Transcript 院入試プレゼン 〃文
オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ
品種の育成と栽培法に関する研究
および
RFLP解析を用いたビールオオムギの主
要農業形質のQTLマップ(遺伝子座地図)
の作成に関する研究
五月女 敏範
1)-1 オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ品種
「タカホゴールデン」の育成
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ
極高品質,多収ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
2) オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ「タカホゴールデン」
の高品質栽培法の確立
3) RFLP解析を用いたビールオオムギの主要農業形質の
QTLマップ(遺伝子座地図)の作成
1)-1 オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ品種「タカホゴールデン」の育成
【背景】
BaYMVによって引き起こされるオ
オムギ縞萎縮病は最も重要な病害.
◎
②
あまぎ二条(1978)
麦
芽 45
評
点
ミサトゴールデン(1985)
35
①
25
35
40
整粒重 (kg/a)
ル
デ
ン
あ
ま
ぎ
二
条
は
る
な
二
条
写真 オオムギ縞萎縮病汚染ほ場における生育状況
❹
ニューゴールデン(1965)
ミ
サ
ト
ゴ
ー
55
ミカモゴールデン(1987)
③ はるな二条(1978)
❺
45
図 収量(整粒重)と品質(麦芽評点)の変遷
同病抵抗性品種のミサト
ゴールデンは醸造品質が
劣っている.
同抵抗性品種ミカモゴール
デンは,耐倒伏性が劣り,
整粒歩合が低く低収で,ウ
ドンコ病にも極めて弱い.
1)-1 オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ品種「タカホゴールデン」の育成
【系譜図】
M ona
F1
大系R2068
新田二条1号
タカホゴールデン
(
後のはるな二条)
栃系144
(
後のミサトゴールデン)
注)下線はウドンコ病抵抗性,
はオオムギ縞萎縮病抵抗性を示す.
オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子は,木石港3の由来のYm (
現rym 5 )
.
表 両親ならびにタカホゴールデンの主要な品種特性
(母)大系R2068
出穂期
成熟期
早
(父)栃系144
早
極強
やや弱
強
中
タカホゴールデン
早
極強
極強
強
やや多
縞萎縮病
ウドンコ病
耐倒伏性
麦芽エキス
やや弱
極強
中
多
1)-1 オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ品種「タカホゴールデン」の育成
表 タカホゴールデン及び主要品種の主な特性
縞萎縮病抵抗性
うどんこ病抵抗性
成熟期
耐倒伏性
千粒重
整粒歩合
収量性
麦芽エキス
ジアスターゼ力
タカホ
ゴールデン
はるな
二条
極強
極強
早
強
やや大
やや多
多
やや多
やや大
やや弱
やや弱
早
中
中
中
中
多
大
ミサト
ミカモ
ゴールデン ゴールデン
極強
やや弱
早
強
やや大
中
多
中
やや小
極強
弱
早
中
中
やや少
中
多
大
1)-1 オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ品種「タカホゴールデン」の育成
耐倒伏性
極強
強
麦芽評点
縞萎縮病
強
60
中
弱
弱
50
強
ジアスターゼ力
160
極強
うどんこ病
140
30
80
80
82
90
麦芽エキス 84
タカホゴールデン
40
あまぎ二条
50
整粒重
100
整粒歩合
図 タカホゴールデン及び主要品種の諸特性
はるな二条
ミサトゴールデン
ミカモゴールデン
1)-1 オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ品種「タカホゴールデン」の育成
【まとめ】
「大系R2068/栃系144(後のミサトゴールデン) 」の組合
せから,オオムギ縞萎縮病やウドンコ病に抵抗性で,麦芽エ
キスがミカモゴールデンやはるな二条よりもやや低いものの
醸造品質に優れ,ミサトゴールデン並の耐倒伏性や収量など
栽培特性に優れた
「タカホゴールデン」
(二条大麦農林16号)
を育成した.
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
【背景】
1.
大麦縞萎縮病ウイルス(BaYMV)系統の分化が認められ,
ミサトゴールデンなどの持つ抵抗性遺伝子 Ym (rym5)を
侵すⅢ型系統による被害が拡大している.しかし,これに
抵抗性を示す オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(rym3)
を持つビールオオムギ品種は育成されていない.
2 ビールオオムギ品質で麦芽ジアスターゼ力では,目標値
270WK/TNはもちろん,その半分とされる185WK/TN を安
定して越える高ジアスターゼビールオオムギ品種は育成さ
れていない.
