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日本の航空輸送サービスと規制緩和
甲南大学経済学部 4年 須磨 誠
日本の航空会社
日本航空
全日空
日本エアシステム
+
新規参入者
競争促進
エアドゥ
スカイマーク・エアラインズ
航空輸送サービスの多様化
新規参入(Air Doとスカイマークエアラインズ)
による航空会社間の競争の促進
・料金低下
→事前購入割引運賃、スカイメート(学生割引)
・サービスの多様化
→インターネット予約、旅行パック販売、シャトル便
利用者の増加・利便性向上
国内航空輸送サービスの動向
国土交通省より
どうして競争が促進されたのか
競争促進の背景には規制緩和がある
どうして規制緩和をする事になったのか
1980年代の世界的な規制緩和の流れの影響
1970年代のアメリカでの規制緩和
1980年代のヨーロッパでの規制緩和
を見習った
アメリカの規制緩和
従来:保護育成
1970年初め
→航空産業がある程度成長してきたので
自由競争の環境育成の声が広がる
1977年 貨物航空会社に対して、貨物運賃と参入の自由化
1978年 米国内線の路線開設、発着時刻、運賃が自由化
アメリカの規制緩和の結果
(1980年代~1998年)
①新しい航空会社(サウスウェスト航空等)の誕生
②競争の激化
③航空会社同士の大型合併などの「業界再編」
④ディスカウント運賃の増加→従来よりも40%低下
⑤ハブ・アンド・スポーク・システムの本格化
⑥乗客数の増加
⑦コンピューター予約システムの出現
⑧コード・シェアリングの発生
結論:90年代前半にアメリカの航空輸送産業は
2001年9月11日で大きく変化
深刻な不況に陥るものの、結果的には20年間で産業全体は伸び
規制緩和は成功したと言える
2001年9月11日
アメリカ同時多発テロ
Oh My God!
イスラム過激派が民間の
飛行機を乗っ取り
世界貿易センタービルや
国防総省に激突
航空利用者の減少
保険料の値上げ
航空業界に大打撃
それでどうなった?
アメリカ同時多発テロ以前
2001年初めから大手航空会社は
・原油価格と人件費の経常支出の高騰
・昨年から始まった景気後退
のダブルパンチを受けていた
米国同時多発テロによる
利用者の減少と
保険料値上げ
より経営に厳しさが増した
政府は150億ドルの救済基金を用意し、応急手当を実施
それでどうなった2
政府の援助…、すぐに効果発揮せず
大手9社の航空会社
新興勢力の航空会社
(ユナイテッド航空やアメリカン航空など)
8万7,000人の人員解雇
(サウスウェスト航空とコンチネンタル航空)
人員を削除せず、むしろ増加
運行スケジュールの削減
企業活動の縮小
・利用者の航空機離れを防ぐために、
惨事の後最初にテレビCMを放映
・航空運賃のディスカント
・運行スケジュール削除せず
サウスウェスト航空の競争優位性
サウスウェスト航空の特徴
・短距離間の運行だけにビジネスをフォーカスしている
・ポイント地点間の運行でいっさいの無駄を省いている
・無駄な乗客サービスをいっさいしない(機内食の無料サービスがなく、座席指定もない)
・混雑する空港を使用しない(サウスウェストの航空機は、運行時間のうち20分から
25分しか陸上待機していない、他の大手航空会社は約45分間待機している)
・1機種(ボーイング737)のみを全運行に使用
(これにより乗務員のトレーニングとメインテナンスコストを削減)
・会社が社員を1番大事にするという「企業文化」
→社員の会社に対する非常に高いロイヤリティ(やる気)
中央集権的で大企業主義の大手企業よりも有利に立て、
市場で勝ち続ける事が可能
テロを踏まえての規制緩和の評価
サウスウェスト航空は1971年に誕生
→それ以降、既存企業とは異なる新しい企業文化とビジネスモデルは
「もっとも安い航空券の提供とフライトスケジュールの厳守」
という利用者のニーズに答え、競争に勝ち続けてきた
しかし規制緩和が無ければ、
この企業はどうなっていたのだろうか?
規制緩和は最終的には消費者の利便性向上と
航空業界の効率化をもたらした
日本国内航空分野における規制緩和
かつての航空業界
→「航空憲法」つまり45・47体制があり、航空政策はその原則にのっとって
「安全」と「業界の秩序」を維持しながら、特定の定期航空会社の育成に専念
→強力な保護体制
欧米の規制緩和の潮流を受けて
利用者ニーズの多様化と航空産業の成長に合わせて、
競争環境の整備の観点に立った規制緩和が進められる
・路線への規制緩和
→「ダブル・トリプルトラック化基準」を経て需給調整規制の廃止
→新規参入の容認
・運賃への規制緩和
→幅運賃制度や運賃の認可制から事前届出制の移行など
規制緩和の結果1
東京~大阪間路線で新幹線との競争が激化
●航空会社の動き
「シャトル便」の登場
→運行便の増加
→料金低下(シャトル往復切符
やスーパー回数券)
●新幹線の動き
「のぞみ」の登場
→フレックス料金・回数券など
の料金低下
→運行本数増加・新型車両
による列車の高速化
規制緩和の結果2
1.事前購入割引運賃や得割などの割引サービスが
起こっているが通常料金そのものは値上げ。
(通常運賃の平均15%値上げ)
2.大手三社が新規参入者の路線に対して市場から
排除することを目的とする略奪的な運賃の設定
↓
新規参入者潰し?
