顎口腔領域の心身症 - Shiketai of Legend --

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顎口腔領域の心身症
「頭痛の人の1/4はうつ病」(2002)
・ 精神疾患簡易構造化面接法(MINI)
・ 慢性頭痛(1ヶ月以上)
→138人中26人はうつ
・ 「自殺の危険」・・・頭痛患者の14%
心理的な要因で起こる主な症状
舌がヒリヒリする
口が乾燥する
あごが痛い
入れ歯かあるいは
詰め物が合わない
虫歯が無いのに
歯が痛い
自臭症
顎口腔領域の痛み
1) 侵害受容性疼痛
2) 神経因性疼痛
3) 心因性疼痛
心因性疼痛のclinical feature
1.痛みと関連する器質的な病変がない
2.痛みの発言と関連した心理的要因が明らかである
3.痛みの訴えが誇張的で比喩的で執拗である
4.状況によって痛みの程度が変わりやすい
5.経過により痛みの部位も変わりやすい(同時多発性)
6.局在的に乏しいものが多く、安静時でも運動時でも
変わらない、痛みが移動しやすい
7.痛み以外の不安定愁訴を伴っている
8.鎮痛剤、理学療法の効果が乏しい
9.自己洞察が困難である
慢性疼痛の診断
1.心理的要因が、病因として関与していることを
診断基準に加えるか
2.うつ病や統合失調症に伴う痛みの診断
3.患者が呈する社会機能障害や
合併する精神症状や性格面を
診断基準に加えるか
4.心理的要因が関与する急性疼痛の位置付け
心因性疼痛の発生機序
1.暗示効果
2.注意の集中
3.心身交互作用
4.同一視
5.攻撃性の内政
6.自己罰
7.二次的疾患利得
8.回避
慢性疼痛急性期
慢性疼痛慢性期
器質的
心因的
機能的
機能的
心因的
器質的
慢性化するほど
心因的な要素が
大きくなる
慢性疼痛の治療体系
口腔内に見られる諸症状の改善
(機械的刺激、異種金属の除去、口腔乾燥の改善)
全身的な疾患や状態の改善
(貧血、糖尿病)
薬物療法
(向精神薬、鉄剤、唾液腺ホルモン、その他)
心身的医学的治療
(面接、自律訓練法、行動療法)
口腔の各種疼痛
1.歯性疼痛ー歯痛をはじめと歯性顔面痛など
2.不定愁訴ーーー舌痛症や心因性疼痛など
3.特殊な痛みーーーーーーー癌性疼痛など
4.境域疾患の痛みーーーーー鼻性歯痛など
5.最も一般的で頻度の高い痛み
ーーーー炎症性疼痛など
神経血管性疼痛
1.頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛)
2.狭心症
① 胃痛
② 歯痛
③ 咽頭痛
④ 左手
放散痛
歯科口腔外科領域の心身症
1.舌痛症
2.味覚異常(Zn?不足)
3.非定型顔面痛⇔慢性歯痛
4.顎関節症
5.口腔乾燥症
6.口臭症(自臭症)
7.義歯不適応症
8.補綴後神経症
口腔心身症の増加の背景
1. 複雑な人間社会
(ストレス、格差社会)
2. 高齢化社会
3. 医療知識・情報の散乱
(マスメディア)
4. 医療側の対応
歯科心身症患者の特徴
1.自分の病態をほとんどの方が、心理的な
要因で起きている事象とは考えていない
2.不信感(攻撃的)
3.病院を替える
(あるいは医師を次々と替える)
4.マスコミに弱い
5.女性
歯科心身症患者はきらわれもの?
