ユニバーサルデザインパワーポイント(PPT:1262KB)

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ユニバーサルデザイン
design for all
教員研修用テキスト
Study of Universal Design
for teachers
1
•
「ユニバーサル・デザイン」という言葉を知っていますか? 「最近、聞いたことがある」とか、「ああ、万人
のためのデザインのことだろう」とか、中には「知っているよ、7つの原則があるはずだ」とか言う人もおら
れると思います。
•
ユニバーサルデザインの考え方は、これからの国際化・情報化の時代を創造していくための、本質的な
考え方の一つだと私たちは考えています。ですから、小学校の子どもたちにも、その考え方を体得してほ
しいのです。しかし、それは、知識として、考え方を説明したり、原則を述べたりすることを求めているの
ではありません。子どもたちが、この考え方を体得して、具体的な成果をあげていくのは、彼らが大人に
なって、建物や商品を設計したり、社会のために具体的な活動をはじめるころです。しかし、「三つ子の
魂、百まで」のたとえのあるように、小さいときに気づき、感じた感覚は、大人になってもずっと生き残って
いきます。ですから、ユニバーサルデザインについても、その言葉の意味を理解するより、さまざまな人
の立場にたって、物事をとらえ、もし誰かのためにものを作り出すなら、あらゆる場面や利用者を想定し
て、デザインするという、根本的な態度の育成が重要なのです。
•
ユニバーサルデザインの考え方の入り口に子どもたちを導くためには、「ユニバーサルデザイン」を扱っ
た授業を、総合的な学習の時間などで構成するのもひとつの方法です。しかし、それ以上に、日常的な
学習活動のあらゆる場面で、物事のとらえかたとして、「ユニバーサルデザイン」の心を感じさせることは
可能です。そのためには、先生方ひとり一人が、「ユニバーサルデザイン」の心に気づき、感じる感性を
研ぎ澄まさなければなりません。子どもたちに感じさせる感性を、先生自身が体得しなければならないの
です。
2
•
この教材は、ユニバーサルデザインの考え方を、小学校の授業で取り入れる教
師のための研修テキストになっています。しかし、普通のテキストと違って、順に
読んで、理解していけばよいという形式にはなっていません。
•
章によっては、自分で町を探索し調査するとか、他の先生方と討論するとかの演
習もあります。ここでは、「ユニバーサルデザイン」に流れている基本的な考え方
に、先生方自身が気づいていくプロセスを大切に考えているからです。どうぞ、十
分な時間をかけて演習をすすめ、子どもたちのこころに響く実践を展開できるよう
になってください。
監修 永野和男(聖心女子大学)
編者 小田和美(東京女子体育大学)
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このワークシートの内容
◆知識として理解する(予備知識)
◆世界の現状を知る
1.人間の歴史、道具の歴史
2.人間の歴史、建物・街の歴史
3.デザインの歴史と現在
4.ユニバーサルデザインという考え方
5.なん%? 「もしも世界が100人の村だったら」
12.ユニバーサルデザインの街づくり
13.生活の中のユニバーサルデザイン
14.教育のユニバーサルデザイン
15.ユニバーサルデザインの標準化
16.世界の街かどのユニバーサルデザイン
◆視点をかえる(比べる・考える)
◆メッセージ
6.いろいろな視点の意識化
7.ユニバーサルな視点で、生活を見直す
8.考えてみよう(グループ討論)
・「より多くの人のため」
・答えは、ひとつではない
・事例1:黄色い道路標識
・事例2:階段の手すり
・事例3:スルーのエレベータ
・事例4:子供用トイレ
◆行動する・知恵を出す
9.家の中で暮らしてみると
10.街の中を見てみると
11.街の中を歩いてみると
(常に存在する、more better)
◆指導教材の作成について
◆児童指導にあたっての留意点
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知識として理解する(予備知識)
1.人間の歴史、道具の歴史
人間と道具の歴史を振り返ってみましょう
1.右の図で、それぞれの時代には
どのような道具が使われていたでしょう
2.それぞれの道具は、
誰のために、何のために、作られたのでしょう
道具は、広がっていきました
原始:村社会
中世:街・国社会
西はりま天文台公園の自然学校
http://www.nhao.go.jp/~shizen/hiokosi.html
道具は、自分や家族の生活を支えるために生まれました
やがて一人の知恵が、
村の仲間の「便利」のために広がっていきます
人の交流が、知恵の交流を生み出し、
村から村へと広がっていきます
