地球型惑星固体探査パネル (大谷栄治,倉本圭)

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Transcript 地球型惑星固体探査パネル (大谷栄治,倉本圭)

地球型惑星固体探査パネル
倉本 圭・大谷栄治
内容
公募提案のオーバービュー
公募提案とパネル試案に基づいた科学目標
の整理
「将来の月惑星科学・
探査において最も重要になるであろう
第一級の科学」 提案状況
パネル間では最多の提案を得た
– 計20案 (一部他パネルと重複するものも含む)
– 月=7, 火星=8, 複・その他=5
– 水星あるいは金星のみを対象とする提案なし
• 複数天体を念頭に置いた提案に含まれている
提案スタイルは様々
– 科学の提示に力点があるもの
– 手法に力点があるもの
• 月の起源と進化における重要科学項目の解
明
• 月全球の主要元素分布探査
• 月の表裏地殻のサンプルリターン:月出発物
質への同位体組成制約
• 月コペルニクスクレータからの地殻・マントル
岩石のサンプルリターン
• 月コペルニクスクレータのリターンサンプルの
年代分析による太陽系相対年代学(クレータ
年代学)の検証と確立
•火星空中探査
•“Small is beautiful” Missions:小型軽量多点
型の化学探査が惑星物理・地質学と生物学
をつなぐ
•火星における大気・表層相互作用
•火星の火成岩探査による固体火星の進化
と表層環境との相互作用の解明
•火星気候変動解明のための堆積岩探査
• 月最古に形成された斜長岩地殻の物質探査
•惑星表面年代のその場計測探査
•レーザ絶縁破壊分光観測による惑星表層物質の元素分析
•炭素塩素含有物からの月惑星探査
•測地学的手法(回転変動・重力計測)による月・惑星内部構造探査
•火星内部構造探査と進化
•複数ランダーによる火星内
部構造のネットワーク探査
•常時自由振動で見る火星
のコアサイズ
•氷衛星の多様な内部進化と地球との比較
•月震計ネットワークによる
月内部構造探査
連合大会からの
修正試案
月・地球型惑星の位置付け:
太陽系の中での地球を知る
 物質:主要元素・同位体組成の対比
– 太陽からの距離による組成勾配 (Fe酸化度,揮発性元素量)
– 組成勾配から独立な固有性
 構造:形成・分化機構の対比
– 各天体の表層環境・内部構造に普遍性と特殊性
• サイズ・材料物質・境界条件の違いの効果
– 月・水星・火星:初期の地質記録を保存
地球の初期分化の機構を探るために適したフィールド
– 金星:地球とほぼ同サイズ・密度.内部探査の技術的困難を除くと最重要比
較対象.
 地質活動:固体地球の活動を特徴づけるプレートテクトニクスとの対比
– 月・火星・水星:モノプレートテクトニクス
– 金星:プルームテクトニクス?
 表層環境:大気の起源と進化・表層環境史の対比
– 大気・水圏・氷圏の活動・変動・進化とその機構 (特に火星・タイタン)
– 固体惑星システムとの物質的・力学的結合,共進化 (火星・金星 ・タイタン)
– 生命の可能性 (火星,外惑星衛星)
科学目標の整理
募集提案には科学と手法が併記
第1段パネルの役割は科学目標の抽出.
– 探査手法について一定の考慮をしつつ、提案の
科学面に重点を置いて「トップサイエンスの抽出」
を行いたい
– 「我が国の独創性」も重要な観点
抽出へ向けて今回はパネル提案と20提案を
ベースに科学目標を整理
二大目標
全体組成と内部構造
の決定
月
火星
表層環境の進化史・
変動過程の解明
 絶対時間目盛の確立
による進化史の定量
 火星大気組成の決定
 火星浮遊ダストの精密
分析
 火星堆積岩・火成岩の
層序・シーケンスの物
質同定
 火星大気・表層相互作
用のモニタリング
 火星多点分散計測
• 月の起源と進化における重要科学項目の解
明
全体組成と内部構造の決定
•火星空中探査
• 月全球の主要元素分布探査
•“Small is beautiful” Missions:小型軽量多点
型の化学探査が惑星物理・地質学と生物学
をつなぐ
• 月の表裏地殻のサンプルリターン:月出発物
質への同位体組成制約
• 月コペルニクスクレータからの地殻・マントル
岩石のサンプルリターン
• 月コペルニクスクレータのリターンサンプルの
年代分析による太陽系相対年代学(クレータ
年代学)の検証と確立
•火星における大気・表層相互作用
•火星の火成岩探査による固体火星の進化
と表層環境との相互作用の解明
•火星気候変動解明のための堆積岩探査
• 月最古に形成された斜長岩地殻の物質探査
•惑星表面年代のその場計測探査
•レーザ絶縁破壊分光観測による惑星表層物質の元素分析
•炭素塩素含有物からの月惑星探査
•測地学的手法(回転変動・重力計測)による月・惑星内部構造探査
•火星内部構造探査と進化
•複数ランダーによる火星内
部構造のネットワーク探査
•常時自由振動で見る火星
のコアサイズ
•氷衛星の多様な内部進化と地球との比較
•月震計ネットワークによる
月内部構造探査
全体組成と内部構造の決定
内部構造探査
– 地球外天体では未だにきちんとなされていない
– 内部構造探査が唯一行われた月においてもデー
タ精度が低く,地殻厚や核の有無・サイズ等不明
地表物質調査と内部物理探査の共同が重要
– 内部物理探査の獲得した物理パラメタ(地震波速
度や密度など)を物質組成に翻訳
全体組成と内部構造の決定
月
火星
 地球-月系の起源を説明する  地殻・コアの規模・組成・状態
巨大衝突説を検証する上で
の把握は,内部進化のみな
重要
らず表層環境進化にも重要
な制約を提供.
