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第52回全日本包装技術研究大会
薄物板用エッジ保護材「PEPAC(ペパック)」の開発
2014日本パッケージングコンテスト
ジャパンスター賞(公益社団法人 日本生産性本部会長賞)受賞作品
太陽インダストリー株式会社
段ボール事業部 営業部 包装技術課
(包装管理士) 小田 篤史
特許出願中
目次
1.会社案内
2.現状把握
3.包装素材の選定
4.構造と形状のつくりこみ
5.検証試験と改良
6.今後の展開
所在地
戸畑工場
中津新田工場
大分事業所
取扱い商品
目次
1.会社案内
2.現状把握
3.包装素材の選定
4.構造と形状のつくりこみ
5.検証試験と改良
6.今後の展開
現状把握1
【製品と現状の包装仕様】
自動車用板金部品(ドア)
背抜きの箱に包装
質量:16.2kg
ドアの下部に
発泡緩衝材が
入っています
発泡緩衝材は、リサイクル材を利用した半硬質
発泡ポリエチレン製で、ブロック状のものに切り
込みを入れた形状をしています。
イメージ図
(他社製品のため、詳細は控えさせて頂きます)
現状把握2
【要求仕様】
要求仕様(現状満たしているもの)
脱着が容易で、且つ、梱包中・輸送中に簡単にははずれない保持力
お客様の試験基準(落下試験・輸送試験)で製品が損傷しないこと
90°未満の角部や多少の湾曲部にもセットできること
要求仕様(お客様が今よりも改善したいこと)
包装資材のコストダウン
かさばらない(保管場所をとらない)こと
稀に発生する製品破損クレームを抑えたい(品質UP)
目次
1.会社案内
2.現状把握
3.包装素材の選定
4.構造と形状のつくりこみ
5.検証試験と改良
6.今後の展開
包装素材の選定1
【包装素材の選定】
発泡成形品
(既存品)
真空成形品
段ボール
パルプモールド
保持力
(脱着性)
○
○
×
△
緩衝力
○
○
○
○
角度・湾曲部
対応
○
○
○
○
保管スペース
×
○
○
×
10点
○
△
○
○
13点
×
○
○
△
9点
△
○
○
△
11点
環境面
供給
コスト
合計
○・・・2点
△・・・1点
×・・・0点
包装素材の選定2
【真空成形シート素材の選定】
コストの面から以下の汎用プラスチックシートの中から選定する
シート素材
ポリプロピレン
(PP)
ポリエチレンテフタレート
(A-PET)
特徴
柔らかく、衝撃に強い
リサイクル材を含有すると物性が変わりやすい
硬いため、衝撃に弱く割れやすい
透明度・リサイクル率が高い
ポリスチレン
(PS)
コストは低いが、A-PETよりも、衝撃に弱く割れやすい
透明度・リサイクル材含有率が高い
塩化ビニル
(PVC)
コストが低く、透明度が高く、衝撃にも強い
燃焼時に有害化学物質が発生するため、環境負荷が大きい
真空成型品とは…
一枚のプラスチックシートを温めて柔らかくし、型に空け
た小さな穴から空気を吸い込んで、プラスチックシートを
型に吸い付かせて成形したものです。
目次
1.会社案内
2.現状把握
3.包装素材の選定
4.構造と形状のつくりこみ
5.検証試験と改良
6.今後の展開
構造と形状のつくりこみ1
【試作品の設計】
上面図
真空成型は深く細い溝が
苦手…
一枚のプラスチックシート
を伸ばして成形するため、
下図のa≧bのような溝で な
の
ないと形状が成り立ちま
で
せん。
a
側面図
折り曲げ用
テーパーを付加
b
製品
緩衝材
厚み0.3~1.5mmの中から、
まずは1mmのPPシート
試作品1号
構造と形状のつくりこみ2
【検証試験】
お客様試験基準(落下試験)
同一品にて、落下高さ30cmで、
・片支持落下(両側)を各3回
・底面落下を3回
判定基準:変形・凹み・傷などなきこと
緩衝材を2つ配置
緩衝材は大破し、ドアが大きく変形
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2.現状把握
3.包装素材の選定
4.構造と形状のつくりこみ
5.検証試験と改良
6.今後の展開
検証試験と改良1
【シートの厚み増し】
厚み=1.0mm
厚み=1.2mm
バラつき:N数増しで
失敗するものがある
形状での強度
UPが必要!!
