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自治体が破産するってホント!?
ー財政破綻への処方箋ー
2002年5月25日
青木秀和(財政アナリスト)
1 10年ごとに危機
を迎える日本の財政
1955年
第1次地方財政危機
地方財政再建特別措置法の制定
588団体の再建団体指定
再建完了には最長15年
基本的枠組みはIMFの構造調整プログラ
ムと同じ
1965年
年度途中に2000億円の歳入不足が判明
原因は東京オリンピック後の一時的景気後退
赤字国債で歳入欠陥を補填
次年度以降は建設国債を発行
市中消化の原則を確認
国債を抱いた財政に
1975年
既発国債の元利償還が歳出を圧迫
オイルショック後の不況で財政ギャップが拡大
建設国債だけでは埋めきれない歳入不足
日本経済機関車論
俗流ケインズ主義の台頭
赤字国債の発行(償還期限を明示)
国債に抱かれた財政に
1985年
財政に染みついた赤字国債依存体質
赤字国債償還期限の遵守不能
赤字国債にも60年償還ルールを適用
赤字国債と建設国債が一体化
「公共事業の地方化」と「財投の予算化」が
顕著に
1995年
国債整理基金の余裕金が払底
社会資本整備特別措置法による地方貸付
(NTT株式売却益を流用)の一括繰上返済
で資金繰り
地方には見返りの補助金(建設国債が財
源)と新規貸付(財投経由)
借金を借金で埋める財政自転車操業状態
2005年
国‥国債償還資金繰りの極端な悪化
地方‥埋めきれない収支ギャップ
財投‥債務超過団体が激増
このままでは
国家財政・地方財政・財政投融資の
トリプル破綻は必至
2 財政の現状
大日本借金帝国
693兆円
財政投融資の資産残高580兆円
国・地方の長期債務残高
公的負債は
1000
兆円規模
国・地方の借金と国内総生産
800
兆円
700
地方の借金
国の借金
GDP
600
500
400
300
200
100
0
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
2000
2001
2002
自治体財政は壊滅寸前
2000
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
1956
公債費負担比率の団体別推移
1264
1003
90 26
5% 未満
1991
1999
1167
933
853
272
1974
861
295
878
216
50
5% ~ 10%
10% ~ 15% 15% ~ 20%
20% 以上
3 実質的に破綻している
地方交付税制度
脱ダム宣言(より)
利水・治水等複数の効用をもたらすと
される多目的ダム建設事業費は、その
主体が地方自治体であろうとも、半額を
国が負担する。残り50%は県費。95%
に関して起債即ち借金が認められ、そ
の償還にも交付税措置で66%は国が
面倒をみてくれる。詰まり、ダム建設費
用全体の約80%が国庫負担。
国と自治体の負担割合
0
10
国
自治体
50
50
20
30
40
50
60
70
80
90
半額を国が負担する。残り50%は県費。
100
建設国債に全面依存の国の公共事業
0
88
61,960
60,000
433
89
64,300
720
90
63,432
1,365
91
92
67,300
120,000
建設国債発行額
95,360
341
161,740
94
519
164,401
248
107,070
686
99,400
621
98
170,500
99
2000
635
123,457
95
97
一般財源
467
93
96
180,000
131,660
91,500
725
857
725
国の負担は借金(建設国債)
0
10
国
自治体
50
50
20
30
40
50
60
70
80
90
100
自治体の負担も借金(建設公
債)
0
10
国
自治体
50
47.5
20
30
40
50
60
70
80
95%に関して起債即ち借金
2.5
90 100
償還に交付税措置
国
自治体
交付税措置
50
31.35
16.15
2.5
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
交付税措置で66%は国が面倒を
100
交付税措置も実は借金
その半分は自治体が負担
15.675
16.15
15.675
2.5
