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2015年2月3日
COP20報告シンポジウム
COP20の成果とCOP21への展望
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
大井 通博
1.背 景
IPCC第5次統合報告書の要点
 気候システムの温暖化には疑う余地がない。世界地上平均気温は1850年~1900年と
1986年~2005年を比較して0.61℃上昇。
 人為起源の温室効果ガスの排出が、20世紀半ば以降の観測された温暖化の支配的
な原因(95%の可能性)。
 今世紀末の気温上昇は、現在と比較して、厳しい温暖化対策が取られなかった場合
は2.6~4.8℃、厳しい温暖化対策を取った場合は0.3~1.7℃上昇。
(℃)
 今後数十年間の大幅な排出削
減が極めて重要。これにより、
21世紀以降の気候リスクの低減
につながる。
厳しい温暖化対策を
とらなかった場合、
2.6~4.8℃上昇
 2℃目標の経路
複数あるが、どの経路において
も以下を要する。
①2050年に40~70%削減
(2010年比)
②21世紀末までに排出をほぼゼロ
厳しい温暖化対策をとった場合、
0.3~1.7℃上昇
図.1986年~2005年平均気温からの気温上昇
(産業革命前と比較する際は0.61℃を加える。)
(AR5 SYR Fig.6 編集)
3
世界のエネルギー起源CO2排出量の推移
 世界全体の排出量のうち、米中2カ国で40%以上を排出。
 今後の排出量は、先進国は微増なのに対し、途上国は急増するとの予測
⇒すべての(主要)国が参加する枠組みの必要性
1990年
その他
27.5%
2012年(現状)
中国,
10.9%
その他
その他
30.3%
中国,
中国
26.0%
米国
23.2%
ブラジル
0.9%
日本
5.1%
ロシア
10.4% インド
EU27ヵ国,
19.3%
2.8%
210億トン
その他
33.2%
中国
28.1%
米国,
16.0%
米国
ブラジル
1.4%
日本
3.9%
2030年(予測)
EU27ヵ国
EU27か国
11.0%
ロシア
5.2% インド
6.2%
317億トン
米国
12.9%
ブラジル
1.8%
日本
2.7%
ロシア
4.8%
インド
9.1%
EU28ヵ国
7.4%
365億トン
IEA「CO2 emissions from fuel combustion 2014」「World Energy Outlook (2013 Edition)」に基づいて環境省作成
4
国際交渉の経緯
1990
条約
採択
(1992)
2000
2010
2020
条約
発効
(1994)
先進国に対して、法
的拘束力ある数値
目標の設定(途上国
は削減義務なし)
COP3
京都
議定書
採択
(1997)
京都
議定書
発効
(2005)
先進国・途上国の2020
年の削減目標・行動の
ルールを設定
京都議定書
第2約束期間
(2013-2020)
※我が国は参加せず
京都議定書
第1約束期間
(2008-2012)
COP16
カンクン
合意
(2010)
2020年以降の、全ての
国が参加する新たな枠
組み(2015年のCOP21
で合意すべく交渉中)
2020年までの削減目標・行動
を条約事務局に登録・実施
※我が国は現時点の目標として、
2005年度比3.8%減を登録
COP17
ダーバン・
プラット
フォーム
(2011)
COP21
新枠組みに
合意予定
(2015)
新枠組みの
発効
5
COP17ダーバン決定(2011)
<新たな枠組みの大枠>
 2020年から発効・実施させる
 「条約の下で」
 「全ての国に適用される」
 「議定書、他の法的文書又は法的効力を有する合意成果」
緩和(排出削減)、適応、資金、技術、行動の透明性、能力
向上を作業のスコープに含む
<作業の段取り>
 2015年までに新たな枠組みを採択
 新しい作業部会(ADP)を2012年前半に立ち上げ
 2020年までの排出削減の野心レベル向上に関する作業も併
せて進める
6
ダーバンプロセス:2015合意に向けた進展
COP19
COP18
