3-1自律神経作用薬_2010

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1薬物動態_2010
以下の文章は薬物代謝について書かれている。
誤っているものはどれか。
1.胆汁中に排泄された薬物は腸で再吸収される。
2.薬物が消化管で吸収されると初回通過効果が見
られる。
3.副腎皮質ステロイドはグルクロン酸抱合を受け
る。
4.代謝により毒性が生じる薬物が存在する。
5.CYP(Cytochrome P450)はエタノールの代謝に大
きく影響する。
1薬物動態_2010
(解答) 5
1.腸肝循環のことである。
2.消化管で吸収された薬物は門脈を通って肝臓に入
り、一部は代謝される。
3.薬物によって異なる。例えば、サリチル酸はグリシン
抱合を受ける。
4.例えば、ベンゾピレン(benzopyrene)はCYPにより代
謝され、発癌性を持つ。
5.ADH(アルコール脱水素酵素)とALDH(アセトアルデ
ヒド脱水素酵素)の影響が大きい(特にALDH2)。
1薬物動態_2010
薬物代謝に関して書かれている以下の文について誤ってい
るものを1つ選べ。
1.脂溶性の薬の代謝に関して特に重要な役割を演じている
ものは、チトクロムP450である。
2.すべてのCYPが肝での活性が強い。
3.P450は多種・多其質多酵素系である。
4.其質特異性が低いことが、1種類のCYPが誘導され多くの
薬の代謝が亢進したり、また2つ以上の薬が共存するとお互
いに相手の薬の代謝を阻害し、薬物相互作用の原因となる。
5.多種・多其質多酵素系であるというとことと薬物代謝酵素
活性の二相性変動との間には関連性がある。
1薬物動態_2010
(解答) 2
(解説)
1.肝ミクロソームに局在する。ほとんどの薬について主要な
代謝部位は、その活性の強さとその重量から肝臓である。
2.肝での活性が特に強く、他の臓器の活性は1/5~1/30ぐら
いであるが、CYP3A4の活性は小腸では強い。
3.CYPの特徴は多数の分子種の異なる酵素があり、かつ其
質特異性が低い。
4.多くの其質(薬)が同じCYPにより代謝される。
5.其質特異性が低いゆえに、初めは其質特異性の強い薬
が弱い方の薬の代謝を阻害するが、種々の脂溶性の化合
物により酵素誘導を受け、自己の代謝ばかりでなく他の数
多くの薬の代謝をも促進する。
1薬物動態_2010
次の項目のうち正しいのはどれか。
1.投与量が一定ならば、薬物の最高血中濃度は剤型、投与法に
よって変わらない
2.経口投与は吸収面積が大きく、薬物投与法のなかでも最も吸収
が安定している
3.薬物の吸収は、薬の溶解性、濃度、吸収部位の血液循環、吸収
面積等が関与する
4.薬の結合の場を同じくする2つの薬物を投与すると、一方が他方
の薬を追い出すので遊離型が多くなり、中毒の危険性がある
5.循環系に入った薬物は、血中蛋白と結合した結合型と遊離型が
動的平衡を保つ
6.クマリン、フェニルブタゾン、ジアゼパム、トルブタミドは血中で遊
離型が多い
1薬物動態_2010
(解答) 3,4,5
(解説)
1.同一用量の薬剤を服用しても、吸収,組織分布,肝代謝,腎排泄など薬物体内
動態の個人差により、血中薬物濃度は等しくならないことがある。よって不正解。
2.経口投与では、薬剤が肝臓に送られるため代謝による影響を受けることにな
る。肝臓の代謝能力は高く、薬理物質が患部に届くまでに肝臓で代謝されるので
投与された薬理物質が体内循環血液中に取り込まれる量の割合は低い。よって
不正解。
3.上記通り、薬物の吸収には上記の条件が関与する。正解。
4.上記通り正解。
5.上記通り正解。
6.クマリンは、抗菌作用、エストロゲン様ホルモン作用、光感作促進、抗血液凝固
を持ち、グレープフルーツ(ジュース)の摂取により薬物の血中濃度が急速に高
まって害を及ぼす。フェニルブタゾンは、血漿タンパクと強い結合力を有するた
め、併用した他のタンパク遊離が起こり、遊離薬物の作用が増強する。ジアゼパ
ムは経口投与されると速やかに吸収されて作用を発現する。筋注での作用の発
現は、はるかに遅く不安定である。ジアゼパムは脂溶性に富み、そのため血液脳
関門 (BBB) を容易に通過する。トルブタミドとは、インスリンを注射するほど重度で
はない糖尿病の方に使われる薬剤である。よって不正解。
1薬物動態_2010
Q.以下のBBB(Blood Brain Barrier)に関する記述
のうち、正しいものを1つ選べ。
1. ドパミンやレボドパはBBBを通過しやすい。
2.イオン化している水溶性物質ほど通過しやすい。
3.分子量が大きい物質ほど通過しやすい。
4.BBBを通過しやすい薬物のほうが眠気やふらつ
きなど中枢神経系への影響があらわれやすい。
1薬物動態_2010
(解答) 4
(解説)
1.ドパミンは通過できない。レボドパはわずかに
通過してドパミンに変換される。
2.非イオン化物質・脂溶性物質が通過しやすい。
3.分子量が大きいと通過できない。
1薬物動態_2010
※問題5はたぶん出ないので省略
Ccr 50ml/minの患者に、レボフロキサシン(クラビット錠
100mg)を投与する。
この患者に対するレボフロキサシンの投与で、最も適切なも
のを選択せよ。
なお、腎機能正常の患者の場合、100mg/12h(1日2回、1錠ず
つ)とする。
また、尿中未変化体排泄率は80%とする。
1.100mg/1day
2.60mg/12h
3.100mg/12h
4.10mg/12h
5.40mg/12h
1薬物動態_2010
(解答) 1
(解説)
G=1-0.8*(1-50/100)=0.6
投与量=100*0.6=60
投与間隔=12/0.6=20h=1day
投与量:60mg/12h, 100mg/1day
ただし、錠剤のため、60%というのは難しい。よっ
て、正解は1。
2その他 臨床薬理学_2010
(薬を投与するときに血漿濃度を測定し、これに
基づいてここの患者に最も適したと用法を決め
ることを何というか。ひとつ選べ)
1.TDM
2.MAC
3.PAM
4.BBB
2その他 臨床薬理学_2010
正解:1
解説:TDM(therapeutic drug monitoring)は抗てんかん薬のphenytoinのよ
うな
投与量によっては毒性が出現する薬物などで使用されている。
MAC(minimum alveolar concentration)は全身麻酔薬に使われる指標で、
50%のヒトが侵害刺激に反応しなくなる麻酔薬の濃度であり、MACが小さい
ほど作用は強い。
PAMはプラリドキシム(pralidoxime)で、有機リン化合物(農薬)中毒と診断さ
れたときに
投与され、有機リン化合物と強く結合し、コリンエステラーゼの活性を取り
戻し、呼吸筋の麻痺を回復させる。
BBBは血液脳関門(blood-brain barrier)の略で、血液と脳の間の物質交換
を制限する機構である。
パーキンソン病の治療においてDopamineは血液脳関門を通過しないため、
その前駆体であるL-Dopaの投与が必要となる。
3-1自律神経作用薬_2010
問題 以下の副交感神経に作用する薬物の
うち、脳血液関門を容易に通過し中枢作用を現
すものとして誤っている薬物を1つ選べ。
a. アトロピン
b. ドネペジル
c. ネオスチグミン
d. トリヘキシフェニジル
e. フィゾスチグミン
3-1自律神経作用薬_2010
解答
c. ネオスチグミン
<解説>
a. atropine(抗ムスカリン性作用薬):血液脳関門を通過するため中枢におけ
る抗ムスカリン性作用も現れ、Pakinson症状の一部を消失させる。
b. donepezil(コリンエステラーゼ阻害薬):血液脳関門をつうかするため、ア
ルツハイマー型認知症の認知症症状の進行抑制に用いられる。現在、一番
使用されているコリンエステラーゼ阻害薬である。
c. neostigmine(コリンエステラーゼ阻害薬):正電荷をもっているので生体膜
の透過性が低く、血液脳関門を通過しにくいので中枢作用を現さない。
d. trihexyphenidyl(抗ムスカリン性作用薬):血液脳関門を通過するため、ベ
ラドンナアルカロイドとしてかつてPakinson病治療薬の主流であった。しかし
抗コリン作用が時として強いため、特に高齢者には用いられない。
e. physostigmine(コリンエステラーゼ阻害薬):血液脳関門を通過するため、
中毒量を投与すると、中枢神経系のムスカリン性受容体を刺激して興奮作
用を現し、不安、不眠、振戦、けいれん、後に呼吸・循環の抑制が現れる。
いずれの作用もatropineで拮抗される。この中枢作用が副作用となるので全
身投与されることはなく、点眼のみである。
3-1自律神経作用薬_2010
交感神経作用薬に関する以下の文章について、
間違っているものはどれか? ただし答えは1つと
は限らない。
a. カルベジロールは全ての心不全患者に対して使
用可能である。
b. ドパミンは、心原性ショックの治療に有用である。
c. フェノキシベンザミンは、心拍出量増大と頻脈を
もたらす。
d. フェントラミンは、本態性高血圧の治療に用いら
れる。
e. 交感神経終末抑制薬であるレセルピンは、パー
キンソン病を起こしうる。
3-1自律神経作用薬_2010
解答: a,d
(解説)
a:誤りである。カルベジロールはα1遮断作用とβ遮断作用を持ち、血管を弛
緩させ血圧を下げることで心臓の負担を減らすため、慢性心不全の治療に
用いられる。しかし非選択性のβ遮断薬であるため、喘息をもつ患者には禁
忌である。
b:正しい。ドパミンはα1受容体を刺激して腎・腸間膜・脳などの血管を拡張
し、各臓器への血流を増す。ショック時には腎循環が障害されるため、腎血
管を拡張して腎血流を増すドパミンの作用は、ショック改善に有効である。
c:正しい。フェノキシベンザミンはα遮断薬であり、血管平滑筋のα1遮断作用
で血圧を低下させる。また、α2受容体にも親和性があり、神経終末のα2受
容体を遮断して交感神経のノルアドレナリン放出を促進するため、心臓に対
するβ受容体刺激により心拍出量増大と頻脈が起こる。そのため、結果とし
て血圧はあまり下がらない。
d:誤りである。フェントラミンは褐色細胞腫による高血圧をよく低下させる。こ
の降圧作用を利用して褐色細胞腫を診断するのが、レギチンテストである。
e:正しい。レセルピンは代表的なノルアドレナリンデプリーター(枯渇薬)であ
り、中枢神経系のノルアドレナリン・セロトニン・ドーパミンを枯渇させる。その
ため、パーキンソン病の他にも、消化性潰瘍や鬱を起こしうる。
3-1自律神経作用薬_2010
以下のうち、不適切な組み合わせはどれか? ただし答え
は1つとは限らない。
a. アテノロール ― インスリン使用中の患者
b. ネオスチグミン ― 喘息
c. プロプラノロール ― 喘息
d. MAO阻害薬 ― チョコレート
e. アドレナリン ― 局所麻酔薬
3-1自律神経作用薬_2010
解答: b,c,d
(解説)
a:適切である。アテノロールはβ1選択性β遮断薬なので、インスリン使用患者にも用いるこ
とができる。不適切なのは、肝臓でのβ2受容体を介したグリコーゲン分解による血糖上昇
作用を抑制する 非選択性β遮断薬である。ただし、アテノロールでも 低血糖症状の1つで
ある頻脈の発現をβ1遮断でマスクしてしまうため、注意が必要である。
b:不適切である。ネオスチグミンはコリンエステラーゼ阻害薬であり、気管支収縮などのム
スカリン性作用が現れるため気管支喘息を増悪させる。ちなみに、このようなムスカリン性
作用は、副交感神経遮断薬であるアトロピンで拮抗される。
c:不適切である。プロプラノロールは非選択性β遮断薬なので、β2受容体を遮断して喘息
患者では発作が増悪し生命の危険を伴う。
d:不適切である。MAO阻害薬使用中に チラミンを多く含む食物をとると高血圧発作を起こ
す。これは、MAO阻害薬が神経終末中のノルアドレナリンの分解を抑えてシナプス顆粒中
の貯蔵量を増やし、チラミンにより大量のノルアドレナリンが放出されるためである。 チョコ
レートの他にも、チーズ・赤ワイン・ビールなどにチラミンが多く含まれている。
e:適切である。アドレナリンはキシロカインなどの局所麻酔薬と併用すると、血管収縮作用
により局所麻酔薬の血管への吸収を遅らせて持続時間を延長し、その効果を増大させる。
3-1自律神経作用薬_2010
以下の選択肢から正しいものを選びなさい。ただし1つとは限らない。
(1)重症筋無力症の治療中、患者が腹痛と呼吸困難を示した。身体症状として、(2)唾液の過剰分泌、縮瞳、
(3)血圧の低下も見られた。(4)薬剤の過剰投与によるものであるかどうか確認のテストを行ったところ、筋力
が低下したため、(5)解毒剤を投与した。
1. 下線部(1)に関して、ネオスチグミンは、経口投与され、コリンエステラーゼを可逆的に阻害することにより、
アセチルコリンが酢酸とコリンに分解されるのを防ぐ。
2. 下線部(2)に関して、ムスカリン受容体はGタンパク共役型受容体であり、唾液腺組織では、 cAMPが増加し
ている。
3. 下線部(3)に関して、血圧が低下したのは、アセチルコリンがM3受容体を活性化することにより、NOが産生
され、NOがアデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPの産生を増加することで、血管が拡張されたためであ
る。
4. 下線部(4)に関して、エドロホニウムを用いて行われ、テンシロンテストとも呼ばれ、筋力が低下すればコリ
ン作動性クリーゼの状態を示す。
5. 下線部(5)に関して、使用した解毒剤はアトロピンであり、アトロピンは、緑内障患者において眼内圧を上昇
させ、前立腺肥大の患者において排尿困難を助長するため、投与してはならない。
3-1自律神経作用薬_2010
解答4、5
1. 誤 作用は正しいですが、ネオスチグミンは消化管からの吸収が悪いため、経口投与で
なく注射によって投与します。これに対してピリドスチグミンは経口投与可能です。(標準薬
理学第6版p.178)
2. 誤 M3受容体刺激により、PLC(ホスホリパーゼC)活性化が活性化され、PIP2を加水分解
し、DGとIP3(セカンドメッセンジャー)産生となるため、「cAMPが増加」は不正解です。(標準
薬理学第6版p.55、82)
3. 誤 正しくは、NOが「グアニル酸シクラーゼ」を活性化し、「cGMP」の産生を増加する、で
す。NOは以前、内皮細胞由来血管弛緩因子(EDRF)と呼ばれていたものです。アセチルコ
リン、ブラジキニン、ヒスタミン、サブスタンスPがこの作用により、平滑筋弛緩作用を示しま
す。なお、血管に対しては交感神経による支配が副交感神経による支配よりも優位です。
(標準薬理学第6版p.58)
4. 正 エドロホニウムは作用の発現が速く持続時間の短い性質から、重症筋無力症の診
