Transcript 2.n次元の集合と位相
n次元位相空間の集合と位相
集合と論理
• 集合
– 数学的に分析対象になるように定義されたもの
の集まり
– 実数、[0,1]で定義された連続実関数
– みかんやりんごではない
– 基礎論では、ややこしい定義がある。
– 普通は何らかの構造を与えられた集合である空
間とその要素や部分集合から話が始まるの
集合、要素、部分集合
W:全体の集合
W:その要素
A :部分集合
各Wは、 A(Aに属する)かA(Aに属さな
い)かどちらか
AC : Aの補集合・・Aに属しない要素をすべて含む
集合
WC):空集合・・・一つも要素がない集合
集合の包含
AB :AがBに含まれる
Aの要素はすべてBの要素
A=B (ABかつBA)
AB BCAC
AWがすべてのAについて成立する
必要条件と十分条件
• 基礎論に遡らなければ以下は同じ
– 「ある条件が成立すれば別の条件が成立する」
– 「別の条件が成立するのは、ある条件が成立する
ときだけである」
– {ある条件が成立する集合}{別の条件が成立す
る集合}
– ある条件は、別の条件の十分条件
– 別の条件は、ある条件の必要条件
– ある条件別の条件
– 別の条件が成立しないある条件が成立しない
(対偶)
必要十分条件
•
•
•
•
(ある条件⇒別の条件)かつ(別の条件⇒ある条件)
ある条件⇔別の条件
ある条件は別の条件の必要十分条件
ある条件と別の条件は同値(equivalent)
和集合と共通部分
A B
Aと Bのどちら かに属する 要素から なる 集合
A B
A B)
C
Aと Bの両方に属する 集合
A B , A B) A B
C
C
C
C
ド・モルガンの法則 ・・図を描くとすぐわかる
C
和集合と共通部分(沢山のとき)
A1, A2 ,...のどれか属する 要素から なる 集合
A
i
i 1
i 1
Ai
n
A
i 1 i
A ,
A1, A2 ,...のすべてに属する 集合
有限のと き
n
A
i 1 i
A
集合に順番がつく ( 加算) と 限ら ないと き
一般のド・モルガン法則
A
A
)
C
C
)
C
A
)
A
)
C
• 右に入っている要素が左に入っていて、左
に入っている要素が右に入っていることを
じっくり言葉で説明できる
加算集合と非加算集合
• 有限集合(finite set)
– 有限個の集合
• 加算集合(countable set)
– すべての要素が順番に並べられる
– 自然数と一対一対応ができる
• 非加算集合
– すべての要素が順番に並べられない
有理数の加算性
• 正の有理数は以下のように並べ、通分して同
じものは飛ばせば、どの有理数も必ずやがて
は出てくる
1
2
3
4
1
(1)
(2)
(6)
(7)
2
(3)
(5)
(8)
3
(4)
(9)
4
(10)
分母
分子
実数の非加算性
• 加算なら(0,1)の実数を順に並べられるとする。
• これを10進法で表す(0.1は0.099....の書き方
にする)
• 1番目の桁が一番目の数と違い、2番目の桁
が二番目の数と違う・・・というふうに作った数
は、実数だがリストに載っていない
• 選好と効用関数
二財の組み合わせで、どちらがいいかは無差別曲線で表される
行儀のいい選好は実数値を取る効用関数であらわすことができる
例・・対応する無差別曲線の原点との最
少距離
ビール
距離の自乗や対数も同じ選好に対応す
る効用関数
𝑥, 𝑦
𝑢 𝑥, 𝑦
辞書的選好
𝑥, 𝑦 ≻ 𝑥′, 𝑦′ ⇔
𝑥 > 𝑥′ or 𝑥 = 𝑥′&𝑦 > 𝑦′
一番目が単語の一番目のアルファベットに対応するので辞書的
効用関数であらわされるとすると
𝑢 𝑥, 1 , 𝑢 𝑥, 2
から、一つ有理数がとれる。
加算な有理数と非加算な無理数の間の一対一対応はできない
辞書的選好に対応する効用関数は存在しない
関数
Aから Bへの関数f x )
Aの要素xが一つ決ま る と
Bの要素f x )が一つ決ま る
関数
関数でない
Aから Bへの関数f x )
A : 定義域( domai n)
B : 値域(range)
y y B, x, y f x )
関数の例
数列
a1, a2 ,....
