平成23年度 弘前大学科学者発見プロジェクト

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平成23年度
弘前大学科学者発見プロジェクト
「高校生が実感できる性感染症予防啓発の工夫」
◎青森県立青森南高等学校「看護師を目指すもの達」
山内舞子
今泉沙彩
鈴木玲奈
◎指導:弘前大学大学院保健学研究科 准教授 古川照美
◎協力:青森県立青森南高等学校 生徒有志
◎始めに
☆きっかけ
◎授業や講演会で、性感染症の危険性について学ぶこと機会はあります。
しかし、余り現実味が沸きません。
◎話題にするにはどうしても「恥ずかしい」は避けられないです。
◎看護師志望の何人かで話をしてみたら、これからの私たちの生活にとって
は大きな問題となることなので、きちんとした知識を深めるにはどうすれば
いいのか、高校生が興味本位抜きで危険性を理解して行く方法について
研究したいと考えました。
☆「看護師を目指すもの達」結成。
「科学者発見プロジェクト」に応募となりました。
◎性感染症を考える前に
まず、高校生の意識をアンケートしました。
男女ほぼ共通なのは
※中学生以降異性を意識している。
※性交渉に怖さを感じている。
※避妊等は重要と考えている。
※半数は性について考える機会が少ない。
※異性の話題・悩みの話し相手は「友人」が多い。
男女で差がみられるは
※男子は、性交渉に関する興味が強い
※男子は、性感染症の知識を持っているほうだと考えている。
※知識は、女子は授業・男子は多方面から得ている。
※女子は「肉食系男子」に惹かれるが、男子は「草食系」が多い。
【質問】性について考える機会はありますか
女子群
男子群
ほとんど
ない
5.0%
とてもあ
る
10.0%
ほとん
どない
12%
とても
ある
18%
あまり
ない
40.0%
すこしあ
る
45.0%
あまり
ない
すこし
ある
41%
29%
【質問】性感染症についての知識はどれくらいありますか。
女子群
男子群
ほとん
どない
10%
とても
ある
ほとん
どない
とても
ある
0%
6%
6%
あまり
ない
5%
あまりな
い
41%
すこし
ある
47%
すこし
ある
85%
【質問例】青森県内で10代の人が罹る性感染症で最も割合が
高いのはどれでしょうか。
男子群
女子群
バクテリ
ア
バクテリ
ア
0.0%
0.0%
クラミジ
ア
クラミジ
ア
40.0%
35.3%
エイズ
エイズ
60.0%
58.8%
淋病
淋病
0.0%
5.9%
◎性感染症に関して
これもアンケートしました。
※名前を言える感染症は「エイズ」「クラミジア」
※HIVも感染症と思っている人も少なくない。
※具体的な症状は「よく知らない」が多数。
※半数は性について考える機会が少ない。
ちょっとした○×クイズにしてみると・・・
※全員が完全正解はありませんでした。
※高くても、正答率は90%程度でした。
自分で思っているほど、正しい知識は身についていないのが実態?
◎正しい知識・理解・行動とは
①性感染症?
※症状や感染方法を正しく知るのが大切
②知識?
「授業」「講話」:正確だけど抽象的
「雑誌」「友達」:不正確だけど具体的
※両立する方法があればベスト
③実際の行動?
※知識は身についても実行できるか?
※話題にしづらい内容、相手の協力・理解が不可欠
◎今回の研究は・・・・
高校生の意識啓発方法に中心をおいて
①性感染症の原因・症状・危険性の知識取得
②悪戯に好奇心をあおることのない啓発方法
「口コミ」中心で自然に知識・関心を啓発する方法
を試してみました。
内容を授業での勉強っぽくすると・・・
◎病原体と症状(1)
【性器クラミジア】
【病原体:クラミジアトラコマティス】
【潜伏期間】1~3週間
【症状】男性で排尿時の痛みや尿道の痒み、
女性は症状が軽く気づかないことも。但し
放置すると不妊の原因になることもある。
【性器ヘルペス】
【病原体:ヘルペスアウィルス】
【潜伏期間】
2日~10日
【症状】掻痒、水疱、びらん。
放置できない痛みを伴う。
◎病原体と症状(2)
【尖圭コンジローマ】
【病原体:ヒト乳頭腫ウィルス】
【潜伏期間】3週間~8ヶ月
【症状】鶏冠状の腫瘤
【淋病】
【病原体:淋菌】
【潜伏期間】2~7日
【症状】排尿時痛や膿尿、女性は症状が軽く
気づかないことも多い。しかし、
不妊の原因になることもある。
それを、こんなクイズにしてみました。
100点で認定書もでます。
◎口コミの効果
参加者
認定証獲得
試行回数平均
平均得点数
口コミ実施グループ
20
9
5.1
71.2
口コミ未実施グループ
20
2
5.4
52.4
◎数字的にはかなりの差は見られた。
◎真に「効果」だったのかは、もう少し検証は必要。
◎研究を終えて
【高校生の実情】
性感染症の知識を身につける機会が少なく、正しい知識が不足気味となる。
こういった話題と向き合う態度も後ろ向きとなり、結果として興味本位に偏った
望ましくない習慣が作られる危険性がある。
【啓発手段】
個別に、自由な時間にできる「口コミ」は有効であるといえる。
男女間で円滑な口コミになるような方法が課題である。
【取得知識の確認】
「クイズ」+「大学名入り認定証」という形は高校生にはかなり有効である。
【更なる課題】
実際の病気の怖さの喚起し、予防行動につなげるにはどうするか。
より多くの人に経験してもらう手段。