瀬戸晥一 - 日本禁煙推進医師歯科医師連盟

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Transcript 瀬戸晥一 - 日本禁煙推進医師歯科医師連盟

脱タバコ社会の実現に向けて
-歯科医師の立場からー
瀬戸 晥一
日本学術会議会員
(社)日本口腔外科学会常任理事
鶴見大学歯学部学長
H20.2.10 横浜市開港記念館 於
私のタバコに対する信条
・ タバコに文化はなく、単なる嗜癖である。
・ 麻薬効果に対する依存と、小さな道義違反に対する甘え。
・ 社会が人間の弱点に依存している(財源)。
・ 脱タバコ社会実現に「愛情卒煙」がよい。
・ 同じ喫煙率に悩む韓国と脱タバコ推進共同戦略をとるべき。
日本学術会議の役割
我が国の科学者の内外に対する代表機関
・科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を
反映浸透させることを目的として、昭和24年1月、内閣総理大臣
の所轄の下、「特別機関」として設立。
・平成17年、大改革により210名の現会員が内閣府より指名。
・人文社会科学、生命科学、理学・工学3分野に別れて政府に
学術の立場から政策提言を行うべく、活動を開始している。
活動の4本柱
政府に対する
品格ある政策提言
国際的な活動
・部会
科学者間
ネットワークの構築
第一部
人文社会科学
第二部
生命科学
第三部
理学・工学
科学者の役割
についての世論啓発
日本学術会議:健康・生活科学委員会、歯学委員会合同
脱タバコ社会の実現分科会
大野竜三 委員長
瀬戸晥一 副委員長
大島明 幹事
田島和雄 幹事
この学術会議の分科会では最近「禁煙」を改めて「脱タバコ」に切り替えた。
ガムタバコの悪影響を考えてのことである。脱タバコ社会をめざして、学術会議は、
科学的には健康障害をおこすことが明らかであるたばこの害から国民を守るために、
禁煙社会実現最後進国の一つである日本において、科学者コミュニティを代表して
脱タバコ社会を実現する。その施策提言を目的とし、2006年6月発足以来毎月分科
会を開催して、各省庁のタバコ問題関連の実務責任者を招いて精力的な活動を展開
している。その第一弾として内閣府日本学術会議の敷地内禁煙を推進し、各省庁に
拡延する学術的根拠を明示していく方向である。
提言内容(作成中)
1)タバコの直接的・間接的健康障害につき尚一層の教育・啓発をする
2)喫煙率削減の数値目標の設定
3)職場・公共の場所での喫煙禁止
4)未成年者喫煙禁止法の遵守
5)タバコ自動販売機の設置を禁止しタバコ箱の警告文を簡潔かつ
目立つようにする
6)タバコ税を大幅に引き上げ、タバコ消費量を減少させ、タバコ税収の
増加をはかる
たばこ増税シミュレーション結果
・増税で価格が上昇することにより、確かにたばこ消費量は減るものの、最終
的には税収増が見込まれるという結果となった。さらにたばこ消費の減少はが
ん等の疾病を減少させるなど国全体の医療費の削減効果も見込まれている。
2005年12月2日
萱園 理 (かやその・おさむ)
韓国の喫煙率
年度別成人男女喫煙率推移(%) 韓国保健福祉部資料
・成人男性の喫煙率は、1980年の79.3%を基点に徐々に下降線を見せ、2003
年の56.7%で初めて50%台に進入した後、昨年末には52.3%が調査された。
福祉部はこのような喫煙率減少に対し、持続的なタバコ価格の引き上げと、禁煙クリ
ニックの拡大、禁煙広報教育強化などの禁煙政策が貢献したものと分析した。
・ 韓国は脱タバコ政策のなかでタバコ税に国民健康増進負担金を賦課しその資金
を国民健康増進基金として、大幅な脱タバコキャンペーンに利用して、大きな成果に
