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春季の西部北太平洋における
植物プランクトンの光合成-光曲線
○吉江直樹 (北大・院・地球環境), 鈴木光次 (北大・院・地球環境)
齋藤宏明 (東北水研), 西岡純 (電中研), 桑田晃 (東北水研), 小埜恒夫 (北水研)
今回の内容
1. はじめに
2. 実験方法
3. ブルーム期の光合成-光曲線
4. 鉄濃度との関係
光合成-光(P-E)パラメータについて①
光合成速度 (P)
 基礎生産をモデルなどで解析する際に、
非常に重要なパラメータである。
(立ち上がり勾配:a*, 最大光合成速度:P*max)
P*max
光合成-光曲線(P-E curve)
a*
光量(E)
P-Eパラメータについて②
 西部北太平洋における観測値が非常に少ない
感度の高い14C法を用いた培養実験が困難
感度の低い13C法では培養システムが大がかり
13C法用の小型システムを開発
(鈴木)
 海水中の鉄濃度に応じた値の変化が注目されている
モデルでは、これらの変化により鉄散布実験を再現
(Yoshie et al., 2005, Fujii et al., 2005, Chai et al., 2002, etc.,)
サンプリング海域
2003年春、(独)東北水研の若鷹丸 (WK0304, WK0305)にてサンプリング
Latitude (ºN)
WK0304: 4月11日〜4月25日
WK0305: 5月7日〜5月19日
B9(KNOT)
B9(KNOT)
A4
B14
A7
A11
B10
B1
A17
B4
B3
B5
B2
B6
A4
B8
B14
A7
A11
B7
A17
Longitude (ºE)
B4
B3
実験方法
光源
培養水槽
1. 水深10mからクリーン採水
2. 275mlの培養ボトルに分注
3. 13Cトレーサー添加
4. インキュベータ内で2時間培養
温度調節器
水温: 現場水温
光量: 10段階(3~3000mEm-2s-1)
5. 濾過・凍結保存
6. 元素分析計+質量分析計で測定
船上インキュベータ (鈴木 設計)
P* は、Eについてプロットし、
Platt et al. (1980)の式で最適化し
α*, β*, P*sを求め、P*maxを算出
親潮水域(A4)におけるブルーム期のP*max
3.35
1.75
1.10
ブルーム最盛期
13.3 mg Chl.a l-1
ケイ藻優占率 90%
ブルーム中期
6.13 mg Chl.a l-1
ケイ藻優占率 90%
ブルーム直前
0.65 mg Chl.a l-1
ケイ藻優占率20%以下
P*max [mgC(mgChl.a)-1 h-1]を比較
その他の測点では :約1.50
最大値は(黒潮域で): 3.49
この時ケイ藻はどういう状況だったのか?
50
4
40
日射量
P*max
3
30
a*
NO3
2
20
Chl.a
1
10
D-Fe
0
4/14
直前
4/19
4/24
4/29
ブルーム
中期
5/4
0
5/9
最盛期
日射量[Em-2d-1], NO3[mM], Chl.a
P*max, a x 102, D-Fe [nM]
5
水温の影響
低温(1℃)で一定
栄養塩不足による制限
まだあまり効かない
鉄不足による制限
弱いながらも効き始め?
結局、P*maxやa*は、
光履歴や、群集組成の
影響を強く受けている?
4
鉄とP*max
3
y = -2.25 x + 2.50
2
R = 0.28
2
1
0
0.0
0.2
0.4
D-Fe(nM)
0.6
3
-1 a* x10 (mgC (mgChl.a) h
1
(mEm-2s-1)-1
P*max [mgC (mgChl.a)-1 h-1]
海水中の鉄濃度とP-Eパラメータの関係
30
鉄とa*
25
y = -8.79 x + 14.55
R2 = 0.11
20
15
10
5
0
0.0
0.2
0.4
D-Fe (nM)
0.6
海水中鉄濃度とP*maxやa*に単純な相関関係は見られなかった
この原因としては、
1. 植物プランクトンのグループによる鉄要求量が異なるため?
2. 細胞内鉄濃度と海水中鉄濃度が異なるため?
まとめ

西部北太平洋において、春季ブルーム期の光合
成-光曲線の時系列変化を初めて捉えた。

海水中の鉄濃度とP-Eパラメータの間に有意な相
関は見られなかったが、ケイ藻の大増殖には、光
合成と光に関する生理変化が大きく関与している
ことが示された。

今回の結果をモデルへ導入するために、さらなる
解析を行いたい。