保育所実習Ⅰに向けて - せいがの森ホームページ

Download Report

Transcript 保育所実習Ⅰに向けて - せいがの森ホームページ

目白大学
保育実習指導Ⅲ
「実習生で学んでほしいこと」
①保育者の専門性---子どもを「見守る」意味
②子どもの育ちを支える--「異年齢児保育」
③親の子育てを支える--「子育て支援」
せいがの森保育園 倉掛秀人
平成25年11月20日
(注)使用リソース
•
•
•
•
動画 9月19日撮影 NO4より 砂場遊び
写真 道徳のはじまり スライドショー
子育て支援の場面の動画
動画 異年齢で過ごす様子
実習で体験してほしいこと
• 子どもはこんなに○○○たがっている!こと
• 没頭しているとき、熱中しているとき、寛いでいるとき
などの様子を体感してほしい。
• 子どものためにあれこれ考えていると、自然と、もっと
こうしてあげようかな、という気持ちが湧き起こるかど
うか。それが保育の意図、願いの大本。
• 子どもを理解しようと努力している保育士の姿に触れ
てほしい。
• そのための保育士のプロとしての心構えなどに接す
ることができれば、貴重な経験になるでしょう。
①保育者の専門性「見守る」意味
• 子どもが自立(自律)すると、大人の手がいらなく
なる。
• 人間には心の安全基地が必要。赤ちゃんはすぐ
そばに。大人もそれぞれに心の拠り所が必要。
• 子どもが自ら育とうとする自発性を保障しようと
すると見守ることになる。しっかりと受け止めて、
手を離せば自ら歩みだそう、動き出そうとするの
が子どもだから。
安心感の輪 保育者は安全基地
心の育ちをスライドショーで
• 子どもの自立していく姿を感じてください。
• 安全基地としての保育者が子どもから離れて
いくことを感じてください。
• 距離は離れていても、しっかりと信頼関係が
あること、子どもと大人の間に強い絆がある
ことを忘れないでください。
• 「お父さん、お母さん、ぼく、やってみるから見
守っててね」これが自発性を見守るという子ど
もの権利に関する条約の第6条。
②子どもの育ちを支える「異年齢児保育」
環境構成とは生活の場づくり
• 人間であるためには、持って生まれた資質(
遺伝子・本能)と、それを取り巻く環境(自然と
社会)の両方でなりたつ。
• 環境の方は、より好ましいものをデザインでき
る。変えることが出来る。これが教育の役割
であり、本質。
• 人・物・空間が織りなす状況のこと。両親がア
メリカ人でも日本語の環境で育てば日本語を
話すようになるように。
二つの要素の相互作用
後成的(エピジェネティック)
遺伝
本能
秘めた力を最大
限に引き出す
環境
教育の可能性
エデュケーショ
ンの本義
人間は本来的に人的に多様な環
境で育ってきた
• 子どもを知識や技能を教え込む「対象」として
扱うとき、一様な発達の子どもたちを集めた
方が「やりやすかった」。大人にとって。
• 明治以降の学校制度は、年齢別の学年制度
を採用した。富国強兵で早く欧米に追いつく
必要があった。敗戦後も同様の状況が続い
た。
• しかし、人類は600万年間もの間、異年齢の
中で育ってきた。親も生物学的親だけではな
く、親類、村中の人々が関わってきた。
乳幼児にとっても多様で異なる年
齢の人的環境が好ましい
• 赤ちゃんが相性のあう大人を選べるように
• 赤ちゃん同士が刺激し合うことができるように
• どの年齢の子にとっても、同年齢、少し下、か
なり下、そして少し上、かなり上の人がいた方
がいい。モデル。憧れ。貢献。自信。
• 子ども文化が育つ。遊びの文化。刺激し合い
学び合うことができる。年を越えて伝承されて
いく。壮大なブロック、コマ回し、将棋、生き物
の飼育、マフラーあみ、行事など。
スライドショーでみてみましょう
• 11月19日(火)朝9時15分〜10時15分ご
ろ
まずは子どもの姿に目を向けて
• ゼロからのスタートではありません。すでに保育
所の生活が展開されている最中に、みなさんが
参加していくことになります。すでに営まれてい
る生活の中に、みなさんが入っていくのです。そ
の生活を理解することから実習は始まります。
• どんなこどもたちが、どんな生活環境で生活して
いるのか理解しましょう。オリエンテーション大切。
• そのうえで、配属されたクラスのなかで、どのよ
うな実習をしていくか、それぞれの園によって差
があります。
• たとえば保育原理は次のような流れを想定しま
す。
「保育の過程」にみられる判断
また新たに生起した
状況のなかで、子ど