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
【組合せ】
<<西海皮33号/栃系133>(F4)//あまぎ二条>(F4)/3/ 栃系166
【系譜図】
BaYMV 抵抗性(ym3)
はがねむぎ
63
羽系 J-7
関東二条 3 号
64
うどんこ病抵抗性
69
数字は交配年次(19 -)
西海皮 33 号
81
西海皮 10 号
アサヒ 5 号
75
Mona
F4
83
栃系 133
85
あまぎ二条
74
F1
75
栃系 166
新田二条 1 号
図
F4
関東二条29号の系譜図
関東二条 29 号
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
表 生産力検定試験における生育,収量及び外観品質調査結果
系統名
成熟期
倒伏
穂数
1穂粒数
整粒重
品種名
月日
程度
本/㎡
粒/穂
kg/a
g
%
品質
関東二条29号 (n=23)
6月7日
0.8
681
29.4
48.1
40.6
87.4
2.9
あまぎ二条との差
千粒重 整粒歩合
外観
+1*** -1.2*** +22n.s. +2.3*** +16.8*** +5.4*** +15.5*** -0.9***
ミサトゴールデンとの差 +4*** -0.4n.s. +52* +2.9*** +8.6*** +1.2** +2.6n.s. -1.2***
注)
倒伏程度は,0:
無,1:
微,2:
少,3:
中,4:
多,5:
甚.
外観品質は,1:
上上,2:
上下,3:
中上,4:
中中,5:
中下,6:
下.
表 生産力検定試験における麦芽品質調査結果
系統名
品種名
原麦
粗蛋白
%
麦芽
エキス
%
ジアス
ターゼ力
WK/TN
麦芽
評点
関東二条29号 (n=23)
9.7
84
197
66
あまぎ二条との差
0.0n.s.
+3.0***
+53*** +23.9***
ミカモゴールデンとの差 -0.7**
+1.5***
+29*** +13.7***
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
y
y
80
80
関
東
二
条
2
29
9
号
関
東
二
条
2
29
9
号
70
60
50
40
20
10
(kg/a)
(kg/a)
y = 0.682x + 26.5
r = 0.677***
n = 18
ave(あまぎ) = 30.2kg/a
ave(K29) = 47.1kg/a
30
0
x
0
10
20
30
40
50
60
70
80
あ ま ぎ 二 条 (kg/a)
図 生産力検定試験における収量
70
60
50
40
y = 0.736x + 19.0
r = 0.721***
n = 23
ave(ミサ ト) = 39.5kg/a
ave(K29) = 48.1kg/a
30
20
10
0
x
0
10
20 30 40 50 60
ミサトゴールデン (kg/a)
図 生産力検定試験における収量
70
80
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
y
y
88
240
87
関
東
二
条
29
号
220
86
関 200
東
二 180
条
160
29
号 140
85
84
y = 0.814x + 16.9
R2 = 0.734***
n = 21
ave(ミカモ) = 82.5
ave(K29) = 84.0
83
82
81
120
80
100
x
80
81
82
83 84 85 86
ミカモゴールデン
87
y = 0.422x + 126.0
r = 0.500***
n=21
ave(ミカモ) = 169
ave(K29) = 197
88
x
100
図 生産力検定試験における麦芽エキス
120
140
160 180 200 220
ミカモゴールデン
図 生産力検定試験におけるジアスターゼ力(
W K/TN)
y
90
80
関 70
東
二 60
条
50
29
40
号
30
y = 0.866x + 20.7
r = 0.698***
n=21
ave(ミカモ) = 52.4
ave(K29) = 66.0
20
x
20
240
30
40
50
60
70
ミカモゴールデン
図 生産力検定試験における麦芽評点
80
90
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
表 各地域での関東二条29号の子実重
地域名
試験数 子実重
あまぎ比 あまぎ差
kg/a
%
kg/a
関東
n=36
52.0***
109
+4.2
近畿・中国
n=23
40.6***
115
+5.1
九州
n=21
39.8***
109
+3.4
全国
n=80
45.5***
110
+4.3
表 北海道(
北見市)
の春播きにおける成績
系統名
品種名
成熟期 倒伏 整粒重 同左 千粒重 整粒
程度
標比
歩合
g
%
kg/a
月/日
関東二条29号 8月7日 1.1 40.1 125 45.3 87.7
りょうふう
8月7日
3.4
32.1
表 各地域における関東二条29号の麦芽品質
地域名
試験数
麦芽
ジアス
麦芽
エキス
ター セ ゙力
評点
%
WK/TN
関東 n=22
(
あまぎとの差)
83.8***
+2.9
223***
+56
67.8***
+23.3
近畿・中国
n=8
(
あまぎとの差)
84.0**
+1.9
220***
+42
73.4***
+14.1
九州
n=13
(
あまぎとの差)
84.5***
+3.0
212***
+44
70.0***
+21.9