断や、重症筋無力症を抗コリンエステラーゼ薬で治療中、その投与量が適切かどうかの検
査に用います。テンシロンテストで症状が良くなれば、無力症性クリーゼ(myasthenic crisis)、
悪くなれば、コリン作動性クリーゼです。(標準薬理学第6版p.179、コリン作動性クリーゼの
仕組み:標準薬理学第6版p.187~188)
5. 正 2点重要です。1点目として、ネオスチグミンとアトロピンは反対の作用を示し、コリン
作動薬によるアセチルコリンの過剰効果は、アトロピンにより遮断されます。2点目として、
アトロピンは、緑内障と前立腺肥大による排尿困難に対しては禁忌です。(標準薬理学第6
版p.177~178、183)
3-1自律神経作用薬_2010
問題 以下の文章のうち、正しいものを選べ。ただし1つとは
限らない。
a.エフェドリンは高血圧の患者に処方される。
b.ドパミンはパーキンソン病患者に処方される。
c.ピンドロールは喘息の患者に処方される。
d.アトロピンは緑内障の患者に処方される。
e.プロプラノロールは労作性狭心症の患者に処方される。
3-1自律神経作用薬_2010
(解答)
e.プロプラノロールは労作性狭心症の患者に処方される
(解説)
× a.エフェドリンはβ1受容体を刺激して心拍出量が増すので、血圧が上昇する。したがって
低血圧に処方される。
× b.ドパミンは血液脳関門を通過することができないので、パーキンソン病には作用しない。
その代わりにドパミンの前駆体であるL−dopaが用いられる。
× c.ピンドロールはβ1非選択性のβ遮断薬なので、β2遮断作用によってむしろ気管を収縮さ
せるので喘息患者への使用は禁忌である。
× d.アトロピンは抗コリン作用を有するので、瞳孔括約筋の緊張がとれて散瞳が生じる。そ
の結果、シュレム管が圧迫されて眼内圧が上昇する。このためアトロピンは緑内障には禁忌
である。
○ e.プロプラノロールはβ2遮断薬であり、心収縮量が減る。このため心筋の酸素消費量が
減り、労作性狭心症の患者に用いると有効である。
3-1自律神経作用薬_2010
以下のアトロピンについての文章の中で、正しいものはどれか。2つ選べ。
a. アトロピンは麻酔前投薬として用いられる。
b. アトロピンは前立腺肥大の患者に処方される。
c. ニコチン性受容体でのアセチルコリンの作用を阻害するので、アトロ
ピンは有機リン化合物の中毒の治療に有用である。
d. アトロピンは縮瞳薬として使われる。
e. アトロピンは洞性除脈の治療に用いられる。
3-1自律神経作用薬_2010
(解答)
a,e
解説
アトロピンの臨床応用についての問題である。(参考 標準薬理学第6版
p.182~p.183)
○a. 唾液や気道分泌を抑制して麻酔薬の導入を容易にするためと、術中に発生す
る迷走神経反射による除脈と血圧低下を予防するため、アトロピンが麻酔前投薬とし
て使われる。
×b. アトロピンは前立腺肥大による排尿困難をさらに強めてしまうので禁忌である。
×c. アトロピンは有機リン化合物のムスカリン性作用には拮抗するが、ニコチン性
作用には拮抗しない。それ以外は文章の通り。
×d. アトロピンは眼を散瞳させるので散瞳薬として用いられる。
○e. アトロピンは低用量投与した場合以外は頻脈を引き起こすので除脈の治療に
用いられる。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
25歳女性が手術中に吸入麻酔を受けた。彼女にはサクシニルコリンも投
与されていた。数分後、彼女の心拍数は毎分120回まで上昇し、中核体温
も40.5℃まで上昇した。
この状態の患者に投与されるべき薬剤の作用機序を以下から選べ。
(A) 筋小胞体からのカルシウムイオン放出を抑制する
(B) 運動終板におけるアセチルコリンの競合的拮抗薬である
(C) GABA受容体アゴニストであり、神経興奮の抑制を促進する
(D) プロスタグランディンの生合成を抑制する
(E) 神経線維の膜電位依存性ナトリウムイオンチャネルを抑制する
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
(A)
本問は3段階から成り立っている。①患者がどのような状態に陥った
か診断する。②その症状に対して、どの薬剤を投与すべきか考える。
③その選択した薬剤の作用機序を解答する。以上をふまえ、考えて
いくと、①全身麻酔、サクシニルコリン、中核体温の上昇といったキー
ワードから、患者は「悪性高熱症 malignant hyperthermia」を発症した
と考えられる。②悪性高熱症に対する唯一の特効薬である「ダントロ
レン」が選択として妥当である。③ダントロレンの作用機序は選択肢
(A)にある通り、筋小胞体からのカルシウムイオン放出を抑制すること
であり、それにより骨格筋を弛緩させる。副作用として筋力低下と慢
性投与による肝毒性が挙げられる。
他の選択肢はそれぞれ(B)非脱分極性遮断薬(クラーレ curare、パン
クロニウム pancuronium、ベクロニウム vecuroniumなど)、(C)バクロ
フェン baclofen、(D)アスピリン aspirin、(E)リドカイン lidocaineの説明で
ある。悪性高熱症には解熱鎮痛剤であるアスピリンが効かない。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
筋弛緩薬に関する次の文章のうち、正しいのはどれか。ただし、答え
は一つとは限らない。
a)サクシニルコリンが気管内挿管に用いられるとき、筋弛緩が起こる
のは脱分極性遮断という現象が起こることによる。
b)クラーレに比べて、サクシニルコリンは作用の持続時間が長い。
c)クラーレは副交感神経と平滑筋の間のシナプス伝達を特異的にブ
ロックする。
d)ツボクラリンの効力は、d体でもl体でも同等である。
e)喘息患者にクラーレを投与してはならない。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
〈解答〉
a,e
〈解説〉
a)サクシニルコリン(succinylcholine,SCC)はNmニコチン性受容体と結合してレセプターチャネルを開き、終板電
位を発生させる。サクシニルコリンはコリンエステラーゼで分解されにくいので、持続性の終板電位となり、そ
のため最初に1回活動電位が発生するが、電位依存性Naチャネルはその後不活性化状態から戻ることがで
きず、再び活動電位を発生させることができない。このような現象を「脱分極性遮断」という。よって正解。
b)サクシニルコリンは投与後まもなく線維束性収縮を起こすため、1分以内で筋弛緩を発現するが、血中の偽
コリンエステラーゼによって分解されるので、数分で効果は消失する。一方、クラーレは注射後3~4分で作用
が発現し、持続時間は30分程度である。
c)クラーレは骨格筋のNmニコチン性受容体と結合し、アセチルコリンと受容体の結合を競合的に阻害する。
なお、平滑筋のシナプス伝達はムスカリン受容体を介して行われる。
d)ツボクラリンはd体が活性を有する(_d-_tubocurarine)。
e)クラーレには副作用としてヒスタミン遊離作用と血圧低下があるため、喘息の発作・気管支の痙攣を起こす
ことがある。したがって、クラーレを喘息患者に投与することは禁忌である。よって正解。
ちなみに、クラーレのヒスタミン遊離効果を克服したのが、パンクロニウム(pancuronium)やベクロニウム
(vecuronium)であり、特にベクロニウムは作用発現が速いので、現在最もよく使用される。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
リドカインについて正しくないのはどれか。
A)リドカインは電位依存性Na^+^チャネルを阻害し、心室細
動の発生を抑制する。
B)リドカインはよくアドレナリンと併用される。
C)リドカインは抗不整脈薬でもある。
D)リドカインはコリンエステラーゼにより分解されるので、主
に肝臓で代謝される。
E)リドカインの効果は酸性部位では弱まる。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
<解答>D
<解説>
A)リドカインは電位依存性Na^+^チャネルを阻害することで、活動電位の伝導を可
逆的に抑制することにより神経インパルス伝導を抑制する。
B)リドカインの作用を持続させる目的でアドレナリンのような血管収縮薬が併用さ
れる。
C)リドカインは重要なⅠb型の抗不整脈薬である。
D)リドカインは主に肝臓で分解されるが、これは、コリンエステラーゼによって分解
されないアミド型の薬剤だからである。
E)リドカインなどの局所麻酔薬の多くは塩基性薬物であり、酸性部位では細胞膜を
通過しにくくなり効力が減弱する。
よって、Dが誤り。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
神経筋接合部遮断薬について述べた以下の文のうち、間違っている
ものをひとつ選べ。
(A)ツボクリンクラーレを投与した後コリンエステラーゼ阻害薬を用い
れば、筋弛緩は回復する。
(B)パンクロニウムは血液脳関門を通過する。
(C)ダントロレンは骨格筋小胞体からの異常なカルシウムイオン放出
を抑制する。
(D)サクシニルコリンは高カリウム血症には禁忌である。
(E)神経筋接合部遮断薬が遮断する受容体はNm型である。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
<答え>(B)
<解説>
(A)正しい。d-tubocurarineはアセチルコリンと競合的に拮抗するので、アセチルコ
リン濃度を上げれば筋弛緩が回復する。
(B)間違い。ツボクリンクラーレのヒスタミン遊離作用を弱くしたのがパンクロニウ
ム、ベクロニウムであるがこれらはBBBを通過しない。
(C)正しい。ダントロレンは生理的な脱分極によるCa2+放出には強い作用がないが
Ca2+によるCa2+放出を抑制する。
(D)正しい。サクシニルコリンによる脱分極で筋細胞からK+が流出するが、高カリ
ウム血症になりやすい状況では心停止を起こすこともあり危険。
(E)正しい。これらの薬はシナプス後膜に存在するNmニコチン性アセチルコリン受
容体に対する作用薬及び競合拮抗薬である。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
以下の文章のうち、正しいものはどれか?ただし1つとは限らな
い。
a)低カリウム血症はサクシニルコリン投与の副作用である。
b)ネオスチグミンはサクシニルコリンによる筋弛緩に拮抗する。
c)クラーレは全身麻酔薬の効果を補助する。
d)ダントロレンは悪性高熱症の治療に使われる。
e)低血圧はベクロニウム投与の副作用である。
3-2筋弛緩薬 局所麻酔薬_2010
<解答> c,d
<解説>
a)誤り。SCCによる脱分極により、筋細胞からのカリウムイオンの流出が起こるため、低カリ
ウム血症ではなく、高カリウム血症になる。
b)誤り。ネオスチグミンはコリンエステラーゼ阻害薬である。サクシニルコリンの筋弛緩は終
板部位での持続性脱分極によるものであるため、コリンエステラーゼ阻害薬で拮抗されな
い。
c)正しい。クラーレは全身麻酔薬の補助薬である。全身麻酔薬のみで骨格筋の弛緩を得る
ためには麻酔の深度をかなり深めなければならない。筋弛緩薬を用いることにより浅い麻
酔で手術可能にすることができる。
d)正しい。悪性高熱症は、全身麻酔薬による筋小胞体のリアノジン受容体からの異常なカ
ルシウムイオン放出により筋収縮が起こり発熱する病気である。ダントロレンはこのカルシ
ウムイオン放出を抑制する作用を持っている。
e)誤り。低血圧はクラーレのヒスタミン放出による副作用である。ベクロニウムはこの作用を
克服したものである。
4-1向精神薬_2010
イミプラミンは、
1.アドレナリンの血圧上昇作用を減弱させる。
2.ピロカルピンの眼圧降下作用を増強する。
3.トリへキシフェニジルの副作用に効果的であ
る。
4.てんかん治療に用いられる。
5.心筋梗塞の回復初期の患者に投与するのは
禁忌である。
4-1向精神薬_2010
(解答) 5
(解説)
イミプラミンなどの三環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンとセロトニンの再取り込みを阻害することによりうつ症状
を改善する。
副作用は、抗コリン作用による口渇・尿閉・便秘・排尿障害・視調節障害や、α1受容体ブロックによる起立性低
血圧など多岐にわたり、注意を要する。
緑内障・心筋梗塞の回復初期・前立腺肥大症の患者への投与は禁忌である。
1.交感神経末梢へのノルアドレナリン再取り込みを抑制し,受容体部位へのアドレナリン作動性を上昇させ,アドレ
ナリン投与による昇圧作用を増強させる。
2.抗コリン作用により、ピロカルピン(コリン作用薬)の眼圧降下作用は減弱する。
3.トリへキシフェニジルの副作用は、抗コリン作用による尿閉・視力障害・口渇・便秘などが主であるが、イミプラ
ミンの抗コリン作用との相加作用により、症状が悪化する危険がある。また、精神錯乱、興奮、幻覚等が増強さ
れることがある。
4.むしろ痙攣閾値を下げ、てんかん発作を誘発する危険性がある。
5.α1受容体ブロックと交感神経末梢へのノルアドレナリン再取り込み抑制によるノルアドレナリン濃度上昇や、
抗コリン作用により、心拍出量の増大・頻脈・不整脈などが現れる。特に心筋梗塞の回復初期の患者に投与す
るのは禁忌である。うつ病は急性心筋梗塞患者によく認められる病態である。
4-1向精神薬_2010
どれが抗精神病薬の副作用として正しくないか?
1.パーキンソン症候群
2.血圧上昇
3.眠気
4.高プロラクチン血症
5.尿閉
4-1向精神薬_2010
(解答)2
(解説)
1.黒質・線条体のD2受容体遮断による
2.α1受容体遮断作用により、血圧は低下するはずである
3.H1受容体遮断による
4.PRL-RIHがdopamineそのもので、弓状核のD2受容体を遮断
するのでプロラクチン遊離が促進される
5.抗コリン作用による
4-1向精神薬_2010
癲癇の欠神発作の第一選択薬と第二選択薬はどれか?
1.フェノバルビタール
2.バルプロ酸
3.カルバマゼピン
4.フェニトイン
5.エトサクシミド
4-1向精神薬_2010
(解答)第一選択薬→2.バルプロ酸
第二選択薬→5.エトサクシミド
(解説)
phenobarbital,phenytoin,carbamazepineは欠神
発作以外に有効。
valproic acidは欠神発作以外にも部分発作や
強直間発作にも有効であるが、ethosuximideは
欠神発作にのみ有効である。
4-1向精神薬_2010
Q. この中でどの抗精神病薬が、高プロラクチン血症という副
作用をもつでしょう?