(2013年、ポーラン
ド・ワルシャワ)
COP20
(2014年、ペルー・リマ)
COP21
(2012年、カタール・
ドーハ)
(2015年、フランス・パリ)
COP17
(2011年、南ア・
ダーバン)
■2015合意の要素を2014年から検討
■全ての国が、COP21に十分先立ち(準備ができる国
は2015年第1四半期までに)自らの約束草案を示す。
■約束草案に含めるべき情報をCOP20で特定
■ADPの開始。作業計画に合意。
-少なくとも年2回開催
-2015年5月までに合意の交渉テキ
スト案を作成
■2020年以降の枠組みを2015年までに採
択。
■交渉の場として「ダーバン・プラットフォー
ム特別作業部会(ADP)」を2012年前半
に設置
7
約束草案(INDC)
COP19ワルシャワでの合意:
各国は、COP21に十分先立って(準備ができる国は2015年第1四半
期末までに)、各国の目標の案(Intended Nationally Determined
Contributions: INDC)を示す
⇒各国の提出するINDCが、2015合意の鍵を握る。
 すべての国の参加を確保するためには、各国の目標は各国自らが定める
「各国提案方式」が有効、という発想。
 各国の目標を各国が定めることにより、自ずと差異化が実現される(Selfdifferentiation)。それにより、先進国・途上国という従来の二分論的アプロー
チを変えたいとの考え。
これまでにEU、米(、中)が2020年以降の目標を表明
8
EU
「2020-2030年の気候とエネルギーに係る政策枠組み」
・2014年1月に欧州委員会が提案。
・2014年10月23-24日の欧州理事会(首脳級会議)で決定。(下線は欧州委員会提案からの修正)
●温室効果ガス削減目標
EU全体の排出量を2030年までに少なくとも1990年比40%削減。
●再エネ目標
EU全体での最終エネルギー消費量に占める再エネ(電力及び熱※1)のシェアを2030
年に少なくとも27%(※2)とする。
※1:電力に関しては、再エネ電力が占める割合が、現状21%から2030年に45%に上がると想定。
(2014年1月22日・欧州委員会提案)。日本は現状約11%。
※2:現状13% (2014年1月22日・欧州委員会提案)
●エネルギー効率
BAU(成り行き)シナリオに比べ、EU全体での2030年のエネルギー効率を少なくとも
27%改善(努力目標)。30%改善も念頭に、2020年までに見直す。
●越境系統連系
2030年までに域内各国の発電容量の15%を連系させることを目指す。
等
9
米中の気候変動に関する共同発表
オバマ米大統領と習近平中国国家主席は、2014年11月11、12日の2日間にわたって北
京で会談し、温室効果ガスの両国の削減目標等について共同発表。
●米国
温室効果ガス排出量を2025年までに2005年比26~28%削減
・2050年80%規模の削減に向けた経路に沿った目標
・既存法の下での削減策で達成可能
・2020~2025年に、毎年平均して2.3-2.8%の削減(2005-2020年までの2倍のペース)
●中国
CO2排出量を2030年頃までにピークを迎えるように取り組む。
総エネルギー消費量に占める非化石燃料エネルギーのシェアを2030年までに約20%
とする。
※原子力発電を含むか否かは明確にせず。
●両国は、
・2℃目標を念頭に置きつつ、今回の発表は低炭素経済への移行に向け、より長期的な取組の
一部であることを認識。
・継続的な野心向上に向けて取り組んでいく。
・米中によるこのタイミングでの発表が、他国によるできるだけ早期の、望ましくは2015年第1四
半期までの、野心的な行動の発表につながることを期待。
その他、
・エネルギー共同研究開発の強化、中国におけるCCSプロジェクトの開始、HFCs削減協力の促進、
スマート・低炭素都市イニシアティブの開始、グリーン貿易の促進等
10
2.COP20の結果
「リマ声明」 Lima Call for Climate Action
①2015年合意の要素
■リマでの議論の成果(各国の主張を集約した文書) をCOP20決定の附属書
として掲載。
■交渉テキスト案を2015年5月までに準備するべく、更なる検討を行う。
