Transcript 仁科 文子
日食観測-航海の面から- 34 1)観測海域の海況と気象 2)かごしま丸の利用 2000 0 50 00 10 32 0 3000 0 40 0 50 0 45 0 50 0 10 00 35 00 30 4 50 0 45 28 60 00 20 00 15 0 0 00 26 126 128 130 45 0 0 132 134 136 2009年3月1日 鹿児島大学水産学部 仁科文子 航海日程 航海期間:7月20日(海の日)~7月24日 7月20日 9時集合,12時出港、避難訓練、ミーティング 7月21日 観測準備、講義 7月22日 8時~14時 日食観測、データ処理 7月23日 海洋観測実習、データ処理、レポート作成、船内外の清掃など 7月24日 午前に帰港 *かごしま丸は7月17日に定期点検(ドック)から帰る予定 観測海域 海域:佐多岬から300マイル程度の範囲 (1マイルを1.85kmとして555km) 10:50 11:00 奄美 大島 11:10 11:20 小 笠 原 諸 島 硫黄島 -:日食の中心線, -:日食の限界線 126°42’E 30°02’N 230マイル 10:50 6m16s 高度63° 佐多岬 種子島 奄美 大島 沖縄 135°08’E 28°02’N 310マイル 11:10 6m37s 高度75° 131°06’E 29°09’N 124マイル 11:00 6m29s 高度69° -:日食の中心線, -:日食の限界線,---:皆既の継続時間が6分間以上の範囲 日本付近の海面の流れ場 黒潮:1~1.5m/sec 海面の高さを測る人工衛星のデータから海面の流速・流向をベクトルプロットすると、 流速が大きいまとまった流れがあることがわかる 黒潮 Kuroshio 世界有数の大海流として知られている 黒潮続流 黒 潮 カリフォルニア 海流 北赤道海流 黒潮は南の暖かい海水を北に運ぶ役割を担っている 地球の気候の維持・変動機構の一部 2008年5月下旬の平均海面水温 気象庁:海の健康診断より 34 32 大隅分枝流 30 28 26 126 128 130 132 134 136 流速が速い黒潮付近は風や波がなくても揺れやすい.特に横断する場合! 鹿児島からどこへ向かっても必ず黒潮を横断するので、出港日は揺れる 精密機械の取り扱い・保管に注意が必要 気象 22日9時 台風 5号 26日9時 28日9時 2006年7月22日,26日,28日の午前9時の地上天気図 22日:九州南部で大雨,フィリピンの東に台風5号 26日:九州,四国地方は梅雨明け 天気図は日本気象学会誌「天気」,2006年,Vol.53,No.9,p.721から引用 この時季の気圧配置から,観測海域は南よりの風が吹きやすい 往路は向かい風または横から風を受けるので揺れやすい(風の強さ次第) + + 28日9時 2006年7月28日の気象衛星画像 上段:気象衛星可視画像、下段:気象衛星水蒸気画像 (高知大学気象情報HPより) +:高気圧の中心の目安 + 7月28日9時の850hPa高層天気図 青いハッチは湿数が3℃以下の湿潤域を示す 北太平洋高気圧の北と東側は前線や弱い気圧の谷で雲が出来やすい 湿った大気が流れ込む高気圧南部は小規模な下層雲が点在しやす い・・・かも(調査中) 34 緯度(N) 7/29 7/25 32 30 7/22 7/26 28 7/22 21時 7/28 7/27 26 128 130 132 経度(E) 134 136 気象庁の海洋気象観測船による海上気象観測点(2006年7月) ピンクは長風丸(長崎海洋気象台)による観測,青は凌風丸(本庁)による観測, 橙の点線は深度200mの指標水温から推定した黒潮流軸を示す.日本時間で 午前0時の観測点に月日を付した.観測は3時間ごとに行われている. 34 緯度(N) 32 90%~100% 80% 70% 60% 50% 7/29 7/25 30 7/22 7/26 28 7/22 21時 7/28 7/27 © 2008 Vanda 26 128 130 132 経度(E) 134 136 海上の相対湿度(2006年7月,気象庁の海洋気象観測船による) 長風丸と凌風丸による海上気象観測結果から相対湿度(%)を示す. 相対湿度の色は図中のカラースケールを目安にする. ここまでのまとめ ・黒潮上・黒潮付近は流れが速いため揺れやすく、日食の 科学観測には向かないと考えられる ・観測点は気圧配置を見た上で、黒潮上を避けたところに するのがよさそうだ(東経132度より東) やむを得ず、黒潮近辺になる可能性もある ・黒潮を横切り、向かい風で航走する往路(特に出港日) は人も荷物も揺れ対策が必要 34 32 大隅分枝流 30 28 26 126 風 128 130 132 134 136 黒潮付近は揺れやすいため、日食観測には向かない 海況から、東経132度より東側がより揺れない海域だろう 青枠の範囲を南向きに通過するときは、揺れ対策が必要 かごしま丸の観測・作業スペースの紹介 前部甲板 研究室(ドライ) おもて作業場 学生食堂 とも作業場 居室 前部甲板 甲板の中で最も上の障害物が少ない とも作業場 床は鉄板に塗装のみ 後部甲板のハッチから直接搬入が 可能 ハッチの大きさ:1.2m×2mくらい おもて作業場 (卓球場) 学生食堂・講義室 スクリーンとプロジェクターあり 居室(4人部屋) 学生用居室には洗面台はない 床面が狭いので荷物はあまり 置けない 荷物の搬入は船尾から タラップの幅は80cm程度 船にもクレーンはついているが、搬入機材の大きさ・重量に よってはクレーン車のレンタルが必要 *観測機材の積み込みについて後日アンケートを行います