1. イミプラミン
2.マプロチリン
3.クロルプロマジン
4.フルオキセチン
5.クロザピン
4-1向精神薬_2010
(解答)3
(解説)
クロルプロマジンは、ドーパミン神経系のA8,10(辺縁系)
のD2受容体をブロックするが、同様にA12(弓状核)の
受容体もブロックするので内分泌系の副作用が起こる。
ドーパミンはプロラクチン抑制ホルモンで、弓状核を起
始核とするドーパミンニューロンから分泌されるので、
そこをブロックすることでプロラクチンの遊離を促進して
しまい、高プロラクチン血症となる。
4-2全身麻酔薬_2010
次の全身麻酔薬に関する文章の中から正しいものを選べ。
a. 吸入麻酔薬は、より血中への溶解度が高ければより導
入が早い。
b. 吸入麻酔薬は、MACが小さいものほど作用が強い。
c. イソフルレンは、呼吸抑制や血圧低下を起こす。
d. チオペンタールは、呼吸疾患の患者に使われる。
e. 笑気は巨赤芽球性貧血を引き起こすことがある。
4-2全身麻酔薬_2010
(解答)b.c.e
(解説)
a. 吸入麻酔薬の溶解度が高いものほど、肺胞内での分圧を高めるために
多量のガスが血中に溶け込む必要があるので、分圧の上昇速度が遅く、導
入までには時間がかかる。
b. MAC(minimum alveolar concentration)とは、50%のヒトが侵害刺激に反
応しなくなる麻酔薬の濃度のことで、MACが小さいものほど作用は強い。
c. イソフルランは、呼吸抑制作用があり、血圧を低下させる吸入麻酔薬で
ある。
d. チオペンタールは、呼吸抑制作用があり、呼吸疾患の患者には使われな
い。
e. 笑気は、 ビタミンB12を酸化することによって、巨赤芽球性貧血や白血
球減少症などを引き起こすことがある。
4-2全身麻酔薬_2010
正しい文を選べ
a. ニューロレプト麻酔は意識を保ったまま痛みを
無くす
b. 脂肪に溶けやすいほど麻酔作用は弱い
c. 静脈麻酔薬は再投与すると効果が長くなる
d. ケタミンはemergency phenomenaを引き起こす
4-2全身麻酔薬_2010
正解 a、d
解説 a 正しい。強力な神経遮断薬と鎮痛薬を併用すること
により、意識を保ったまま痛みを無くす。
b 誤り。 脂肪に溶けやすいほど中枢抑制作用は強
い(リポイド説)。
c 誤り。 静注麻酔薬は再投与しても、再分布により
蓄積が多くなるだけで効果は長くならない。
d 正しい。 ケタミンの副作用に幻覚・悪夢などがある。
4-2全身麻酔薬_2010
全身麻酔に関する正しい文章を選べ。ただし、答えはひとつとは
限らない。
a.静脈麻酔薬は麻酔の維持に使用される。
b.笑気は呼吸抑制を起こすことがある。
c.悪性高熱症はハロタンによって引き起こされることがある。
d.イソフルレンはカテコラミンと併用することができる。
e.ケタミンは幻覚を引き起こすことがある。
4-2全身麻酔薬_2010
(解答)c,d,e
(解説)
a.静脈麻酔薬は導入・覚醒は早いが、代謝・排泄が遅いため調節が困難なため麻
酔の導入に使用される。
b,笑気は無痛作用は強いが、筋弛緩作用や呼吸抑制はない。
c,悪性高熱症はハロタンなどの吸入麻酔薬やサクシニルコリンなどの神経筋接合
部遮断薬を用いた際に、ごくまれに引き起こされる遺伝性疾患である。そのため使
用には家族暦を聞いておく必要がある。
d,イソフルレンはカテコラミン感作しないため併用することができる。逆にハロタン
はカテコラミン感作し、不整脈を引き起こす恐れがあるので併用できない。
e,ケタミンの心刺激作用により幻覚、悪夢が引き起こされることがある。この治療
にはジアゼパムやハロペリドールを用いる。
4-2全身麻酔薬_2010
全身麻酔について誤った文章を選べ。(答えが一つとは限らな
い。)
1. ケタミンは緑内障手術には禁忌である。
2. ハロタンによって全身麻酔をした数日後に、重篤な肝障害を起
こすことがある。
3. イソフルレンはカテコラミンにより感作され不整脈が起こる。
4. ミダゾラムを使用すると、順行性健忘症が起こることがある。
5. チオペンタールには即効性があり、鎮痛作用と筋弛緩作用に
富む。
4-2全身麻酔薬_2010
答え 3、5
(解説)
1. ケタミンは眼圧を上げる作用があるので、緑内障手術には禁忌。
2. ハロタンは一般的には安全であるが、ごくまれに肝炎(1/35,000)を起こす。
3. イソフルレンはカテコラミンに対して感作しない。感作されるのはハロタン
であるのでこの文章は誤り。
4. ミダゾラムにはこの作用があり抗不安効果も優れているので、小児や神
経質で不安の強い成人の前投薬としては適切である。
5. チオペンタールは即座に麻酔導入できるが、鎮痛作用や筋弛緩作用には
乏しい。よって誤り。
4-2全身麻酔薬_2010
全身麻酔について正しい文章を選べ。
1.笑気には心筋抑制作用がある。
2. チオペンタール超短時間型のベンゾジアゼピン系薬であ
る。
3.Guedelの麻酔深度分類において、手術期は第Ⅲ期であ
る。
4.イソフルレンを使用すると、悪性高熱症が起こることがあ
る。
5.静脈麻酔は麻酔の維持に用いられる。
4-2全身麻酔薬_2010
答え 3
(解説)
1. 誤。笑気には無痛作用はあるが、心筋抑制、呼吸抑制などはない。
2. 誤。チオペンタールはベンゾジアゼピン系ではなく、バルビツレート系の超短時
間型の薬である。
3. 正。全身麻酔薬は上行性網様体賦活系の抑制により意識レベルを低下させ、
大脳皮質→大脳基底核→小脳→脊髄→延髄の順に抑制する。
Guedelの麻酔深度分類においては、第Ⅰ期:無痛期(大脳皮質)、第Ⅱ期:興奮期
(視床)、第Ⅲ期:手術期(脊髄)、第Ⅳ期:麻痺期(延髄)までを抑制している。
4. 誤。全身麻酔薬のうち、悪性高熱症を引き起こすものはハロタンである。
5.誤。静脈麻酔薬は麻酔の導入に用いられる。静脈麻酔薬は導入は早いが、そ
の後急速に覚醒するため、麻酔の維持には適さない。麻酔の維持には吸入麻酔
薬が適する。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
麻薬性鎮痛薬と、その拮抗薬に関する問題。以下に示した薬剤に関する
記述のうち、正しいものをすべて選択せよ。
1.morphineはμ2受容体を介して呼吸を抑制する。
2.急性モルヒネ中毒の患者では、著明な縮瞳がみられる。
3.codeineの鎮痛作用は、morphineと比較して80倍強いが、持続が短い。
droperidolと併用してニューロレプト麻酔に用いられる。
4.naloxoneはmorphineのアンタゴニストであり、morphineの身体依存患者
に経口投与すると禁断症状を起こさせる。
5.pentazocineはκ受容体に作用することで鎮痛をもたらす。また、diazepam
と組み合わせることでニューロレプト麻酔に用いられる。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
解答
1.○ 2.○ 3.× 4.× 5. ○
解説
1.morphineは特に持続的鈍痛に対して効果をあらわすが、使用し続けると耐性、依存を
生じる。副作用には呼吸抑制のほか、便秘、悪心・嘔吐などがある。
2.この縮瞳はpin point pupilといわれ、昏睡、呼吸抑制とともに急性モルヒネ中毒の三徴と
呼ばれている。中脳のエディンガー・ウェストファール核を刺激することによって生じる現象
である。
3.本文はcodeineではなく、fentanylについての説明文である。codeineは延髄の咳中枢を
抑制することで鎮咳作用を示すので、感冒薬に含まれている。一方fentanylは説明文どおり、
ニューロレプト麻酔に用いられる。
4.経口投与が誤り。naloxoneは経口投与しても吸収されない。モルヒネの純拮抗薬であり、
モルヒネの作用を消失させるので、急性モルヒネ中毒の治療に用いられる。また、モルヒネ
の身体依存者に静注すると禁断症状が現れる。
5.麻薬には指定されていないが、依存をおこすので注意が必要である。経口、静注どちら
でも使用されるが、錠剤にはペンタゾシン中毒患者が静注しないようにnaloxoneが添加され
ている。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
Q.次の薬物のうち、「精神依存」のみならず「身体依存」を引
き起こすものはどれか。2つ選べ。
1.アンフェタミン
2.コカイン
3.ヘロイン
4.アルコール
5.MDMA
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
(解答)1.× 2.× 3.○
4.○ 5.×
(解説)
一般的に中枢興奮作用薬は精神依存にとどまり、中枢抑制作用薬は身体依存に
進展する。
精神依存では使用の中止により薬物を求める強烈な欲求が生じる。身体依存では
薬物の摂取を中止することにより、禁断症状(せん妄・振戦・自律神経症状)が出現
することが特徴である。さらに身体依存の特徴として耐性が生じるため、薬効を維
持するための用量が徐々に増加していく。(なお例外的に覚醒剤では長期断薬に
より逆耐性・フラッシュバックと呼ばれる特異的な症状が見られる)
中枢興奮作用薬としては ①覚醒剤(アンフェタミン・メタンフェタミン) ②コカイン
②幻覚剤(大麻・LSD・MDMA) などが代表的である。
中枢抑制作用薬としては ①アルコール ②阿片アルカロイド(モルヒネ・ヘロイン)
③バルビツール系薬(フェノバルビタール・チオペンタール) などが代表的である。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
#1.レボドパの副作用でないのは?
1.嘔吐
2.起立性低血圧
3.悪性症候群
4.高プロラクチン血症
5.幻覚
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
答.d
(解説)
1.ドパミンは嘔吐中枢を刺激する。
2.起立性低血圧を起こすものとして、レボドパ,α遮
断薬(フェノキシベンザミン,プラゾシン),抗精神病薬,
三環系抗うつ薬などが重要。
3.レボドパ投与を急に中止すると、悪性症候群が
起こりやすい。
4.高プロラクチン血症は抗精神病薬の副作用で、
ドパミンD2受容体遮断作用による。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
#2.レボドパと併用すると有用なのは?
1.カルバマゼピン
2.カルビドパ
3.クロルプロマジン
4.ダントロレン
5.イミプラミン
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
答.b
(解説)
1.抗てんかん薬。
2.ドーパ脱炭酸酵素阻害薬。L-DOPAがBBBを通過して脳
内に移行する前にドパミンに移行するのを防ぐ。
3.抗精神病薬。D2受容体遮断作用をもつため、レボドパ
の作用をむしろ減弱させる。
4.レボドパの副作用で悪性症候群が起こった場合、ダン
トロレンを投与するが、レボドパとの併用が有用というわ
けではない。
5.三環系抗うつ薬。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
#3.Parkinson病の治療薬について正しい組み合
わせは
1.レボドパ - ドパミン前駆体
2.セレギリン - 非特異的MAO阻害薬
3.ブロモクリプチン - D2受容体アゴニスト
4.アマンタジン - ドパミン遊離促進
a.1,2 b.2,3 c.1,3,4 d.4のみ e.1~4すべて
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
答.c
(解説)
セレギリンは選択的MAO-B阻害薬である。他は
すべて正しい。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
パーキンソン病に作用する薬物について正しい文
章を選べ。答えはひとつとは限らない。
1.CarbidopaはAADCによりnoradrenalineに代謝さ
れ、突然立ち止まりに効果がある。
2.L-dopaは筋固縮、運動緩慢、振戦に効果がある。
3.Bromocriptineはwearing-off現象に効果がある。
4.Trihexyphenidylは腎機能低下者に禁忌である。
5.L-dopaによって精神症状がみられることがある。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
1.×
解答
b.× c.○ d.× e.○
解説
DroxydopaはAADCによりnorepinephlineに代謝され、すくみ
足や突然の立ち止まりに効果がある。
L-dopaは振戦には効果はない。
Wearing-off現象とは薬効時間が短縮する現象で用量に関
係する。
Trihexyphenidylは緑内障やには禁忌である。しかし、腎機能
低下患者には慎重な観察が必要ではあるが禁忌ではない。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
以下の文章のうち誤っているものを全て選べ。
1. ブロモクリプチンは高プロラクチン血症の治療に用いられ
る。
2. デプレニルはレボドパの作用を増強する。
3. トリヘキシフェニジルはD2受容体のアゴニストでパーキン
ソン病様症状に効果がある。
4. カルビドパは末梢におけるAADCの阻害薬である。
5. アマンタジンはB型インフルエンザの抗ウイルス薬である。
4-3パーキンソン病治療薬 麻薬 その他_2010
答:3・5
<解説>
3. トリヘキシフェニジルは抗コリン薬で、パー
キンソン病様症状の治療に用いられる。
5. アマンタジンはA型インフルエンザの抗ウ
イルス薬である。
5-1抗炎症薬_2010
問:以下のステロイド系抗炎症薬に関する記述のうち、誤っている
ものを2つ挙げなさい。
1.ステロイド大量療法を長期間続けると副作用が出やすいので、原
疾患のコントロールができ次第ステロイドの投与を中止するとよ
い。
2.ステロイドパルス療法とは、短期間に大量のステロイドを静注す
る治療法のことである。
3.糖質コルチコステロイドの大量連続投与による副作用として、皮
膚、粘膜の紅斑、水泡、びらんや高熱、悪心といったクッシング症
候群があげられる。
4.ステロイド系抗炎症薬の中で、プレドニゾロンは中間的な持続時
間・強度を示す。
5.ステロイド系抗炎症薬の効能としては、関節リウマチ、ネフロー
ゼ、気管支喘息、潰瘍性大腸炎などがあげられる。
5-1抗炎症薬_2010
(解答)『 1、3 』 ←ドラッグ選択す
ると見えます。薬の問題なだけに…
(解説)
注:↑復元できず
1.ステロイド投与を突然中止すると、従来からあった疾患の症状が悪化す
る反跳現象(rebound phenomenon)や急性副腎皮質機能不全を起こす退
薬現象(withdrawal syndrome)が現れる。よって、使用量を少しずつ減少さ
せる漸減法により他の薬で置換する必要がある。
2.選択肢の通り。通常は経口適用で効果が得られることが多いが、期待し
た効果が得られなく他によりよい方法がない場合に、ステロイドの大量急
速静注により効果が得られることがある。
3.クッシング症候群の主な症状は、満月様顔貌、野牛肩、中心性肥満、斑
状出血などである。皮膚、粘膜の紅斑、水泡、びらんや高熱、悪心はス
ティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)で見られる症状。
4.選択肢の通り。
5.選択肢の通り。ステロイド系抗炎症薬は種々の炎症反応の他、免疫抑制
およびリンパ球性白血病、その他の細胞反応の抑制に使用される。
ここおかしいんちゃうん?的なコメントお待ちしております。英語の部分も自
信がないです…
5-1抗炎症薬_2010
インドメタシンは妊婦には禁忌だがそれはなぜか?以下か
ら正解を選べ(複数選択可)
1.PGE2抑制による分娩促進
2.TXA2抑制による血小板凝集抑制
3.PGF2抑制による分娩遅延
4.アスピリンより作用が強力
5.胎児の動脈管の閉塞
5-1抗炎症薬_2010
正解 3と4と5
解説
Indomethacin(NSAIDs系)は、arachidonic acidをPG,TXに分解するenzyme,COXを可
逆的に阻害します。ちなみにasprinは不可逆的にCOXをアセチル化します。
1.× PGE2抑制による分娩遅延です。
2.× 文章は正解ですが関係ないと思われます。
3.○ abortionにはPGE2 or F2を投与します。併用は禁忌です。過強陣痛が起きま
す。
4.○ です。
5.○ 動脈管開存症の赤ちゃんにはインドメタシンを使い、閉鎖を促します。逆に、
肺血流が動脈管に依存する疾患(肺動脈弁閉鎖症)ではPGE製剤を使い、手術ま
で開存を維持します。
5-1抗炎症薬_2010
問:以下の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)についての文
において正しいものをひとつ選べ。
(a)アスピリン(アセチルサリチル酸)はシクロオキシゲナーゼ
(COX)を不可逆的に阻害する。
(b)NSAIDsにはモルヒネのように鎮痛作用がある。
(c)平熱のときにNSAIDsを使用することで、体温は低下する。
(d)もし、突然NSAIDsの使用を中止したら、副腎がうまく機能
しなくなる。
5-1抗炎症薬_2010
正解:(a)
解説:
(a)アスピリンはCOXをアセチル化することで、不可逆的に阻害して、プロスタ
グランジン(PG)やトロンボキサン(TX)の産出を抑制する。
(b)モルヒネは中枢神経に作用して内臓痛にも効くのに対して、NSAIDsの鎮
痛作用は末梢の感覚神経線維週末に作用して、中程度の疼痛に効く。
(c)NSAIDsには解熱作用があるが、IL-1の作用において体温調節中枢付近
のPGE-2の産出において起こる発熱を抑えるため、正常熱には無効である。
(d)ステロイド剤の退薬症候群(Withdrawal Syndrome)。外部からの
glucocorticoidsの投与により、負のフィードバックが起こり、視床下部からの
CRH、脳下垂体からのACTHの分泌抑制がおこって、副腎皮質が萎縮してい
る状態で、急に投与を中止すると、副腎機能不全により死に至る場合もあ
る。
5-1抗炎症薬_2010
問題:
非ステロイド性抗炎症薬について述べた次の文のうち、正しくないものを選
べ。ただし、解答は一つとは限らない。
(a)アスピリンはインドメタシンよりも強い作用を持つ。
(b)アセトアミノフェンは抗炎症、鎮痛、解熱作用を持つ。
(c)スリンタグは副作用を軽減するために開発されたプロドラッグである。
(d)アスピリンは、心房細動患者の脳梗塞予防に使われる。
(e)NSAIDs投与を受けている人が歯を抜くと、出血傾向を示し止血が困難に
なることがある。
5-1抗炎症薬_2010
正解:(a),(b)
解説
(a)インドメタシンの抗炎症作用はアスピリンの
20~30倍である。
(b)アセトアミノフェンは抗炎症作用をほとんど持
たない。
5-1抗炎症薬_2010
問 選択的COX-2 阻害薬が示さないのは:
(a) 鎮痛作用
(b) 血小板凝集抑制
(c) 抗炎症作用
(d) 解熱作用
(e) 胃粘膜傷害
5-1抗炎症薬_2010
正解: (b), (e)
解説:血小板は細胞核を有しないので、COX-2 を新たに
誘導することはできず、COX-1 のみが常在する。
したがって、選択的COX-2 阻害薬では、COX-1 による
血小板凝集を抑制することができない。
また、胃粘膜傷害や腎機能障害はCOX-1 阻害によるも
のなので、選択的COX-2 阻害薬は示さない。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
以下の痛風治療薬に関する文章で、正しくないも
の選べ。
1. インドメタシンは抗炎症作用を有する。
2. コルヒチンは尿酸排泄促進薬である。
3. アロプリノールは尿酸の合成を阻害する。
4. プロベネシドは尿酸排泄を増加する。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
[解答] 2
[解説]
コルヒチンは微小管の主要タンパク質であるチュブリンに結
合して脱重合させその機能を阻害し、細胞分裂を阻害する。
その他にも、好中球の活動を阻害し抗炎症作用をもたらす。
このため、コルヒチンは痛風において疼痛抑制と抗炎症作用
を狙って使用される。
ただし、近年強力な抗炎症作用をもつNSAIDや副腎皮質ステ
ロイド薬の登場により、
副作用(嘔気、下痢、投与量過多により骨髄抑制や貧血な
ど)の強いコルヒチンは長期にわたって投与されることは少な
くなった。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
1.Probenecid
2.Alloprinol
3.Colchicine
4.Indomethacin
5.Frosemide
痛風に既往歴のある54歳男性が自覚症状を訴えている。男性
は足関節に、激痛ではないがむず痒い感覚や違和感を覚えてい
る。他に処方されている薬はない。以下の中で処方薬として最適
なのはどれか?
