INS/GPS複合航法の 精度向上に関する調査報告

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Transcript INS/GPS複合航法の 精度向上に関する調査報告

MEMSセンサを用いた
小型INS/GPS航法装置
の開発
56367
成岡 優
指導教員: 土屋助教授
1
MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
概要
1.
2.
3.
4.
2020/4/30
背景: 小型、軽量、安価かつ高精度な
航法装置の必要性
手法
評価: 精度はどれくらいか?
結論
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2
MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
背景
(1/5)
高精度な航法データの必要性

多くのアプリケーションて精度よい航法情
報(位置や速度、姿勢)が必要とされる
飛行機や宇宙機のナビゲーション
 車や電車等の移動体の監視
 ロボットやUAVの誘導制御

航空機で培われたナビゲーション技術を
汎用的に利用することはできないか?
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
背景
(2/5)
優れた航空機の航法技術の1つとしてINS/GPS

INS/GPS複合航法
慣性航法装置
(INS)
早い更新周期
but
誤差が蓄積
Global Positioning System
(GPS)
+
INS
GPS
Error
Error
Time
Integration
誤差が蓄積しない
but
更新周期が低い
Time
INS/GPS
Error
2020/4/30
Time
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早い更新周期
and
誤差蓄積しない
4
MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
背景
(3/5)
INS/GPSの仕組み
運動の法則
INS
GPS
慣性センサ
受信機
位置
加速度
角速度
位置
速度
速度
姿勢
三角測量
衛星
電波
統合
INS/GPS
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位置, 速度, 姿勢
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
背景
(4/5)
航空機 vs. 汎用 INS/GPS

航空機向け(既存)

超高精度
(誤差: <1m, <1deg)
Trade-Off
大きい(> 1000 cm3)
着目点
小さい (< 1000 cm3)
重い (> 1 kg)
2020/4/30
汎用向け(近年開発中)
高精度?
軽い (< 1 kg)
高価
安価
(> 100万円)
(< 100万円)
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
背景
(5/5)
研究目的
精度とその他スペックの間に存在するト
レードオフを議論することは非常に重要
である
本研究の目的


1.
2.
2020/4/30
できる限り小さく、軽く、安価なINS/GPS装
置を構成し
その精度を正確に評価し、汎用的に使用可
能か検討する
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
手法
(1/7)
構成機器
使用しない
 高精度だが大きく重く高
価な特殊部品
 Ring laser gyro
 軍用、特殊用GPS
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使用する
 小さく軽く安価な汎用部品

MEMS慣性センサ

民生用GPS
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
手法
(2/7)
MEMSセンサと民生用GPS

MEMS慣性センサ
電気回路と検出部を一体化
 小さく(~1 cm2), 軽く(<1 g), 安価(<1万円)
 MEMS慣性センサを用いたINSは誤差が非常
に早く溜まりやすい.


民生用GPS受信機
カーナビなどに使われている
 小さく(~10 cm2), 軽く(<10g), 安価(~1万円)
 比較的よい精度 (位置誤差: 10~20m)

2020/4/30
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
手法
(3/7)
INS/GPSアルゴリズム

Strap-down構成


extended Kalman filtering (EKF)による統合


機械的なジンバルが必要ない
Loose-coupling: 計算リソースの節約
クォータニオンの活用


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MEMSセンサの大きな誤差を補償するための数学的
に単純なモデル
オイラー角で発生するような特異点を完全に除去
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
手法
(4/7)
式(1) : INS運動方程式
• 速度 (3[North, East, Down Speed] 状態量)
0
0
 ~e 
d  0  ~ n  0 ~ b  0  
n
e 
 n   qn   e
    qb   b qn    n     n
2




r



a
g
dt ren 
 
   e/i
n/e
e 
e / i  re
 e/i
Acceleration Gravity



~ n
qe


• 位置 (4[Latitude, Longitude, Azimuth] + 1[Height] = 5 状態量)
 

d ~n 1 ~e  0  d
qe  qn   n ,
h   ren
dt
2  n / e  dt
z
• 姿勢 (4[Roll, Pitch, Heading] 状態量)
quaternion
d ~ b 1 ~ b  0    0   0 ~ b 
q n  q n   b      n     n  q n 
dt
2  b / i    e / i   n / e   
Angular Speed
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
手法
(5/7)
式(2) : EKF向け線形化
INS運動方程式に以下の代入をすることでEKF用の線形化
が完了する



ren  ren  ren
 1 ~ n
n
~
qe    n qe , h  h  h
u e 
 1 ~ b
b
~
qn    b qn
u n 



b



a  a b  a b ,  bb/ i   bb/ i   bb/ i , g  g  g
quaternion
大きさを維持したままのクォータニオンの線形化
• Jacobian i.e. 足し算型 (4 状態量)
• 掛け算型 (3 状態量)
q  q 
2
 
2

q~  q~   

(
q

q
)