n=43
84.1***
219***
69.5***
+2.8
+49
+21.2
全国
(
あまぎとの差)
系統名
品種名
麦芽 ジアス 麦芽 同左
エキス ターゼ力 評点 標差
% WK/TN
関東二条29号
83.6
213
66.3 +19.9
りょうふう
80.7
182
46.4
38.1
78.4
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
y
y
90
y = 0.907x+8.1
R =0.890***
n=80
ave(あまぎ) = 41.2
ave(K29) = 45.5
80
関
東
二
条
2
29
9
号
70
60
関
東
二
条
2
29
9
号
50
40
30
(kg/a)
関東
20
近畿・中国
10
九州
(%)
0
x
0
10
20
30
40
50
60
70
80
86
85
84
83
82
81
80
79
78
77
関東
近畿・中国
九州
x
77 78 79 80 81 82 83 84 85 86
90
あ ま ぎ 二 条 (%)
あ ま ぎ 二 条 (kg/a)
図 各地域における関東二条29号の子実重(
対あまぎ二条)
y
図 各地域における関東二条29号の麦芽エキス(
対あまぎ二条)
y
280
関
東
二
条
2
29
9
号
260
240
220
180
( oW K/TN)
160
120
関
東
二
条
2
29
9
号
y = 0.856x+73.9
r = 0.356***
n = 43
ave(あまぎ) = 170
ave(K29) = 219
200
140
y = 0.412x+50.6
r = 0.327***
n = 43
ave(あまぎ) = 81.3
ave(K29) = 84.1
関東
近畿・中国
九州
100
x
100 120 140 160 180 200 220 240 260 280
あ ま ぎ 二 条 (oW K/TN)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
関東
近畿・中国
九州
y = 0.470x+46.8
r = 0.448***
n = 43
ave(あまぎ) = 48.3
ave(K29) = 69.5
x
10
20
30
40
50
60
70
80
90
あ まぎ二 条
対あまぎ二条)
図 各地域における関東二条29号のジアスターゼ力(
対あまぎ二条) 図 各地域における関東二条29号の麦芽評点(
1)-2 オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子ym3(現rym3)を持つ極高品質,多収
ビールオオムギ系統「関東二条29号」の育成
【まとめ】
BaYMVⅠ型~Ⅲ型系統に抵抗性のオオムギ縞萎縮病抵抗
性遺伝子ym3(現rym3)を持ち,うどんこ病にも抵抗性で,
あまぎ二条やミサトゴールデンに優る多収で,耐倒伏性強
など栽培性に優れ,かつ麦芽エキス,ジアスターゼ力が極
めて高く,あまぎ二条やミカモゴールデンよりも麦芽品質
が極めて優れる「関東二条29号」を育成した.
その特性は北海道から九州で確認され,広域適応性を有
すると思われた.
2) オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ「タカホゴールデン」の
高品質栽培法の確立
【背景】
ビールオオムギは,ビール会社と農家の契約栽培で生産さ
れおり,安定した生産量と安定かつ優れた醸造品質が強く求
められている.「タカホゴールデン」は新品種であるためそ
の栽培法の確立が求められていた.
2) オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ「タカホゴールデン」の
高品質栽培法の確立
【試験方法】
1)供試材料
タカホゴールデン
(比較)ミサトゴールデン,ミカモゴールデン
2)処理
水 準
備 考
要因
少
標準
多
施肥(基肥)量
0.5
0.6
0.8
0.9
1.1
1.2
上段:1996 年度
下段:1997 年度
110
152
150
192
190
250
上段:1996 年度
下段:1997 年度
(kg/a)
播種量
(粒/㎡)
区制は、分割区法、2 区制、但し醸造品質は 1 区制(2 区混合)
3)耕種条件
1996:60cm条播,1997:ドリル播栽培
2) オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ「タカホゴールデン」の
高品質栽培法の確立
【変動と形質間相関】
表 主要形質における変動係数
品種
穂数
子実重 整粒歩合 外観品質 粗蛋白含量 麦汁β-グル カン
タカホゴールデン 0.152
0.120
0.016
0.101
0.104
0.716
ミカモゴールデン 0.123
0.106
0.046
0.209
0.080
0.349
ミサトゴールデン 0.175
0.102
0.016
0.134
0.059
0.632
表 タカホゴールデンにおける主要形質における形質間相関
穂数
穂数
整粒重
整粒歩
合
粗蛋白 麦芽エキ ジアスターゼ力 麦芽評
含量
ス
点
WK/TN
1
整粒重
0.87
1
整粒歩合
-0.46
-0.15
1
粗蛋白含量
0.00
0.36
0.70
1
麦芽エキス
-0.06
-0.43
-0.61
-0.90
1
ジアスターゼ力WK/TN
0.25
0.13
0.12
0.06
0.01
1
麦芽評点
0.06
-0.34
-0.69
-0.91
0.96
0.18
p<0.001,
0.001<p<0.01,
0.01<p<0.05で有意.
