複数の社会秩序を生きる - 教育学入門2 サポートサイト

Download Report

Transcript 複数の社会秩序を生きる - 教育学入門2 サポートサイト

教育学入門Ⅱ
Part I-2
複数の社会秩序を生きる
伊藤
崇
北海道大学大学院教育学研究院
講義の方針
NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』
を取り上げる
伊藤のtwitterアカウント @huiepoti
ハッシュタグ #KN2amcn
講義資料の再配布はおこないません
資料の一部は下記にて公開します
http://finnegans-tavern.com/2014/
特性論/個体能力主義と関係論
特性論/個体能力主義
ある出来事の原因を,個人の「能力」に
求める考え方
関係論
ある出来事の原因を,個人と個人の関係,
あるいは,個人と環境の関係という点から
議論する考え方
なぜ,ユイはグレたのか?
「おらたちと同じレベル」とはどこか?
「東京」の秩序
共同体の
秩序
?の秩序
関係論で社会化論を読み直す
儀式化
成長過程にある子どもとその世話をする
大人との相互交渉の中で,大人が子どもを
(その文化特有の)特定の人間的なあり方
になじませていく日常的な働きかけや方向
づけ(Erickson, 1977; 近藤,1994)
これが
いいことだよ
関係論で社会化論を読み直す
子どもの体質,性格,能力
教師からの
儀式化
教育観・教育目標
教師のライフスタイル
家族における
儀式化
家族のライフスタイル
家族の教育観
子ども間での儀式化
子ども集団内での規範
子ども集団の構造
出典:
近藤邦夫 (1994). 教師と子どもの関係づくり:学校の臨床心理学
東京大学出版会
教師と子どもの関係と子どもの学校適応
子どもの体質,性格,能力
教師Aからの
儀式化
・活動的かどうか
・思いやりがあるかどうか
・身の回りのことができるかどうか
20代女性
出典:
教師Bからの
儀式化
・柔軟かどうか
・熟慮するかどうか
・論理的かどうか
20代男性
近藤邦夫 (1994). 教師と子どもの関係づくり:学校の臨床心理学
東京大学出版会
教師と子どもの関係と子どもの学校適応
明るく
活動的
友達思い
教
師
B
に
お
け
る
教
師
内
地
位
(
順
位
)
自己中心的
人の話を
聞かない
38
36
自分で考えない
状況に左右される
34
32
30
28
26
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
自分で考える
論理的に思考する
男子
女子
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38
教師Aにおける教師内地位(順位)
出典:
近藤邦夫 (1994). 教師と子どもの関係づくり:学校の臨床心理学
東京大学出版会
教師と子どもの関係と子どもの学校適応
8
スクール・モラール
7
教
師
B
に
お
け
る
教
師
内
地
位
指
数
学校の集団生活または
諸活動に対する帰属感、
満足度、依存度などを
要因とする児童・生徒
の個人的・主観的な
心理状態
6
5
4
3
2
1
17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6
5 4 3 2 1 0 -1 -2 -3 -4
スクール・モラール・テストの順位
出典:
近藤邦夫 (1994). 教師と子どもの関係づくり:学校の臨床心理学
東京大学出版会
教師と子どもの関係と子どもの学校適応
子どもを儀式化する人は,1人だけ
ではない(家庭,教師,他の子,地域etc.)
儀式化の変化により,ある子どもに
対する評価が変化することがある
教師や他の子どもの評価の変化は
その子どもの環境への適応の仕方を
変化させることがある
小中高における「いじめ」の実態
いじめ報告件数の年次推移
(注1)平成5年度までは公立小・中・高等学校を調査。平成6年度からは特殊教育諸学校、平成18年度から
は国私立学校、中等教育学校を含める。
(注2)平成6年度及び平成18年度に調査方法等を改めている。
(注3)平成17年度までは発生件数、平成18年度からは認知件数。
文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より
小中高における「いじめ」の実態
いじめ
bullying
当該児童生徒が,一定の人間関係のある者
から,心理的,物理的な攻撃を受けたことに
より,精神的な苦痛を感じているもの。なお,
起こった場所は学校の内外を問わない。
(平成18年以降の文部科学省による定義)
「いじめ」定義の変化
~H5
(1)自分より弱いものに対して一方的に,(2)身体的・心理的な攻撃を継続的に
加え,(3)相手が深刻な苦痛を感じているものであって,学校としてその事実
(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。なお,起こった場所
は学校の内外を問わない。
~H17
(1)自分より弱いものに対して一方的に,(2)身体的・心理的な攻撃を継続的に
加え,(3)相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の
内外を問わない。
H18~
児童の立場に立った定義の策定。
「いじめ」の中には,犯罪行為として取り扱われるべきと認められるものや,
児童生徒の生命,身体又は財産に重大な被害が生じるような,直ちに警察に
通報することが必要なものが含まれる。これらについては早期に警察に相談・
通報のうえ,警察と連携した対応を取ることが必要である。
いじめの関係論的な理解
オーストリアの学校におけるいじめ(身体的)のクラスごとの集計結果
戸田有一 (2013). いじめ研究と学校における予防実践支援
発達心理学研究,24,460-470.
いじめの関係論的な理解
次の4つの絵のうち,最も深刻な状態
はどれですか?
1
2
加害者
被害者
3
4