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日本の森林の生物多様性の変化を評価する
~Japanese Living Planet Indexの開発~
森林総合研究所
岡部貴美子
2009.5.8 JBONワークショップ
森林総合研究所運営交付金プロジェクト(2008~2010)
生物多様性条約2010年目標達成評価のための
森林リビングプラネットインデックス開発に関する研究
実施課題1
リビングプラネットインデックスの開発
自然・社会的変化要因の解明
実施課題2
立地要因の解明
生物多様性変化の
指標開発と要因の解明
COP10
国際シンポジウム
目標達成評価
新規目標
森林の生物多様性管理手法
Japanese Forest Biodiversity
研究課題として
• 近年の生物多様性の時間的変化の解明
• 現在の生物多様性の空間的変化(変異性)
の決定要因の解明
– 生物多様性の時間的な変化を全国規模で追跡し
ているデータの探索
– 近年の生物多様性の変化を明らかにする
– 変化をもたらしている要因を考察
– 生物多様性(種数)の決定要因を明らかにする
– 現在の生物多様性の状態と未来の生物多様性
の行く末を考察
– 全国規模での生物多様性の保全へ示唆
リビングプラネットインデックス
All vertebrate species
(Living Planet Index
after Global Biodiversity Outlook 2 (2006)
1998年版のLPI
世界のForest coverの量的変化を記述
①Forest ecosystems indexからterrestrial speciesに
②Freshwater, Marine ecosystemsと同様に、脊椎動物の
種数でIndexを作成
リビングプラネットインデックスの作り方
LPI
Biome 1
(terrestrial)
Realm 1
Species 1
Population 1
Population 2
Biome 2
(freshwater)
Realm 2
Species 2
Biome 3
(marine)
Realm 3
Species 3
Population 3 個体群のサイズ、密度、バイオマスなど
リビングプラネットインデックスを作るには
①個体群に関する情報が必要
(個体群サイズ、密度、バイオマス、巣の数….)
②個体群について最低2時期のデータが必要
(各個体群の調査時期がずれる場合は、ある程度
補正可能)
Loh et al. (2005) Phil. Trans. R. Soc. B.
日本の森林性物モニタリングデータ
1.全国を網羅する(メッシュ)データの利用
自然環境保全基礎調査(環境省)
絶滅種数情報(レッドデータブックなど)
全国森林資源調査(林野庁)
森林資源モニタリング(林野庁)
国家森林データベース(林野庁)
国土変遷アーカイブ(国土地理院)
2.ローカルデータの利用
モニタリングサイト1000(環境省)
JaLTER(大学)
森林動態データベース(森林総研)
野鳥のバンディングデータ(環境省)
研究者の個人情報
アマチュア愛好家の個人情報
△
×
×
×
×
×
玉石混淆
1回分のコメント
紙データ・手法
1999年から1回
非公開
資金不足
×
×
△
?
△
?
2003年から
利用可能ではない
地点数が少ない
検討中
網羅できない
検討中
調べてみると・・・
• 植生、中・大型哺乳類、鳥類
– 何とかなりそう・・・系統的に採取された2時期以
上のデータが整備されている
• それ以外の分類群
– 困難・・・データが散発的、サンプリング方法が異
なるために比較ができない
(抜粋)・・・依然として情報の空白地域や最近の情報のない地
域が残る・・・(第5回昆虫[甲虫]類)
(抜粋)・・・しかしながら、ガ類においては依然として情報の空
白地域や情報量の少ない地域が残る・・・(第5回昆虫[ガ]類)
9
中・大型ほ乳類、鳥類
• 過去2回、全国規模で系統的に調査
• 第2回(1970代後半)、第6回(1990年代後
半)
– 中・大型ほ乳類:アンケート調査、聞き取り調査
• 9種:ニホンジカ、カモシカ、ニホンザル、ツキノワグマ、
ヒグマ、イノシシ、キツネ、タヌキ、アナグマ
• 確認された5 ×5 kmメッシュ(5倍地域メッシュ)数
– 鳥類:ラインセンサス、アンケート調査
• 140種
• 確認された20×20 kmメッシュ数
10
日本版 living planet index (LPI)
• 生物多様性の時間的な変化を表現するための
単純な指標 (Loh et al 2005 Phil Trans R Soc B 360:289)
• 複数種から構成されるグループの個体群サイズ
の平均変化率を表現
• 多様な計測値を取りうる:今回は確認メッシュ数
d = log10 (Nsixth / Nsecond)
D = (1 / n) * Sd
I = 1 * 10D
信頼区間はブートストラップ法
11
森林性哺乳類・鳥類の分布の変化
• 森林の変遷を踏まえた研究仮説
– 日本:1970年代以降、林業は停滞
• 伐採地(遷移初期地)は減少
• 成熟林は増加
2 ,5 0 0 ,0 0 0
2 ,5 0 0 ,0 0 0
伐採面積
人工林蓄積
2 ,0 0 0 ,0 0 0
2 ,0 0 0 ,0 0 0
天然林蓄積
1 ,5 0 0 ,0 0 0
材積(1 0 0 0 m3 )
面積(ha)
若い人工林(5 年生以下)
若い天然林(1 0 年生以下)
1 ,0 0 0 ,0 0 0
5 0 0 ,0 0 0
1 ,5 0 0 ,0 0 0
1 ,0 0 0 ,0 0 0
5 0 0 ,0 0 0
0
1930
1940
1950
1960
1970
1980
1990
2000
0
1960
1970
1980
遷移初期種→減少、成熟林種→増加?