⇒COP21に向けた議論が一歩前進。
②各国の約束草案(目標案)
■約束草案は、緩和を中心とし、適応についても含めることを検討。
■約束草案提出にあたって提出できる情報を決定
⇒すべての国が約束草案を提出できる状況が整った。
■条約事務局に以下の作業を要請
-各国が提出した約束草案をウェブサイトに掲載。
-各国の約束草案を総計した効果に関する統合報告書を11月1日までに作成。
⇒我が国が提案していた、締約国等の間で約束草案に対する質問・意見を交わ
すプロセスは合意されず。しかし、各国の約束草案が公開された形で枠組み交
渉を進めることとなった。
12
COP20の結果:①2015合意の要素
COP20の成果:COP21に向けた議論の前進
■2015年合意は、緩和、適応、資金、技術開発・移転、能力構築、行動・支援の透明
性をバランス良く扱うべきことを決定。(パラ2)
2015年
合意の
要素
■2015年合意を通じて、適応行動を強化する決意を確認。(前文)
■異なる各国の事情に照らし、共通だが差異ある責任の原則を反映した野心的な
2015年合意を目指すことを強調。(パラ3)
■先進国に対し、途上国の野心的な緩和・適応行動のための資金支援を提供・動員
することを要求。その他の国による補足的支援についても認識。(パラ4)
■2015年合意の要素の検討について、リマにおける進展を認識し、その成果(各国の
主張を集約した文書)をCOP20決定の附属書として掲載。(パラ5)
交渉
テキスト案 ■交渉テキスト案を2015年5月までに準備するべく、ダーバン・プラットフォーム特別作
業部会(ADP)において更なる検討を行うことを決定。(パラ6)
※COP20決定パラ番号
13
COP20の結果:②約束草案
COP20の成果:すべての国が約束草案を提出できる状況が整った。
■全ての国に対し、条約第2条に基づく目的達成(温室効果ガス濃度の安定化)の
ための約束草案(削減目標)を提出するよう、改めて招請。(パラ9)
■各国の約束草案は現在の目標・取組よりも進んだものとする。(パラ10)
約束草案 ■後発開発途上国及び島嶼国は、約束草案として、低炭素成長に向けた戦略・計
の範囲
画・行動を提出できる。(パラ11)
■全ての国に対し、適応計画の取組を提出すること、又は約束草案に適応の要素
を含めるよう検討することを招請。(パラ12)
■全ての国がCOP21に十分先立って(準備ができる国は2015年第1四半期までに)
約束草案をその明確性、透明性、理解を促進するような形で提出することを改め
約束草案
て招請。(パラ13)
に含める ■①参照値(基準年等)、②期間、③対象範囲・カバー率、④計画プロセス、⑤前提
べき情報
条件・方法論(温室効果ガスの排出・吸収の推定・算定方法を含む)、⑥各国の
約束草案が公平・野心的であることの説明、⑦条約第2条の目的達成にいかに
貢献するものであるかの説明を提出できることを合意。(パラ14)
気候変動枠組条約事務局に下記を要請。(パラ16)
約束草案 ■各国が提出した約束草案をウェブサイトに掲載。
提出後の ■2015年10月1日までに提出された約束草案について、その総計した効果に関す
作業
る統合報告書を11月1日までに作成。
※COP20決定パラ番号
14
COP20の結果: ③あらゆる主体の行動の促進
COP21に向けて、自治体・民間企業の方々の取組への注目が高まっている。
■12/11に、プルガル・ビダルCOP20議長のイニシアティブで「リマ気候行動
ハイレベル会合」が開催。
気候行動
■この「リマ気候行動」の一部として、ペルー政府がUNFCCC事務局の支援の下
ポータル
新しい気候行動ポータル Nazca Climate Action Portal を設立。
設立
■都市、地域、企業、投資家による豊かな気候行動の見える化を促進するため
( 「リマ
のポータルであり、今後もパリに向けたプロセスの中で更なる行動が追加され
気候行動」
る予定。
の一部) ■ICLEI(持続可能性をめざす自治体協議会)とも連携され、日本の多くの自治
体の取組も共有されている。 http://climateaction.unfccc.int/
リマ・パ
リ行動ア