文明が生まれます
大府市歴史民俗資料館:館内のご案内
http://www.city.obu.aichi.jp/rekimin/main.htm
近世:文明社会
現代:高度情報社会
道具は、変化していきました
機能を追及していくうちに、機能美が生まれ備わります
美しさ(アート)という視点も芽生えます
一人のために手作りをしていた道具は、
多くの人のために量産されるようになります(鋳型)
個への対応から 汎用性へ
より多くの人の便利のため…
これは、自然の流れでした
5
知識として理解する(予備知識)
2.人間の歴史、建物・街の歴史
道具だけではありません
住まい、町、街、建物、機械・・・
自分あるいは自分たちのために生まれた知恵は、
他(自分以外のもの)のため という方向を持ち始めます
原始:村社会
中世:街・国社会
近世:文明社会
現代:高度情報社会
明治村:http://www.meijimura.com/
ふるいたてものずかん:
※街へ出て、取材をしてみましょう
建物・街を見てみましょう。
自分、家族、仲間の「便利」のために作られた建物・街
時代の流れの中で、
神秘あるいは富と権力のための建物も生まれます
一方、庶民のための建物の歴史も作られていきました
機能を追及していくうちに、機能美を獲得しました
やがて美しさ(アート)という視点も持ち始めます
1.右の図で、それぞれの時代にはどのような建物が建て
られていたでしょう
2.それぞれの建物は、誰のために、何のために、作られた
のでしょう
道具、建物、街、衣服 生活を支える多くのものが、
http://www.geocities.co.jp/B
erkeley-Labo/1926/
個への対応から 汎用性へ
と、変化していきました。その流れの中で、
職業としての「デザイン」が誕生します
3.現在、デザインと呼ばれているものには、
どのようなものがあるでしょうか?
いろいろなデザイン
6
知識として理解する(予備知識)
3.デザインの歴史と現在
デザインの視点の変化
個 ~ 汎用性 ~ 画一性
個に対応して生み出されていた「知恵」は、社会と共に変化し、
やがて、「汎用性」を追及し始めます
それは、力のあるもの、富を持つもの、社会的に優位なもの
のためのデザイン、の芽生えでもありました
デザインの変遷:
気づいたことを、メモしておきましょう
参照URL:
http://www.japandesign.ne.jp/KUWASAWAJYUKU/index.html
http://www.udit-jp.com/ud/index.html
機械による大量生産が可能になってから、
「汎用性」は「画一性」という面を持ち始めました
・便利さ(より多くの人に共通の便利さとは・・・)
・美しさ(より多くの人の好み、好みによるステータス・・・)
・機能性(より多くの機能、より高度な機能・・・)
・価格 (経済的効率の追求、採算性・・・)
多くのものを「標準化」「規格化」の中でとらえるようになりました
しかし、社会(知恵)は常に、成長し続けます。
今、デザインについても、いくつもの新しい視点が生まれてきています
1.次の用語について、調べてましょう。
ユーザビリティ
ノーマライゼーション
バリアフリー
共用品
ユニバーサルデザイン
7
知識として理解する(予備知
識)
4.ユニバーサルデザインという考え方
知恵の進化と気づき
個への対応から 汎用性へ(より多くの人の便利のため…)
これは、自然な流れでしょう
実際使ってみると「もっと便利」があることに気づきます
多くの人が気づく不便・不都合は、
より、多くの人が納得行く方向へと、 改良されていきます
知恵が富と結びつくようになると、
知恵は純粋な「便利」「使いやすさ」「美しさ」だけではなく、
「ビジネスとしての成立」といいう要件も含んで働き始めます
次のキーワードから、
ユニバーサルという考え方の歴史を、調べましょう
ユニバーサルデザインの7原則
ロナルド・L・メイス
標準化」「規格化」「経済的効率」
そのような流れの中で、少数の人(社会的マイノリティ)にとっての 「困難」「不便」が取り残されていきました
取り残された背景には、大きくわけて、2つの理由 が考えられます
1:取り残していることに、気づかない ⇒ 自分を中心に物事を見る傾向は、誰にもあります。
しかしそういう自分に気づき、グローバルな視点を持つよう意識することは、「共生する社会」の一員として必要です
2:気づいているけど、考慮しない ⇒ 理由は、いろいろつけられるでしょう。経済効率、マジョリティ優先、技術的困難…
しかし、それらを認めては、前進しません。そのような事情を超えて、いかに「共生する社会」実現への「知恵」をだせるか
それが、いま、私たちに問われています。 同時にそれは、意識・無意識に潜んでいる、差別の意識との戦いでもあります
あなたは、ユニバーサルデザインという考え方を、きちんと知っていましたか?