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
(解答)3
(解説)
3.Colchicineは顆粒球や好中球の遊走の阻害や、炎症mediator放出の阻害によって抗炎症作
用を持つ。急性関節炎発作時に与えられるが、慢性痛風の患者に予防薬としても使用できる。
この患者の場合、
①既往歴がある
②激痛ではなく、むず痒い感覚、違和感に留まっている(発作が起こりかけている)
ということから、4.Indomethacinよりも最適だと考えられる。
1.Probenecidは細尿管で尿酸と競合し、尿酸の再取り込みを阻害する、尿酸排泄促進薬であ
る。これは高尿酸血症には効果的であるが、この患者は発作を起こしかけているので、抗炎症
作用を持たないProbenecidは不適。
2.Alloprinolはプリン体代謝最終段階でのxanthine oxidaseによる尿酸産生をこの酵素を阻害す
ることによって抑制する、尿酸合成阻害薬であり、1.Probenecidと同じ理由で不適。
4.IndomethacinはNSAIDSであり、抗炎症作用を持つが、3.の解説にあるように、この中で最適
ではない。
5.Frosemideは利尿薬であり、副作用として尿酸血症を起こすので、痛風患者には禁忌であ
る。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
以下文は痛風と関節リウマチに関する文章です。 誤りのあるもの
を選びなさい。
1、Infliximab 、 Etanercept ,Lflunomide, tacrolims は関節リウマチ
の治療に用いられる
2、probenecid は penicillin,indomethacin, methotrexate の代謝
産物の排せつを阻害する
3, 抗リウマチは近位尿細管を傷害する。これらの薬剤がハプテン
として抗体が産生され、その免疫複合体が糸球体に沈着する。そ
の結果として、腎障害おこる。
4、痛風の治療において、probenecid と aspirin を併用すると 作
用が増強される。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
(解答)4
(解説)
probenecid の尿酸排泄作用が阻害される。 、機序は不明で
あるが、腎尿細管分泌部位での阻害、血漿アルブミンの結
合部位の競合によると考えられている。
つまり、アスピリンの作用が増強される結果、probenecidの
作用が減弱する(尿酸排泄が抑制される。)
アスピリン2000mg以下では尿酸排泄を低下させます。最近
の研究では、抗凝固療法に用いられる100mg程度の少量で
も尿酸排泄を抑制することが示唆されています。
しかし、3000mg以上の大量を服用すると腎からの尿酸の排
泄を促進します。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
DMARDsについて、誤っているものを以下の中から選べ。
1、DMARDsはリウマチ症状を緩和するが、進行を遅らせたり
止めたりはできない。
2、DMARDsを早い段階から投与すると、リウマチ様関節痛に
より効果がある。
3、メソトレキサートは、葉酸代謝拮抗剤に分類される抗悪性
腫瘍薬、抗リウマチ薬である。
4、メソトレキサートの副作用には、骨髄抑制と間質性肺炎が
ある。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
1
(解説)
誤っているのは1で、DMARDsには、NSAIDsに
はない進行を遅らせたり止めたりする作用があ
る。他の選択肢の内容はあっている。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
次の選択肢は関節リウマチで使われる薬について
のものである。
誤っているものを選べ。
インフリキシマブは抗TNF抗体である。
インフリキシマブはキメラ抗体である。
エタネルセプトは抗TNF抗体である。
サラゾスルファピリジンには肝障害が副作用として
ある。
メトトレキサートは細胞毒性がある。
5-2抗リウマチ薬 痛風治療薬_2010
(解答)3
(解説)
関節リウマチの症状進行をとめるためには、異常な免疫を是正する
DMARDや生物学的製剤を使う。
インフレキシマブ・エタネルセプトは生物学的製剤であり、サラゾス
ルファピリジンとメトトレキサートはDMARDの1つである。
1.正しい。インフリキシマブは抗TNFα抗体である。
2.正しい。インフリキシマブはネズミ由来のタンパクとヒト由来のタ
ンパクからなるキメラ抗体である。よって、抗体ができてしまったりア
ナフィラキシー反応が起きることがある。エタネルセプトは完全にヒト
由来である。
3.誤り。エタネルセプトはTNFαおよびβの受容体に結合するタンパ
クである。
4.正しい。サラゾスルファピリジンは肝障害が副作用として報告さ
れており、投与前だけでなく投与後も定期的な肝機能検査が必要で
ある。
5.正しい。メトトレキサートは免疫抑制効果があり、細胞毒性があ
るため間質性肺炎などの副作用が報告されている。
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
問題:以下のシクロスポリンについての文章の中で、
誤っているものを1つ選べ。
1:ベーチェット病はこの薬の適応症である。
2:この薬の使用時にはおたふくかぜワクチンの投与は
禁忌である。
3:この薬とアミドグリコシド系薬との併用は危険である。
4:非特異的細胞毒性による肝障害がみられる。
5:副作用対策としてTDMが有用である。
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
答え:4
<解説>
1:正しい。 同じカルシニューリン阻害薬でもシクロスポリンとタク
ロリムスの適応症は異なる。
2:正しい。 免疫抑制薬使用時には生ワクチンの投与は禁忌であ
る。
3:正しい。 CYP3A4で代謝される薬物や腎毒性のある薬物との併
用により、血中濃度が増加する。 この場合は腎毒性が増強され
る。
4:誤り。 これは核酸合成阻害薬についてである。 カルシ
ニューリン阻害薬には細胞毒性はみられない。
5:正しい。 副作用対策として薬物の血中濃度モニタリングが有
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
注:英文のみ
In following sentences about Methotrexate,choose the one which is NOT true.
1. Both Trimethoprim and Methotrexate BLOCK dihydrofolate reductase and
inhibit synthesis of tetrahydrofolic acid.They are quite the same work.
2. Continually low-dose administration of Methotrexate inhibit cell
immunity(T cell immunity).
3. Adverse effects of Methotrexate are Renal damage, interstitial pneumonia
and contraindication in pregnancy.
4. Methotrexate is considered a first-line agent in the choronic treatment of
rheumatoid arthritis and in the treatment of choriocarcinoma.
5. Methotrexate is specific for the S phase of the cell cycle.
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
A.[1]
1.The bacterial reductase has a much stronger affinity for
trimethoprim than the mammalian enzyme.Methotrexate doesn't.
2.3.4.5は全て正しい
Acute lymphocytic LeukemiaにもPOMPで覚えてMethotrexate使
われるそうです。
prednisone,oncovin(vincristine),methotrexate and purinethol
Methotrexate becomes polyglutamated within the cell.
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
アザチオプリンについて正しいものを選べ。ただし、答
えは一つとは限らない。
1.リンパ球のみに作用する。
2.プリンヌクレオチドの生合成を阻害する。
3.免疫増強薬である。
4.SLE治療に用いられる。
5.肝臓のチトクロームP450で代謝される。
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
〈解答〉
1.誤り リンパ球だけでなく、ほかの細胞にも強く作用する。そのため骨髄
抑制や肝障害などの副作用がでやすい。
2.正しい AZPはプリンヌクレオチドの生合成を阻害することでDNAやRNA合
成を阻害する。
3.誤り 細胞毒性薬である。(免疫抑制)
4.正しい 副腎皮質ステロイド剤(糖質ステロイド)が第一選択薬であるが、
副作用(骨粗鬆症など)が強い場合に免疫抑制剤を使う。
5.誤り AZPはキサンチンオキシダーゼ及びチオプリンメチルトランスフェ
ラーゼによって代謝されて尿中に排出される。チトクロームP450で代謝され
るのはシクロホスファミド。
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
免疫抑制剤に関する次の文章のうち,正しいものを選べ。ただし答
えは一つとは限らない。
a.ムロモナブ-CD3はヒトB細胞表面の抗原CD3に対するモノクローナ
ル抗体であり,腎移植後の急性拒絶反応を抑制する。
b.シクロホスファミドは免疫抑制剤として用いられるほか,抗腫瘍薬
としても用いられる。
c.シクロスポリンは腎障害を起こし、フェニトインとの併用でさらに増
強される。
d.タクロリムスはカルシニューリンを活性化することで免疫抑制剤と
してはたらく。
e.プレドニゾロンを長期投与すると消化性潰瘍を起こすことがある。
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
正解:b・e
<解説>
a.誤り。B細胞ではなくT細胞。
b.正しい。上記の通り。
c.誤り。amphotericinBやアミノグリコシド系の抗生物質などとの併
用により増強される。
d.誤り。カルシニューリンを阻害することにより、T細胞の活性化を
抑える。
e.正しい。他に長期投与による主な副作用としては、感染症の併
発や、高血糖、骨粗鬆症などが挙げられる。
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
In following sentences about immunosuppressants,choose the
one which is NOT true.
1.Muromonab-CD3, Alemtuzumab and Antithymocyte
globulins disrupt T-lymphocyte function.
2.Cyclosporine and Tacrolimus(FK506) block calcineurin and
inhibit IL-2 synthesis.
3.Basiliximab and Daclizumab block the IL-2 receptor.
4.Sicrolimus and Tacrolimus bind to the same FK-binding
protein.Sicrolimus inhibits IL-2 receptor.
5.Azathioprine and Mycophenolate mofetil inhibit purine
synthesis.
5-3その他 免疫系に作用する薬_2010
Answer.4
4.Sicrolimus inhibits mTOR(molecular target of rapamycin).The IL-2 receptor signal activate mTOR which
promote transition from G1 to S phase of the cell cycle.
Sicrolimus-FKBP complex inhibits mTOR.
1._Muromonab-CD3はCD-3と、AlemtuzumabはCD-52と、Antithymocyte globulinsはT細胞の前駆体と結合す
る事で、_抗原がT細胞受容体に結合するのを防ぎます。
2.CalcineurinはNFATを活性化して、IL-2合成を促進します。
3.IL-2受容体のアンタゴニストです。ちなみにアゴニストは本物同様に受容体を活性化するもの、アンタゴニス
トは結合はするものの活性化しません。
5.Mycophenolate mofetilはIMP→XMP 反応の酵素IMP dehydrogenaseを阻害します。
Azathioprineは体内でチオイノシン酸となり、イノシン酸と拮抗します。
1.2.3.5は正しい。Steroid以外の免疫抑制剤は上が主です。
ところで長期のGlucocorticoid投与の副作用にosteoponiaがあったと思いますが、予防対策としてCaサプリと
の併用は一般的ではありませんか?
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
次の抗狭心症薬についての記述のうち、誤っているものはど
れか?
a.ニトログリセリンの舌下錠は作用発現が速やかなので狭心
症治療にもっともよく使われる
b.Ca拮抗薬は狭心症のほかにRaynaud病や動脈硬化症などに
用いられる
c.nifedipineは房室伝導障害のある患者には使用できない
d.β受容体遮断薬はスパズムに起因する狭心症を悪化させる
e.硝酸薬を単独で使うと心拍数が反射的に増加する
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
答 c
カルシウム拮抗薬の中で、diltiazemや
verapamilには房室伝導抑制作用があるが、
nifedipineにはそのような作用はない
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
(問い) 高血圧および虚血性心疾患の治療薬について、薬剤と食
品の組み合わせで相互作用のあるものを
次のうちからすべて選べ。
a) ワーファリンと納豆
b) フロセミドとオレンジジュース
c) プロプラノロールと刺身
d) ニフェジピンとグレープフルーツジュース
e) ジゴキシンと緑黄色野菜
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
(答え) a) と d)
(解説)a) ワーファリンと納豆の食べ合わせは禁忌。ワーファ
リンは、ビタミンKの作用と拮抗することにより血液の凝固を
妨げ、血栓ができるのを抑える薬である。ワーファリン服用
中はビタミンKの活性が抑えられた状態であるが、 納豆に含
まれる納豆菌はビタミンKの生合成を促進するため、納豆を
食べると効果が減弱してしまう。
d) Ca拮抗薬とグレ-プフル-ツジュ-スの食べ合わせは禁
忌。ニフェジピンはCa拮抗薬である。ニフェジピンは肝臓での
初回通過代謝を受けるが、グレ-プフル-ツジュ-スに含まれる
フラボノイドがこの肝臓での代謝酵素であるチトクロ-ムP4503A4を阻害することによってこれらの薬物の血中濃度が上昇
し、血圧が下がり過ぎてしまう。
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
冠攣縮性狭心症(VSA)の治療薬について、間違っているものを1
つ選べ。
1.VSAの予防的治療の第1選択薬はCa拮抗薬である。
2.diltiazemは大量投与により洞性徐脈や房室ブロックといった副
作用が出やすい。
3.HMG-CoA還元酵素阻害薬はNOの前駆物質を生成するため、
VSAの治療に有用である可能性が高い。
4.硝酸薬の舌下投与は作用発現が速やかであるので、発作時
に特に有用である。
5.VSAの治療において、心抑制作用を期待してβ受容体遮断薬を
単独で使用することもある。
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
(答え) 5
(解説)
1 Ca拮抗薬には抗スパスム作用があり、VSAの第1選択薬である。
2 diltiazemは洞結節での自動能抑制作用により洞性徐脈を、房室伝導抑
制作用により房室ブロックを起こしやすい。
3 HMG-CoA還元酵素阻害薬はNOの前駆物質であるe-NOSを生成するた
めVSAの治療に有用である可能性が高く、現在、実用に向けて試験が行わ
れている。
4 硝酸薬の舌下投与は門脈系を介さず直接大循環系に入り冠動脈を拡
張することによりスパスムを寛解するため、発作時に特に有用である。
5 β受容体遮断薬はスパスムを誘発する可能性があるため、単独での使
用は好ましくない。心抑制作用をもつため労作性狭心症の第1選択薬である。
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
(1)硝酸薬について述べた以下の文のうち、誤っているものはどれか。ただ
し、答えは一つとは限らない。
1.心臓の前負荷軽減よりも後負荷軽減に寄与する。
2.NOを生成し、主として細胞内のセカンドメッセンジャーcGMPを介して
血管平滑筋を弛緩させる。
3.硝酸薬によって蓄積されるcGMPは、cAMP同様、血管拡張作用のみ
を持ち、心筋細胞収縮機能にはほとんど影響を与えない。
4.硝酸薬耐性発現は、臨床的に大きな問題である。それゆえ投与方法に
は配慮が必要である。
5.nitroglycerin舌下錠は作用発現が速やかで、作用持続時間が長いので、
狭心症治療に特に有用である。
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
答え:1,3,5
(解説)
1.硝酸薬は動脈系よりも静脈系を拡張させやすく、後負荷
よりも前負荷軽減に寄与する。
3.cAMPはcGMPとは異なり、血管平滑筋を弛緩させ、心
筋細胞収縮機能を促進させる。
5.nitroglycerin舌下錠の作用持続時間は20~30分と短く、
維持療法には適さない。
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
(2)以下の組み合わせの中で、誤っているものはどれか。答えは一つと
は限らない。
薬
禁忌
1
ケタミン
高血圧
2
メトプロロール
気管支喘息
3
アテノロール
労作性狭心症
4
ベラパミル
妊婦
5
ジルチアゼム
異型狭心症
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
答え:3,5
(解説)
3,5どちらも薬に対して右の疾患は適応例で
ある。アテノロールはβ遮断薬であり、冠動脈に
対して収縮的に働くので、安静時狭心症に禁忌
である。
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
以下より病態と降圧薬の組み合わせとして適切で
ないものを選べ。ただし答えは1つとは限らない。
a.プロプラノロール - 異型狭心症
b.プラゾシン
- 前立腺肥大
c.ジルチアゼム - 脳血管障害
d.ロサルタン
- 腎障害
e.フロセミド
- 糖尿病
6-1高血圧 虚血性心疾患治療薬_2010
(解答)a ,e
(解説)
a.プロプラノロールはβ遮断薬であり、労作性狭心症には有効
であるが、異型狭心症に対して使用するとスパズムを増悪さ
せる危険があるため禁忌である。
b.プラゾシンはα1遮断薬であり、前立腺肥大による排尿障害
に絶対的適応である。
c.ジルチアゼムはCa拮抗薬である。Ca拮抗薬は血管拡張作用
をもち、脳血管障害を伴う高血圧に適応がある。
d.ロサルタンはA2受容体遮断薬であり、腎糸球体の輸出細動
脈収縮を抑制するため、糖尿病性腎症のどの腎障害に有効
である。
e.フロセミドはループ利尿薬であり、血中K濃度の低下をきた
すため膵臓でのインスリン分泌が抑制される。
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
次のうち、上室性不整脈に対しての使用が適
切でないものは
a プロカインアミド
b キニジン
c アミオダロン
d メキシレチン
eプロプラノロール
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【答え】d
【解説】
メキシレチンはVaughan-Williams分類 Ib群(Naチャネル
阻害・活動電位時間短縮)の抗不整脈薬。不活性化Na
チャネルに結合する特徴をもつため、Naチャネルの不活
性化時間が短い心房筋に対しては効果が低い。
aプロカインアミド,bキニジン はNaチャネル阻害・活動電
位時間延長のIa群、cアミオダロンはIII群で、他の薬が無
効な際に使用する。eプロプラノロールはβ(1/2) blockerで、
V-W分類ではII群に分類される。
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
正しい [不整脈]-[薬物治療] の組み合わせを下からすべて
選べ。
a) 心室細動 - リドカイン
b) 房室ブロック - アトロピン
c) WPW症候群に伴う心房細動 - ジゴキシン
d) 心房細動 - キニジン
e) 心室頻拍 - ジギトキシン
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【答え】b,d
【解説】
a) 心室細動に陥った場合は放置しておくと数分で死亡してしまうため、一刻も早い除細動
が第一選択となる。リドカインは心室性不整脈の治療や心室細動のような致死的心室性不
整脈の予防(心筋梗塞発症直後の急性期など)には用いる。
b) アトロピンの抗コリン作用によって迷走神経作用を抑制し、相対的に交感神経優位にして
房室伝導を回復させるため、房室ブロックに有効である。
c) まずWPW症候群では心房と心室を直接連結する異常な副伝導路が存在し、心室の早期
興奮が起こり、房室回帰頻拍(AVRT)や心房細動(AF)を引き起こす。この問題で述べている
WPW症候群に伴う心房細動の場合、ジギタリスを用いると正常な房室伝導が抑制され、逆
にそれによって異常な副伝導路からの伝導が促進されてしまうので危険である。そのため
ジギタリスの使用は禁忌である。Ca拮抗薬も禁忌である。
d) キニジンは細胞へのNaの流入を抑制して第0相での最大立ち上がり速度を抑え、またK
の流出を抑制して活動電位持続時間を長くする。この作用のため、上室性不整脈にも心室
性不整脈にも使われる。
e) ジギタリスは異所性興奮を亢進させてしまうため心室頻拍でも禁忌である。
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
A 38 year old male of Southeast Asian descent presents to a local cardiologist
complaining of frequent episodes of syncope and shortness of breath. A brief patient
history reveals a family history of sudden death (most likely attributed to cardiac
causes) during early and middle adulthood. After administration of Flecainide, an ECG
shows ST-segment elevation. Subsequent genetic testing reveals a mutation in the
SCN5A gene. Choose the best line of treatment for this patient from the following:
a) Digitalis
b) NSAIDs
c) ICD (implantable cardioverter-defibrillator
d) ATP
e) Keep patient under monitoring
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【答え】c) ICD
【解説】
The patient’s chief complaint (i.e. frequent episodes of syncope and shortness of breath) suggests an underlying arrhythmia. The information additionally
supplied, such as the history of sudden death in middle-aged relatives, irregular ECG revealing an ST-segment elevation, and genetic screening identifying a
mutation in the SCN5A gene are all strongly indicative of Brugada Syndrome, an inherited ion channelopathy characterized by a profoundly increased
susceptibility to sudden cardiac death (SCD) caused by ventricular fibrillation (VF). The disease is highly prevalent in SE Asian populations and is suspected to
be the most common cause of SCD in this region. The key word here is VF. Knowing the limitations of antiarrhythmics and the key condition (i.e. VF) to this
patient’s underlying illness, should facilitate the task of choosing the best treatment option from the selection below.
