風発実現のため鳥衝突や景観保全ための
環境保全措置を奨励し、その補助金の予
算措置を検討する
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表8
結果の比較
詳細
鳥類死亡リ
スク
北海道苫前町全42基で年
風力発電設備 間124.8個体が死亡(
(バードスト 推定)
ライク)
全42基で99.4GWh
の年間発電量
1.26
(個体/G
Wh)
1000bbl流出あたり5
石油火力発電
90個体が死亡と仮定
(油流出事故
1GWhあたり0.047
)
2bblの油が流出
10278
(個体/G
Wh)
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表11 鳥類死亡リスクの環境リスク分類
各被害個体
への
リスク
バードストラ
イク
(風力発電)
非常に大き
い
明らか
油流出事故
(石油火発電
)
大きい~小
さい
明らか~分
かりづらい
気候変動
(石油火力発
電)
不明
分かりづら
い
影響範
囲
リスクが人
に
与える印象
対策の難度
非常に
局所的
小さい
(一般的に
)
ある程度まで
可能
局所的
非常に大き
い
ある程度まで
可能
非常に
広範囲
不安感
非常に難しい
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