結びつけている。
(社)日本口腔外科学会・大韓口腔顎顔面口腔外科学会
脱タバコ推進合同事業
喫煙によりみられる口腔内の変化
○急性作用
粘膜への刺激による発赤
口内炎
白色浮腫
○慢性作用
歯周病
口臭
白板症
口腔がん
創傷治癒の遅延
歯肉の変色
歯科診療における禁煙指導の意義と特徴
・歯科患者は、医療機関を受診する患者のなかでもたばこ関連の
全身異常が認められない早期の段階で、医療従事者によるアプロ
ーチが可能となる集団である。
・歯科を受診する喫煙者には、口臭および歯や歯肉の着色といった
若年者に関係する話題がある一方で、口腔がん等の口腔粘膜およ
び歯周病とその後に続く歯の喪失などの話題があり、幅広い年齢
層に対するアプローチができる。
・インプラント(人工歯根)に対する予後因子にも喫煙は関与している。
舌 が ん
スリランカ噛みタバコ
NPO法人アジア対口腔がん協会(AFOC)調査
スリランカ、ラトナプーラ村におけるビンロウ噛みと口腔粘膜疾患の調査結果
ー1995年と1998年の結果の比較ー
1995 年度
検診者総数
ビンロウ噛みの習癖がある人 120名、 72% 習癖がない人47名、28%
167名
90 名、75%
タバコ+石灰を混ぜて噛む人
69 名、77%
ビンロウ噛み:1回あたり30分を1日13 回
の習癖
口腔粘膜疾患あり
1996, 1997年度
検診、
予防指導
1998年度
53名
タバコ+石灰を混ぜて噛む人
36名
ビンロウ噛み:1回あたり10分を1日4 回
の習癖に減少
-27名、-30%
口腔粘膜疾患あり
-36名、-25%
口腔がん3名
ガムたばこと健康に関する情報について
(厚生労働省ホームページより)
1、「ガムたばこ」は、形態として「かみたばこ」の一種
です。「かみたばこ」については、紙巻きたばこによ
る喫煙と同様に、さまざまな健康への悪影響や依存性
が指摘されています。
2、「ガムたばこ」は、形状がガム状であることから、小児にお
ける誤飲など一般のチューイングガム等との誤認による摂取、
未成年者の使用、禁煙補助剤との誤解等が懸念されます。
3、「ガムたばこ」は噛んだ後に、紙などに包み、
小児の手の届かない所に捨てるなど、使用者は
他者が再摂取することの無いように注意することが必要です。
欧州無煙タバコ協が喫煙対策で初シンポ
欧州無煙タバコ協議会(=ESToC、トーマス・ハマーグレン会長)は13日、スウェーデン大使館にお
いて第1回喫煙対策シンポジウムを開催した。紙巻タバコに比べて健康為害性が少ないとされる無煙
タバコを選択することが喫煙対策のひとつの方法としてあり得るかという問いかけについて、その是
正を論じるもの。
その中で、ブラッド・ロデゥ氏(米・ルイビル大学医学部教授、同大タバコ為害性低減調査会名誉
座長)は基調講演で無煙タバコによる為害性低減効果に関する研究成果を報告。続いて、仙石慎太
郎氏(東京大学大学院薬学系研究科講師)が特別講演で、無煙タバコにかかわる臨床疫学調査、研
究の可能性について示唆した。同シンポジウムには、医療、タバコ産業関係者など75人が参加した。
無煙タバコは、これまで禁煙活動と事実上同義であった喫煙対策の中に、新たな可能性を示すも
のとして、近年、欧州のタバコ産業関係者、公衆衛生担当者から注目されている。
日本歯科新聞 9月18日 火曜
*スウエーデンの報告では、安全なたばこ製品と
うたっているが、実際は発がん物質を含む
鶴見大学学生における喫煙の実態調査
学生全体の平均喫煙率は、16.8%(有効回答3393)
歯学部学生の喫煙率は、25.6%
高学年になるにつれ高くなる傾向がある
(2007 佐々木ら)
医療人の教育として禁煙指導の必要性!!