ユニバーサル
と
バリアフリー
の考え方の違いが、理解できましたか?
8
知識として理解する(予備知識)
5.なん%? 「もしも世界が100人の村だったら?」
あなたは自分を、普通(一般的)と思っていますか?
作業1URL:
普通って、どういうことでしょうか?
自分が、どのような人間か、考えて見ましょう。
国籍、性別、年齢、職業、年収、家庭、趣味 こだわり 人生観…
1.「もしも世界が100人の村だったら」というキーワードで検索してみましょう。
いろいろに少しずつアレンジしてありますが、
作業2
確かなデータで書かれたサイトのURLを記録しましょう。
2.子どもに伝えたい内容と数字を記録しておきましょう。
平均的な子どもたち、平均的な家庭、平均的な学校…
無意識のうちに私たちは、自分なりの平均像に当てはめています
しかし実際には、
いろいろな環境、いろいろな姿、いろいろな想いがあります
もしも@@@が、100人の村だったら
3.あなたの「もしも」を作ってみましょう(例:もしも学校が100人の村だったら、もしもこの街が…、もしも日本が…
作業3
9
視点を変える(比べる・考える)
6.いろいろな視点の意識化
ユニバーサルデザインという視点で、身のまわりを見てみましょう
いろいろな視点があります。例えば…
A.高さが違ったら、どうなるか
B.この速さは、適当だろうか
C.標識の大きさや色は、見やすいだろうか
D.性別による施設や社会システムの違い・制限は、
適切だろうか
E.その他(年齢、国籍、 場所、回数、時間、形…
事例を挙げながら、次のように考えて見ましょう
1.こういう「不便・不都合」を、実際、感じたことがある
2. もし別の人だったら、
どんな「不便・不都合」があるだろうか
3.実際の社会では、どのような工夫をしてるだろうか
4.もっとこうすれば…
という建設的な提案ができないだろうか
事例:
1.
2.
3.
4.
事例:
1.
事例:
1.
2.
2.
3.
3.
4.
4.
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視点を変える(比べる・考える)
7.ユニバーサルな視点で生活を見直す
既に私たちの社会は、少しずつ、
気づいた「不便」を解決する知恵を出し始めています
例えば…
事例1:いろいろな高さ(阪急伊丹駅にて)
事例1:いろいろな高さ
事例2:国を超えて
事例3:利き手なんて!
事例4:いろいろ人たち
写真を見ながら、それぞれの工夫が、
1.どのような不便を解決するために
2.どのような部分を工夫しているか
考えてみましょう
事例4:いろいろな人たち(足立区役所にて)
事例2:国を超えて(マルチ電源アダプター)
事例3:利き手なんて!(注ぎ口、両側つき)
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視点を変える(比べる・考える)
8ー1.考えてみよう(グループ討論)
現実にまだまだ、改善点はたくさんあります。
しかし、社会は単純ではありません。
ひとつの解決方法が、新たな「不便」を生み出すこともあります。
ユニバーサルデザインという考え方を実際に実現させようとする
ときには、とても大きな知恵と決断が必要になります。
事例1:黄色い道路標識
★街の美観
★凸で危険
★雨の日すべる
次の事例のうちの、いくつかについて、
A.どのような改善の余地があるか?
B.その改善方法に、新しい問題点はないか?
C.どうして、実社会で、そのような改善方法がとられていないのか?
など、意見を出し合ってみましょう。
事例2:階段の手すり
★冷たい
★不連続で不便
事例3:駅のエレベータ
★高さが合わない
事例4:子供用トイレ
★女児を連れた父親は? ★男児を連れた母親は?
★遠い
★狭い
事例5:その他(グループの中で、見つけてきたもの)
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視点を変える(比べる・考え
る)
8ー2 .考えてみよう(討論結果の発表)
事例1:
自分たちの討論の結果を、発表しあいましょう。
自分たちの選んだ事例以外の事例について、
他のグループ討論の結果を聞いて、記録してお
きましょう。
事例2:
事例4:
事例3:
事例5:
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行動する・知恵を出す
9ー1家の中で暮らしてみると(活動)
次の休日、家の中で一日、耳栓、手袋、近視矯正メガネなどをつけて、生活してみましょう。
朝、装着したものは、一日中、途中ではずさずに、過ごしてみてください。
その他、「一日中、膝をついて生活する(視点を低くする)」「誰とも口を利かない」など、
いつもと違う自分になって生活してみましょう。
活動3:その「不便」「危険」を解決するには、
どうすればよいでしょうか?
