他人の煙は迷惑 - 産業医科大学

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Transcript 他人の煙は迷惑 - 産業医科大学

サービス産業のタバコ煙(PM2.5)は北京並み
〜従業員の健康を守るために全面禁煙化を〜
産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大和
飲食店等のサービス産業を含む全面禁煙化
→吸いにくい環境づくり
「神奈川県条例」の意義と課題
禁煙治療 ・サービス産業も良好な遵守姿勢
へ誘導
・ただし、分煙の実効性は・・・?
・官公庁の喫煙室は撤廃を
喫煙率低下
禁煙化
推進
北京のPM2.5(最大800μg/m3、平均300μg/m3)
PM2.5:石炭、石油、草木の燃焼から発生
米国環境基準
35μg/m3
左の写真が曇っているのは、粉じんが光を乱反射しているため。
工業の発展による工場排煙の増加、急増する自家用車の排気ガス
家庭の暖房、調理に使用される石炭から粉じんが発生。
在中国日本国大使館HPより転載
タバコ煙の直径は1μm以下=典型的なPM2.5
PM10:土埃など粒径約10μm以下
RSP:浮遊粉じん、約7μm以下
花粉
30μm
PM2.5:粒径2.5μm以下
タバコ煙:1.0μm以下
大きな粒子は鼻で除去
=花粉症に
タバコ煙(PM1)は、肺の最深部
=肺胞に到達し、その一部は
呼気に吐出されるほど小さい
非喫煙者の肺
ヘビースモーカーの
米国東部の6都市研究:PM2.5濃度が高いほど、
死亡率、肺がん・心筋梗塞の発生率が高かった
大気中PM2.5が10〜15μg/m3であれば、死亡率に影響なし
P: ウィスコンシン州ポーテジ
T: カンザス州トペカ
W: マサチューセッツ州
ウォータータウン
L: ミズーリ州セントルイス
H: テネシー州ハリマン
S: オハイオ州
スチューベンビル
PM2.5濃度の25μg/m3
あたりの相対リスクの増加
全死亡で1.36 倍
(95%
CI:1.11, 1.68)
肺がん死亡で1.51倍
(95%CI:
0.75, 3.09)
心肺疾患死亡で1.51 倍
WHOの空気環境基準
(95%CI:
1年平均: 10μg/m3
1.16, 2.00)
24h平均:25μg/m3
環境省 微小粒子状物質(PM2.5)に関する基準値
2009年9月9日告示
 1年平均値が 15μg/m3 以下であり、かつ、
1日平均値が 35μg/m3 以下であること。
 外出を自粛するレベル:70μg/m3 以下(2013年)
わが国のサービス産業の
PM2.5濃度はWHO基準の15〜20倍
全席喫煙の喫茶店:
最高値:573μg/m3
平均値:371μg/m3
店内
屋外
屋外
「神奈川県公共的施設における
受動喫煙防止条例」へ期待
「国が受動喫煙防止法を作らないなら、
地方自治からリードする」
「タバコ税より、県民の健康の方が大切です」
2010年4月施行
2008年2月、
前神奈川県知事、松沢氏のご挨拶
日本禁煙推進医師歯科医師連盟総会:横浜
神奈川条例の効果=「あり!」

横浜市関内の繁華街を
5人の調査員で、
1096店舗の喫煙対策を
すべて立ち入り調査
規制対象の大型店舗(100m2以上)は、すべて何らかの
対策を実施:全面禁煙を選択した店舗も多数
馬車道十番館
条例後、個室もバーも禁煙化
神奈川条例の効果:
居酒屋でも
全席禁煙(喫煙専用室)の対策あり、
チェーン店で神奈川県内の店舗だけ。
喫煙室
ゲームセンターでさえ対策を実施:
条例は社会に大きなインパクトを与えた0
喫煙・禁煙フロア
喫煙専用ルーム
ただし、壁とエアカーテンで「分煙」した店舗では効果なし
天井から床方向に
エアカーテン
喫煙席
禁煙席
ガラス壁で喫煙席を分離、
出入口にはエアカーテン
喫煙席を壁とドアで仕切った喫茶
店:
排気不足&自動ドアで煙がこもる
ため最高885μg/m3=北京並み
禁煙席も外出自粛レベルに。
北京市内のPM2.5
喫煙席の
PM2.5最高:
885 μg/m3
喫煙席平均:441μg/m3
自動ドア
喫煙席
禁煙席
喫煙席のPM2.5平均濃度:
441μg/m3
禁煙席も68μg/m3に
神奈川条例で全席禁煙化、従業員の受動喫煙ゼロ
従業員測定:条例前
定点測定
条例で全席禁煙
神奈川県K市役所、全面禁煙から条例後「喫煙室あり」に後退。従業員の受難
職業的受動喫煙測定
定点測定
神奈川県K市役所喫煙室、業務上の受動喫煙
掃除担当
飲食店も従業員にとっては職場:
北京のひどい日に相当するPM2.5の中で働く人たちを受動喫煙の被害か
ら保護するために、防じん防毒マスクを着用させるのは非現実的。
神奈川条例の不足点を改善し、日本全土に受動喫煙防止法を!
全面禁煙!