6年間かけて様々な角度から愛情卒煙を行う
鶴見大学教職員における喫煙の実態調査
(2006年)
回答なし
0.4%
非喫煙者
77.8%
男性・女性の合計で
喫煙男性
16.6%
喫煙女性
5.1%
短期大学部
3.4%
文学部
5.5%
全体の21.7%が喫煙
平成16年国民健康・栄養調査(厚労省
図書館
0.7% 回答なし
21.4%
0.7%
歯学部
40.7%
事務部
15.2%
附属病院
33.8%
鶴見大学の取り組み
・平成16年5月 鶴見大学卒煙外来開設 建物内禁煙
・平成18年4月 NPO法人 アジア対口腔がん協会(AFOC)により
本学学生にニコチンパッチの無料提供を開始
しかしながら、医療人として患者に卒煙を勧める立場であるのに
最近まで は意識が薄かった。
・平成19年 5月 「全学愛情卒煙会議」発足(職員だけでなく学生代表も参加)
第2回会議にて以下を議決
1.歯学部敷地内全面禁煙を即時実施
2.平成20年10月1日より全学敷地内禁煙
日本では脱タバコをめざして今何をするべきか
1.世論を盛り上げ政府を動かす。
2.そのためには
・各コミュニティーのキーパーソンの意識改革を行う。
・青少年に焦点をあて、脱タバコを推進する。
3.敷地内禁煙から地域脱タバコに発展させる段階で、愛情卒煙を
平行して実行する。
医療技術評価提案書
技術名
技術の概要
対象疾患名
脱ニコチン指導管理料もしくは脱たばこ指導管理料
喫煙や噛みたばこなどニコチンは粘膜から吸収されやすく、ニコチン毒性は歯
科口腔領域では口腔がん、歯周病(喫煙関連歯周病)、口腔粘膜病変などの発
症要因として重要視され、歯周病、歯肉退縮、齲蝕の治癒遅延が指摘されてい
る。歯科においては治療効率の向上および疾患増悪予防の観点から、患者のニ
コチン依存の実態を把握し、同意を得た上で脱たばこ脱ニコチンを積極的に指
導管理を推し進める。
喫煙や噛みたばことの関連が疑われる喫煙者で、口腔がん、前がん病変、萎縮
性乾燥性粘膜病変、歯周病などの治療に対し、スクリーニングテスト(TD
S)等によりニコチン依存症であると診断され、脱ニコチン、脱たばこ指導管
理に同意した患者。
保険収載の必要性のポイント:口腔疾患とニコチン毒性の関連は明らかにされており、口腔疾患の予防、増悪防止、治療
からも積極的に取り組む必要がある。タクシーを含め禁煙ゾーンの拡大が図られる中、医療人を含めて医療環境から脱た
ばこ脱ニコチンを推進すべきで、医科においては導入が始まっている。歯科における保険収載が、脱たばこ、脱ニコチン
環境つくりの起爆剤となり、ひいては健康日本21や健康増進法に寄与するものと断言できる。
【評価項目】
医科導入時に確認済み
日本循環器学会、日本肺癌学会及び日本癌学会により作成した「禁煙治療のた
①有効性
めの標準手順書」により運用されている。また、日本学術会議、日本歯学系学
・治癒率・死亡率・QOLの改善等
・ 学 会 の ガ イ ド ラ イ ン 等 会連絡協議会はじめ多くの禁煙推進団体からエビデンスが出されている。
エビデンスレベル:
I II III IV V VI
・エビデンスレベルの明確化
②安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
③普及性
・対象患者数
・年間実施回数等
脱たばこ、脱ニコチンにおける危険度はない。
ニコチン使用による脱ニコチン治療で若干の副作用が見られるが、最近では非
ニコチン薬が申請されている。
約60,000/年
歯科外来を受診したニコチン依存症の患者に対して治療を行う。
日本口腔外科学会、日本歯周病学会専門医の施設約500×週3人×40