活動1:あなたは、何をつけましたか?
耳栓、
手首の錘
その他(
軍手
ゴム手袋
近視矯正メガネ
足首の錘
膝のサポーター
)
その他に、どのような、「いつもと違う」
生活をしてみましたか?
(
)
活動2:生活してみてわかった家の中の「不便」「危険」を、
リストアップしてみましょう
活動記録をデジカメ
で撮影して、
貼っておきましょう
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行動する・知恵を出す
9ー2家の中で暮らしてみると(活動報告と発表)
一日、家の中で過ごしたレポートを、グループ内で報告しあいましょう
グループごとに、報告をまとめ、発表をして、意見交換してみましょう
実際に、家の中のユニバーサルデザインとして、どのようなものがあるか、調べてみましょう
報告:
実際の、家の中のユニバーサルデザイン:
発表:
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行動する・知恵を出す
10ー1 街の中を見てみると(活動)
街の中を歩いて、見つけましょう。
見つけたユニバーサルデザインを、デジカメで撮影しておきましょう
1.街の中にある、ユニバーサルなデザインを探してみましょう
2.そのデザインは、どういう点がユニバーサルですか?
3.ユニバーサルとはいえないデザインを探してみましょう
4.どういう点で、ユニバーサルではないと思いますか?
5.どう改良すれば、よりユニバーサルになるでしょうか?
活動1:見つけたユニバーサルなデザイン
活動3:よりユニバーサルにするための提案
活動2:見つけたユニバーサルでないデザイン
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行動する・知恵を出す
10ー2 街の中を見てみると(まとめと発表)
活動2:見つけたユニバーサルでないデザイン
◆活動の報告と提案を、班ごとにまとめ、発表しましょう
発表に対しては、相互評価を行ってみましょう
※相互評価の際、意識すること
1.相手の活動の「よい部分」と「改善が望まれる部分」を、
両方指摘できるようになる
2.「改善点」「問題点」は、指摘するだけではなく、
「どのように」という、問題解決策も、提示できるようになる
1.見つけたユニバーサルなデザイン
活動3:よりユニバーサルにするための提案
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行動する・知恵を出す
11-1 街の中を歩いてみると(グループ活動)①
◆町の中を、歩いて見ましょう
ただ歩くのではなく、いつもと違う自分になって、歩いてみましょう。
・歩き方1:アイマスクをつけて、歩いてみる
・歩き方2:車椅子に乗って、歩いてみる
・歩き方3:両手両足に錘、耳栓、近視矯正メガネをつけて、歩いてみる
◆あなたは、どのような歩き方をしましたか?
◆歩いて気づいた不便や便利を、記録しておきましょう
・街の「どこがどう不便か」を体験し、記録しましょう
・街の「どこに工夫があるか」を感じ取り、記録しましょぅ
・不便マップ を作成しましょう
・便利マップ を作成しましょう
◆街の不便 の記録
◆歩いて気づいた不便を、「解決する知恵」 を出しましょう
・より、すみやすい街への提案を、しましょう
・改良マップ を作成しましょう
◆すみやすい街への提案 の記録
◆街の便利 の記録
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行動する・知恵を出す
11-1 街の中を歩いてみると(グループ活動)②
◆不便マップ を作成しましょう
◆便利マップ を作成しましょう
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行動する・知恵を出す
11-1 街の中を歩いてみると(グループ活動)③
◆改良マップ を作成しましょう
◆改良マップ で、工夫しているところを、
記述しておきましょう。
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行動する・知恵を出す
11-2街の中を歩いてみると(まとめと発表)①
◆グループごとに、自分たちの活動や提案をまとめましょう。
発表用マップ:
不便マップ、便利マップ、改良マップを、取りまとめましょう。
自分たちの提案を、どう主張するか考えながら、まとめましょう。
発表内容の構成:
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行動する・知恵を出す
11-2街の中を歩いてみると(まとめと発表)②
◆班ごとに、発表しましょう。
その発表を、相互評価してみましょう。
発表を聞いて気づいたメモ:
どのような観点で評価をするか、あらかじめクラスで話し合いましょう。
評価シートを作って、それに沿って、評価をしてみましょう。
※相互評価シート作成の際の観点の例