 地震活動が確認済.観測の
高精度化によって,他手法と  地震活動の存在は自明では
相補的に内部構造決定の向
ないが,大気励起自由振動
上が期待できる.中止となっ
の存在が確実,他手法と相
たがLunar-A計画により,コ
補的に構造決定が可能.
ミュニティに知見蓄積がある.  地表の岩石組成は多様性に
 かぐやにより地殻深部物質の
富む.全体組成決定に必要
露出地域が確認.地殻・マン
な平均地殻組成やマントル
トル組成を制約するための好
組成を求める道筋をつくるこ
適地が存在.
とが重要.
• 月の起源と進化における重要科学項目の解
明
表層環境の進化史・変動の解明
•火星空中探査
• 月全球の主要元素分布探査
•“Small is beautiful” Missions:小型軽量多点
型の化学探査が惑星物理・地質学と生物学
をつなぐ
• 月の表裏地殻のサンプルリターン:月出発物
質への同位体組成制約
• 月コペルニクスクレータからの地殻・マントル
岩石のサンプルリターン
• 月コペルニクスクレータのリターンサンプルの
年代分析による太陽系相対年代学(クレータ
年代学)の検証と確立
•火星における大気・表層相互作用
•火星の火成岩探査による固体火星の進化
と表層環境との相互作用の解明
•火星気候変動解明のための堆積岩探査
• 月最古に形成された斜長岩地殻の物質探査
•惑星表面年代のその場計測探査
•レーザ絶縁破壊分光観測による惑星表層物質の元素分析
•炭素塩素含有物からの月惑星探査
•測地学的手法(回転変動・重力計測)による月・惑星内部構造探査
•火星内部構造探査と進化
•複数ランダーによる火星内
部構造のネットワーク探査
•常時自由振動で見る火星
のコアサイズ
•氷衛星の多様な内部進化と地球との比較
•月震計ネットワークによる
月内部構造探査
表層環境の進化史・変動過程の解明
 絶対時間目盛の確立による進化史の定量化
– 基準となってきた月クレーター年代学自体に大きな不定性.ま
た他天体への外挿に不確実性がある.
– 月衝突史の解明は初期地球の理解の境界条件を提供
– 最新の太陽系形成論において重視される惑星大移動仮説に
対して直接検証材料を提供
– マグマ噴出史の定量化
• 月:海の火成活動の開始と終了のタイミングの謎の解明
• 火星:表層への物質フラックス変遷の定量
 火星大気組成の決定
– その場測定データは主要成分に限られており特に希ガスは
SNC隕石の分析に依拠している
– 希ガス・D/H比からは大気散逸を制約できる
– 分子種間の同位体組成からは大気化学過程が制約できる.こ
れには生命活動の兆候の有無も含む
表層環境の進化史・変動過程の解明
 火星浮遊ダストの精密分析
– 大気浮遊性ダストは,火星全域の岩石の物理風化・化学風化により
供給されていると予想される
– 多数採取し一粒づつ鉱物・元素・同位体組成を決定できれば,火星
地表の平均組成と多様性,風化過程,表層環境史,生命活動の有
無などについて網羅性を持ったデータ獲得が期待できる
 火星堆積岩・火成岩の層序・シーケンスの物質同定
– これまでの研究は形態学的データが主.その解釈の裏付けとなる物
質科学的調査が望まれる
– 水面下での堆積を示唆する層序構造が多数発見されており,塩類の
濃度計測などの物質科学的調査により,堆積環境の変遷,海洋・湖
沼の規模,生命活動の有無を制約できる可能性がある
– 火成岩シーケンスの物質科学調査によって火星マントルの酸化還元
状態,脱ガス気体の組成,それらの長期的変遷について制約できる
可能性がある
表層環境の進化史・変動過程の解明
 火星大気・表層相互作用のモニタリング
– CO2とH2Oの交換が確実に起こっており,季節変動だけでなく,
大規模気候変動へ至る永年変動成分が存在する
– 自転変動,地震活動,大気成分,気温等の長期モニタリング計
測によって,これらの物質交換過程を定量できる
 火星多点分散計測
– 火星表面は多様性に富んでおり、最適な着陸点の選定は容易
でない
– 多数の小型軽量プローブを分散投下・配置する/無人航空機を
用いることで新しい科学を展開できないか.
– 測定可能量は絞られる
– 大型機器のアクセス困難地域の観測,ネットワーク観測,流
水・生命活動同定の高確率化等が狙いとしてあげられる
パネラの問題意識
優先順位をつける?判断基準?
提案に漏れがないか
– 金星・水星?
縦割りの問題はないか
科学目標のさらなる具体化の必要性
アップデートをどのように行うか
– 科学の展開に応じた更新
方法や体制にも一定の考慮が必要となる→
第二段・第三段パネルとの連携