① 診療時間が長い → 経済効果なし
② 病態が不確か
③ 「一般的には治癒しない!」
と考えられている
④ 訴訟
⑤ 患者側自身の問題
舌痛症(口腔灼熱感症候群)
1.中高年の女性
2.舌がピリピリ痛む(しびれ感、違和感)
3.舌尖部・舌側縁部に多い
4.咽頭神経症を併発
舌痛症になったきっかけ
(誘因・増強因子)
1.歯科受診の既往
2.医療側・医源性の因子
3.社会的環境(転職、介護、夫婦関係など)
4.睡眠不足(疲労)
5.マスメディアよりの情報
6.近親者の舌癌
7.舌を鏡で診ること
慢性疼痛症としての舌痛症の
患者心理と対応
Ⅰ 舌の環境を見直す
Ⅱ 筋骨格系の中で舌の役割と痛みの発現
Ⅲ 供覧症例を考慮する
①疼痛症状の多様化 ③舌の緊張
②舌の緊張(筋)
④心理的負荷
Ⅳ 治療法の新しい展開
舌痛症における好ましくない加療
歯科領域
1.医師の不適切な発言、不誠実な態度
2.歯牙の削合
3.スケーリング
4.鎮痛剤の投与
医科領域
1.H2ブロッカーをはじめとする抗潰瘍薬投与
胃カメラ
共通
1.ステロイド軟膏の長期投与
2.神経科・心療内科への丸投げ
舌痛症治療の実際
1.薬物療法
抗うつ剤>緩和精神安定剤
漢方薬(舌診)
2.CO2レーザー
3.簡易精神療法
(精神科・心療内科とのリエゾン)
症状評価
身体愁訴の評価
VAS (Pain) →VNS (Verbal Numerical Scale)
0にはならないことは説明
1or2のレベルで日常生活に支障のない程度に
改善する (患者様の満足度)
舌痛症治療のまとめ
1.種々の患者の病状を把握し、共感する
(ラポールの確立)
2.カウンセリングを施行し、個々に適した
治療を行う
3.西洋医学を東洋医学の特性を活かす
簡易精神療法
1.傾聴
2.受容
3.共感
4.尊重
漢方薬の使い方
基本方針
選択は困難
証、生薬
舌診
コツ
脈診
効果は2週間以内で判定
新薬で急性症状を取り除き、漢方でobs
舌痛症に対するラフチジンの効果
R
(プロテカジン )
1.舌の血流の改善
2.舌の知覚神経を鈍麻
口腔内灼熱症候群
(英国:clinical evidence2002~2003)
・
・
・
・
閉経期の女性の有病率は18~33%
ビタミンB欠乏症が多い
認知行動療法は有効(スウェーデン)
抗うつ剤の有効性については
不十分なエビデンス
(三環系、四環系抗うつ剤)
歯科心身症患者の
精神科・心療内科への紹介方法
1.実は、受診率20%以下
2.リエゾンの有効性
3.充分粘り強い説明と同意(時期)
4.身体医と精神科医との考え方
リエゾン(口腔外科外来での診療)
◎精神科医からの要望
(必ず口腔外科医と共同治療)
「痛みに見合うだけの身体病変の有無」
↓
慢性疼痛の診断には重要
・信頼できる精神科医との連携
舌痛症患者の悪化
1.ドクターショッピング(さまよえる患者)
2.精神病への進展
3.自傷行為(自殺)
歯科口腔外科で限界
・ 基本的に口腔内に限局している
(他の身体反応性病変がない)
↓
・軽症なうつ状態
・仮面うつ など
質問:心理テストを行っていますか?
回答なし 原則実施
11
100
未実施
55
特定患者
のみ実施
25
質問:その心理テスト名は?
CMI
17
STCL SCL
2
Y-G
13
LOI
2
SDS
12
INV
2
STAI
6
HADS
2
SRQ-D
5
ECL
1
MMPI
4
GHQ60
1
MAS
4
HAM-D
1
TEG SGE
4
P-Fstudy
1
NCI
3
TCI
1
KMI
3
バームテスト
1
POMS
3
BDI
2
合 計
87
質問:貴施設で行っている心理療法
に○をつけてください
一般心理療法
55
認知行動療法
24
自律訓練法
16
森田療法
6
交流分析
5
1
催眠療法
その他
3
0
10
20
30
40
50
60
質問:薬物療法で主に処方している薬剤に
○をつけてください
薬物療法YES:81件
A 抗うつ薬
パキ シル
47
トレド ミン
23
ル ボッ ク ス
17
トリプ タノ ー ル
13
デ プロ メー ル
11
トフ ラ ニ ー ル
11
ル ジ オミー ル
9
アモキ サン
5
ノ リトレン
1
その 他
*アナフラニール
1*
0
10
20
30
40
50
60
質問:薬物療法で主に処方している薬剤に
○をつけてください
