Transcript 奥尻島の災害と復興 1993.7.12ー永久記憶保存に向けた三次元

奥尻島の災害と復興
1993.7.12
－ 永久記憶保存に向けた三次元アーカイブスの作成 －
Tsunami Disaster and Reconstruction of Okushiri 1993.7.12 - 3D Archiving -
残されている資料
被災前の住環境形成
•古地図（地形図、市街図、明細図、地籍図）
•古写真（地上写真、空中写真）
•設計図（復興計画案選択肢など）
災害復興土地区画
整理事業予定図
（1963,奥尻町役場蔵）
•昭和38（1963）年：奥尻大火
→災害復興土地区画整理事業
保存の方針
•資料はスキャンして画像データとし、
HTMLで目録を整理する
•地図や図面は更に三次元データ化し、
メタファイルを添付して保存する
•２０１２年時点での、関係者等の記憶や
市街地現況を記録保存する
•昭和43(1968)年：青苗高台の緑ヶ丘団地開発
→過密な漁村集落の市街地大火対策
緑ヶ丘団地計画図と公営住宅の写真（「漁村と住宅」、寒地住宅５、北海道建築指導センター1968所収）
•昭和58（1983）年：日本海中部地震
→青苗岬地区に被害
→高台の安全性が認識され、避難路を整備
最近の緑ヶ丘団地の鳥瞰
（2012.8.27小林撮影）
日本海中部地震で被災した青
苗五区（町議会資料）
１
Collection of Documents
２
History of Settlements before 1993
古写真からの住宅群の復原
被災前の市街地状況
紙地図からの地形の復原
古空中写真と市街図による平面的復原
古写真による市街地の復原
島民から本研
究のために提供
された古写真。
当初、多くは撮
影位置・時期が
未詳（2012.4）。
比較照合により古写真の撮
影位置を比定し、リアル・モデ
ラー（富士通）を用いて各建物
をテクスチャ付き三次元モデ
ルに復原した上で、景観シミュ
レータを用い、予め古地図か
ら復原した地形・街路・街区の
上に配置した。
例えば、上右と上中はほぼ
同じ視点で、建物Ｉ，Ｋ，Ｌは同
一であるが、建物Ｊは建て替
わっている。上右の方がより
古い撮影時期であることがわ
かる（編年）。
Space of Settlements before 1993
３
４
Ensemble of Houses before 1993
地元の記憶の発掘
被災後の状況
古地図・古写真から復原
した被災前の住環境を見る。
対話しながら記憶が甦る。
建築研究所による調査、ステレオ計測写真
多くの記録映像・写真が撮影・公開された
出典：海上保安庁写真(7.13未明）
（アサヒグラフ 1993.7.23に掲載）
津波により浸水しただけで流失
せずに残っていた住宅も多くは焼
失した。ごく一部、法隆寺とその
周辺だけが焼け残った。2012年
現在でもその一部は残存している。
残ったエリアには昭和７年の火災
の後に再建された建物が多い。
古写真で形状が確認できる住宅に番号・記号を付した
奥尻島災害復興研究会 中間発表会
「よみがえる漁師町青苗の街なみ～青苗の今昔と生活環境の変化～」
（2012.8.27 青苗）
古写真から復原した建物について、納屋に至るまで殆ど全てが、参
加者の誰かの記憶に残り、被災前の居住者の名前等が判明した。この
結果を建物別に記録した。その後古写真の追加提供があった。
Memory of Settlements before 1993
５
幻に終わった全戸高台移転計
画の想定エリアにおける、高台
整地のシミュレーション
復興計画案
全戸高台移転案と、一部高台移転案が検討された。
岬（青苗五区）は防災集団移転で全戸高台に移転し
沿岸部は防潮堤と地盤嵩上げにより再建された。
初期の計画コンセプト
左：全戸高台移転
右：一部高台移転
出典:平成５年北海道南西沖地震被害調査報告
（建築研究資料No.82, 建設省建築研究所,1994.1）
岬地区（青苗五区）小林撮影（1993.11.26、当時建設省建築研究所）
・計測カメラを用い、ステレオで各地点から４方向を撮影した。
・高精度パノラマを作成予定。
出典笠原et-al, 北海道の地震と津波
（北海道新聞社、2012.2所収）
６
Ground Zero in 1993
復興住宅
１９９５年３月
全国から寄せられた義捐金によって、住宅再建は順調に進み、現代住宅の街並が形成された。
漁業が基幹産業であることは以前と変わらないが、作業の省人化が進み、漁業従事者は必ずしも多くない。
過疎化・人口減少・貧富格差等の問題を抱えている。
２０１２年８月
実施された計画（ほぼ現況）
小林撮影（1995.12.27）
小林撮影（2012.8.27）
２０１３年７月１２日で、津波から２０年を迎える。
これに向けて、時系列で復原した三次元データに各種記録を掲載する作業中。
現時点での住環境も、将来のため、記録保存しておくべきとの意見もある。
Plans for Settlements after 1993
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Ensemble of Houses after 1993
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2012.11.14 / 災害と環境シンポジウム / 国土交通省/国土技術政策総合研究所/高度情報化研究センター/住宅情報システム研究官 / 小林 英之
奥尻島災害復興研究会 http://sim.nilim.go.jp/Okushiri
By Kobayashi, Hideyuki / NILIM / MLIT / JA