定義域
値域
自然数
実数
二項関係(例えば a b ) 順 序 の つ い た ペ ア (ordered {成り立つ、成り立
pair)
たない}
1
定積分
実関数
実数
f x )dx
0
f C ) y y B, x C, y f x )
Cの像: C Aの行き 先
f
1
D) x x A, y D, y f x )
Dの逆像: D Bの戻り 先
逆像のほう がよ く 使われる
f
1
f 1 D ) f 1
f
1
D )
f
1
D ) f D )
C
1
C
)
D )
D
f : A Bの関数
上への写像(on to,surjection(全射)) f A) B
一対一(one to one,injection(単射))
f
-1
y)の要素がたかだかひと つ
x x ' f x ) f x ')
一対一(bijection(双射)) one to oneでonto
加算集合は自然数と のbijectionがある
n次元実ベクトル Rnの点
n個の実数を並べたもの・・
いろんな物の値段、いろんな人の所得
x1
x
x
n
ちゃんとした書き方
x x1,..., xn )
大雑把な書き方
Rnの定義と集合の記号の話を集める
Rnの収束
x x ,..., x
1
1
1
1
n
), x x
2
2
1
,..., x
x x1,..., xn )に収束
べきではない
x x1,..., x n xnが
k
1
k
各k 1,2...について成立
2
n
) ,....が
Rnの距離
x y ) x y ) )
x x1,..., xn )と y y1,..., yn )の距離
x y
2
1
1
2
n
n
2次元と3次元ではピタゴラス定理で出る
距離の公理
ある空間のペアの実数値関数で以下の公理を満たす
x, y ) 0
x, y ) y, x )
x, y ) 0 x y
x, y ) y, z ) x, z )
三角不等式
距離のあるのが距離空間
max x1 y1 , , xn yn )は別の距離
距離空間の収束
xn x xn , x ) 0
• Rnでは、要素ごとの収束と同じ
max x1 y1 , , xn yn )はRnの別の距離
• 収束などは同じ・・同じ位相(topology)を与
える
線形空間
Xが(実)線形空間
x, y X , , R x y X
(実)線形空間のノルム
x 0, x 0 x 0,
x x , x y x y
例 Rnの原点からの距離
線形空間(続き)
(実)線形空間の内積
x, x ) 0, x, x ) 0 x 0,
x, y ) y, x ) ,
x y, z ) x, z ) y, z ): , R
例 Rnの内積
x, y) i1 xi yi
n
内積・ノルム・距離の関係
x, y )が内積
x
x, x )がノ ルム
x, y ) x y が距離
max x1 y1 , , xn yn )は内積から 導けない
コ ーシー・ シュ ワ ルツの不等式
2
x, x) y, y ) x, y )
0 x y, x y ) 2 x, x ) 2 x, y ) y, y )
判別式が負
4 x, y ) 4 x, x ) y, y ) 0
2
x, x ) y, y ) x, y )
2
x, x ) y, y ) 2 x, x ) y, y ) x y, x y ) x, x ) y, y ) 2 x, y )
x, x ) y, y ) x y, x y )
x y x y
内点、集積点と開集合、閉集合(1)
• 開球 (近傍): xから距離が以下の点の集合
B x, ) y y x , x R , 0
n
• Aが開集合・・ Aの各点がAに完全に入ってい
る近傍を持つ
x A B x, ) , B x, ) A
• 直感的にはつぶれないで端を含まない
内点、集積点と開集合、閉集合(2)
• Aの集積点・・ Aの点列の極限
– 同じ点を繰り返す数列は、OKなのでAの点は、す
べてAの集積点
– Aの集積点は、 Aに属するとは限らない
– Aの集積点をの集合がAの閉包 A
A A
• Aがその集積点をすべて含むとき、閉集合
A A
内点、集積点と開集合、閉集合(3)
• 開集合の補集合は、閉集合で閉集合の補集
合は開集合
• 例・・すべての有理数の集合の閉包は、すべ
ての実数の集合
– すべての有理数の集合自体は、閉集合でも開集
合でもない
有界集合
• Aを含む開球があるときAは有界
• 開球でなくても無限に広がっていなければい
い
• 有界(bounded)と有限(finite)は違う
コンパクト集合
• Rnでは有界な閉集合
• 一般的な定義は、ハイネ・ボレルの被覆定
理式
A
A
,
A
:
開集合
A1 ,..., An , A
n
A
i 1 i