1990
2000
12
森林性鳥類の分布の変化
• 森林の変遷を踏まえた研究仮説
– 日本の夏鳥の多くが越冬する東南アジアの森林
は大きく減少している
• 1990~2000年に日本の森林面積に相当する森林
(11%)が消失
成熟林種のうち・・・
夏鳥→減少、漂鳥・留鳥→増加?
13
結果 -中・大型哺乳類-
• ほとんどすべての種がメッシュ数増加
• 予測・・・一部支持、一部不支持
2
リ
ビ
ン 1.5
グ
プ
ラ
ネ
1
ッ
ト
イ
ン
デ
ッ 0.5
ク
ス
増加
変化なし
減少
0
全種
成熟林種
若齢林種
14
結果 -鳥類-
• グループによって変化率は異なった
• 予測・・・おおよそ支持
2
リ
ビ
ン 1.5
グ
プ
ラ
ネ
1
ッ
ト
イ
ン
デ
ッ 0.5
ク
ス
増加
変化なし
減少
0
15
考察
• 鳥類では予測支持
– 森林の成熟は、遷移初期種を減少させ、成熟林
種を増加させてきただろう
– 東南アジアの森林減少は、夏鳥を減少させてき
ただろう
(Yamaura et al. 2009 Anim Conserv)
• 哺乳類は一般に増加し、予測は部分的に支
持されなかった
– 哺乳類の増減は、生息地の増減よりも、狩猟者
数の急減などによって決定されているだろう
16
次にできそうなこと→ローカルデータの解析
①ローカルなまま解析
②多地点データの集約
岩手大学演習林
1989年研究者によ
るカミキリとキクイ
ムシの詳細な調査
2008年に再調査
同じ手法を用いて異なる地域
で行われた調査データを集約
する
モニタリング事業の結果(データ)は期待できるか?
林野庁・森林資源モニタリング
調査プロット
0.1ha
全国土に4kmメッシュを想定
交点が森林なら調査
対象:15,769点
スケジュール:5年で全国一巡
生物情報として:
林分構成、施業履歴、立木調査、
伐根調査、倒木調査、下層植性調査
森林には、
持続可能な森林管理のための基準と指標
モントリオールプロセス
基準1.生物多様性の保全
指標1.1生態系の多様性
1.1.a 森林タイプごとの面積
1.1.b 齢級・遷移段階ごとの面積
1.1.c 分断度合い
指標1.2種の多様性
1.2.a 森林に自生する種の数
1.2.b 絶滅危惧や稀少種
1.2.c 種の保全への取組み
指標1.3遺伝的多様性
1.3.a 遺伝的損失の危機にある種
1.3.b 集団のレベル
1.3.c 生息域外での保全
事務局:林野庁
モニタリングをして
5年ごとに国別レポートを発表
森林の生物多様性変化のパラメータ
森林タイプ
林齢
スギ人工林
広葉樹二次林
Number of species
昆
虫
の
種
数
成熟林
Stand age
植
物
の
種
数
下層植生
木本
(多変量解析による)
林齢
森林の生物多様性の
変動解析・変化予測ために

国レベルのモニタリングのために
簡便さが重要
―解析可能でシンプルな指標を用いる
―労力(人、資金、時間)を極力抑える
―人の能力によらない手法が望ましい

研究~科学的な解析のために
協力体制が重要
―長期変化の解析が可能な正確なデータ
―全国評価を可能にするための情報交換
―安定的資金の確保