もの行為や育ち(学
び)をどう読みとり振
り返るか
省察・
評価
どんな環境を準備
あるいは再構成し実
践するのか
乳幼児
理解
判断
保育の
実践
子どもの姿や関わり
からどんな意味をよ
みとるのか
指導計
画
その姿からどんな援
助内容が必要なの
かの予想
砂場遊びでの「取り合い」
①刻々と起きる省察と判断。
②ちょっと後での振り返り。
「子どもの育ち」「自らの保
育」
→観点は5領域
この子の発達は・・・
環境や声かけは・・・
省察・評
価
「新しいの、まいちゃんの
とってこようか、緑とか黄色
とかあるよ」。
乳幼児
理解
判断
保育の
実践
「やめて!ここちゃ
んの!」「まいまい
の!」
指導計
画(願
い)
気持ちの代弁。気
持ちのやり取りを支
えよう。「一緒に遊
びたい、って」。「い
や」。
実践は料理や演奏の如くすすむ
デイリープログラムがある。遊びや食事や睡眠の時
間はリズムを持ってやってくる。
遊びの内容は子どもが選び、作りだす。思わず遊び
たくなるような環境を用意しておく。どんな様子で遊
び出すかは予測できない。
例:砂、ザル、スコップ ⇒ 食べ物?
ある程度の予想ができる。 その前の経験、生活の
流れがあるから。きっと、こうしておけば、こういうこ
とをやりたがるだろう。
こどもの興味・願い・発現するまえの心情。どう出合
わせるのがいいのか。例:近所にアイスクリーム屋
さんができた。話題にしている。
実習体験の振り返り
• 心情・意欲・態度としての「教育のねらい」がどのよう
に実現されていたか、そのプロセスを理解
• 環境とかかわって経験していることが「教育の内容」
だが、5領域から見直してみよう。
• 5つの専門的な知識や技術および判断の実際をまと
めてみよう。
• 専門性を支える人間性や倫理観が具体的にどう表
れているか、保育士のプロとしての心構えなどに接
することができれば、貴重な経験になるでしょう。
「5領域」で振り返り→よい遊びや生活とは
砂の入ったザルを一人で持って歩く。スコップで土を掘り入
れる。片手でこぼして楽しむ。遠くからしっかりと歩いて移
動したりしている。手にもって走ると危ないものは伝えよう。
①たとえばザーッとこぼしたりして、砂
という素材に触れて感触を味わってい
る。
②水をこぼすときのように何かに見立
てて、オノマトペを使って行為を表現し
ながら、砂の動きの感触を楽しんでい
る。さらさらとかべとべととかの経験も
できるといいな。
表現
①自分の考えを伝えている。
②したいことや、してほしいことを一
部しか言葉で表現できない。気持ち
を伝える代弁が必要だな。真似が
できるモデルもあるといいなあ。
言葉
健康
子ども
の育ち
自分のやりたい遊びがしっかり
とありそれを選んで遊び始めて
いる。お友達と関わって一緒に
遊びたい。でも自分の物で存分
に遊びたい。遊びの途中で貸し
たり、待ったりはできなかった。
スコップで叩いてしまう。
人間
関係
環境
砂やザルやスコップなど身近
にある事物の働きや仕組み、
性質に興味や関心を持ち、
掘ったり、叩いたり、ひっくり
返してこぼしたりしながら、そ
の変化を楽しんでいる。砂を
もっと柔らかくしてあげたい。
③親の子育てを支える「子育て支援」
・子育て支援とは、人類ほんらいの子育て環境
(伝統的社会)から学ぶことが多い。核家族に
なり専業主婦だけの子育ては弊害が多い。親
の兄弟姉妹が近くにいないので助け合えない。
社会で子育てを担う新しい仕組みが必要になっ
ている。
・保育園自体が、本来は子育て支援である。保
育園は「社会的な親」「社会的親類」といってよ
い。
・お互いのパートナーであってどちらも大切な協
働関係にある。
スライドショーでみてみましょう
• 11月19日(火)朝7時45分〜8時15分ごろ
親の子育てを支える
• 園生活の様子を伝え、家庭生活の様子を知る。
お互いに理解し合うパートナーシップ
• 環境によって子どもの姿は異なる。家と園では様
子がちがう。どうしてだろう。
• 子どものをよく知っているのは親。でも発達をよく
知っているのは保育者。
• 保護者支援で発揮される専門性は、子どもの育
ちを支える専門性の「応用」。
• 受容と共感。情報提供。モデルの提示。相談支
援。専門的知識の分かりやすい説明など。
環境構成と人間関係の構築
• 課題保育は、その他の時間が豊かになるような
もの。他の時間も今を最も良く生きるために。
• 課題保育の時間を体験すると、人生が豊かにな
るように。
• 新しい歌を覚えた→家で親子で歌いたい
• おいしかったから家でも作って!
