CSRと広報戦略 Strategy of CSR and Public Relations

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CSRと広報戦略
Strategy of CSR and Public Relations
桑原 喜子
東洋大学社会学部
メディアコミュニケーション学科4年
本論の構成
序
第1章 CSR(社会的責任)とは何か
1.1 CSRの定義
1.2 CSRの歴史
第2章 日本企業のCSRへの取り組み
2.1 CSRとメディアとの関わり 2.2 CSR先進企業の先行研究
2.3 CSR報告書から読み取る企業別特徴
2.4 日本企業のCSRの事例
第3章 今後の課題と展望
3.1 消費者と企業のこれから
結
3.2 企業と企業との関わり
序


2003年 「CSR元年」
従来の報告書のタイトル→「CSR」へと変更
etc.花王 「環境・安全レポート」→「CSRレポート」



なぜCSRは流行したのか
従来のタイトルを「CSR」に変更する必要があったのか
報告書はメディアとして機能しているか
CSR(企業の社会的責任)とは何か



CSR=Corporate Social Responsibility
統一された概念はなく、定義を述べることは難しい。
日本経済団体連合会
「CSRは企業経営そのものであり、多様な民間企業がそれぞれ自主
的な取り組みによって進めるべき活動である」

谷本寛治「CSR経営-企業の社会的責任とステークホ
ルダー」(2004)
「CSRとは、企業活動のプロセスに社会的公正性や環境への配慮など
を組み込み、ステークホルダーに対し、責務を果たしていくこと。その
結果、経済的・社会的・環境的パフォーマンスの向上を目指すこと。」
日本のCSRの歴史

1970年代 第一次CSRブーム
背景:公害問題・アメリカのCSR論・企業の不祥事
↓
オイルショックとともにブームは消える。

2000年以降 再びCSRブームが起きる
背景:地球環境問題・グローバル市場
労働、人権問題・企業の不祥事
↓
企業経営のあり方自体が問われるようになった。
CSRとメディアとの関わり

CSRに関する記事件数の推移
件 80
60
40
20
0
2
0
0
3
年
1
月
2
月
3
月
4
月
5
月
6
月
7
月
8
月
9
月
1
0
月
1
1
月
1
2
月
2
0
0
4
年
1
月
2
月
3
月
4
月
5
月
6
月
7
月
8
月
9
月
1
0
月
1
1
月
1
2
月
(日経テレコン21調べ)
2
0
0
5
年
1
月
CSR報告書から読み取る企業別特徴



取り寄せた37社の報告書をもとに検証
社会面の割合が大きい企業順に並べている。
損害保険ジャパン「環境」→「雇用形態・社会貢献」
企業名
総ページ
経済
社会
環境
特集
その他
損害保険ジャパン
81
6.2
60.5
17.3
0.0
16.0
キューピーグルー
プ
18
11.1
44.4
33.3
0.0
11.1
積水ハウス
46
17.4
43.5
28.3
0.0
10.9
日本コカ・コーラ
58
3.4
43.1
20.7
15.5
17.2
クラレ
47
17.0
40.4
19.1
0.0
23.4
CSR報告書の統計
経済
社会
環境
特集
その他


経済
21%
その他
22%

特集
10%
社会
27%
環境
20%
2003年
3%

2004年
11%

その他
32%

2005年
30%
2006年
24%

37社全ページに対する、それぞれの割合
社会面27% 経済面21% 環境面20%
CSR報告書とは主に社会面を重視したも
の
社会面の項目:企業の雇用形態・地域ボ
ランティア
報告書タイトルを「CSR」に変更した年度
2005年から2006年の間に37社中、約半
数20社(54%)が導入
その他は従来のタイトルを使用している
企業
花王【CSRレポート】
20%
0%
28%
20%
40%
経済






20%
社会
12%
60%
環境
特集
20%
80%
100%
その他
2004年7月26日「日経ビジネス」CSR総合ランキング3位
2006年6月21日「Newsweek」世界企業ランキング500で総合22位
(日本企業で総合1位)
2004年CSR推進部設置
2005年「環境・安全報告書」→「CSRレポート」
社会・経済・環境をバランスよく推進
表紙は母親と娘で白をベースとしている。
報告書の表紙


色は「青」「白」「緑」
表紙に「赤ちゃん」や「子ども」を載せている企業が37社中14社
(約38%)
→未来を担う子どもが暮らす社会を持続可能なものにしようという願
いが込められているのではないか
課題と展望
【消費者と企業】
 「CSR」で商品を選ぶ時代へ
 メディアの評価ではなく、自ら評価する立場へ
【企業と企業】
 CSRをパフォーマンスではなく、持続可能性の戦略へ
 報告書をメディアとして有効活用
 独自性を出す上で他企業を知ることが重要
 CSRが企業交流のきっかけとなる
結

なぜCSRは流行したのか
企業の不祥事とともに流行・コンプライアンスが問われ
始めた・持続可能性のためのツール

従来のタイトルを「CSR」に変更する必要があったのか
CSRが言葉歩きしている・企業自身がきちんとした理念
を持つことがタイトル変更の前に必要

報告書はメディアとして機能しているか
特定のものが利用している→幅広い層に浸透していない
パフォーマンスとしての色が強い
CSRと広報戦略
Strategy of CSR and Public Relations
桑原 喜子
東洋大学社会学部
メディアコミュニケーション学科4年