プレゼン - 追手門学院大学

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Transcript プレゼン - 追手門学院大学

哲学者からみた正義と
ベーシック・インカム
追手門学院大学奥井ゼミ経済体制論パー
ト
難波隆文
坂野恵美
野澤辰樹
瀬古和也
北村鷹康
野田卓良
正義とは何か?
せい-ぎ【正義】
1 人の道にかなっていて正しいこと。
2 正しい意義。また、正しい解釈
3 人間の社会行動の評価基準で、その違反に対し
厳格な制裁を伴う規範
出典:yahoo辞書
経済政策とは何
か
けいざい-せいさく【経済政策】
国家が一定の価値判断のもとに、経済現象に対し
て意図的に働きかける政策の総称。
対象によって農業政策・工業政策・財政政策・金
融政策などに区分され、目的によって完全雇用政
策・分配政策・安定成長政策などに分類される。
出典:yahoo辞書
第一章
多種多様な正
義
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
リバタリアニズム
功利主義
ジョン・ロールズ
マイケル・サンデル
我々の定義する「正義」観
1-1 リバタリア
ニズム
自由主義思想の中でも特に個人主義的な自由を重視する政
治思想である。
 他からの制約を一切受けたがらない。
 国家や政府は諸個人の基本的権利を保護する目的の道具に
過ぎない。
 そのため、一部の提唱者(リバタリアン)は国家からの補
助制度などは受け入れるべきという主張もある。
 個人の嗜好や主張を最大限認めようとする特徴がある。

1-2 功利主義(ベンサ
ム)
 最大多数の最大の幸福
あらゆる行為について、その行為が利害関係者の幸
福を増大させるか減少か
 個人の道徳原理と社会(政府)の道徳原理を唱えた
 個人は社会全体の幸福(一般幸福)を最大化すべきで
ある

ベンサム
1-3
ルズ
ジョン・ロー
政治哲学の重要性を改めて世に問い、著書「正義
論」を発表した。
 社会契約論を現代に復権させた。
 ベンサムの唱えた功利主義を否定している。
 「無知のヴェール」で自分を覆うと表現。
 国家に対して全面的に譲渡し、国家=個人となる。
 所得税による不平等はやむを得ないと主張。

ジョン・ロールズ
ロールズの正義二大原理

第1原理:人はみな自由で平等な権利を持つが、他
者の権利を侵害してはならない。

第2原理:
(a)社会の格差は、平等な機会の下での公正な競争
の
結果でなければならない。
(b)社会の格差は、最も不遇な人の状況を改善する
ことに繋がらなくてはならない。
ジョン・ロールズ
1-4
デル

マイケル・サン
美徳型正義論
 コミュニタリアニズム
正義は美徳や善き生と深い関係にある
 「無知のヴェール」は「負荷なき自己」と批判
 「生の善に対する優位性」という考えを批判
 善ありし正義
 負荷ありし自己
 倫理的、精神的な正義

マイケル・サンデル
1-5
観
我々の定義する「正義」
①国民全員が等しく生活でき、チャンスを与えられ
ること
・平等な生活保障
・見殺しを無くす
②救済制度、立場や利権の悪用を決して許さないこ
と
・今の救済制度の現状
・働かざる者食うべからず
第二章
正義
2-1
現在行われている経済政策と
税
2-1-1 税の格差
2-2
社会保障
2-2-1 生活保護
2-2-2 (公的)年金
2-1 税
2-1-1 税の格差
課税には「公平・中立・簡素」の三原則がある
 消費税は国民全員が5%
 所得税は高収入の人ほど高い所得税を払わなければ
ならない

課税所得
195万円以下
195万円超~330万円以下
330万円超~695万円以下
695万円超~900万円以下
900万円超~1,800万円以下
1,800万円超
税率(%)
5
10
20
23
33
40
~税を正義感で考える~
①リバタリアニズムの場合
・働いて得た金を取られるのは嫌だ!
・頑張ったら増える収入をその分取られるのは
もっと嫌だ!
・仕方がないから政府の行うサービスの代金とし
て
解釈しよう。
②功利主義の場合
・社会の利益のためにそれぞれが
負担を負うのも当然のこと
・累進課税を敷くことで全員が平等な負担
で
平等なサービスを受けることができる
③ジョン・ロールズの場合
・正義の原則は「運命の恣意性」を強制している
・固定的な悪平等は望ましくない
・社会の大多数が経済的弱者であってはならない
・弱者を保護するためには社会福祉を充実させなけ
ればならない
④マイケル・サンデルの場合
・「位置ある自己」は他人の助け合ってこそ存在し
うる
・それに報いるためにも、自分の報酬は(税という
形で)
分かち合ってこそ適切である
2-2
障