ジェンダ
■ペルー政府及びフランス政府(COP21ホスト国)が、気候変動対策を進め、
2020年までの野心・2015年合意への支援を更に向上させるため、リマ・パ
リ行動アジェンダを立ち上げた。
■2014年9月の国連気候サミットも踏まえ、国、都市、民間セクターの行動を
より活性化させるためのアジェンダであり、今後、主要なグローバル、国家
レベル、地域レベルのリーダーの取組促進や、国以外のアクターのパートナ
ーシップ、行動促進のショーケース化への貢献が期待されている。
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COP20の結果: ④適応(ロス&ダメージ)
背 景
適応とロス&ダメージ(L&D)
適応・・・気候変動による影響に対して、被害を和らげる自然・人間システムの調整
ロス&ダメージ・・・自然又は人間システムに対し負の影響を及ぼす現実的及び潜在的な気
候変動による影響の発現(※交渉上合意された定義はない。)
L&Dの交渉経緯
■カンクン合意(2010)
「カンクン適応枠組み」:①適応委員会、②適応計画、③L&D作業計画
■「L&Dに関するワルシャワ国際メカニズム(WIM)」(2013)の設立
-2015~2016年の2カ年作業計画をCOP20で決定 ⇒2016年COP22で作業の見直し
-執行委員会の構成等をCOP20で決定
COP20の結果
• ①2カ年作業計画、②執行委員会の構成と手続き に合意。
• 執行委員会は、先進国10名、途上国10名で構成(経験・知見を有する専
門家のノミネートを奨励)。第1回執行委員会を3月までに開催 等
16
COP20の結果: ④市場メカニズム関係
ADP(強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会)
• 各国の約束草案(目標案)について
 約束草案とともに提出する事前情報として、市場メカニズムの活用を
記載することは可能となった
• 2015年合意における市場メカニズムやアカウンティングについて
 各国の多様な意見がオプションとして記載された途中経過文書
SBSTA(科学および技術の助言に関する補助機関)
• (2020年以前を含む)国際的な市場メカニズム等の様々なアプローチの
ための枠組み、特に二重カウントの防止の必要性等について各国が意
見を表明したが、結論が得られず2015年6月の次回会合において、引き
続き議論することとなった。
SBI(実施に関する補助機関会合)
• 京都メカニズム(特にCDM、JI)の改革について各国が意見を表明したが、
実質的な結論が得られず、2015年6月の次回会合において、引き続き議
論することとなった。
17
望月環境大臣の対応
(1)閣僚級会合における日本代表ステートメント
12月10日のハイレベル・セグメント(閣僚級会合)において、
日本政府代表として、下記について演説。
・「2050年までに世界全体で50%減、先進国全体で80%減」と
いう目標を改めて掲げること
・我が国の約束草案の出来るだけ早期の提出を目指すこと
・我が国の技術を活用した世界全体の排出削減への貢献、
途上国の緩和行動及び適応に関する支援、資金支援等を進
めていくこと
等
(2)バイ会談
COP20議長国ペルー、COP21議長国フランス、EU、英国、中国等7つの国・地
域の閣僚及び潘基文国連事務総長など国際機関の長と会談を行い、新た
な枠組みの合意に向けて協調していくことの重要性を確認。
・潘基文国連事務総長からは、全ての国に約束草案を2015年第1四半期に
提出することを要請している旨述べられた。
・EUからは、日本の約束草案の早期提出への期待が示された。
・フランス及び英国等からは我が国が気候変動問題の解決をリードすること
への期待が示された。
(3)「JCM署名国会合」を開催
二国間クレジット制度(JCM)に
署名した12か国が一堂に会する
「 JCM 署 名 国 会 合 」 を 開 催 し 、
JCMの進捗の歓迎と更なる進展
に向けて共同声明を発表。
18
ジャパン・パビリオン
日本政府として「ジャパン・パビリオン」と題する
イベントスペースを設置。
・国、各種機関・組織、研究者等の取組の紹介や議
