CT画像のノイズ特性

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Transcript CT画像のノイズ特性

第2回
CTテクノロジーフォーラム
フレッシャーズコース
「CT画像のノイズ特性」
名古屋市立大学病院
中央放射線部
市川勝弘
CT画像には,必ずノイズ成分が存在する.
ノイズが加わると....
10mm
5mm
2mm
SD=4
SD=6
SD=10
Q&A形式
わかる、CT画像のノイズ特性
Question 1
CT画像のノイズの主となる要因は?
Answer
ノイズの原因
量子ノイズ(X線検出量の統計的変動)
電気系のノイズ、アーチファクト、...
統計的変動 -> 線量のルート(√)分の変動
線量が低下するほど、変動成分の占める割合が増加する
4 -> 2
25 -> 5
100 -> 10
10000 -> 100
.....50%
.....20%
.....10%
.....1%
撮影条件とノイズ
SD=4
電流なら 200mA
スライス厚なら 10mm厚
SD=6
100mA
5mm厚
SD=10
約50mA
2mm厚
スライス厚によるノイズ量の変化
10mm
5mm
2.5mm
Question 1.1
電流値を変えずに,スライス厚を半分にした.ノイズは
√2倍になるが,画質向上は期待できるか?
Answer
期待できる.
スライス厚10mm
スライス厚5mm
どうして,そうなるのか...
体軸方向MTFの比較
1.0
5mm
MTF
0.8
0.6
10mm
0.4
0.2
0.0
0.00
0.10
0.20
0.30
周波数
ノイズの増加量より解像度の増加量が大きい
量子ノイズ以外の影響
A
10mm 200mAコンベンショナル
A 200mA
B 200mA
B
非常に細かなノイズが乗る
Question 2
線量による以外の、ノイズ低減方法は?
Answer
・再構成関数によるノイズ低減
・画像処理フィルタによるノイズ低減
SD=8
SD=5
シャープな関数
標準関数
SD=2
ソフトな関数
基本的に、ノイズフィルターは高周波の抑制による。
ところで、ノイズは高周波だけだろうか?
ホワイトノイズ
Low-passフィルタ処理後
・ノイズは、全周波数成分を持つ。
・高周波の抑制で、見た目のざらつき
を低減できるが...
ノイズ低減とともに、小さな被写体や
エッジの情報も失われる。
では、強調関数はどんなノイズを呈するか...
強調関数によるノイズ特性の変化
腹部用関数
肺野用関数
低コントラストな被写体では
強調関数によりノイズも強調され効果少ない。
再構成関数による変化 SD = 8
腹部標準関数
軟部用関数
関数によるノイズ低減は、一定以上の大きさの
ものに対しては画質改善といえる場合もある。
解像度 と 画像ノイズ
0
(cycles/mm)
1.0
0
(cycles/mm)
1.0
解像度 と 画像ノイズ
0
(cycles/mm)
1.0
0
(cycles/mm)
1.0
Question 3
線量、フィルタ、
そして、もう一つ大きな要因は何?
Hint:
クルクル回して、操作
マウスの操作
Answer
ウィンドウ条件は、大きな要因
同じ画像をウィンドウを変えて表示
WW=200
WW=100
Window widthによるノイズの変化
WW=25
WW=50
WW=100
WW=200
ノイズ付加による画像の変化
ノイズは、低コントラストな対象にだけに影響
解像度 と 画像ノイズ
0
(cycles/mm)
1.0
0
(cycles/mm)
1.0
頭部CTでは,ごく低コントラストな濃度差を
みる.よってノイズ対策を積極的に行っている.
狭いWW
画像ノイズ増加
線量増加
やわらかい関数
ノイズ低減
ノイズ低減
Question 4
ノイズ特性の指標となる、
1.評価項目
2.物理特性
は何?
Answer
1.評価項目は、
低コントラスト分解能
2.物理特性は、
SD、またはウィナースペクトル(WS)
低コントラスト分解能測定ファントム
測定対象=ノイズ量
Question 4.1
低コントラスト分解能ファントム内の
低コントラスト吸収体のサイズ(径)は何ミリ以上?