• 親子の会話を促すお便りのコメント。「今日は宝
物を見つけたようです。何を見つけたのか聞いて
あげてください。」
実習は学びの総仕上げ
・教育の目的は「人格の完成を目指し、平和で民主的
な国家及び社会の形成者」の育成。
・保育の目標 「子どもが現在を最も良く生き、望まし
い未来をつくり出す力の基礎を培う」。
・保育は「専門性を有する職員が、家庭との緊密な連
携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所
における環境を通して、養護及び教育を一体的に行う
こと」。
・養護は「生命の保持」と「情緒の安定」。
・教育のねらいは心情・意欲・態度。
・教育の内容を捉える視点としての5領域(健康・人間
関係・環境・言葉・表現)
保育の基本(まとめ)
• 養護と教育が一体となった営み。
• 教育のねらいは心情・意欲・態度
• 保育者は安全基地になること。環境構成とセット
であること。保育者の見守る距離感。
• 教育の内容は5領域。自信と自律。
• 子ども主体の保育。子どもを保育の対象として
みない。主体者として生活をともにする。
• 自発的な遊びとしての活動を大切にする。
• 子ども同士の関係の中で育つものが大きい。
• 24時間の連続した生活をとらえる。保護者支援
につながる。
保育の専門性とは?
5つの知識や技術および判断
● 保育を実践しな
がら「子どもの学び
や経験の意味」を省
察できること
● 「子どもの育
ち」と「自らの保
育」の振り返り
遊びの展
開力
倫理観に
裏付けら
れた判断
生活援助
人間関係
の構築
環境構成
発達援助
専門性を発揮する構造
成長・発達・学び
生活・遊び
環境構成・人間関係
保育の質へのアプローチ(補足)
保育所保育指針7章のパラダイム
学び合う環境の醸成
保育所の活性化
保育の質
「関係論的状況論」のパラダイム
より善い文化的実践へ
地域コミュニティの質向上
保育の質
職員全体の専門性
保育所の自己評価
子が育つ環境の向上*
育ちの物語を当事者が共有
職員の一人ひとりの専門性
子どもの育ち
保育士等の自己評価
自己評価
(子どもの育ちと自らの保育)
自己評価
(子どもの経験と環境との関係の読み取り)
27
では保育士は何をしている?
• 保育している!
もっと具体的には?
• 養護と教育を一体的に行っている!それって具体的
には何をしているの?
• 手遊び、読み聞かせ、紙芝居、歌遊び・・まさか!!
遊びと生活の中の援助って何?
• 生命の保持・情緒の安定・5領域・子育て支援?
• どう考えればいいんだろう?
• こども理解⇒計画⇒実施⇒振り返り??
養成校で学ぶ内容を実習という実践で生かしてほしい
親と一緒に保育する
• 保育園は託児の場所ではありません。ただ預かっ
ているのではありません。生活の主体者。
• 家庭でも保育園でも、こどもにとって24時間の生
活が「福祉を増進する」するように。
• 毎日の連絡や連携、情報提供、親子関係の提案、
保育参観や保育体験、個人面談、就学に向けた支
援・・・
• (個人的には)「子育て支援」という言葉が苦手(!?)
父親保育が終わったあとの雰囲気から想像してもらいたい(動画)