論を行うイベントを多数開催し、気候変動対策に関
する我が国の貢献等について紹介。
・12月1日-11日までの11日間で25のイベントを開催。
多数の聴衆を集めた。
「AIMモデルを用いた低炭素都市実行計画づくりの事
例紹介と今後の展開」
二国間
クレジット
制度(JCM)
について多く
のイベントを
開催
国立環境研究所及び京都大学等が開発してきたアジ
ア太平洋地域における温暖化対策モデル(AIM)を用
いて、滋賀県、京都市、イスカンダル及びプトラジャヤ市
(マレーシア)、ホーチミン市(ベトナム)で行ってきた気
候変動実行計画づくりの経緯を紹介。望月環境大臣が
19
挨拶。
JCM署名国会合共同声明(概要)
• JCMの進捗を歓迎し、引き続きJCMを通じた優れた低炭素技術
の促進による地球規模での温室効果ガスの排出削減・吸収への
継続した貢献に対する期待を共有。
• すべての署名国における関係者と協力し、JCMの実施を進展さ
せる意思を共有。
• 地球規模での温室効果ガスの排出削減・吸収の達成において、
JCMの実施を通じて得られた経験を共有することにより、気候変
動に関する国際連合枠組条約に引き続き貢献していく意図を確
認。
(共同声明賛同国)日本、モンゴル、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦
民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス
人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジ
ア王国、及びメキシコ合衆国
20
3.COP21に向けて
2015合意の論点(課題)
キーワード(COP17ダーバン合意)
 条約の下で(under the Convention)
 全ての国に適用される(applicable to all Parties)
 法的な合意 (a protocol, another legal instrument or an agreed outcome with legal
force)
(ワルシャワ~リマでの決定)
 合意に十分先立って各国が自らの約束草案を提出
 「緩和、適応、資金、技術、能力構築、透明性」の6要素をバランスよく扱う
 適応の行動を強化するとの決意
主な論点: 来年の交渉における宿題
• 各国間の差異化のあり方(「共通だが差異ある責任」原則の反映のさせ方)
• 各国の目標はまず各国が定める「各国提案方式」で、いかに実効性を確保するか
(「参加」と「野心」のジレンマ)。
• 「適応」の取り扱い。
• 「資金」、「技術」、「能力構築」の扱い。
• 「透明性」(報告、評価)の仕組み
• 合意の法的形式(議定書、その他)
22
COP21に向けた道筋
C
O
P
20
2月交渉会合
ジュネーブ
(2/8-13)
5月までに交渉テ
キスト作成
6月交渉会合
ボン(6/3~14)
秋 交渉会合
C
O
P
21
新たな枠組
み採択
各国の約束草案をウェブサイトで公開
各国がCOP21に十分先
立って(準備ができる国
は2015年3月末までに)
約束草案を提出
各国の約束草案が参照できる
状態で枠組みの交渉
この間、様々な非公式会合でも議論予定
2015年12月
(パリ)
各国の約束草案を総計
した効果についての統合
報告書を11月1日まで
に作成
今後の日本の対応:
■全ての国が参加する公平かつ実効的な枠組み構築に向けて、引き続き交渉に積
極的に貢献。
■約束草案については、COP決定、各国の動向や将来枠組みに係る議論の状況、
エネルギーミックスに係る国内の検討状況等を踏まえて検討し、できるだけ早期に
提出することを目指す。
23
まとめ
2015年COP21(パリ)に向け、国際交渉は正念場。
 リマCOP20では、合意に向けて「一歩前進」。
 だが、先進国・途上国の意見対立は厳しさを増しており、合意への道のりは険しい。
2015合意は「条約の下で」「すべての国に適用される」
「法的な」「2020年以降の」枠組み。
 差異化のあり方が重要論点
 「参加」と「野心」のジレンマ。「各国提案方式」を基本としつつ、いかに実効性(世界全
体での削減)を確保するか?