Answer
解像度に関わらず、認識できるサイズとする。
=2mm以上
(解像度の影響を受けないサイズ)
10mm
5mm
周囲=0 物体=-20
周囲=0 物体=-20
2mm
ソフトな関数
=解像度悪い
シャープな関数
=解像度良い
ノイズによる分解能の変化
7mm
10mm
3mm
5mm
SD = 3
SD = 8
CT値
周囲マイナス20
SD = 5
SD = 10
Question 4.2
SDによる評価は、ノイズ特性を的確に
表している?
Answer
SDが同じでも、ノイズ成分に違う場合
があり、必ずしも的確とは言えない。
すべてSD=6の画像
関数1
関数2
関数3
Question 5
CT装置、A社イオメリオン16とB社プロハンセーション16とで
水ファントムを120kV200mAピッチ0.7で切り、腹部標準関数、
スライス厚10mmで再構成した。
SDを測定したら
イオメリオン16 : 5.1
プロハンセーション16 : 7.3
であった。
この結果から、プロハンセーション16のがノイズ特性は悪い。
この評価は、正しいか?
正しくなければ、その理由を述べよ。
Answer
・正しくない場合が多い。
理由は.....
理由1.
腹部標準関数といえども、再構成関数の解像特性は
機種によって異なることが多い。
1.0
HSA
Modulation transfer factor
0.8
PLUS4
0.6
0.4
0.2
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
Spatial frequency (cycles/mm)
1.0
理由2.
スライス厚10mmといえども、実際の実効スライス
やSSPは、機種によって異なることが多い。
(厚みが薄ければ,ノイズは増加する)
では、この評価から言えることは?
比較した条件においては
1. 単に画像に含まれるノイズ量は、プロハンセーション16
のが多い。
2.しかし、解像度の違いにより、SD値が上昇している
可能性があるので、ノイズ特性としての優劣は
判断できない。
3.また,スライス厚が違う可能性もありノイズ特性として
の優劣は判断できない。
Question 6
CTアンギオにおける3次元画像へのノイズの影響
で正しいのはどれ?
①
②
③
Answer
答えは③
模擬血管CT値 = 200
SD=0
SD=7
SD=20
ノイズと3次元画像の表面形状の関係
・ノイズは、表面形状に誤差を与える
・コントラストがある場合、表面形状への影響は少ない
3次元画像におけるノイズ対策
・線量増加によるSD低下は、僅かである。
SDを1/2にするには、4倍の線量が必要
・コントラストは、造影コントラストと解像度に依存。
SDを1/2にする代わりに、コントラストを2倍に
するには、造影方法と解像度選択を併用すれ
ば、達成可能である。
よって...
・線量を増加するより、コントラスト増加に心がける。
Question 6
電流値は同じ,
シングルヘリカル,4列,16列,ノイズ特性の
順位は?
Answer 6
ピッチによるので,一概には言えない.しかし...
同じ程度の被曝なら,
シングル ≧ 4列 ≧ 16列
または
シングル = 4列 = 16列
シングル
ヘリカル
マルチスライスでは,オーバーラップして
スキャンするため,被曝が増える.
(少ない電流でも,ノイズが増えない)
ビーム幅
ビーム幅
オーバーラップしないと,再構成により
アーチファクトが増える.
実際に撮ってみた...
16列のピッチ16
シングル ピッチ1
ちなみに
4列ピッチ3
4列 ピッチ5
16列 ピッチ16
・被曝を考えた場合に、ノイズ特性は、シングル
ヘリカルCTと変わらない。しかし、薄層スキャンの
再スキャンが必要無くなり、被曝は減少する可能性
もある。
ちなみに,
Question6.1
シングルヘリカル
マルチ
ピッチでノイズが変化する
ピッチでノイズが変化しない.
これは正しいか?
Answer
答えは×.
シングルヘリカル
マルチ
ピッチでノイズが変化する
ピッチでノイズが変化しない.
・シングルヘリカルは,ピッチによる解像度低下は
少なく,ノイズが変わらないので有効に利用できる.
・マルチでは,ピッチで解像がまったく変わらない
代わりに,ノイズが増加する.
(Effective mAsの機能が有効とも言える)
まとめ
CTのノイズとうまく付き合うために...
1. 薄層スライスは,積極的に使える.
(ノイズ増加より,解像度UPを)
2. 再構成関数や画像フィルタによるノイズ低減も
活用してみよう.
3.スキャン方式による特性を,よく把握しよう.
4. 3次元CTAは,コントラスト重視で.
以上です。
ご清聴ありがとうございました。