距離空間の連続関数
xn x f xn ) f x)
• 以下では連続でない行儀の悪い関数はほと
んど出ない
関数の逆像(1)
f
1
A) x : x R , f x) A
n
• つまり行き先がAに入る点の集合
• 逆写像は単調性を仮定し点なのに対し、
逆像は集合
例 f x ) x f
2
1
4) 2, 2
関数の逆像(2)
• 逆像は、都合のいい性質をすべて持つ
f
f
f
1
1
1
)
A )
A
A ) f A)
C
1
A ),
1
f
A
,
)
f
1
C
• 連続関数の開(閉)集合の逆像は開(閉)集合
– 連続関数のより一般的な定義
関数の像
f A) y : x A, y f x )
• つまり集合の行き先
f A B) f A) f B )は等号では成立し ない
f(A) f(B)
A B
f A B)
f(A)
A
B
f(B)
コンパクト集合の性質
• コンパクト集合上で連続関数は最大値と最小
値を取る
– 最大化の解が存在することをちゃんというには、
必要
– コンパクト集合の連続関数による像はコンパクト
– n次元実空間ではコンパクト集合と有界閉集合が
一致するので上の命題が出る
凸集合
A R が凸集合
n
x A, y A, 0,1) x 1 ) y A
凸集合
凸集合でない
分離定理
二つの交わら ない凸集合の間に分離超平面がある
いく つかのバージョ ンがある
p1,..., pn , C ) Rn1,
Both A and B are convex,
A B
x1,..., xn ) A p1x1 ..., pn xn C
x ,..., x B p x ..., p x C
n)
1 1
n n
1
分離定理の経済学への応用例
• 厚生経済学の第2基本定理の証明
• パレート効率的な資源配分は一括的な所得
再分配をすれば、完全競争市場均衡になる
• 分離超平面が価格ベクトル
ブラウアーの不動点定理
f : A Aの関数
f の不動点 : f x ) xと なる 点
n
R でAが有界閉凸集合でf が連続なと き
不動点が存在する : ブラ ウ アーの不動点定理
対応(Correspondence)
• 部分集合への関数
対応の上半連続
yk f xk ) , xk x, yk y y x )
x, y ) x A, y f x)が閉
角谷の不動点定理
R の有界閉凸集合から その中の凸集合への
対応が上半連続なら 不動点が存在する
n
対応の不動点はx f x )
グリコ・チョコレート・パイナップル
ゲーム
• グーで勝てば3歩進む
• チョキで勝てば6歩進む
• パーで勝てば6歩進む
• いつも同じ手では読まれて負けるのでランダ
ムに混ぜる必要がある
• どのようにランダムに混ぜるか
• どんな混合戦略をとるか
Aの戦略
Bの戦略
pG , pC , pP
qG , qC , qP
Aの期待利得
3 pG qC 6 pC qP 6 pP qG
Aの反応対応
qG , qC , qPに対してAの期待利得
3 pG qC 6 pC qP 6 pP qG
を最大にする pG , pC , pP の集合
RA 1,0,0) ) 0,0,1)
1 1 1
qG , qC , qP ) , ,
4 2 4
3
3
3
3
3 pG qC 6 pC qP 6 pP qG pG pC pP
2
2
2
2
1 1 1
RA , , S
4 2 4
S x, y, z ) x 0, y 0, z 0, x y z 1
Nash均衡
pG , pC , pP ) RA qG , qC , qP ))
qG , qC , qP ) RB pG , pC , pP ))
お互いに手を変えないほうがいい
このゲームのNash均衡 1 , 1 , 1 , 1 , 1 , 1
4 2 4 4 2 4
普通のじゃんけんのNash均衡
1 1 1 1 1 1
3 , 3 , 3 , 3 , 3 , 3
一般の非協力ゲーム
Aの混合戦略 p p1,..., pm )
Bの混合戦略 q q1,..., qn )
m
Aの期待利得
n
p q u
i 1 j 1
m n
Bの期待利得
i
j ij
p q v
i 1 j 1
i
j ij
Aの最適反応対応
RA q )
Bの最適反応対応
RB p )
Nash均衡の存在
p RA q) , q RB p) Nash均衡
RA q) , RB p) は上半連続
f x, y )が連続
y ) arg max x f x, y )は上半連続
p, q) RA q) , RB p))
は上半連続
定義域が凸有界閉なので角谷不動点定
理が適用でき、 p, q ) RA q ) , RB p ))
となる点がある
角谷定理の他の応用
• 一般均衡競争モデルの均衡価格の存在