1.発表の資料の出来具合
A~D
2.発表のときの話し方、聞きやすさ A~D
3.内容のまとめ方、わかりやすさ
A~D
4.説得力ある内容だったか
A~D
評価シート
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世界の現状を知る
12.ユニバーサルデザインの街づくり
ユニバーサルデザインを、最初に提唱したのは、
アメリカの、ロナルド・メイス(1941-1998)です。
•
彼自身が車いす使用者であったこと
•
戦争を背景とした国内の戦傷者保護対策や障害に
対する意識
•
既に浸透を始めていたバリアフリーの考え方
などを背景に、バリアフリーを超える概念として、
受け入れられました。
事例1:人間中心の町作り(オレゴン州ポートランド広域圏)
より広範囲のすべての人に使いやすいデザイン
その考えに基づき、世界の多くの街が、
街全体で、街づくりを始めています。
事例3:ユージーン(オレゴン州)
事例2:フライブルク市(ドイツ南部)
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世界の現状を知る
13.生活の中のユニバーサルデザイン
私たちの暮らしを、ユニバーサルデザインの観点で見直すと、
住人の違いによって、いろいろな不便が見えてきます。
事例1:ユニバーサルデザインの道具
道具、食事、衣類、住まい、遊び…
不便を解消する知恵が、今、いろいろ出されています。
例:
•
•
•
•
•
•
カラースティックのり⇒のりが付いているところが分かりやすい
TVベビーモニタ⇒離れていても様子が分かる・介護にも便利
簡単リモコン⇒てれびやビデオの切り替えや調節がしやすい
左右両用カッター⇒利き手に関係なく切りやすい
ペットボトルオープナー⇒非力でも、硬い口が開けやすい
ステンレスミルクパン⇒左右両方に流し口がある
事例2:ユニバーサルデザインの遊び道具
作業:あなたが左利きだったとしたら…?
1.どのような不便があるでしょう。
2.それはどのような工夫で、解決できるでしょう?
3.実際の知恵を、Web上から、捜してみましょう。
事例3:ユニバーサルデザインの衣服
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世界の現状を知る
14.教育のユニバーサルデザイン
学校教育は、それぞれの国ごと、
その歴史や価値観を背景に、行われています。
日本の学校教育は、明治になってから始まりました。
文部科学省が設置されたのは、明治4年。
早い時期から、義務教育を掲げてきましたが、
制度や実態の歴史を見てみると、
男女・貧富・障害者の差別なく、
すべての児童・生徒が義務教育を受けられるようになったのは、
昭和54年からです。(学制百二十年史:
http://wwwwp.mext.go.jp/v120nen/index.html#toc3.1.3)
事例:建物・教室のユニバーサルデザイン
現状、利点、問題点、改良点を考えてみましょう
例:オープンスペース、階段、屋内プール、地域開放…
いま、学校現場にも、ユニバーサルデザインの流れがやってきています。
ユニバーサルデザインの視点で、教育を見なおして見ましょう。
よりよい学習環境つくりへの、ヒントも見えてきます。
事例:学習環境・学習チャンスのユニバーサルデザイン
現状、利点、問題点、改良点を考えてみましょう
例:インターネット、ネット大学、情報メディア…
事例:学習方法のユニバーサルデザイン
現状、利点、問題点、改良点を考えてみましょう
例:課題解決型学習、交流学習、個別学習、グループ学習…
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世界の現状を知る
15.ユニバーサルデザインによる標準化
あらゆる国の、あらゆる人に使いやすいデザイン は、
簡単に実現できるものではありません。
1980年に、ユニバーサルデザインが提唱されてから以後、
立場、状況、習慣… それらの違いを熟慮した上で、
JIS、ISO などの規格の標準化が、進められています。
アメリカ国内では、戦傷者保護という社会問題とも絡み、
多くの法制化が行われてきました。
日本でも、いま、新しい制度が生まれようとしています。
●日本
1999年11月~ 5回のユニバーサルデザイン懇談会
2000年4月 第1次取りまとめの発表
ユバーサルデザインに関する現状分析、
問題点と対応の方向性等が報告された
2001年5月 第2次取りまとめの発表
問題点の把握と対応の方向性について検討・整理
2002年6月 e-Japan重点計画2002
デジタルディバイドの是正
●標準化の動き
・ ISO13407 (Human-centered Design Processes for
Interactive System)
・ ISO/COPOLCO
・ JISC9102 (家電製品の操作性に関する設計指針)
・ JISX6310 (プリペイドカード一般通則)