2
q

q

q
 q   1

q  q 
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1 ~
1 q 
2
2
q


(
q

q
) 1
 
    
u 
u q 
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
手法
(6/7)
式(3) : EKF
INSが時間更新するとき

GPSから情報が得られたとき

EKF Time Update
d
x  Ax  Bu
dt

 ren 

 a b 
 n 
u
  
x   e , u   bb / i 
 h 
 g 
 b 


 u n 
z  Hx  v
Pk 1  I  At Pk I  At   Bt Qb Bt 
T



Pk  E xk xk , Qk  E u k u k
T
EKF Correct
T
T

q~en 
q~en 
 
 
z   h   h 
 ren 
 ren 
  INS   GPS

 ren 
 n 
u
xk   e   K k z k
 h 
 b 
 u n  k

K k  Pk H k H k Pk H k  Rk
T

Rk  E vk vk
T
T

1

Pk  ( I  K k H k ) Pk
 

ren
INS
q~ 
n
e INS
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quaternion
 1  ~b


 qn
b
INS
k


u
n k

 1  ~n

qe INS , hINS  hINS  hk
n




u
e k

 

 ren
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  q~ 

 ren
b
n INS

  
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INS
MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
手法
(7/7)
全体図
Strap-down
構成
MEMS
慣性センサ
クォータニオンの利用
民生用GPS
2020/4/30
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(1/11)
概要

プロトタイプ
提案手法に基づいて作成
 較正を行う


精度評価試験

2020/4/30
プロトタイプと高精度な既存航法装置の比較
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(2/11)
プロトタイプ
大きさ: ~ 100 cm3
重さ: ~ 30 g
費用: ~ 3万円
(構造部材ぬきで)
小さく、軽く、安価である
2020/4/30
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(3/11)
プロトタイプ詳細
2020/4/30
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(4/11)
MEMS INSの較正

温度ドリフト

取付け誤差
rotating
settling
容易に取り除ける
誤差要因の中で
最も効果が大きい
2020/4/30
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(5/11)
較正結果


温度ドリフトと取付け誤差の測定結果
温度ドリフト
傾いている

取付け誤差
傾いている
Y,Z
X
真の角速度 (X軸)
vs.
検出角速度
(X, Y, Z-軸 ジャイロ)
温度
vs.
検出加速度
(X-軸 加速度計)
2020/4/30
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(6/11)
精度評価試験

GAIAとの比較 (2006/06)
GAIA: JAXAによって開発された超高精度な
INS/GPS装置、誤差は絶対位置で < 1m
 同JAXA所有の実験用航空機 MuPAL-a内に
プロトタイプとGAIAを設置
 飛行し、両者の履歴を比較

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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(7/11)
実景風景
GAIA
MuPAL-a
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プロトタイプ
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(8/11)
試験結果
プロトタイプ: 赤 GAIA: 緑
位置 (3D)
速度
姿勢
GAIAとほぼ等しい
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(9/11)
結果詳細
GAIAを基準としたときの
プロトタイプの誤差の統計量
位置
速度
姿勢
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水平距離 [m]
姿勢 [m]
北方向速度 [m/s]
東方向速度 [m/s]
下方向速度 [m/s]
ロール [deg]
ピッチ [deg]
ヘディング [deg]
平均
(Offset)
6.44
0.85
0
0
-0.08
0
-0.67
4.17
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標準
偏差
2.97
2.1
0.12
0.12
0.1
0.26
1.21
9.68
最悪値
17
6.9
1.25
-1.13
-0.67
-1.19
-3.9
23.9
< 10m
< 2 deg
> 10 deg
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(10/11)
試験結果のまとめと考察

誤差: < 10 m(位置), < 2 deg(ロール、ピッ
チ)


汎用的に使用するのに十分な精度と考えられる
ヘディングが特に悪い (誤差: >10 deg)

運動の周波数モードの影響が考えられる
ロールやピッチは比較的高い周波数の運動 (> 1Hz)
 一方ヘディングは周波数の低い運動 (< 1 Hz)
 除去が難しい周波数の低いノイズ成分、例えばゼロ
点変動と重なってしまっている

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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
評価
(11/11)
較正の効果

較正あり

較正なし
例 : ロール履歴
較正の効果を確認できる
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
結論

提案した手法とその結果





汎用的利用を目指した小さく、軽く、安価なINS/GPSを提案し
た
MEMS慣性センサと民生用GPS受信機を構成機器とし、
Strap-down構成をとった
アルゴリズムではEKFとQuaternionを利用した
温度ドリフトと取付け誤差を較正し、その効果を確認した
試験結果によると、汎用利用には十分な精度を有する、誤差
は位置で10 m以内、ロールとピッチで2度以内であった
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MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発
今後の課題

低い周波数のノイズへの対応

時間-周波数解析
Waveletによる多重解像度解析
 Waveletによるノイズ除去


他の補強システムの利用

2020/4/30
地磁気センサ
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