B 抗不安薬
薬物療法YES:81件
58
デパス
38
メイラックス
21
リーゼ
19
ソラナックス
13
ワイパックス
12
セディール
6
レキソタン
8*
その他
0
10
20
30
40
50
60
*レスタス2、セルシン2、コンスタン2、セパゾン1、コレミナール1
質問:薬物療法で主に処方している薬剤に
○をつけてください
C 漢方製剤・その他
薬物療法YES:81件
漢方製剤
28
ドグマチール
37
テグレトール
28
その他
3
0
*
10
20
30
40
50
60
*アキネトン1、リオレサール1、セファランチン1
症例供覧
1.精神医学の理論で理解しやすい症例
・軽症うつ病
2.心気傾向の強い症例
・不定愁訴
3.症例利得の関与の疑われる症例
4.心身症的機序が関与している症例
5.薬物依存の傾向がみられる症例
医原性の問題の関与が疑われる症例
a 「身体的病変を徹底的に治す」という治療が
無効であった症例
b 科学性(EBM)が問われる症例
・神経ブロック
・健康食品など
c 過去の治療におけるICが問題となる症例
非定型歯痛(非定型顔面痛)
顎顔面部(口腔)に器質的疾患がないのに
かかわらず、疼痛(鈍痛)が不定期に継続する
慢性疼痛性障害
症例
年齢、性別 : 59歳、男性
既往歴
家族歴
特記すべき事項なし
主訴 : 右上顎~顔面にかけての持続鈍痛の
約3年間継続
治療経過 : 約3年間の間、歯痛、口腔外科
耳鼻科、内科、脳外科、神経内科
で各検査(MRI、Angio、CTなど)
施行するも原因不明(診断は三叉
神経痛)。
R
鎮痛剤、カルバマゼピン( テグレ
トール)など投与するも効果なし。
ある著明な脳外科医に手術をす
すめられるもセカンドオピニオンを
求めて当科初診。
診断 : 慢性疼痛性障害
非定型顔面痛(歯痛)
治療 : 1)ドグマチール(50g)2T
パキシル(20g)2T
結果 : 2週間で軽快
朝・夕
14T
口腔顔面痛の治療
1.トリガーポイント注射
2.光線療法
・Co2ガスレーザー
・直線偏光赤外線照射
3.低周波治療器
皮膚に注射をする場合
精神科並びに心療内科医からの
アドバイス
・ 1年以上続く慢性疼痛の症例は抑うつ状態
・ 副作用が少なく抗うつ効果及び鎮痛効果も
期待できる薬剤が理想(SSRI)
↓
舌痛症、非定型顔面痛、カウザルギーなど
(デパスは?)
歯科心身症患者の薬物療法の基本
第1選択
抗うつ剤 ≧ 緩和精神安定剤
(マイナートランキライザー)
身体表現性障害
気分変調性障害
SSRIは有効
軽快うつ
(仮面うつ)
抗うつ薬は鎮痛薬?
1.持続性の痛みに有効
2.人体に備わっている疼痛抑制系の活動を
活発にするセロトニンとノルアドレナリンの
再吸収阻害により下行性抑制系の賦活
作用
・三環系抗うつ薬
・SSRI、SNRIへ
3.帯状疱疹後の神経因性疼痛治療薬
治療方法
① 薬物に頼らない
② 納得するまで説明
③ 簡易精神療法
・受容 ・支持 ・保証
④ 社会的背景と洞察(高齢化社会)
ストレスに弱い現代人
視床下部
扁桃体
海馬
原因
帯状回
ホルモン
自律N
① Mg不足
② 筋紡錘の刺激が少ない
(顎の弱さ、柔らかい食事)
増加する口腔心身症患者に対して
1.日本口腔外科学会における専門部会
2.大学での講義→心療歯科学
(口腔内科学→欧米)
3.専門外来の開設
(心療歯科センター)
京都大学医学部付属病院・口腔外科
口腔難治性疾患外来の開設
2008年4月1日より(第1.3.5火曜日)
担当医 (非常勤講師 堀)
口腔難治性疾患外来での実際
1.舌痛症
2.非定型顔面痛(舌痛)
3.口腔異常感症
難治性
患者さんの心が視えますか?
話を聞いてもらいたい
治療?
患者救済
口腔心身症にて
近年増加傾向にあるもの(代表例)
1.舌痛症
2.顎関節症
3.口臭症 (目臭症)
4.口腔異常感症
5.心因性の味覚障害
口腔心身症患者は嫌われ者?
1.診察時間の長さ→経済効果がすくない
2.病態が不確か→心療内科・精神科への
丸投げ
3.患者側の問題→訴訟
医源性?
診断 : 慢性疼痛性障害
非定型顔面痛(歯痛)
治療 : Rp
1)ドグマチール(50g)2T
パキシル(20g)2T
結果 : 2週間で軽快
朝・夕
14T
非定型口腔痛(Atypical oral pain)
原因不明の口腔内の疼痛
舌痛症の発症過程
狭心症の放散