●アメリカ
1950年代 バリアフリー運動
1961年米国基準協会
(ANSI , American National Standard Institute)
アクセス権保護の基準(身体障害者にアクセスしやすい施
設設備に関するアメリカ基準仕様書)発表
1968年「建築バリア法」
1973年「リハビリテーション法」
1975年のEducation for Handicapped Children Act
Individuals with Disabilities Education Act(IDEA)
障害を持った子供に自由で適切な教育を保証
1988年「適正住宅供給法(Fair Housing Amendments)」
1990年「ADA法(American with Disabilities Act)」
1996年「Telecommunications Act 」
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世界の現状を知る
16.世界の街かどのユニバーサルデザイン
世界では今、いろいろな生活の場面に、いろいろな
考え方で、ユニバーサルデザインの理念をとりいれ
ています。
それぞれを事例が、
どのような不便を便利に変えようとしているのか、
どのようなマイノリティが恩恵をうけるのか、
考えてみましょう。
事例:ユニバーサルデザインの住まいづくり
(レバーハンドル)
参照URL:
http://www.universal-design.co.jp/what_ud/what_ud.html
事例:階段のないマーケット(オーストラリア)
事例:誰にでも使いやすいバリアフリー型自動販売機 (日本)
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メッセージ
一人ひとりの、存在の違いに、気づこう
いろいろな制限を、それぞれを取り巻く条件、あるいは環境 と考えよう
高さ、色、形、スピード、大きさ、場所、回数、時間…
いろいろな環境にいる、すべての人に、使いやすいデザインを考えてみよう
いろいろな環境にいる、より多くの人に、使いやすいデザインを考えてみよう
常に
答えは、ひとつではない
その環境に合った回答 が存在する
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指導教材の作成について
この教師用教材の姉妹品として、小学校の総合的な学習の時間でユニバーサルデザインを学ぶための、教材レ
シピが、開発されています。その教材は、導入としてまず、
教室内で、ユニバーサルにデザインされた身近な生活小物(ハサミ、ホチキスなど)を体験する
という体験活動から始まります。明らかに使いかっての違う、いつも使っていた生活小物を実際に体験した驚き
をもとに、
なぜ、そのようなものが作られているのか、 それはどのような人たちに使いやすいものになっているか
を考えていきます。
より多くの一人にとって使いやすい(快適な)ものは、作る人がそれを意識して知恵を出せば、作ることが可能
なのだ
ということを前提に、
いろいろな知恵を、実際の生活から探す
不便な場所・ものを見つけ、それに対して、自分たちの知恵を出し、より快適なものを提案する
というような活動に、つなげていくことが出来ます。
その他にも、トライアルの方法はいろいろ考えられるでしょう。
たとえば、スーパーマーケット、駅、図書館、役所など、多くの人が集まる場所に行き、
どういうところが便利か、
どういうところが不便か、
このような改良があれば使いやすいと思いますか
などというアンケートをとり、そのデータを自分たちでまとめてみると、実際の社会の多様性が見えてくるでしょう。
そのときに意識して気をつけたいことは、次のようなものです。
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児童指導にあたっての留意点
☆異質なものへの畏怖 これは、自然な心
☆異質でも、安心な存在である とわかったとき、生まれながらの心に、
平均、規格、区別、差別 という意識はない
☆バリアーという概念は、これまでの大人社会がもっている価値観であり、
そのような価値観を内面に作り出すのは、大人社会の教育の成果
☆障害に特化しない形で、自然にユニバーサルデザインになじむよう配慮する
☆子どもたちには、ユニバーサルデザインという言葉や価値観を、先に教えない
⇒ 身近なものの中から、いろいろな不便や、工夫を探す活動から入る
☆自分たちのための工夫が、ユニバーサルデザインにつながる
⇒ 自分たちの感覚の中に、いろいろな立場の人間が網羅されるような教育が必要
☆「いろいろ探し」が「違い探し」あるいは「小さなグループの形成」につながらない配
慮(気配り)が必要 ⇒ まず、教員の側の意識を確立すること
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