a) Digitalis → generally prescribed in patients with atrial (and not ventricular) fibrillation. (X)
b) NSAIDs → prolonged use of NSAIDs is actually associated with an increased risk of chronic atrial fibrillation and should therefore not be used to manage
VF. (X)
c) ICD (implantable cardioverter-defibrillator) → No treatment modalities offer a surefire treatment for the total prevention of ventricular fibrillation and
SCD. Therefore, treatment heavily relies upon the termination of lethal episodes of VF before they result in death. The ICD is designed to continuously
monitor heart rhythm and will deliver a shock if and when a VF is noted. Therefore, this is considered the best option for treatment. (CORRECT ANSWER)
d) ATP → as with digitalis, ATP is generally prescribed for atrial fibrillation. (X)
e) Keep patient under monitoring → the patient is at increased risk for VF and therefore requires medical intervention in order to prevent episodes of
potentially lethal spontaneous arrhythmias. (X)
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
Using the following answer key (A-D), choose the letter that best characterizes each of the medications below:
A. Generally effective for supraventricular arrhythmias
B. Generally effective for ventricular arrhythmias
C. Generally effective for both supraventricular and ventricular arrhythmias
D. Not effective for either supraventricular or ventricular arrhythmias
MEDICATIONS:
1. Lidocaine
2. Amiodarone
3. Procainamide
4. Digitalis
5. Mexiletine
6. Quinidine
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【答え】
1. Lidocaine → B
2. Amiodarone → C
3. Procainamide → C
4. Digitalis → A
5. Mexiletine → B
6. Quinidine → C
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
WPW症候群を伴う心房細動における禁忌薬はどれ?
a.ピルシカイニド
b.ジソピラミド
c.ベラパミル
d.シベンゾリン
e.ジギタリス
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【解答】c, e
【解説】
WPW症候群は、不整脈を生じる心臓病のひとつで
あり、多くはKent束と呼ばれる副伝導路の存在に
よるリエントリー回路の形成が原因である。発作性
心房細動を合併した場合、ジギタリス製剤、カルシ
ウム拮抗薬は禁忌である。これは、それらが正常
の刺激伝導系を抑制する一方で、側副路の伝導
系が促進され頻拍を助長するためである。
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
One of the known, potentially life-threatening side
effects of the following antiarrhythmic agent is
bronchoconstriction (choose one):.
a) procainamide
b) lidocaine
c) quinidine
d) amiodarone
e) propranolol
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【解答】e, propranolol
【解説】
One of the most well known side effects of betaadrenergic blocking therapy is
bronchoconstriction. Therefore, prior to
prescribing beta blockers, it is imperative that
one get a detailed history from the patient
regarding any past or present incidences of
asthma.
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
Which of the following medications are considered class III antiarrhythmics? (Hint: Class III are beta-blockers)
A. propranolol
B. quinidine
C. esmolol
D. bisoprolol
a) A, B, C
b) B, C, D
c) A, C, D
d) A, D
e) all of the above
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【解答】
c (propranolol, esmolol, bisoprolol)
【解説】
A. propranolol → class III (beta blocker) ○
B. quinidine → class Ia (fast channel blocker) X
C. esmolol → class III (beta blocker) ○
D. bisoprolol → class III (beta blocker) ○
HINT: Class III antiarrhythmics are beta-blockers. The suffix for betablockers is -olol; theefore, if you know this information, you can
correctly guess the beta-blockers from this selection.
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
心室頻拍の発作の治療に使われる薬をすべて選べ。
a. プロカインアミド
b. ベラパミル
c. アミオダロン
d. ジギタリス
e. β受容体刺激薬
6-2抗不整脈薬
強心薬_2010
【解答】a.b.c
【解説】心室頻拍とは心室の一部から連続しておこる異所性刺激によって頻脈を呈する病態。
心電図所見では、頻拍を示し(100拍/分以上)、QRS波は幅広く(0.12秒以上)RR間隔は一定。
持続性心室頻拍・・・発作の持続時間が30秒以上
非持続性心室頻拍・・・発作の持続時間が30秒以下
a.プロカインアミド・・・◯基礎心疾患を有する場合の頻拍発作の停止に用いられる。
b.ベラパミル・・・◯右脚ブロックと左軸変異がある場合の頻拍発作の停止に用いられる。
c.アミオダロン・・・◯心機能低下を伴う頻拍発作の停止に用いられる。
d.ジギタリス・・・×異所性自動能が亢進してしまい、悪化する。よって、禁忌。
e.β受容体刺激薬・・・×β受容体遮断薬なら、右脚ブロックと右軸偏位、先天性QT延長症候群の場合の頻拍発
作の停止に用いられる。
7-1気管支喘息治療薬_2010
問.喘息の治療薬についての以下の選択肢のうち、正しい
ものを選べ。ただし答えはひとつとは限らない。
a) サルブタモールは抗コリン薬である。
b) プロカテロールは気管支平滑筋を拡張させる。
c) テオフィリンはPDEを阻害する。
d) イプラトロピウムは喘息の急性発作の第一選択薬であ
る。
e) ベクロメタゾンは結核患者には用いられない。
7-1気管支喘息治療薬_2010
答え:b, c, e
解説:
a) b) サルブタモール、プロカテロールは選択的β2作用薬で
あり、気管支拡張作用をもつ。
c) テオフィリンはPDEを阻害し、気管支拡張作用をもつ。
d) 喘息の急性発作の第一選択薬は、サルブタモール、プロ
カテロールなどのβ2作用薬である。イプラトロピウムは抗コ
リン薬である。
e) ベクロメタゾンはステロイド性抗炎症薬であり、結核に対
する炎症反応を抑制し感染を増悪させてしまうので、原則使
用しない。
7-1気管支喘息治療薬_2010
どの組み合わせが正しいか。(喘息の薬 - 薬理作用)
a)テオフィリン - PDEを阻害
b)コデイン - 咳中枢を抑制
c)ケトチフェン - β2受容体を刺激
d)プロピオン酸ベクロメタゾン - ムスカリン受容体と拮抗
e)クロモグリク酸ナトリウム - 気管支平滑筋を直接的に拡張
7-1気管支喘息治療薬_2010
答え:a),b)
解説:
a),b)問題文通り。
c)ケトチフェンをはじめとする抗ヒスタミン薬には、マスト細胞や
好塩基性白血球の脱顆粒と炎症性伝達物質の遊離抑制作用を
もつものがある。
d)ベクロメタゾンはステロイド性抗炎症薬であり、リポコルチンを
合成する。ムスカリン受容体と拮抗するのは抗コリン薬である。
e)クロモグリク酸はマスト細胞の膜を安定化し、炎症性伝達物
質の脱顆粒を抑制する。
7-1気管支喘息治療薬_2010
喘息への薬について間違っている文はどれか。
①
テオフィリンは気管支平滑筋を拡張させる薬である。
②
ベクロメタゾンは遅延型喘息に働くことができる。
③ 気管支喘息の患者に対しては、プロプラノールを投与
すべきである。
④
クロモグリク酸は比較的安全な薬である。
⑤
コデインは、咳中枢に働きかける薬である。
7-1気管支喘息治療薬_2010
A,③
解説
① テオフィリンはPDE阻害作用、adenosine受容体遮断作用など
をもち、気管支平滑筋を拡張させる
② ベクロメタゾンは抗炎症薬であり、遅延型反応の抑制あるい
は予防に有効である。
③ プロプラノールはβ受容体遮断薬で、副作用として気道の狭窄
を起こすため、喘息患者に投与してはいけない。
④ クロモグリク酸は安全な薬で、重篤な副作用を起こすことはま
れである。
⑤
コデインは、咳中枢を抑制する。
7-1気管支喘息治療薬_2010
正しい文章はどれか。(答えは二つある)
a.ブトキサミンは喘息の第一選択薬である。
b.フィゾスチグミンには喘息発作を鎮める働きがある。
c.喘息の第一選択薬の一つである硫酸サルブタモールは、
アドレナリン作用薬であり、選択的にβ1、β2受容体に働く。
d.塩酸プロカテロールは内服薬として服用できる。
e.アドレナリンは喘息発作に使うことができる。
7-1気管支喘息治療薬_2010
Answer: d, e
解説:
a.ブトキサミンは選択的β2遮断薬であり、むしろ喘息を増悪させる。ブトキサミンは
臨床的に使われることはない。
第一選択薬としては後述の硫酸サルブタモールなどが使われる。
b.フィゾスチグミンは緑内障などに使われることがあるコリンエステラーゼ阻害薬
であり、気管支を収縮させる。
結果的に喘息を増悪させる。
c.硫酸サルブタモールはβ2受容体だけに選択的に働くアドレナリン作用薬である。
d.正しい。吸入でも服用できる。
e.正しい。アドレナリンはβ2受容体に作用し、気管支を拡張させる。
7-1気管支喘息治療薬_2010
呼吸器感染に付随して起こる気管支収縮に用いられる薬剤
として誤っているのはどれか。
a) サルブタモール
b) イプラトロピウム
c) テオフィリン
d) ケトチフェン
e) プロカテロール
7-1気管支喘息治療薬_2010
解答: d
(解説)
a) ,e)
β2受容体を刺激して気管支を拡張させる。
b)
微小血管透過性の抑制作用などにより気管支を
拡張させる。
c)
ムスカリン受容体を抑制して気管支を拡張させる。
d)
これは抗ヒスタミン薬であり感染により起こった
気管支収縮には効果なし。
8-1凝固 線溶系に作用する薬_2010
以下の薬剤についての記述のうち正しいものはどれか。ただし、答えは1つと
は限らない。
a.アスピリンはシクロオキシゲナーセをアセチル化し不可逆的に阻害すること
で血小板の凝集を抑制している。
b.へパリンは経口投与され、プロトロンビンおよびⅦ因子、Ⅸ因子、Ⅹ因子を
低下させて抗凝固作用を示す。
c.ワーファリンなどのcoumarin誘導体は作用の発現が遅いが、その持続は長
い。
d.カルシウムキレート薬は生体内で抗凝血作用を目的として使用される。
e.ウロキナーゼはプラスミノーゲン・アクチベータであり、α2-プラスミンインヒ
ビターに影響されない。
8-1凝固 線溶系に作用する薬_2010
(答)a,c
解説
a.正しい、このため細胞核をもたずタンパク合成能のない血小板の寿命である10日間凝集
は阻害される。大量投与で内皮細胞からのPGI2(生理的血小板凝集抑制物質)の産生を
抑制するので血栓形成抑制には有効でない。(アスピリンジレンマ)
b.誤、これは、ワーファリンについての説明である。ヘパリンはantithrombin Ⅲ を活性化し
Ⅹa因子やトロンビンの活性を抑制する。
c.正しい、プロトロンビンおよびⅦ因子、Ⅸ因子、Ⅹ因子の産生を抑制することで作用してい
る。そのため、血漿プロトロンビン量が低下して初めて効果が現れるため、遅く、長い。ヘパ
リンは直ちに作用し、持続は短い。
d.誤、主に、採血の際など試験管内で使用する。生体内で抗凝固作用を発揮する程度にカ
ルシウムをキレートするには大量に投与する必要があるが、カルシウムは生命の維持に重
要であるため治療では使われない。クエン酸ナトリウムなどは大量に投与するとアシドーシ
スを起こす危険性もある。
e.誤、α2-プラスミンインヒビター(α2-PI)に影響されないのは組織精製プラスミノーゲンア
クチベータ(t-PA)、ウロキナーゼ(u-PA)によって産生されたプラスミンはα2-PIにより分解され
る。t-PAはプラスミンに対する親和性が高く血栓上で強い作用を示す。フィブリンの上でプラ
スミンを作るのでα2-PIによる不活化をプラスミンが受けることなく、フィブリンを分解する。
8-1凝固 線溶系に作用する薬_2010
以下のワルファリンに関する記述の中で、正しくないものを一つ選
べ。
a.ワルファリンは脳梗塞の予防のために心房細動の患者に投与さ
れる。
b.ワルファリンは胎児に奇形を起こす可能性があるので、妊婦へ
の投与は禁忌とされている。
c.ワルファリンの抗凝固作用はシクロオキシゲナーゼ阻害によるも
のである。
d.納豆の摂取はワルファリンの効果を減弱させる。
e.ワルファリンは殺鼠剤としても売られている。
8-1凝固 線溶系に作用する薬_2010
解答: c
解説
a.心房細動の患者では、心房内の血液がよどむことにより血栓が出来やすくなり、その血栓が
脳動脈を閉塞して脳梗塞を引き起こす可能性があるので、 抗凝固作用を持つワルファリンを
投与することで血栓の形成を予防する。
b.ワルファリンは胎盤を通過し、胎児への催奇性を持つ。また、胎児の出血傾向による死亡例
もあるので、妊婦への投与は禁忌である。
c.シクロオキシゲナーゼ阻害による抗凝固作用を持つのは、ワルファリンではなく、アスピリン
である。アスピリンはシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することにより、トロンボキサンA2
(TXA2)の産生を阻害し、血小板凝集抑制作用を示す。一方ワルファリンは、肝臓で生合成が
行われる血液凝固因子(第II因子(プロトロンビン)、第VII因子、第IX因子、第X因子)の 生合成
に関わるビタミンKと拮抗して働くことにより、血液凝固因子の生成量を減らし、血液凝固を抑
制する。
d.ワルファリンはビタミンKと拮抗して働くが、納豆やクロレラなどビタミンKを多く含まれる食品を
摂取することで、 体内のビタミンKの量が増えてしまうので、ワルファリンの効果も弱まってしま
う。
e.ワルファリンは殺鼠剤としても用いられ、摂取したネズミは内出血により死亡する。
この際、ネズミは網膜から出血を起こして視力を失い、明るい場所に出てくるので、死体の駆
除が容易となる。
凝固 線溶系に作用する薬_2010 追加問題
子ページ (1)
次の記述のうち正しいものを選べ
1.クエン酸ナトリウムは輸血時に生体内に入りうる。
2.ヘパリンの効果は試験管内で無効である。
3.ジクマロールは肝臓がビタミンK依存性の血液凝
固因子を合成するのを阻害する。
4.ワルファリンの効果はプロトロンビン時間で判定
される。
5.プロテインCは血栓症に使用される。
凝固 線溶系に作用する薬_2010 追加問題
ANSWER:2
解説
1.カルシウムキレート薬であるクエン酸ナトリウムは採血時の
凝固予防に使われる。輸血用の血液にも含まれるのでアシ
ドーシスに対する注意を要する。
2.ヘパリンは血漿成分であるATⅢがトロンビンに結合するの
を助け、血液凝固を抑制する。この反応は生体内に限らない。
3.