 適応、支援の位置づけも重要(途上国はむしろこちらに関心)
INDC(約束草案)が鍵。
 COP21に十分先立って各国が提出するINDCが、2015合意の主要要素
 INDCを横に置きながら交渉が進む形。INDCを先に示す国と未だ示さない国、野心
的な目標を掲げる国とそうでない国の間で発言力の差
 各国、特に途上国がINDCを示すことが重要。
 我が国としては、できるだけ早期に、できるだけ野心的な目標を示すことが必要 24
24
ご清聴ありがとうございました。
(参考)JCM関係資料
JCMの基本概念
 優れた低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラの普及や緩和活動の実
施を加速し、途上国の持続可能な開発に貢献。
 日本からの温室効果ガス排出削減・吸収への貢献を、測定・報告・検証(MRV)
方法論を適用し、定量的に適切に評価し、日本の排出削減目標の達成に活用。
 CDMを補完し、地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収行動を促進すること
により、国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献。
ホスト国
日本
優れた低炭素技術等の普及や
緩和活動の実施
合同委員会で
MRV方法論を開発
日本の削減目標
達成に活用
クレジット
JCMプロ
ジェクト
MRV
温室効果ガスの排
出削減・吸収量
27
二国間文書に署名済みの国
 日本は、2011年から開発途上国とJCMに関する協議を行ってきており、モンゴル、バ
ングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタ
リカ、パラオ、カンボジア、メキシコとJCMに係る二国間文書に署名。
【モンゴル】
2013年1月8日
(ウランバートル)
【ラオス】
2013年8月7日
(ビエンチャン)
【バングラデシュ】
2013年3月19日
(ダッカ)
【エチオピア】
2013年5月27日
(アジスアベバ)
【インドネシア】
2013年8月26日
(ジャカルタ)
【コスタリカ】
2013年12月9日
(東京)
【ケニア】
2013年6月12日
(ナイロビ)
【パラオ】
2014年1月13日
(ゲルルムド)
【モルディブ】
2013年6月29日
(沖縄)
【ベトナム】
2013年7月2日
(ハノイ)
【カンボジア】
2014年4月11日
(プノンペン)
【メキシコ】
2014年7月25日
(メキシコシティ)
 モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシ
ア、パラオとの間で、それぞれ合同委員会を開催。
28
JCMの進捗状況
• モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、
ベトナム、ラオス、インドネシア、パラオとの間で合同委員会
を実施し基本的なルール及びガイドライン類を採択。
• JCMウェブサイトを開設し運用中
• JCM登録簿を構築予定(2015年度中の見込み)
• 登録済みプロジェクト:1件
• 承認方法論:5件(モンゴル:1件、インドネシア:4件)
• 提案方法論:8件(モンゴル:1件、ベトナム:4件、インドネシア:
3件)
• 第三者検証機関を指定(各国ごと、複数の機関を指定済み)
• JCMの実施状況についてはCOP18決定(19/CP18)に基づき
各年報告書でUNFCCCに報告・専門家によるレビューを完了。
29
JCMのスキーム図
ホスト国
日本
合同委員会
(事務局)
•プロジェクト
登録の通知
政府
• クレジットの発行
•クレジット
発行の報告
•プロジェクト
登録の通知
• ルール、ガイドライン、方
法論の策定及び改定
• プロジェクトの登録
• JCMの実施に関する協議
政府
• クレジットの発行
•クレジット
発行の報告
政策対話の実施
•プロジェクト登録の
申請
•クレジット発
行の申請
• プロジェクト計
•プロジェクト登録の
•クレジット発 申請
行の申請
• プロジェクト計
プロジェクト参加者
• プロジェクトの実施及
びモニタリング
画書(PDD) /モ
ニタリングレ
ポートの提出
• 妥当性確認
(有効化)及
び検証の結
果の通知
第三者機関
• プロジェクトの妥当
性確認(有効化)
• 温室効果ガス排出
削減量及び吸収量
の検証
画書(PDD) /モ
ニタリングレ
ポートの提出
プロジェクト参加者
• プロジェクトの実施及
• 妥当性確認 びモニタリング
(有効化)及び
検証の結果
の通知