50
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
始めチョロチョロ・中パッパ・最後は火だるま
公共投資 自治体
国
事業決定時点
事業開始時点
交付税措置時点
借金返済時点
借金完済時点
国と地方の債務ブーメラン
交付税特会の借金残高推移
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
兆円
国負担分
地方負担分
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
4
プライマリーバランス黒字
でも止まらない債務膨張
プライマリーバランス(財務省)
プライマリーバランス均衡とは、利払費及び債務償還費を
除いた歳出が公債金収入(借金)以外の収入で賄われて
いる状況を言います。この場合、現世代の受益と負担が
ちょうど均衡しています。近年の我が国のプライマリーバラ
ンスは大幅な赤字となっています。
公債収入>公債費
公債収入=公債費
公債収入<公債費
プライマリーバランスと国債純増額の推移
40
兆円
30
20
10
0
-10
プライマリーバランス
国債純増額
-20
年度
67
70
73
76
79
82
85
88
91
94
97
利払いを続ける限り債務膨張は続く
PB均衡では債務は増殖
PB均衡でも破滅的均衡
5 これから
地方財政崩壊が本格化
深刻な企業間の信用収縮
激減する手形発行高
地場の金融機関も激減
心配される負のケインズ効果
公共投資の減少
住民所得の減少
税収の減少
財政ギャップの拡大
再建団体転落
W杯明けから秋口に
かけて厳しさが増す
6
財政破綻を告白した
2002年度山梨県予算
税収は879億円(前年比16.8%減)
交付税1517億円(前年比3.4%減)
予算規模は縮減できず
投資的経費を圧縮しても
義務的経費はかえって増加
予算規模一定で交付税が削減されると・・・
つのる借金 たまる借金
県債発行833億円
うち臨財債219億円
残高7613億円
公債費760億円
Cf:名古屋市
臨財債199億円
市民一人残高158万
円
7
財政破綻を
止めるためには
ヴェルグルの実験
労働証明書の発行
職員給料支払いから流通開始
公共事業にも充当
納税も可
月に1%減価
月に12回転という驚異的流通
速度を記録
失業解消・経済復興・財政再
建の3つを同時に達成
背景にゲゼル主義
労働証明書の意義
地域通貨・・・ヴェルグルのみで通用
消滅貨幣・・・自動的に価値を減ずる
政府紙幣・・・自治体が発行体
減価する公債・・・財政面からの評価
ブキャナンの政府紙幣論1
財政赤字の補填方法 ①内国債
②外国債
③通貨創出
内国債は購入者の購買力放棄と引き換えだか
ら購買力の純増はない。
外国債は外国から購買力を輸入すること。
国民所得増加政策としては外国債の方が有利。
内国債は償還時に納税者に「特別な犠牲」を
要求する。(民間債券と比較すれば分かる)
ブキャナンの政府紙幣論2
通貨創出(公債の中央銀行引受を含む)は購
買力を国民経済に純粋に付け加える。
完全雇用下で行うとインフレを誘導する。
インフレは現金に対する課税。
デフレ下ではまったく支障がない。
政府が新規獲得した購買力に対して負債は生
じない。(cf:公債の場合と比較すれば分かる)
負債の世代間移転も生じない。
財政再建策の提案
現状は、①既存債務は借換、②利払いとプライ
マリーバランス赤字に新規債を発行
①はそのまま継続(利付債)
②には減価公債を充て直接債権者に交付
債権者に痛みを負担させる
債権者には、公債保有者・工事請負業者・資財
納入業者そして首長・議員・官僚・職員が該当
日本銀行券と混合流通
納税を認め、債権と債務の相殺を促進
8 21世紀型資本主義の方向性
クリチバの挑戦
ブラジルのなかの先
進国
社会改革の基本方針
簡 単
迅 速
楽しく
安 い
自然資本の経済(ナチュラル・キャピタリズム)
生産性尺度の変更 ヒト・カネ・モノ→資源
どうやって投入資源と廃棄物を最小にしながら、
産出を最大にするかが課題
生態循環に類似・適応する資源(リ)サイクル
所有から利用へ(世代間負担の公平性)
社会資本の超寿命化
修復 (Repair) ・改良(Reform) ・機能回復
(Rehabilitation)が社会機構の主流
9 過去の知恵に学ぶとき
・日本にもたくさんある先進例
・財政破綻ではヒトは死にはしない