⑥ 傷病補償・ 治ゆ認定・障害補償

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傷病補償・治ゆ認定・障害補償
地方公務員災害補償基金富山県支部
平成22年7月23日
1 傷病補償とは
 職員が公務又は通勤により負傷し、又は疾病
にかかり、その療養の開始後1年6か月を経
過しても治らず、その障害の程度が施行規則
別表第2に定める第1級から第3級までの傷
病等級に該当する場合には、その状態が継
続している間、基金が職権によりその障害の
程度に応じて年金を支給する。
傷病等級の原則
① 治っていない(未だ療養継続中)
② 移行日(療養開始後1年6か月経過日)又は
移行日以降
③ 就労できない状態
傷病等級第1級から第3級に該当するか否か
を検討する。
療養の現状等に関する報告
療養の開始後1年6か月を経過した日におい
て当該傷病が治っていない者は、同日後1か
月以内に、傷病の種類、現状及び今後の見込
み等を記載した報告書を任命権者を経由して
支部長に提出します。なお、傷病の種類、現
状及び今後の見込みについては、医師の証
明を受ける必要があります。
2 治ゆとは
「治ったとき」とは
身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復し
た状態のみをいうものではなく、傷病の症状が安定し、
医学上一般に認められた医療を行っても、その医療
効果が期待できなくなった状態をいい、この状態を
「治ゆ」(症状固定)といいます。
したがって、「傷病の症状が、投薬・理学療法等の治
療により一時的な回復がみられるにすぎない場合」な
ど症状が残存している場合であっても、医療効果が
期待できないと判断される場合には、災害補償では
「治ゆ」(症状固定)と判断し、療養補償給付をしない
こととなっています。
「医学上一般に認められた医療」とは、
労災保険(地公災も同様)の療養の範囲(基
本的には健康保険に準拠)として認められた
ものをいいます。
「医療効果が期待できなくなった状態」とは、
その傷病の症状の回復・改善が期待できなく
なった状態をいいます。
対症療法とは
対症療法とは、表面的な症状の消失あるいは
緩和を主目的とする治療法をさす。
症状の原因となる疾患そのものを制御する治
療は「原因療法」(積極的療法)といい、対症
療法の対となる概念である。
対症療法は災害補償制度の「療養」ではない
「治ゆ」(症状固定)事例
<例1>
切創若しくは割創の創面がゆ合した場合又は骨折で骨ゆ合した場
合であって、たとえ疼痛などの症状が残っていても、その症状が
安定した状態になり、その後療養を継続しても改善が期待できなく
なったとき。
<例2>
骨ゆ合後の機能回復療法として理学療法を行っている場合に、治
療施行時には運動障害がある程度改善されるが、数日経過する
と、元の状態に戻るという経過が一定期間にわたってみられるとき。
「再発」とは
 傷病が一旦症状固定と認められた後において、再び
発症し、次のいずれの要件も満たす場合には「再発」
として再び療養補償を受けることができます。
(1)その症状の悪化が当初の公務上又は通勤による傷
病と相当因果関係があると認められること
(2)症状固定の時の状態からみて明らかに症状が悪化
していること
(3)療養を行えば、その症状の改善が期待できると医学
的に認められること
3 障害補償とは
 障害補償とは、傷病が「治ゆ」(症状固定)と認められたときに疼
痛・知覚異常や運動麻痺などの神経症状、器質的障害、機能障
害等の障害が残ることがあるが、これらの障害が障害等級表に掲
げられている障害に該当すると認められる場合に、その程度に応
じて支給される現金給付をいう。
給付の方法としては、年金給付と一時金給付の2通りあり、障害の
程度が重いとき(第1級~第7級)には年金が、障害の程度が軽い
とき(第8級~第14級)には一時金が、それぞれ障害の程度(労
働能力の喪失の程度)に応じて支給される。
障害補償の種類
・ 障害補償年金
第1級~第7級(年金として支給)
・ 障害補償一時金
第8級~第14級(1回限りの支給)
・ 施行規則別表第3には140種あまりの等級
が列挙されている。
併合
 系列を異にする2つ以上の障害を残した場合に行われる。
第6級(年金)と第10級(一時金)の2つの障害があっても年金と一
時金の双方を受給することはできないので、1つの等級に決定す
る。
① 第13級以上の障害が2つ以上ある場合 1級上位の等級に繰上
げ
② 第8級以上の障害が2つ以上ある場合 2級上位の等級に繰上げ
③ 第5級以上の障害が2つ以上ある場合 3級上位の等級に繰上げ
障害補償認定事例1
傷病名:左肘内側側副靱帯損傷
主訴:左肘関節の伸展制限
検査結果:可動域制限
肘関節の屈曲・伸展の可動域が患側80、健側120で、患側は
健側の4分の3に制限されている。
障害等級:第12級第6号
左肘関節の屈曲・伸展運動可能領域が健側(右側)の運動可能
領域の4分の3以下に制限されていることから、関節の機能に
障害を残すものと認められ、「1上肢の3大関節中(肩・肘・手)
の1関節の機能に障害を残すもの」に該当する。
障害補償認定事例2
傷病名:右正中神経損傷
主訴:右正中神経領域のしびれ、疼痛
検査結果:右正中神経領域の知覚低下
具体的な筋力測定は不能だが、同部位の知覚低下がみられる。
障害等級:第14級第9号
神経損傷により、重い物を持つなどの動作時に右手指先から右肘の
範囲に、指先での細かい作業時には指先から手首の範囲に、疼痛が
生じる。
また、右手指先から右手首にかけて常時しびれを残しており、疼痛及
びしびれの生じる範囲が正中神経支配域(母指、示指、中指、薬指の
一部から手首)をほぼ網羅することから、「広い」と認められ、「局部に
神経症状を残すもの」に該当。