3.大手三社が料金・サービス等のシステムがほぼ同一
↓
競争が起こっていない・大手三社の再寡占化
新規参入者への阻害1
1.AirDoやスカイマークエアラインスの路線だけに
特定便割引(得割)を設定
↓
大手三社足踏みそろえて同一運賃に
2.「超割」などのバーゲン型航空運賃
↓
値上げを隠すために航空会社が
仕組んだまやかし?
大手三社と新規参入者との料金比較
区 間
札幌-東京
特定便割
平日シル
航空会社 普通運賃 多客期
引
回数券 小児運賃 ハ ゙ー
JAL・JAS・
ANA
28,000
Air Do
20,000
30,000
24,000
15,000~
20,000
17,000
21,250
16,000
12,600
9,000
17,650
13,000
新規参入者への阻害2
3.機体整備に関する大手からの抑制
・自社の整備施設を持たない新規参入者
→機体の整備は既存大手航空会社に委託せざるを得ない
→機体の整備委託料金の値上げや契約廃止
*AIRDOはANAとの整備契約が不首尾に終わってしまい、
機体整備の際に国外まで持ち出さなければならなかった
4.新規参入者は発足当初、空港にカウンターを置けなかった
5.空港の発着枠(スロット)の既得権益化
・新規参入者の参入の障壁に
新規参入者の営業実績
AirDo
スカイマークエアラインズ
*AIRDOと
スカイマーク
エアラインズの
ホームページから
引用
新規参入者の経営努力
・機体整備や地上支援業務(グランドハンドリング)等の
の自営化
・副操縦士の自社養成
・空港内に独自のカウンターや電光掲示板を設置
航空産業の現状(再寡占化)を
改善できるか?
米国同時多発テロ後のJAL・JASの経営統合
→国内の路線によってはシェアが7割になるところも
→これは明らかに独占?
大手三社の料金・サービスへの行政指導
・大手三社の料金・サービスの同一化の防止
→市場支配力の抑制
→より自由で競争な市場へ向けて行政が監視
・略奪的料金設定の防止
→1部の路線だけではなく、全路線に対して割引料金を
→国土交通省当該変更命令の実施も検討すべし
→必要あらば公正取引委員会の介入も
競争環境促進とスロット権
市場原理に基づく競争市場
・空港や路線間の選択や調整を許容している
キャパシティの限界
→収益の多い路線の拡張などの戦略に制限
→「スロット権」の問題が発生
・クリームスキミングによる不採算路線
の運営の廃止増加
→収益の低い路線の縮小が多発
→地域住民の生活に支障をきたす?
スロットって何?
スロット(発着枠)
航空機が、空港への離陸又は着陸の度毎に、当該空港の
滑走路を使用することができる機会が与えられる。
これをスロットと称する。
混雑空港においては、空港の処理能力を超えた航空機が
発着することを防止し、安全かつ円滑な運航を確保する
ために、1日又はある時間内に発着可能な回数の限度が
設定されている。
(国土交通省より)
スロット権に関する対策1
●スロット権に関するルール化の整備を
1.スロットの回収・再配分方法
・総合評価方式(効率性評価基準等による評価方式)
→欠航便が頻発し利用率の低いエアライン(例:地方路線)から回収、再配分
→各エアラインの調整し、配分に関して新規参入者に優先して配分する
・競争入札制度
・抽選制・均等割り
2.スロットの交換
・航空会社間でのスロット交換によるスロットの効率化
3.新規参入者の扱い
・混雑空港(羽田・伊丹空港など)に係るスロットを優先的に配分
スロット権に関する対策2
●不採算の地方路線には何らかの支援が必要
・国と地方公共団体の役割分担
→新たな支援の実施主体
・効率性の確保
→経営効率化インセンティブを活用
→ある路線で、最も効率の良い運営を提示した企業を
優遇するなど
・具体的な支援方法は?
→補助金?
・意外に新規参入者が地方路線に意欲あり
→スカイマーク・エアラインズの地方路線進出計画
・もし維持が不可能なら…、代替交通機関はあるか?
→(例)離島を結ぶ連絡線など
まとめ1
大事なのは「消費者の利便性向上」
消費者の利便性=
「もっとも安い航空券の提供とフライトスケジュールの厳守」
アメリカでは規制緩和によって
サウスウェスト航空のような「新しい発想」
を持った企業が生まれ、
他の企業より「消費者のニーズ」に
答えていき、それが産業全体の底上げに繋がった
まとめ2
日本も遅れながら規制緩和を行った
しかしながら競争が促進されず、消費者のニーズに答えていない
私の提案:
今よりよりいっそうの新規参入者育成環境が必要
→「段階的新規参入機会」導入
1.航空業界への新規参入者を募る
2.次に大手三社の赤字路線を国が買収
3.新規参入者に赤字路線を経営効率化インセンティブ
(補助金など)を用いて経営させる
4.何年か後に新規参入者の経営を評価
5.評価がよければ全て(もしくは1部)のスロットを回収して
総合評価方式で分配で競争促進