4.いずれもcoumarin誘導体の説明であり、正しい。プロトロン
ビン時間は血漿にカルシウムとトロンボプラスチンを加え凝
固するまでの時間で測定される。
5.抗凝固因子濃縮製剤を血栓症の治療に用いることもある。
8-2その他 造血系に作用する薬_2010
[問題1] 葉酸、ビタミンB12の代謝について正しいものはどれか?
A 葉酸欠乏は神経障害を起こす。
←選択肢Aは不適切となるの
で削除させてください。(作成
者の発言)
B メトトレキサートは葉酸の吸収を阻害する。
C 5-フルオロウラシル(5-FU)は代謝されてDNA合成を阻害する。
D 悪性貧血は葉酸欠乏により起こる。
E 巨赤芽球性貧血はビタミンB12の投与で常に治療される。
F 葉酸はビタミンB12不足による貧血、神経障害を治す。
8-2その他 造血系に作用する薬_2010
[答え Answer] C
[解説]
A 貧血は起こるが、神経障害は起きない。
←選択肢Aは不適切となるの
で削除させてください。(作成
者の発言)
B メトトレキサートはジヒドロ葉酸還元酵素を阻害する。
C 正しい。5-fluoro-2'-deoxyuridine 5'-mono-phosphate(FdUMP)はチミジル
酸合成酵素を阻害する。
D 悪性貧血は、壁細胞による内因子の分泌障害により起こる。内因子は
ビタミンB12の吸収に必要である。
E 巨赤芽球性貧血はビタミンB12の不足だけでなく、葉酸の不足によっても
おこる。
F 葉酸はビタミンB12の不足による貧血を改善するが、神経障害は改善し
ない。
9-1抗細菌薬_2010
抗生物質について誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.ペニシリン系抗生物質とセファロスポリン系抗生物質(ともにβ‐ラ
クタム系抗生物質である)はマイコプラズマのようなペプチドグリカ
ンの細胞壁を持たない生物には無効である。そして、過敏症が共
通の副作用である。
2.バンコマイシンはMRSAのようなグラム陽性菌には有効である。そ
して、それはまた、クロストリジウム・ディフィシルとブドウ球菌によ
る、潜在的に生命を危うくする抗生物質関連の肺炎にも用いる。
3.アミノグリコシド系抗生物質は好気性菌には有効であるが、嫌気
性菌と緑膿菌には無効である。そして、その主要な副作用は第Ⅷ
脳神経障害と腎障害である。
4.テトラサイクリン系抗生物質はリケッチャ、マイコプラズマ、クラミ
ジアのような生物には有効である。
5.マクロライド系抗生物質はマイコプラズマ肺炎、新生児クラミジア
肺炎、レジオネラ感染症の治療に用いる。
9-1抗細菌薬_2010
(解答と解説)2,3
1.正しい。
2.誤り。pneumonia(肺炎)が誤りで、これをcolitis(大腸炎、と
くにpseudomembranous colitis:偽膜性大腸炎)とすると正しく
なる。クロストリジウム・ディフィシルとブドウ球菌による、潜在
的に生命を危うくする抗生物質関連の偽膜性大腸炎にも用
いる。偽膜性大腸炎は、抗生物質の投与がクロストリジウム・
ディフィシルとブドウ球菌の増殖を加速し、放出された毒素が
傷害性を発揮して発症する腸炎である。MRSA(methicillinresistant Staphylococcus aureus)はメチシリン耐性黄色ブドウ
球菌のこと。
3.誤り。アミノグリコシド系抗生物質は好気性菌と緑膿菌には
有効である。
4.正しい。
5.正しい。
9-1抗細菌薬_2010
以下の文章で正しいものはどれか?
1.四世代セフェムは緑膿菌に対して有効である。
2.エリスロマイシンは嫌気性菌の第一選択薬である。
3.ニューキノロン系はDNAジャイレースを阻害する。
4.聴覚障害はアミノグリコシド系の副作用である。
5.妊婦はテトラサイクリン系を服用できる。
9-1抗細菌薬_2010
(解答)1,3,4
(解説)
1.正解。四世代セフェムはグラム陽性菌、グラム陰性菌、緑膿菌、嫌気性
菌の多くに対して有効である。
2.不正解。エリスロマイシンは嫌気性菌に対して無効であるが、他のマク
ロライド系は有効である。レジオネラ、百日咳、マイコプラズマ肺炎、新生児
クラミジア肺炎に対して、マクロライド系は第一選択薬となる。
3.正解。ニューキノロンはDNA複製阻害である。
4.正解。アミノグリコシド系の副作用としては他にも平衡機能障害、腎毒性、
神経筋接合部抑制作用がある。
5.不正解。妊婦と6歳以下の小児に対してテトラサイクリンは禁忌である。
9-1抗細菌薬_2010
薬の併用による相互作用において、効果的でない組み合わせを選ぶ問題。
1.chloramphenicol and penicillin G
2.streptomycin and ampicillin
3.bacitracin and ampicillin
4.trimethoprim and sulfomethoxazole
5.cefoperazon and sulbenicillin
6.gentamicin and carbenicillin
7.norfloxacin and theophylline
9-1抗細菌薬_2010
(解答)1,5,7
(解説)
1.静菌的に作用するchloramphenicolに、増殖期に効果のあるpenicillinを併用する
と、penicillinの作用は単独に投与した場合よりも減弱する。
2.aminoglycoside系とpenicillin系の併用は協力的に働き、抗菌作用が増強される。細
胞壁によって菌体内への侵入が妨げられているstreptpmycinが、penicillinによる細
胞壁合成阻害によって容易に菌体内にはいるため。
3.bacitracinとpenicillin系はどちらも細胞壁合成阻害薬であるが、細菌の細胞壁合成
過程の異なる段階に作用するので協力的に働く。
4.ST合剤。folate reductase阻害薬であるtrimethoprimとsulfomethoxazoleの併用は協
力作用を示すためよく使われる。尿路感染症、ニューモシスチス肺炎、軟部組織感染
症などに適応。
5.cefoperazonは第3世代cephem系、carbenicillinはpenicillin系。どちらも細胞壁合成
阻害薬で同一の作用点に対して競合するので相互作用は相加的でない。
6.2と同じくaminoglycoside系とpenicillin系の併用は協力的に働き、抗菌作用が増強
される。gentamicinとcarbenicillinの併用は緑膿菌に対して有効。
7.norfloxacin(new quinolone系)とtheophylline(気管支拡張剤)の併用はtheophylline
の代謝を遅らせ、theophyllineの血中濃度を上昇させるため注意が必要。
9-1抗細菌薬_2010
以下の文章で誤っているのはどれか?2つ選べ。
1.ST合剤は緑膿菌に有効である。
2.黄色ブドウ球菌はpenicillin耐性菌が生じる。
3.rifampicimとisoniazidの副作用には視神経障害がある。
4.tetracyclinは歯に沈着することがある。
5.スルフォン化合物はライ菌に有効である。
9-1抗細菌薬_2010
(解答)1,3
(解説)
1.誤り。trimetoprimとsulfamethoxazoleの併用は協力作用を示すためよく利
用され、ほとんどのグラム陽性菌と緑膿菌を除くグラム陰性菌に強い抗菌力
を持つ。
2.正しい。現在、病院患者に見られる黄色ブドウ球菌は90~95%が耐性菌
だといわれる。耐性菌はβ-lactamaseを産生して、penicillinを失活させる。
3.誤り。結核治療に用いるrifampicimとisoniazidの副作用は肝障害と末梢神
経障害。結核治療で併用するethambutolの副作用が視神経障害。
4.正しい。他の副作用には、胃腸障害、皮膚の光線過敏症、腎・肝障害が
見られる。
5.正しい。治療時にはスルフォン化合物のdiaphenylsulfone(DDS)、
clofazimine(CLF)、rifampicim(RFP)の3剤を併用する。
9-1抗細菌薬_2010
以下の選択肢から誤っているものを全て選べ。
a.penicillin系の作用機序は細胞膜作用である。
b.tetracycline系は細菌のリボソームに可逆的に結合する。
c.MRSAのメチシリンに対する耐性はβ-lactamaseを誘導することに
よる。
d.β-lactam系抗生物質では過敏症とけいれん誘発作用の副作用が
ある。
e.aminoglycoside系抗生物質は緑膿菌には有効だが、嫌気性菌に
は無効。
9-1抗細菌薬_2010
解答:a,c
解説
a.誤り。細胞壁合成阻害である。細胞壁の構成成分で重要なのは
peptidoglycanで、penicillin系やcephem系抗生物質は合成の最終段階であ
るpeptidoglycan間の架橋を担う架橋形成酵素に結合、阻害する。
b.正しい。
c.誤り。MRSAのメチシリンに対する耐性は抗生物質と結合しない
peptidoglycan架橋酵素を産生することによる。β-lactamase(penicillinase)を
誘導するのはpenicillin耐性菌。β-lactamaseはpenicillinを分解するが、この
酵素によって分解されない薬剤として開発されたのがメチシリンである。
d.正しい。
e.正しい。
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
間違っている選択肢を選べ。ただし正解は1つとは限らない
a レトロウイルス感染にはzidovuldine (azidothymidine; AZT)が有
効である。
b acyclovirは帯状疱疹の治療に用いられる
c oseltamivirの作用機序はM2阻害である
d amantadineはインフルエンザB型の治療薬であるとともに
Alzheimer病の治療にも用いられる
e lamivudineはdCTPの核酸アナログでありHBVの増殖を抑制する
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
答 c, d
解説
a zidovuldine (azidothymidine; AZT)はTリンパ球の増殖、機能を阻害しない濃度で
HIVの細胞変性効果を完全に阻害する
b アシクロビルはウイルス特異的なチミジンキナーゼによって三リン酸化体となり、
ウイルスのDNAポリメラーゼをそがいする。ヘルペスウイルス感染症の治療に有効
c オセルタミビル(タミフル)はNAを阻害することでA型・B型インフルエンザの細胞か
らの遊離を阻害する
d アマンタジンはインフルエンザウイルスA型の治療薬であり、Parkinson病の治療
薬でもある。インフルエンザA型治療薬としてはM2蛋白に結合し、ウイルスイオン
チャネルを阻害し脱殻を阻害する。Parkinson病に対する作用機序としてはとしては
ドーパミンの遊離作用、NMDA受容体を遮断作用があげられる。
e HBVの核酸アナログとしてはラミブジン、アディフォビル、エンテカビルなどが重要
である。ラミブジンはdCTP、アディフォビルはdATP、エンテカビルはdGTPの核酸アナ
ログとしてそれぞれ働き、これがHBVの逆転写酵素に組み込まれて、ウイルス遺伝
子の合成を阻害することでHBVの増殖が抑制される。
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
Which choice is the best for HIV infection?
a,AZT(azidothymidine)
b,PPI(proton pomp inhibiter)
c,MTX(methotrexate)
d,NSAID(non-steroidal anti-inflammatory drugs)
e,ARB(angiotensin2 receptor blocker)
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
解説
the answer is "a".
a,AZTはヌクレオチド系逆転写酵素阻害薬であり、RNAウイルスであるHIVには有効。
b,PPIは胃底線の壁細胞に働きかけ、H+の分泌を阻害する。したがって、消化性潰瘍の治療に有効。
PPIにはランソプラゾール、オメプラゾールなどがある。
消化性潰瘍の治療のほか、NSAIDの副作用の軽減にも使用される。
c,MTXは葉酸代謝拮抗薬であり、抗癌剤として使用される。
2水素葉酸が4水素葉酸になる反応に介在し、これを必要とするチミジル酸を欠乏させることにより、プリンヌクレオチド合成の阻
害がおこるため、DNA合成が抑えられる。
d,NSAIDは抗炎症、解熱、鎮痛作用をもつ。
アスピリン(アセチルサリチル酸)やインドメタシンが主要である。小児用バファリンに含まれるアセトアミノフェンはNSAIDでない。
アラキドン酸カスケードにおけるCOX(シクロオキシゲナーゼ)を阻害することにより、プロスタタグランジンの産生を抑える。
したがって、抗炎症、解熱、鎮痛作用がある。
副作用として、消化性潰瘍があげられるのは、プロスタグランジンが消化管の粘膜保護因子として働いているためである。
e,ARBは降圧剤として使われる。
ARBにはオルサルタン、ロサルタンなどが挙げられる。
腎の輸入細動脈におけるAT1受容体を遮断することにより、血管を拡張させ、利尿作用を強くする。利尿作用が強くなれば、循環
血液量が減少するため、血圧がさがる。
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
次の内、あやまっているものはどれか?
A,amanatadineはウィルスの侵入及び解体を阻害する。
B,ウィルスmRNAの転写阻害薬のribavirinはHIVに有効であ
る。
C,ウィルスDNAの複製阻害薬としてidoxuridine,trifluridineが
ある。
D,ウィルス性疾患の治療に有効なinterferonはB,C型肝炎に
は使用されない。
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
D,interferon
解説
D,interferonはRNA分解酵素の遺伝子活性を刺
激発現させ、ウィルスmRNAの阻害を行うとされ
ているためB,C型肝炎に使用される。
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
以下に示した抗菌薬に関する記述のうち、正しいものをすべて選択
せよ。
1.イソニアジドはグラム陽性・陰性菌に作用する広域抗菌スペクト
ルをもつ抗生物質である。
2.ペニシリンGやエリスロマイシンは肺炎菌に効く狭域抗菌薬であ
る。
3.リファンピシンは細菌の蛋白質の合成を妨げることによって抗菌
作用を発現する。
4.結核菌の第一選択薬としてバンコマイシンが用いられる。
5.スルフォンアミドやパラアミノサリチル酸は葉酸の合成を妨げ抗
9-2抗真菌 抗ウイルス薬 およびその他の抗感染薬_2010
解答 2,5
解説
1.× 2.○ 3.× 4.× 5.○
1.イソニアジドは結核菌などのマイコバクテリアにのみ有効で
ある。細菌の細胞壁の合成を妨げる。
3.リファンピシンはRNAポリメラーゼにドッキングし、DNAから
mRNAへの転写を妨げて細菌を殺す。
4.結核菌にはリファンピシンとイソニアジドの併用が主に用い
られる。バンコマイシンはMRSAの第一選択薬である。
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
Q.過剰投与するとアルカローシスを起こすのはどれか。
1.炭酸カルシウム
2.水酸化アルミニウム
3.酸化マグネシウム
4.炭酸水素ナトリウム
5.ハイドロタルサイト
6.陰イオン交換樹脂
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
解答:4
(解説)
炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナト
リウムなどのナトリウム塩は吸収性制酸薬であり、
酸を中和した後、吸収されて血液のアルカリ予備
を増大するので、大量投与した場合はアルカロー
シスを引き起こす。
他の選択肢はいずれも局所性制酸薬で、消化管
から吸収されにくいため、血液の酸・塩基平衡には
ほとんど影響することはない。
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
(問)次のうち副作用として子宮収縮を起こすものはどれか。
1、ピレンゼピン
2、ミソプロストール
3、アモキシシリン
4、シメチジン
5、オメプラゾール
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
解答:2
(解説)
1、抗コリン薬であるピレンゼピンは、ヒスタミン産生細胞上のM1受容体に選択的な拮抗薬
であり、迷走神経刺激による酸分泌を強力かつ選択的に抑える。従来の抗コリン薬より口
渇、散瞳などの副作用が少なく、血液脳関門を通らないので中枢作用がないのが利点であ
る。
2、ミソプロストールはプロスタグランジンE1製剤のひとつで、その粘膜保護作用からNSAI
DSによる胃腸障害の予防、治療に用いられる。一般的な副作用は腹部痙攣および下痢
で,30%の患者に発症する。その子宮収縮作用のため妊婦および妊娠可能性のある人に
は禁忌であり、やむを得ず服用する場合は、服用中の避妊が必要となる。
3、広範囲ペニシリン系抗菌薬であるアモキシシリンはプロトンポンプ阻害剤、クラリスロマイ
シンと併用してH.pyloriの除菌に用いられる。
4、シメチジンはH2受容体拮抗薬として、ヒスタミンのみならず、ガストリンやアセチルコリン
によって刺激される酸分泌も抑制する。弱い抗アンドロゲン作用のため女性化乳房を引き起
こすことがある。またP-450ミクロソーム酵素と相互作用し,この酵素系を介する他の薬の代
謝を遅延させることがある。
5、オメプラゾールはプロトンポンプ阻害薬の代表で、壁細胞からのH⁺分泌を強力に阻害す
る。副作用は少なく、現在H2ブロッカーに代わり最もよく使用されている。
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
Q,Which of the following is not true? (The answer is not
necessarily one)
1.ピレンゼピンは迷走神経によるH+分泌を抑制する。
2.H.pylori菌を除菌するために、アモキシシリンはPPI(プロトン
ポンプインヒビター)とクラリスロマイシンとともに使用される。
3.H2拮抗薬はヒスタミンのみならずガストリンやアセチルコリ
ンによるH+分泌を抑制する。
4.シメチジンはプロトンポンプのはたらきを阻害する。
5.抗精神病薬は消化性潰瘍に対して使われることはない。
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
解答:4,5
解説:
1.ピレンゼピンは抗コリン薬でありM1受容体拮抗薬である。脳血管
関門を通過しないので中枢作用がない。
2.H.pylori除菌薬は3剤併用で用いられる。
3.H2拮抗薬としてはシメチジンがあり、これはガストリンやアセチル
コリン刺激による酸分泌も抑制することができる。
4.上の3にあるようにシメチジンはH2拮抗薬であり誤り。プロトンポン
プ阻害薬としてはオメプラゾールがある。
5.誤り。消化性潰瘍の原因としてストレスがある。ストレスを軽減さ
せるためにスルピリドなどの抗精神病薬が使用されることがある。
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
Q,次のうち、NSAIDs副作用の潰瘍の治療に最
も効果的なのはどれか?