1
2) オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ「タカホゴールデン」の
高品質栽培法の確立
【施肥量,播種量が各形質に及ぼす影響】
700
穂
数 600
( 500
本
/
㎡ 400
)
整
粒
重
(
k
g
/
a
)
少播
中播
多播
300
少肥
中肥
多肥
タカホゴールデン
少肥
中肥
多肥
ミカモゴールデン
少肥
中肥
50
45
40
少播
中播
多播
35
30
多肥
少肥
ミサトゴールデン
中肥
多肥
タカホゴールデン
図 各品種における施肥量,播種量と穂数
粗
タ
ン
パ
ク
含
量
(
%
)
55
少肥
中肥
多肥
ミカモゴールデン
少肥
中肥
多肥
ミサトゴールデン
図 各品種における施肥量,播種量と整粒重
85
14
麦
芽
エ
キ
ス
(
%
)
13
12
11
10
少播
中播
多播
9
84
83
82
少播
中播
多播
81
80
8
少肥
中肥
多肥
タカホゴールデン
少肥
中肥
多肥
ミカモゴールデン
少肥
中肥
多肥
ミサトゴールデン
図 各品種における施肥量,播種量と粗タンパク含量
少肥
中肥
多肥
タカホゴールデン
少肥
中肥
多肥
ミカモゴールデン
少肥
中肥
多肥
ミサトゴールデン
図 各品種における施肥量,播種量と麦芽エキス
2) オオムギ縞萎縮病抵抗性ビールオオムギ「タカホゴールデン」の
高品質栽培法の確立
【まとめ】
タカホゴールデンは、粗タンパク含量が変動しやすく,その増
加に伴い醸造品質が低下する.また,少肥では穂数が減少し
収量が低下する.
安定高品質多収のためには,施肥量をミサトとミカモの中間
の中肥(ドリル栽培で窒素7kg/10a程度)、播種量は標準以上
(ドリル栽培で8kg/10a以上)とし,決して多肥栽培にしないこと
が重要と考えられた.
3) RFLP解析を用いたビールオオムギの主要農業形質の
QTLマップ(遺伝子座地図)の作成
【材料及び方法】
関東二条25号/南系B4641の組合せからSSD法により作出したRI 151系統(F7,F9)
関東二条25号: 早生,短稈,うどんこ病抵抗性,高品質ビールオオムギ系統
南系B4641:
強稈,多収,大麦縞萎縮病抵抗性中間母本系統,醸造品質極めて劣
る
解析データは,栽培場所及び年次の異なる4つの測定データを用いた.
栃木分場(栃木県栃木市,97年(F7)及び98年(F9)),
キリンビール植開研(栃木県喜連川町(現さくら市),98年(F9)),
サッポロビール植工研(群馬県新田町,98年(F9))
QTL解析は,113個のRFLPマーカーによる連鎖地図に基づき,
MAPMAKER3.0を用いてL.O.D.値3.0以上をQTL’sとした.