30
環境省JCM設備補助事業
2014年度予算額:
年間12億円かつ3か年
(合計36億円)
日本国政府
MRVの実施によりGHG排出削減
量を測定。クレジットの発行後は
1/2以上を日本政府に納入
初期投資費用の最大
1/2を補助
国際コンソーシアム
(日本の民間団体を含む)
補助対象者
(日本の民間団体を含む)国際コンソーシアム
補助対象
エネルギー起源CO2排出削減のための設備・
機器を導入する事業(工事費、設備費、事務
費等を含む)
事業実施期間
最大3年間
補助対象要件
補助交付決定を受けた後に設備の設置工事に着手し、
平成28年度内に完工すること。また、JCMプロジェクトと
しての登録及びクレジットの発行を目指すこと
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2013・2014年度 JCMプロジェクト設備補助事業(2015年1月時点)
モンゴル:
●高効率型熱供給ボイラの集約化に係る更新・新設(数理計画)
冬季の暖房用温水の供給に利用する旧式の低効率石炭焚き
ボイラ(HOB)を、高効率ボイラに更新又は新規に導入する。そ
の際、既存のHOBが建物個別供給型であるものを、高効率
HOBを集約的に導入し、集約的に温水(熱)供給することも想
定する。HOBによる暖房用熱供給を効率化し、石炭消費量を
削減する。
ベトナム:
◆卸売市場における有機廃棄物メタン
発酵およびガス利用事業(日立造
船)
卸売市場で発生する有機廃棄物に
ついてメタン発酵システムにより嫌気
性処理を行い、生じるメタンガスを回
収して水産加工工場へ供給する。
◆デジタルタコグラフを用いたエコドラ
イブ(日本通運)
エコドライブ啓発システムをトラック
輸送に導入し、CO2排出削減と安全
運転を促進する。
モルディブ:
◆校舎屋根を利用した太陽光発電システム導入
プロジェクト(パシフィックコンサルタンツ)
高効率のインバータ付太陽光発電を校舎屋根
に導入しグリッドからの電力消費を代替する。
●2013年度採択案件 (3ヶ国7案件)
◆2014年度採択案件 (3ヶ国7案件)
パラオ:
●島嶼国の商用施設への小規模太陽光発電システム(パシフィックコンサルタンツ)
商用施設屋上に高品質で耐風速性の高い小規模太陽光発電システムを設
置し、グリッド電力を代替することにより、CO2排出量を削減する
インドネシア:
●工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減(Batang市)(荏原冷熱シ
ステム)
製品品質管理のための空調(冷房)のための冷凍機として、高効率の圧縮
機とエコノマイザーサイクルを採用した省エネ型冷凍機を導入する。
●コンビニエンスストア省エネ(ローソン)
コンビニエンスストアにおいて、冷蔵冷凍・空調・照明に、それぞれ自然冷
媒(CO2冷媒)を採用した高効率冷凍機、インバータ式空調機器、及びLED
照明を導入する。
●コールドチェーンへの高効率冷却装置導入(前川製作所)
食品冷凍・冷蔵倉庫業に、自然冷媒(NH3・CO2の二元冷媒)を採用した
高効率冷却装置を導入する。
●冷温同時取出し型ヒートポンプ導入による省エネルギー(豊田通商)
冷温同時取出しヒートポンプからの温熱及び冷熱を同時に供給することで、
全体としての効率化を図り、CO2排出量を削減する。
●工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減(荏原冷熱システム)
製品品質管理のための空調(冷房)のための冷凍機として、高効率の圧縮
機とエコノマイザーサイクルを採用した省エネ型冷凍機を導入する。
◆セメント工場における廃熱利用発電(JFEエンジニアリング)
廃熱回収発電を導入し、セメント生産プロセスから生じる廃熱を電気エネル
ギーに転換することで、工場の消費電力を削減する。
◆無電化地域の携帯基地局への太陽光発電ハイブリッドシステムの導入(伊
藤忠商事)
電源にディーゼル発電を使用する携帯基地局に、太陽光発電と蓄電池を
導入することで、CO2排出量を削減する。
◆自動車部品工場のアルミ保持炉へのリジェネバーナー導入による省エネル
ギー化(豊通マシナリー)
工場の鋳造工程に高効率なリジェネバーナーを導入することで、CO2排出
量を削減する。
◆省エネ型ターボ冷凍機を利用した工場設備冷却(荏原冷熱システム)
紡績工場における品質管理(温度・湿度の適正化)のため、高効率の圧縮
機とエコノマイザーサイクルを採用した省エネ型冷凍機を導入する。
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