1.ミソプロストール
2.ランソプラゾール
3.アモキシシリン
4.スクラルファート
5.シメチジン
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
答、1
解説
NSAIDsがCOXを抑制して、胃粘膜保護作用(胃酸分泌抑制、胃粘膜
血流増加、胃粘液分泌促進)のあるPGEの産生を抑制するために、
胃腸が障害され、NSAIDs潰瘍は起こる。よって、PGE1誘導体である、
1のミソプロストールが正解となる。
2,3はH.pylori除菌薬
4は粘膜保護
5はH2拮抗薬
であり、すべて消化性潰瘍治療に有効であるが、最も有効なのは1
である。
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
問:以下の胃・十二指腸潰瘍薬のキーワードの組合せのうち、
間違っているものを選べ。ただし、正解は一つとは限らない。
1、ラニチジン-ヒスタミンH2受容体拮抗薬
2、オメプラゾール-長期服用
3、ジシクロミン-抗セロトニン薬
4、メトクロプラミド-嘔吐抑制
5、ミゾプロストロール-NSAIDsと併用
10-1胃
十二指腸潰瘍治療薬_2010
答、2,3
【解説】
1、正。シメチジンやラニチジンは壁細胞や主細胞のH2受容体に働き、ヒスタミンだけ
でなく、アセチルコリンやガストリン、ペプシンの分泌も抑制する。
2、誤。オメプラゾールをはじめとしたプロトンポンプ阻害薬は、酵素と薬物との結合
が非可逆的であるために、薬物が血液から消失した後でも効果は持続する。した
がって、24時間以上にわたり、遺産分泌地を強力に抑制するので、長期服用は禁忌
である。
3、誤。ジシクロミンは三級アミン化合物の抗コリン薬である。このようなムスカリン拮
抗薬は非選択的な薬であり、また血液脳関門を通過して中枢興奮作用を示すものが
多いので、抗セロトニン薬とは異なり、非選択的である。
4、正。メトクロプラミドはドパミンD2拮抗作用に加えて、セロトニン5-HT3受容体の遮
断作用もあるので、セロトニンによる嘔吐抑制の作用がある。
5、正。ミゾプロストロールやエンプロシルといったプロスタグランジン製剤は消化管粘
膜に対して保護的に働くので、NSAIDsの副作用である胃腸肝障害を避けるために併
用される。
10-2その他 消化器系に作用する薬_2010
末梢性に作用する鎮吐薬はどれか?
1.クロルプロマジン(フェノチアジン誘導体)
2.ドンペリドン(D2受容体拮抗薬)
3.グラニセトロン(抗セロトニン薬)
4.ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)
5.プロメタジン(抗ヒスタミン薬)
10-2その他 消化器系に作用する薬_2010
(解答) 3
抗セロトニン薬は、中枢性だけでなく末梢性に
も作用し、嘔吐を抑制する。
10-2その他 消化器系に作用する薬_2010
子ページ (1)
正しい文章を選べ。
a)制酸薬は胃内pHが7程度になるように投与する。
b)消化酵素には最適なpHがあるので、消化薬は液性を調節して
から投与するのが望ましい。
c)炭酸水素Na、クエン酸Na、酢酸Naなどの制酸薬は消化管で吸
収されにくいので、血液の酸塩基平衡にほとんど影響を与えない。
d)NSAIDはCOXの活性を阻害して胃腸障害を引き起こす。そのた
めNSAIDはPGE2製剤と共に用いられることがある。
e)ピレンゼピンはヒスタミンのH2受容体に作用して胃酸分泌を抑
制する。副作用として女性化乳房が挙げられる。
10-2その他 消化器系に作用する薬_2010
A. b) d)
(解説)
a)胃内pHが上昇すると幽門前庭部よりガストリンが分泌され
結果として胃酸が分泌されるため、
胃内の液性はpH5程度の弱酸性になるように中和するのが
理想。
c)炭酸Ca、酸化Mg、水酸化Alなどの局所性制酸薬の説明。
炭酸水素Na~は吸収性制酸薬。
e)H2拮抗薬のシメチジンの説明。ピレンゼピンは抗コリン薬。
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
糖尿病薬に関する次の記述のうち間違っているものをすべ
て選べ。
a) 非ステロイド性抗炎症剤はスルホニル尿素系薬物の薬
理作用を増強する。
b) スルホニル尿素系薬物はATP依存性Kチャネルを遮断し
てインスリン分泌を高める。
c) Ⅰ型糖尿病の患者に対するインスリンの効果は低い。
d) ピオクリタゾンはα-gulcosidase阻害薬であり、食後の血
糖上昇を防止する。
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
回答:c、d
解説
a) 正。phenylbutazoneなどの非ステロイド性抗炎症薬とスルフォニル尿素
系薬物が併用されると、同じ薬物代謝酵素で代謝されるため肝臓での薬
物代謝阻害が生じ、スルフォニル尿素系薬物の薬理作用が増強される。
b) 正。スルフォニル尿素系薬物は経口血糖下降薬であり、トルブタミドや
グリベンクラミドなどがある。作用は文章の通り。
c) 誤。Ⅰ型糖尿病はインスリン依存性糖尿病とも呼ばれ、膵臓のβ細胞の
病変により絶対的にインスリンが不足している。治療にはインスリンの注射
が必須である。
d) 誤。ピオクリタゾン(pioglitazon)はインスリン抵抗性改善薬であり、組織
でのインスリン感受性を増強する。α-gulcoisidase阻害薬は食後の血糖上
昇を防止するが、その作用はインスリン分泌やインスリンの作用を変化さ
せないのでⅡ型糖尿病でインスリン抵抗性のある場合には有効である。ア
カルボース(acarbose)やボグリボース(voglibose)がそれにあたる。
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
Which is not medicine for hyperlipidemia?
a) fibrates
b) HMA-coA reductase inhibitor
c) negative ion exchange resin
d) nicotinic acid
e) sulfonylureas
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
the answer is "e"
解説
a)~d) その通りである。
e) 糖尿病に対する治療薬である。
11-1糖尿病
高脂血症治療薬_2010
糖尿病治療における、グリタゾンの与える影響は何であるか?次
の5つの中から正しいものを選べ。
ただし、答えが1 つであるとは限らない。
a) インスリンの分泌を促す。
b) 標的細胞へのインスリンの感度を上げる。
c) α-グリコシダーゼの働きを阻害して、ブドウ糖の吸収を遅らせ
る。
d) DPP-4を選択的に阻害する。
e) 食欲を低下させることで、ブドウ糖の吸収を遅らせる。
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
(解答) b
(解説)
a) 不適切。インスリンの分泌を促すのは、スルフォニル尿素薬(SU剤)である。
b) 適切。グリタゾンの説明として正しい。
c) 不適切。α-グルコシダーゼという糖質を分解する酵素の働きを阻害するのは、α-グリコシダーゼ阻害薬であ
る。
インスリンは分泌されているが、そのタイミングがずれて食後に血糖値が上がる場合に有効。
d) 不適切。インクレチンの分解酵素であるDPP-4を選択的に阻害するのは、シタグリプチンリン酸塩水和物で
ある。
インクレチンは、血糖値が高い場合にはインスリン分泌を促進するが、血糖値が正常あるいは低い場合に
はインスリン分泌に影響を与えないという、
インスリン分泌調節機能を持っている。
e) 不適切。 ビグアナイド薬の説明である。血糖値を下げる作用はそれほど強くないが、食欲を下げる働きが
あるため、肥満の方に使われる場合が多い。
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
Q.患者はインスリン投与を行っても効果の低
かった糖尿病患者である。
投与する必要のない薬は次のうちどれか?
①トログリタゾン ②トルブタミド ③グルコラン
④アガルボース
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
The answer id ②.
A.この患者はインスリン抵抗性がある患者であると考えられる。
①これはインスリン抵抗性改善薬なので効果がある。
②これはスルフォニル尿素薬物である。インスリン分泌刺激作用がある
が、インスリン抵抗性のある患者には効果が低い。
③これはビグアニド系薬物である。インスリンに関係なく、肝臓の糖新生を
抑制したりするなどインスリン作用を示すので効果がある。
④これはα―glucosidase阻害薬である。糖質の吸収を抑制する効果を示
し、食後の血糖値上昇を防止する。よって効果がある。
以上より②.
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
Q. 高脂血症治療薬に関する次の記述のうち間違っているものをす
べて選べ。
1) プラバスタチンはグレープフルーツジュースによって代謝の影響
を受ける。
2)プラバスタチンは夕食後に投与するのが望ましい。
3) コレスチラミンはプラバスタチンと併用すると作用が増強される。
4) クロフィブラートとプラバスタチンとの併用は推奨されている。
5) ニコチン酸は脂肪組織トリグリセリドリパーゼを阻害することで
LDLを減少させる。
11-1糖尿病 高脂血症治療薬_2010
解答 1), 4)
<解説>
1) プラバスタチン(スタチン系HMG-CoA還元酵素阻害薬)はグレープフルーツジュースで影響
されるCYP3A4で代謝されない。プラバスタチンはカルボキシエステラーゼで代謝される。(参
考までにシンバスタチンはCYP3A4で代謝されるので注意が必要である。)
2) コレルテロールは夜間に合成が高まるので夕方に投与するのが望ましい。
3) コレスチラミン(陰イオン交換樹脂系薬物)によって、肝臓ではコレステロールから胆汁酸へ
の異化が促進されLDLの取り込みが促進される。しかし同時に肝臓でのコレステロール合成
も促進してしまうので薬効の一部が相殺されてしまう。これをプラバスタチンで抑制させるこ
とで効果が高まる。
4) クロフィブラート(フィブラート系薬物)とプラバスタチンの併用は横紋筋融解症を現れやすく
するので通常は併用禁忌である。
5) 問題文の通りである。ニコチン酸の作用機序は、脂肪組織トリグリセリドリパーゼ阻害→
血中遊離脂肪酸減少→肝トリグリセリド合成抑制→VLDL分泌抑制→LDL産生減少である。
11-2性ホルモン 子宮 甲状腺作用薬_2010
女性化乳房をきたすのはどれか?
A. ドーパミン
B. 甲状腺機能低下症
C. フロセミド
D. スピノロラクトン
E. ブロモクリプチン
11-2性ホルモン 子宮 甲状腺作用薬_2010
答え: D
解説:スピノロラクトンは男性ホルモン受容体の
遮断作用をもつ。勃起不全もきたす。
11-2性ホルモン 子宮 甲状腺作用薬_2010
バセドウ病に関して不適当な記述はどれか?
A,抗甲状腺薬であるチアマゾールを使用する。
B,頻脈の治療薬であるβ-ブロッカーを使用する。
C,ヨードは甲状腺ホルモンの元となる物質なので単独で投与
してはならない。
D,甲状腺ホルモンであるサイロキシンを単独で投与してはな
らない。
E,抗甲状腺作用のあるステロイドホルモンを使用する。
11-2性ホルモン 子宮 甲状腺作用薬_2010
答え:C
解説:血中に大量の無機ヨードが存在すると甲
状腺はヨードの有機化を抑制するという反応
Wolff-Chaikoff effect を利用した、無機ヨード療
法が存在する。 即効性があるが長期投与を続
けると効果が減弱してくる。ヨードが甲状腺ホル
モンに含まれるというのは正しい。また、普通は
甲状腺ホルモンを投与することはないが、チア
マゾールと併用することがある。単独でサイロ
キシンを投与することはない。
12腎 泌尿器系作用薬_2010
1. カルシウム尿路結石症を患っている男性が,治療とし
て利尿剤を服用した.数週間後痛風発作を発症した.
彼は次のうちどの利尿剤を服用したか?最も適当なもの
を1つ選べ.
A. アセタゾラミド
B. スピロノラクトン
C. フロセミド
D. クロロチアジド
E. アミロライド
12腎 泌尿器系作用薬_2010
答えはD.
クロロチアジドは尿中へのカルシウム排泄を減
少させ,結石の形成を減らす上で有効である.
しかし,クロロチアジドはまた尿酸分泌も減少さ
せるため,痛風の原因となりうる.
他の利尿剤では尿中へのカルシウム排泄は減
らない.したがって,尿路結石症の治療には用
いられない.
12腎 泌尿器系作用薬_2010
以下のサイアザイド系利尿薬に関する文章について正しい
ものを選びなさい。
a). サイアザイド系利尿薬は、尿酸の排泄量を減少させる。
b). サイアザイド系利尿薬は、近位尿細管に作用する。
c). サイアザイド系利尿薬は、Na⁺-K⁺-2Cl⁻共輸送を抑制する。
d). サイアザイド系利尿薬は、炭酸脱水酵素を阻害する。
e). サイアザイド系利尿薬は、糸球体濾過量を増加させる。
12腎 泌尿器系作用薬_2010
答) a,d
解説
サイアザイド系利尿薬は、集合管での排出尿酸と競合する
ため、尿酸の排泄が滞り高尿酸血症を悪化させる。よってa
は正しい。
また遠位尿細管に作用して、Na⁺-Cl⁻共輸送系を阻害し、両
イオンの再吸収を抑制する。よってb,cは誤り。
炭酸脱水酵素阻害の作用があり、投与量が増せば、HCO3⁻
の排泄が増加する。よってdは正しい。糸球体濾過量は減少
するのでeは誤り。
12腎 泌尿器系作用薬_2010
In the following medicines, which is a loop diuretics?
A.furosemide
B.spironolactone
C.mannitol
D.chlorothiazide
E.acetazolamide
12腎 泌尿器系作用薬_2010
The answer is "A".
解説
A.フロセミドはループ利尿薬である。
B.スピノラクトンは抗アルドステロン薬である。
C.マンニトールは浸透圧利尿薬である。
D.クロロチアジドはサイアザイド利尿薬である。
E.アセタゾラミドは炭酸脱水酵素阻害剤である。
12腎 泌尿器系作用薬_2010
以下の利尿薬で、ACE阻害薬との併用が推奨されない
薬を選べ。
Aスピロノラクトン
Bクロロチアジド
Cフロセミド
Dブメタニド
Eアセタゾラミド
12腎 泌尿器系作用薬_2010
答 A
ACE阻害薬は腎機能が低下しているときにはカ
リウムイオンの貯蓄が起こり高カリウム血症と
なりやすい。
そのためカリウム保持性利尿薬と併用は推奨
されていない。
スピロノラクトンはカリウム保持性利尿薬である。
12腎 泌尿器系作用薬_2010
(1)空欄を埋めよ。
利尿薬ーーーーーを服用することで聴覚障害が起こること
がある。
A ブメタニド
B フロセミド
C スピロノラクトン
D アセタゾラミド
E クロロチアシド
12腎 泌尿器系作用薬_2010
The answer is B.