3) RFLP解析を用いたビールオオムギの主要農業形質のQTLマップ
(遺伝子座地図)の作成
【結果】
表 関東二条25号/南系B4641 における主要農業形質QTL結果とそのmaker名
形質
染色体
寄与率
L.O.D値
Maker名
形質
染色体
寄与率
L.O.D値
出穂期
3H
7H
2H
7H
1H
2H
1Ha
1Hb
7H
1H
2Ha
1H
7H
1H
2H
15-56
9-16
39
30-41
14-28
13-26
9-18
9-18
13-50
9-27
27-31
15-23
19-20
12-19
14-19
2.9-5.4
3.2-5.0
8.4
10.3-15.3
3.9-6.0
4.3-9.5
2.4-4.0
1.9-3.6
4.4-9.0
2.2-7.1
7.9-11.6
3.7-7.7
4.5-5.5
3.0-5.6
4.2-6.3
ABG377
ABC308
ABG619
ABC154_2
KSK_231
WG516
ABG452
ABC257
CJB906
ABC257
KSK_296
cMWG733
ABG22
cMWG733
KSK_296
脱粒性
2H
1H
1H
2H
1H
1Ha
1Hb
5H
3H
1H
2H
7Ha
7Hb
19-56
11-20
27
22
35
47
16
23-38
12-13
31
16
26
14
7.1-20.4 ABG619
2.9-3.9
ABG702
7.8
cMWG733
6.3
ABG619
9.8
KSK_231
8.5
KSK_231
4.9
ABC706
6.2-9.1
ABG705
4.1
KSK_186
9.6
ABG452
4.7
ABC620
9
CDO673_7
3.8
BCD453_1
成熟期
稈長
穂長
粒大
粒重
皺の多少
穀皮の厚さ
脱芒性
叢生
茎立性
不稔抵抗性
葉の立性
止葉抽出度
Maker名
3) RFLP解析を用いたビールオオムギの主要農業形質の
QTLマップ(遺伝子座地図)の作成
図 関東二条25号/南系B4641 SSD集団における主要農業形質のQTL領域
3) RFLP解析を用いたビールオオムギの主要農業形質の
QTLマップ(遺伝子座地図)の作成
K25 Ave:3.4
40
NB
10
n=115
8
30
6
個
体 20
数
栃木98
サッポロ
1H
2H
7H
4
0
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
しわの多少 (
2:
多~5:
少)
30
30
30
Ave.
K25型:3.1
NB型:3.7
差:-0.6***
K25型
NB型
25
10
個 20
体 15
数 10
5
5
0
0
個 20
体 15
数
ABG22
cMWG733
KSK_296
25
2
2.5
3
3.5
ABG22
0
KSK_296
2
cMWG733
10
4
4.5
5
Ave.
K25型:3.3
NB型:3.6
差:-0.3***
K25型
NB型
25
個 20
体 15
数
K25型
NB型
Ave.
K25型:3.6
NB型:3.2
差:0.4***
10
5
0
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
表 KSK_296,cM W G 733,ABG 22タイプ別測定値
タイプ
K25,K25,NB
K25,NB ,NB
NB ,K25,NB
K25,K25,K25 (K25)
K25,NB ,K25
NB ,NB ,NB (NB)
NB ,K25,K25
NB ,NB ,K25
測定値
2.8 a
3 ab
3.3 bc
3.3 bcd
3.5 cde
3.7 ef
3.8
f
3.9
f
測定値は,2(
多)
~5(
少)
表中のアル ファベットは同一文字間には5%水準で有意差無し
【解析結果の例;穀皮の皺】
5
3) RFLP解析を用いたビールオオムギの主要農業形質の
QTLマップ(遺伝子座地図)の作成
【まとめ】
日本型オオムギ「関東二条25号 / 南系B4641 」 のRI 151
系統を材料に,主要農業形質15形質について28カ所の
QTL領域について地図化できた.
これらのうち,出穂期と粒大の3座は既知の遺伝子座と
一致したが,その他は,新たな領域として検出された.
Ⅰ BaYMV抵抗性遺伝子集積法の検討と集積品種の育成
表 B aYM Vレースと抵抗性遺伝子の反応
B aYM V
抵抗性遺伝子
I型
II型
III型
IV 型
Ym (rym 5)
抵抗性
抵抗性
罹病性
抵抗性
Ym 2(Rym 2)
抵抗性
罹病性
抵抗性
抵抗性
ym 3(rym 3)
抵抗性
抵抗性
抵抗性
罹病性
ym なす*
罹病性
抵抗性
抵抗性
罹病性
* なす二条の持つ抵抗性遺伝子で、仮称
Ⅱ ビールオオムギ生産現場における栽培技術の現状の把握と
遺伝子集積品種導入時における問題点,ならびにその解決法の確立
適
正
タ
ン
パ
ク
率
(
%
)
100
契
約
達
成
率
(
%
)
90
80
70
60
60
50
40
30
20
10
0
宇都宮
佐野
塩野谷
なす南
2004 しもつけ
はが野
小山
足利
那須野
県平均
2005
高
2006
タ 25
ン
パ 20
ク 15
率
( 10
%
5
)
0
宇都宮
しもつけ
佐野
塩野谷
なす南
はが野
小山
足利
那須野
県平均
30
50
40
30
70
78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06
年次
図 栃木県におけるビールオオムギの契約達成率の推移
図:
上段 各JA別のビールオオムギにおける適正タンパク(
10~11%)
率
:
下段 〃 不適正高タンパク(
12.1%以上)
率