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Mar. 19, 2004: 温暖化ワークショップ@三浦
温暖化・大気組成変化相互作用(大気化学)
須藤
滝川
永島
高橋
健悟
雅之
達也
正明
(FRSGC)
(FRSGC)
(NIES)
(CCSR/FRSGC)
K2-地球システム統合モデル開発
地球システム統合モデルKISSME (being developed)
radiation
cloud distribution
transport
radiation
Climate
(CCSR/NIES AGCM 5.7)
SST
Aerosol
(SPRI
mineral
Sea Salt
Ocean
(an NPZD-type model)
transport
production
heterogeneous reaction
DMS
dust, OC
Chemistry
(CHA
CO2
NMHCs
Land Surface
(MATSIRO,Sim-CYCLE)
温暖化・大気組成変化相互作用サブグループ
開発・研究スケジュール
H.15年度の作業および成果
① 化学気候モデルCHASERの高速化。
② 大気組成・温暖化相互作用の前段階的実験。
(温暖化が対流圏化学に与える影響)
③ 化学・エアロゾル結合気候モデルの開発着手。
(CHASER-SPRINTARS)
④ 輸送スキームの検証(特に成層圏):空気の平均年令分布。
対流圏オゾンとその他の気候影響要素(メタンやエアロゾル)との関係
その他の
温室効果気体
STE O3 influx
(400-600
オゾン Tg/yr)
硫酸塩
エアロゾル
Chemical O3 Prod.
(3500-5000 Tg/yr)
OHラジカル:大気酸化能力
エミッションのみならず気象場(水蒸気場、温度場、大規模循環など)にも依存
対流圏オゾンによる放射強制力 (W m-2)
産業革命以前→現在
LW+SW total ozone forcing
Tropospheric ozone increase
197 TgO3 (産業革命以前)
↓ +10.4 DU (+58%)
311 TgO3 (現在)
Tropospheric ozone radiative forcing
W m-2 (at tropopause, in annual mean)
Global
NH
SH
長波
0.402
0.485
0.319
短波
0.085
0.107
0.063
合計
0.487
0.592
0.382
Normalized radiative forcing
= 0.047 W m-2 DU-1
DJF
JJA
化学・気候結合モデル CHASER
Sudo et al. [2002a,b]
基本モデル
CCSR/NIES/FRSGC GCM (5.7b) : 気候モデル
空間解像度
輸送過程
水平:T42(2.8ox2.8o), 鉛直: 32 layers(地表~40km)
化学過程
53 化学種, 139 化学反応(気相,液相,不均一*)
(1)O3-HOx-NOx-CO-CH4 (成層圏 Ox 化学を含む),
(2)非メタン炭化水素(NMHCs)酸化,
(3)SO2, DMS 酸化(硫酸塩エアロゾルシミュレーション)
*不均一反応は N2O5, HO2, RO2ラジカルについて雲粒子、硫酸エアロゾ
ル、および海塩粒子表面上で考慮
(高度 20km 以上の O3, NOy については衛星データなどで prescribe)
産業・交通, 森林火災, 植生/土壌/海洋, 雷からの NOx
(NOx, CO, C2H6, C2H4, C3H8, C3H6, アセトン, イソプレン, テルペン, メタ
ノール,SO2, DMS)
Emission
グリッドスケール(flux-form semi-Lagrangian)
サブグリッドスケール(積雲対流, 鉛直拡散)
Dry deposition 地表面の植生タイプ、気温、太陽光入射、積雪などの関数
[Wesely, 1989]
(乾性沈着)
Wet deposition Rain-out (in-cloud), wash-out (below-cloud), ice-sedimentation
Reevaporation & reemission processes considered.
(湿性沈着)
気候変動将来予測における大気化学(+エアロゾル)過程の役割
 オゾン(全球分布)かつその変動過程
 OH ラジカル分布とその変動が引き起こすメタン・CFCs の分布変動
 エアロゾル(硫酸塩および有機炭素)の生成過程
温暖化のフィードバック(相互作用)を考慮する必要がある
H.15年度の作業および成果
① 化学気候モデルCHASERの高速化。
② 大気組成・温暖化相互作用の前段階的実験。
(温暖化が対流圏化学に与える影響)
③ 化学・エアロゾル結合気候モデルの開発着手。
(CHASER-SPRINTARS)
④ 輸送スキームの検証(特に成層圏):空気の平均年令分布。
化学結合気候モデルCHASERの高速化
一年積分時(T42L32、トレーサー数NTR=37の場合)
各プロセス計算実時間(秒)
Gas-phase reaction
Liquid-phase reaction
Wet deposition
Lightning NOx
CHASER (new)
CHASER (old)
Dynamics(*1)
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
16000
18000
(sec)
20000
化学結合気候モデルCHASERの高速化
一年積分時(T42L32、トレーサー数NTR=37の場合)の計算実時間(秒)
45000
40000
ES-S系(8PE)
35000
-35%
ES-L系(32PE)
○agcm5.6 → agcm5.7b
○リストベクトル高速化
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
CHASER (old)
CHASER(new)
CHASER(new)
※ 化学過程の簡単化やMPMDなどによるさらなる高速化を検討中。
H.15年度の作業および成果
① 化学気候モデルCHASERの高速化。
② 大気組成・温暖化相互作用の前段階的実験。
(温暖化が対流圏化学に与える影響)
③ 化学・エアロゾル結合気候モデルの開発着手。
(CHASER-SPRINTARS)
④ 輸送スキームの検証(特に成層圏):空気の平均年令分布。
対流圏オゾンの将来予測実験