【解説】
フロセミドはヘンレループ上行脚のNa-K-2Cl共輸送体を
阻害するループ利尿薬であるが、Na-K-2Cl共輸送体は
内耳にも存在するため聴覚障害が起こりうる。
そのため、フロセミドの服用で聴覚障害が起こりうる。
他にも血中K濃度が低下することによりインスリン分泌が
低下し、耐糖能が低下するなどの副作用がある。
12腎 泌尿器系作用薬_2010
(2)次の薬物のうち、高カリウム血症を起こすのはどれか。(答
えは1つとは限らない。)
A カプトプリル
B フロセミド
C クロロチアシド
D スピロノラクトン
E ロサルタン
12腎 泌尿器系作用薬_2010
The answer is A,D,E.
【解説】
A:カプトプリルはACE阻害薬である。ACE阻害薬はアンジオテンシンを減少させ、アルド
ステロンを減少させることで集合尿細管でのNa-K ATPaseを阻害する。
それにより血中カリウム濃度は上昇する。
B:フロセミドはループ利尿薬であり、ヘンレループ上行脚でNa-K-2Cl共輸送の再吸収を抑
制することで血中カリウム濃度を低下させる。
C:クロロチアシドはサイアザイド系利尿薬であり、遠位尿細管でNa-Cl共輸送の再吸収を
抑制することで血中カリウム濃度を低下させる。
D:スピロノラクトンはカリウム保持性利尿薬であるため、血中カリウム濃度を上昇させる。
E:ロサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬であり、アルドステロンの産生を抑制し、
集合尿細管でのNa-K ATpaseを阻害する。
それにより血中カリウム濃度は上昇する。
13癌化学療法薬_2010
MTX(メトトレキセート)について、誤りを全て選べ。
a. MTXは脳血液関門を通過する
b. MTXは細胞周期非特異性薬に分類される
c. MTXには尿細管毒性があるため、投与中は尿の酸性化が必要で
ある
d. 大量MTX投与後はロイコボリン救援療法を行うことで、正常細胞
へのダメージを軽減する
e. MTXは関節リウマチの治療薬としても使用される
13癌化学療法薬_2010
(解答) b, c
(解説)
MTXは葉酸代謝酵素拮抗剤で、具体的にはジヒドロ葉酸還元酵素の基質となって当該酵素活性を阻
害する。
絨毛癌や急性リンパ性白血病などに有効である。
a・・・正。MTXは血液脳関門を通過するので、リンパ腫の中枢神経系への転移に対する治療薬として
利用されている。
b・・・誤。MTXはDNA合成期(S期)に作用点をもち、細胞周期特異薬に分類される。
c・・・誤。MTXは尿が酸性側に傾くと析出して尿細管に沈着する可能性がある。
このため、尿のアルカリ化と十分な水の補給が重要である。
d・・・正。ロイコボリンは細胞の葉酸プールに取り込まれ、活性型葉酸となって細胞のDNA合成を再開
させる。
e・・・正。MTXには免疫抑制作用があり、関節リウマチ治療薬として用いられる。
13癌化学療法薬_2010
分子標的治療薬について、誤りを全て選べ。
a. ハーセプチン(トラスツズマブ)は乳癌全般に治療効果が期待される
b. 抗体医薬の特長として、中和作用以外にもADCC活性が期待できる
c. リツキサン(リツキシマブ)はCD20を分子標的とする非ホジキンリンパ腫
の治療薬である
d. 抗体医薬の特性として、生体内での半減期が短いために毒性が低い
e. アービタックス(セツキシマブ)はVEGFに対するモノクローナル抗体である
13癌化学療法薬_2010
(解答) a, d, e
(解説)
抗体医薬について概説された参考HPを載せておきます
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt103j/0910_03_featurearticles/0910fa01/200910_fa01.html
http://www.kyowa-kirin.co.jp/antibody/index.html
a・・・誤。トラスツズマブはHER2受容体(EGF受容体に類似する受容体型Tyr カイネース)に対するモノクローナル抗体。
HER2遺伝子の増幅がみられるタイプの乳癌に対して有効である。
b・・・正。抗体医薬の特長として、①標的分子に対する特異性の他に、宿主の細胞性免疫を利用した
②ADCC(抗体依存性細胞殺傷)活性、③CDC(補体依存性細胞殺傷)活性が有名。
c・・・正。CD20はB細胞特異的な分子マーカー。リツキシマブはCD20を分子標的として
濾胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫やマントル細胞リンパ腫の治療薬として利用されている。
d・・・誤。抗体医薬の特長として、血液中での半減期が長い(=安定性が高い)ことが挙げられる。
抗体医薬は標的分子が発現される細胞を標的とするため、毒性が低い、という後半部分は正。
e・・・誤。アービタックスはEGF受容体を分子標的とする。VEGFに対する抗体医薬として有名なものに
アバスチン(ベバシズマブ)が挙げられる。
13癌化学療法薬_2010
抗癌剤と副作用の組み合わせについて誤りをすべて選べ。
a. シクロフォスファミド・・・・出血性膀胱炎
b. アドリアマイシン・・・・消化性潰瘍
c. ビンクリスチン・・・神経障害
d. グラニセトロン・・・間質性肺炎
e. シスプラチン・・・腎障害
13癌化学療法薬_2010
(解答) b, d
(解説)
a・・・正。出血性膀胱炎を予防する薬剤としてメスナが挙げられる。
メスナは膀胱粘膜への障害性を有するシクロフォスファミドの尿中代謝物に結合し、無害化するという。
b・・・誤。アドリアマイシン(ドキソルビシン)は悪性リンパ腫など造血器腫瘍に適応があるが、
副作用として心筋炎などの心毒性がある。
心機能異常がある患者への投与は禁忌である。
c・・・正しい。ビンクリスチンには微小管重合阻害作用があり、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫や神経膠腫などに適応があ
る。
副作用はこの他に脱毛、嘔吐など。神経障害はニューロンの軸索輸送が障害される結果と解釈されている。
d・・・誤。グラニセトロンは5HT3アンタゴニストで、シスプラチンなどの服用によってもたらされる悪心・嘔吐を緩和する
鎮吐剤として使用される。
e・・・正しい。シスプラチンには尿細管毒性があり、重篤な腎障害がある患者への投与は禁忌である。
腎毒性を軽減するため、水分負荷(ハイドレーション)や強制利尿が行われる。
なお、シスプラチンの副作用として聴力障害があることにも注意。
13癌化学療法薬_2010
抗がん剤治療について、不適切な組み合わせをすべて選べ。
a. 前立腺癌・・・リュープロレリン
b. ウィルムス腫瘍・・・アクチノマイシンD
c. 慢性骨髄性白血病・・・ブスルファン
d. 絨毛癌・・・L-アスパラギナーゼ
e. 神経芽細胞腫・・・ビンクリスチン
13癌化学療法薬_2010
(解答) d
(解説)
a・・・正。リュープロレリンはLH-RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)受容体アゴニストであり、前立腺
癌のホルモン療法に使用される。リュープロレリンによってLH(黄体形成ホルモン)によるアンドロゲン
合成が抑制される結果、アンドロゲン依存性の腫瘍増殖が抑制される。なお、リュープロレリンは閉経
前乳癌の治療にも利用される。
b・・・正。ウィルムス腫瘍(腎芽腫)の化学療法は腫瘍の進展度と組織型によって、「アクチノマイシンD
+ビンクリスチン」または「アクチノマイシンD+ビンクリスチン+アドリアノマイシン(ドキソルビシン)」
のいずれかが選択される。
c・・・正。ブスルファンはアルキル化剤に分類され、慢性骨髄性白血病治療のほか造血幹細胞移植の
前処置にも使用される。
d・・・誤。絨毛癌に適応がある抗癌剤として、メトトレキサート、アクチノマイシンD、ビンブラスチンなど
が挙げられる。L-アスパラギナーゼは血中のL-アスパラギンを分解し、アスパラギン要求性腫瘍細胞
を栄養欠乏状態に追い込むことで抗腫瘍効果を発揮する。急性リンパ性白血病の寛解療法や悪性リ
ンパ腫の治療に利用される。
e・・・正。ビンクリスチンは植物アルカロイドで微小管重合阻害剤としてはたらく。急性リンパ性白血病
の寛解療法に利用される。また、悪性リンパ腫にも適応がある。
13癌化学療法薬_2010
(問)
60才の乳癌患者ががん細胞のタイプを調べるために
病理診断を受けた。数種類の抗体を用いた免疫染色
法による検査により、患者のがん細胞はER(エストロゲ
ン受容体)陽性、HER2(ヒト上皮成長因子受容体2)陰
性であることが判明した。下の選択肢の中からこの症
例に最も適切な処方を選択せよ。
1. trastumab
2. tamoxifen
3. 6-MP
4. rituximab
13癌化学療法薬_2010
(解答・解説)2が正解。
1. trastumabは抗HER2抗体であり、HER2陽性の場合にのみ有効。
3. 6-MPはプリンアナログであり、白血病治療に用いられる。乳癌治療には用
いられない。
4. rituximabはB細胞表面に発現するCD20に対する抗体であり、B細胞系の腫
瘍にのみ効果がある。
2. tamoxifenはエストロゲン様の構造を持ち、乳腺組織においてはERのアンタ
ゴニストとして機能する。(ただし、面白いことに子宮内膜ではtamoxifenはER
のアゴニストとして機能し、子宮内膜の過形成やポリープ形成を促進する恐
れもある。)tamoxifenはER陽性の閉経後の乳癌患者(エストロゲンのシグナ
ル経路が過剰に活性化している)には第一選択薬である。HER2陽性の患者
には無効であり、それどころかHER2陽性の腫瘍組織の増殖を促進するという
報告もなされている。
http://meeting.ascopubs.org/cgi/content/abstract/22/14_suppl/541
13癌化学療法薬_2010
シスプラチンについて正しいものを選べ。ただし解答は1つと
は限らない。
a. Clを含む輸液が必要
b. DNAに直接作用することで抗腫瘍作用を示す
c. パクリタキセルとの併用時は、シスプラチンを先に投与す
る
d. 投薬前後には補液が必要
e. 腎障害を増大するため利尿薬との併用は避ける
13癌化学療法薬_2010
(解答) a,b,d
(解説)
参考URLです
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00000250.pdf
a. Cl濃度の低い輸液を用いると活性が低下する。
b. DNAに架橋をつくることでDNA合成を阻害する。
c. 逆。シスプラチンを先に投与した場合、パクリタキセルのクリアランス低下、血中
濃度上昇を招き骨髄抑制を増強するおそれがある。
d. 腎障害を軽減するために行う。
e. シスプラチン投与中は尿量確保に注意し、必要に応じマンニトールやフロセミド
等の利尿薬を投与する。ただし、フロセミドによる強制利尿は腎障害、聴力障害を
増大するので水分補給を十分に行う。
13癌化学療法薬_2010
癌化学療法薬での主な副作用はどれか。3つ選べ。
a.脱毛
b.腎障害
c.骨髄抑制
d.浮腫
e.消化器症状
13癌化学療法薬_2010
答え a, c, e
(解説)
抗癌薬は癌細胞の細胞分裂する過程に働きか
け、増殖を妨げる。そのため、正常細胞でも、血液
をつくる骨髄の造血細胞や口腔粘膜、消化管粘
膜、毛根細胞など頻繁に細胞分裂をしている細胞
は、抗癌薬の作用を受けやすくなる。したがって、
抗癌薬の副作用として主なものは、骨髄抑制、消
化器症状(嘔吐、下痢等)、脱毛の3つである。
13癌化学療法薬_2010
(問)
肺線維症を惹起しない抗腫瘍薬はどれか。下記から一つ選びなさい。
a)ブスルファン
b)メトトレキサート
c)シクロホスファミド
d)プレドニゾロン
e)ブレオマイシン
(解答) (d)プレドニゾロン
13癌化学療法薬_2010
d)プレドニゾロンはステロイド性抗炎症薬の一つである。主要な副作用に免疫機能
の低下とクッシング症候群があるが、肺線維症は含まれない。
a)ブスルファンはアルキル化薬の一つである。主要な副作用に肺線維症と骨髄抑
制がある。
b)メトトレキサートは拮抗代謝薬の一つである。主要な副作用に肺線維症がある。
c)シクロホスファミドはアルキル化薬の一つである。主要な副作用に肺線維症、出
血性膀胱炎、吐き気がある。
e)ブレオマイシンは制癌抗生物質の一つである。主要な副作用に肺線維症がある。
(補足解説)
アルキル化薬のシクロホスファミドとブスルファンは、肝臓のチトクロームP450で代
謝され活性型に変換され、DNAをアルキル化し癌細胞の増殖を阻害する。
拮抗代謝薬のメトトレキサートは、葉酸代謝に拮抗し、癌細胞のDNA合成を抑制す
る。メトトレキサート、制癌抗生物質のアクチノマイシンD、アルキル化薬のシクロホ
スファミドは3剤併用され、肺がんと前立腺がんに適用される。またメトトレキサート
注射後に、解毒剤のロイコボリンを注射する治療法をメトトレキサート・ロイコボリン
救援療法という。
制癌抗生物質のブレオマイシンは、癌細胞のDNA鎖を切断し増殖を阻害する。
ステロイド性抗炎症薬のプレドニゾロンは、副腎皮質ホルモンでリンパ系の細胞に
毒性がある。
13癌化学療法薬_2010
leucovorinについて正しい記述を選べ。
1. leucovorinは5-FUと併用してはならない。
2. leucovorinは5-FUによる毒性から正常細胞を保護す
る。
3. leucovorinはMTXの抗癌作用を増強する。
4. leucovorinが機能するために、DHFRによる還元を受け
る必要はない。
13癌化学療法薬_2010
解答. 4
1. leucovorinは5-FUの三量体形成を促進し、5-FUの抗腫瘍効果を高
めることが知られている。そのため胃がんや直腸がんの治療などで
leucovorinと5-FUがしばしば併用される。
2. leucovorinはMTXによる正常細胞への毒性(葉酸プールの枯渇に
よる)をレスキューする。
3. 1.にあるように、leucovorinは5-FUの抗腫瘍効果を増進する。MTX
の抗腫瘍効果はleucovorinの過量投与によってむしろ減少するので
注意が必要である。
4. 正解。leucovorin(フォリン酸)は葉酸系の代謝物であり、MTXに
よって阻害されるDHFRによって還元されなくても活性型の補酵素とし
て機能することができる(leucovorinはすでに還元型である)。
14毒性と中毒_2010
次の中枢神経系に作用する薬物のうち、身体
依存を及ぼさない薬物は次のうちどれか。
a. リゼルグ酸エチルアミド(LSD) b. メサドン
c. コカイン d. モルヒネ e. アンフェタミン
解答.中枢神経興奮作用を持つものは身体依存性を示さない、というのが前提知識。
関西医科大学法医学教室
a. LSDはセロトニン受容体に働きかけて交感神経系を活性化させ、発汗、瞳孔散大による
視覚障害、動悸をもたらす中枢神経興奮薬。
b. メサドンはオピオイド系の合成鎮痛薬だが禁断症状は軽く、ヘロイン依存症の治療に用
いられる。しかしモルヒネ、ヘロインと同様に身体依存性がある。
メサドンの身体依存性
c. コカインはノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの取り込み阻害によって中枢神経興
奮作用をもつ。
d. モルヒネもメサドンと同様にμ受容体に作用するオピオイド系アゴニストで中枢抑制作用
をもつ。
e. アンフェタミンはノルアドレナリン、ドーパミンの取り込み阻害によって中枢神経興奮作用
をもつ。
14毒性と中毒_2010
以上より、解答はa, c, e
14毒性と中毒_2010
次の一酸化炭素中毒についての文章のうち、あやまってい
るものはどれか。ただし、答えはひとつとは限らない。
a,CO-Hb50%前後で意識が混濁する。
b,ガス中毒のうちで最も多い。
c, チアノーゼが発現する。
d,歯状核が障害される。
e,高圧酸素療法が適応される。
14毒性と中毒_2010
答え:c、d
c:ヘモグロビンは一酸化炭素と結合すると鮮紅
色を呈するため、一酸化炭素中毒の患者はピ
ンク色の「良い」顔色をしているように見える。
体の中では使える酸素が不足しているにも関
わらず、チアノーゼが起きないのはこのためで
ある。
d:障害されるのは淡蒼球である。
14毒性と中毒_2010
次の中毒についての文章のうち、誤っているものはどれか。
a.PAM(プラリドキシムpralidoxime)はカーバメイト系農薬中毒
に有効である。
b.パラコートの毒性は酸素により増強される。
c.サリンはコリンエステラーゼを阻害する。
d.エデト酸はヒ素中毒の解毒薬である。
e.メチル水銀は中枢神経障害を引き起こす。
14毒性と中毒_2010
答え:a、d
a. カーバメイト系農薬による中毒に対してPAM
は無効か、かえって増悪させる場合がある。
d. エデト酸は専ら鉛中毒に用いられる。水銀あ
るいはヒ素中毒には無効である。