厚み=1.5mm
別の問題が発生!!
相
反
材料が硬すぎる
柔らかくしないと
製品を支持する突起が硬
すぎて、落下時に突起の
痕が製品についてしまう
検証試験と改良2
【階段形状リブ追加】
箱と製品のサイズがあるので、高さを上げて緩衝距離を稼ぐことができない
曲げ角を増やすことで、
形状での強度UP
落下後の状態:
製品の底づきがなくなった
検証試験と改良3
【製品支持部の緩衝穴】
なぜ、製品突起部が硬いのか?
シート
側面図
真空成形は:
PPシートを型に当てるときに、雄型なので、
最初に接触する緩衝材上面側が先に冷える
ので厚く、下にいくほど引っ張られるので薄く
成形される
型
解決策!
製品支持突起の根本に穴を空け、
衝撃時に、製品を傷めないよう、たわむようにした
検証試験と改良4
【耐圧強度・脱着強度の検証】
二段階
で上昇
約12N
で安定
この形状が効いています
目標値:
16.2kg(製品質量)
×9.8(単位換算)
×3倍(衝撃荷
重)×1.5(安全率
=700N
目標値:
概ね10N程度であ
れば、だれでも容
易にはずせる
※梱包作業などで
はずれないことは
目視で確認済み
独立行政法人製品評価技術基盤機構 人間特性デー
タベースより引用
落下試験・輸送試験にも合格!!
検証試験と改良5
【着色と切離し構造追加】
衝撃を受けたときに、図のように、プラス
チックの白化現象が発生する
⇒
材料のPPを白に着色することで目立たな
くする
緩衝材を嵌めるエリアが狭い部位にも
対応できるように
⇒
二分割切離しできるようミシン目を追加
検証試験と改良6
【最終形状】
折り曲げ用カット部
切離しミシン目
製品支持部緩衝穴
製品支持突起
緩衝効果溝リブ
緩衝効果階段リブ
要求仕様
既存品
改良品
効果
脱着が容易
○
○
要求仕様通り
90°以下の角部や湾曲部分対応
○
○
要求仕様通り
落下試験/輸送試験
○
○
要求仕様通り
包装材コスト
×
○
約50%削減
在庫の保管場所
×
○
約47.5%削減
製品の破損クレーム
△
○
約11ヶ月間クレームなし
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3.包装素材の選定
4.構造と形状のつくりこみ
5.検証試験と改良
6.今後の展開
今後の展開
【エコマーク取得へ向けた取組み】
今回開発した緩衝材は、PPの衝撃に強いという特性を活かしたものですが、PPは成形後の廃材な
ど同じPPリサイクル材を含有させた場合でもその特性が変化しやすく、通常はバージン材95~100%
を使用している。
しかし緩衝材の性能を維持しつつ環境面負荷の少ない素材を検討した。
①生分解性プラスチックはまだ真空成形シートでは一般的ではないため、コスト面で不利
②バイオマスマークが取得可能、且つコスト面が優位で耐油性がある、とうもろこし澱粉を
主成分としたエコ・スターチ®で検討
PP(ユーシート1501)
エコ・スターチ®
引張り強さ(Mpa)
TD(巾方向) 40
MD(流方向) 50
TD(巾方向) 12.1
MD(流方向) 12.5
アイゾット衝撃強さ
(ノッチ付) (kJ/㎡)
2.9
1.2
配合調整もしま
したが
エコ・スターチ®
では物性的に
望みがない。
③物性変化の少ない同グレード・同添加剤のPP廃材でのリサイクル材比率を少しずつ高
めながら、その緩衝能力を見定めていき、最終的にはポストコンシューマー材(材料として
のマテリアルリサイクル)を25%まで引き上げてエコマーク(商品類型No.118)を取得する
計画
最後に
今回自動車板金部品用の緩衝材として開発した商品ではありま
すが、こういう商品は一般的にはあまりありません(当社調べ)。
薄物エッジ部用でコストや保管効率に優れた商品であることに着
目すると、ガラスやタイルなど多種多様の薄物製品への用途が
期待されます。
このため、本商品名を薄物板用エッジ保護材「PEPAC(ペパック)」
と名づけました。
(PEPACはPlate Edge Protect And Cushionの頭文字より)
今後は、薄物板の厚み違い・耐荷重を強化したもの、軽量品用な
どニーズに応じた商品群を展開していく予定です。
ご清聴ありがとうございました