Exp 1: emission 変化のみ(オゾン前駆気体)
 emissions specified by the IPCC SRES-A2 (1990  2100)
for CH4, CO, NOx, NMHCs, SO2
 no changes in meteorological conditions (GCM) (1990  2100)

Exp 2: emission 変化+気候変動(温暖化)
 emissions specified by the SRES-A2 (1990  2100)
for CH4, CO, NOx, NMHCs, SO2
 simulating climate change
①
②
SSTs and sea-ice distributions prescribed by the CCSR/NIES
atmosphere-ocean coupled GCM for the SRES-A2.
CO2, N2O specified by the SRES-A2 (for radiation calculation)

The simulations are performed for every decades from 1990 to 2100
(time-slice simulation)

Calculated O3 and CH4 are feedbacked to the radiation process.
全球平均メタンの
時間発展
~20%
●global mean CH4
(ppmv)
EXP1
● global mean OH
(molec/cm3)
EXP2
(温暖化)
○Relative OH increase
○Temperature rises
●CH4 lifetime: CH4+OH
(years)
各緯度帯におけるオゾン濃度(ppbv)の時間発展
Zonal mean
EXP1
EXP2
(温暖化)
Reduced
O3
increases
Enhanced
O3
increases
気候変動が成層圏/対流圏間オゾン交換 (STE)に与える影響
成層圏→対流圏への(ネット)オゾン流入量
Exp2: +climate change(温暖化)
Exp1
+83%
地表気温上昇
(温暖化実験)
Sudo et al. [2003]
気候変動が成層圏/対流圏間オゾ
ン交換 (STE)に与える影響
Changes in residual mean
meridional circulation (Dvr,Dwr)
「残差循環の変化」
(2100 minus 1990)
Brewer-Dobson 循環の強化
Hadley 循環の強化
Residual mean vertical velocity
wr @ z=15km for 1990 and
2100 in Exp2
Sudo et al. [2003]
オゾンの東西平均高度分布への温暖化影響
オゾン増加量としては
+20~40%に相当
水蒸気増加に伴う
オゾン破壊活発化
によるオゾン減少
成層圏オゾンの
流入量増加に伴う
オゾン増加
化学モデル CHASER とエアロゾルモデル SPRINTARS の結合の図
硫酸エアロゾルや有機炭素エアロゾルの計算が化学と結合して行われる。
化学モデル CHASER とエアロゾルモデル SPRINTARS の結合
対流圏オゾンの
放射強制力分布
炭素性エアロゾル
の放射強制力分布
硫酸エアロゾルの時間発展 (Exp 1/2)
硫酸塩全球総量(TgS)
For both Exp1 and 2…

Increases in H2O2 and OH
For Exp2…
 Increases in cloud water
 Changes in precipitation
人為起源SO2エミッション(TgS/yr)
気候変動将来予測における大気化学(+エアロゾル)過程の役割
 オゾン(全球分布)かつその変動過程
 OH ラジカル分布とその変動が引き起こすメタン・CFCs の分布変動
 エアロゾル(硫酸塩および有機炭素)の生成過程
温暖化との間のフィードバック(相互作用)を考慮する必要がある
今後の課題
●モデル構築: 成層圏(~高度70km)への拡張。
・鉛直解像度、重力波抵抗スキーム改善
・ハロゲン、PSCs 化学追加
●過去再現
・人為起源emissionトレンドおよび自然起源emissionの妥当性の検討。
・気象場変動の影響実験。
・メタンの濃度がちゃんと再現できるか?実験(OH変動のチェック)
・対流圏オゾン(+エアロゾル)増加による気候への影響の評価。
(full-transient or 平衡長期実験 with 海洋混合層)
●将来予測
・SRES全シナリオ実験 for 対流圏オゾン・メタン・硫酸エアロゾル
(10年おきtime-slice、emission変化および温暖化の影響)
(K1実験への入力としても)
・エアロゾル+オゾン変動による気候影響:K2の真骨頂の一部。
(化学・エアロゾル結合予測の効果は?)
Hystorical ozone trend
Modeled
2. 成層圏物質輸送過程の検証
• CCSR/NIES大気大循環モデルにおける輸送過程を定量的に
検証しておくことは、今後の数値実験のために重要である:
– 大気汚染物質およびそれによる気候変動の将来予測実験の信頼性を
高める.
– 成層圏-対流圏物質交換を評価する.
– 成層圏水蒸気トレンド、およびそれによって引き起こされる成層圏メタン
およびオゾンの影響を評価する.
• CCSR/NIES大気大循環モデルにおける成層圏気隗の年代分
布を、パッシブトレーサを流すことによって推定する。
パッシブトレーサを用いた輸送場検証実験のモデル設定
CCSR/NIES AGCM 5.7b (Rev.2003/08/23)を基に、一部拡張:
• 水平解像度: t42 (2.8度)
• 鉛直解像度: 67 層 (高度80km程度まで)
• 移流スキーム: Flux Form Semi-Langrangean + monotonic PPM with
steepening [Lin and Rood,1996]
• zonal mean semi-implicit
• Rayleigh摩擦 : 大気上端で1日の時定数
• パッシブトレーサ
–
–
–
–
Rn222: WCRP [Jacob et al. , 1997]
SF6: fitted by a quadratic curve for 1980s [Maiss and Levin, 1994]
Age-of-Air: [Lin and Williamson, 2000]
Age Spectrum: δ(t,t0) at the equatorial ground level
• 地球シミュレータを用いて10年積分 (8members’ ensemble)
さまざまな緯度帯・高度域における CCSR/NIES大循環モデルでのAge spectrum
赤道域
中緯度域
南北高緯度域
Mean time rag from surface estimated by the age spectrum
モデル全般の傾向として、熱帯-中緯度の濃度勾配が小さい
(Sub-tropical barrierが弱い?)
下部成層圏における
二酸化炭素観測値からの
推定年代との比較
アンサンブル実験の初期値
依存性は高々0.5年程度.
高度19kmにおけるスペクトルの
幅はおよそ1年.
モデル
黒点は高度19kmにおける
二酸化炭素観測値からの
推定年代
(Boering et al. [1996]).
Eluszkiewicz et al. [2000]
2. まとめ
– Age spectrumおよびSF6を用いる事によって:
• 成層圏の年代を推定する際、アンサンブル実験の各々の差はそれ
ほど大きくない(成層圏年代の初期値依存性は大きくない).
• 各々のパッシブトレーサを用いて成層圏年代を推定することができ、
下部成層圏での各々の値はほぼ一致する.
• CCSR/NIES大気大循環モデルを用いて推定された成層圏年代は、
二酸化炭素の観測値から推定された成層圏年代よりもとくに中緯度
から高緯度にかけての領域で若い年代を示した。
– CCSR/NIES大循環モデルの推定値はGFDL SKYHI大循環モデルの
non-monotonic Lin-Rood 移流スキームを用いた結果とほぼ一致する
(CCSR/NIES大気大循環モデルの移流スキームはmonotonic LinRood).
• 下部成層圏での熱帯ー中緯度の濃度勾配が観測からの推定値に
比較して小さい.
– モデルの熱帯下部成層圏での低温バイアスがこの領域における鉛直
輸送に影響を与えている可能性がある (低温バイアス自体はモデルの
放射スキームに由来).
今後の課題
① CHASER-SPRINTARS (化学・エアロゾル結合気候モデル)の完成
→ チューニング (平成16年度前半)
② Hybrid 座標系+新放射コードの導入
→ 輸送過程の再評価
③ CHASER-SPRINTARS の統合モデル KISSME への移植(平成16年度
前半)
④ CHASERへの成層圏化学反応の追加 (平成16年度開始)
⑤ 将来予測実験 (K1モデルへのinput)
(ES-L系)
⑥ オゾン・エアロゾルが気候に及ぼす影響についての平衡(長期)実験
(ES-L系)
対流圏・成層圏化学結合気候モデルの構築