社会保
健康面、失業、社会的問題まで生活上におけるトラ
ブルから起こる貧困を、国家が救済する制度
社会保険
公的扶助
社会福祉
公衆衛生及び医療
その他
医療保険
年金保険
労災保険
雇用保険
介護保険
生活保護
老人福祉
障害者福祉
児童福祉
母子福祉
感染症対策、食品衛生、水道、廃棄物処理
後期高齢者医療制度など
日本の社会保障の種類
2-2-1
保護
生活
生活保護の目的
 障害、母子家庭、働けない人のために仕事が見つか
るまでの最低限の生活の保障する
2010年10月
2010年11月
2010年12月
2011年1月
2011年2月
2011年3月
非保護世帯数
141万7820世帯
142万6659世帯
143万5155世帯
144万1767世帯
143万6046世帯
145万8583世帯
非保護実人数
196万4208人
197万7153人
198万9577人
199万8975人
198万9769人
202万2333人
全国の生活保護受給者数
不正受給・モラルハザード
 うつ病を偽ったり、外国人の大量給付申告など

暴力団や業者などが関係し、支給金をピンハネし
て
いる場合

逆に、本当に必要な人が審査を通らず
支給してもらえない可能性

支給されている人への侮蔑の目線
生活保護受給者の特典
生活保護受給者
・若干の制限付
き
サラリーマン
医療費
・医療費は無料
・3割負担
年数
・死ぬまで
・自動的に40年
年金
・免除
・将来貰えるかわからな
い
所得税
・免除
・20万円超も
可
・移住費無料
・178万円
私生活
支給額
住居
年収
種類
・制限なし
・固定資産の減免
地方税
・賃貸、一軒家
・507万円
・特別区民税。都民税の非課税
・特別区軽自動車税の減免
年金
・国民年金保険料の減免
・心身障害者扶養年金掛け金の減免
・有り
・無し(給料)
その内容
都営住宅
・共益費の減免住宅
・入居保証金の減免または徴収猶予
水道
・基本料金の免除
下水道
・基本料金の免除
・水洗便所設備助成金の交付
放送
・放送受信の免除
交通
・都営交通無料乗車券の交付
・JR通勤定期券の割引
清掃
・ゴミ容器の無料貸与
・廃棄物処理手数料の免除
衛生
・保健所使用料。手数料の減免
教育
・都立高等学校。高等専門学校の授業料の減免
~生活保護を正義観で考える~
①リバタリアニズムの場合
・ノーリスクでもらえるのならもらう
・生活保護をもらう状況までになるのは自己責任
・政府の介入はこの程度にすべき
ただし
・自分がその支給財源を負担するのは嫌だ!
②功利主義の場合
・個々の幸福には恩恵をもたらすが
社会全体の幸福というにはどうか?
・悪用されるような中途半端な政府介入で
社会全体を阻害しないように配慮する必要がある。
③ジョン・ロールズの場合
・正義の二大原理は福祉国家を対象にしたものであるの
で、「もっとも不遇な人々」への配慮は社会保障制度
の核心である
・「無知のヴェール」の観点からみれば、自分もその状
況に置かれる可能性があることを想定しなければなら
ない
よって、自らの保険として、支持せねばならない
④マイケル・サンデルの場合
・生活保護を受け入れないと生活できない人間のみ
支給
されるべきだ
・生活保護を貰わない人たちは快く受給者を認めて
あげるべきだ(コミュニタリアズムに基づく)
2-2-2
年金
(公的)
年金の目的
・(国民年金制度の目的)第1条 国民年金制度は、
日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、
老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそ
こなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、
もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与する
ことを目的とする。
働けなくなった国民への支援が目的
現在の年金制度の仕組み
年金は基本的に、労働者の負担になる
現在支払われている年金は、現在の労働者が支
払って いるものである
危うい年金の未来と過去と現在
未来
・少子高齢化により労働者の負担額が激増し、年金
を払い続けるのが困難になる
・これからの世代には割に合わない
過去
・消えた年金問題
現在
・国民皆保険の未納者の増加
・高まる年金制度への不信感
~(公的)年金を正義感で考える~
①リバタリアニズムの場合
・自分で稼いだお金が他人の年金の財源になるなら断固反
対
するのなら積み立て型のほうがいい
・それならば年金制度に頼らず消費してしまうか
自ら貯蓄して生活するほうがマシ
②功利主義の場合
・年金などの政府介入は社会全体の幸福の最大化
・最も分配が公平になされる方法といえる
③ジョン・ロールズの場合
・年金も生活保護と同様、自分も受給対象となる
可能性 を考慮せざるを得ないため、支持される
ものである
④マイケル・サンデルの場合
・公民的美徳に基づいた日本の年金制度はサンデ
ルの思想にとって適している
・助け合いこそ素晴らしい
第三章
ム
ベーシック・インカ
3-1 ベーシック・インカムとは
3-2 ベーシック・インカムの特徴と利点
3-3 ベーシック・インカムの財源
3-4 ベーシック・インカムの問題点
3-4-1 働かざる者食うべからず
3-4-2 目指すは「完全平等」
3-4-3 日本は国家が国民にお金をくれる国
3-4-4 きつい仕事がきつくなる?
3-4-5 ベーシック・インカムは何主義?
3-1
とは



ベーシック・インカム
すべての国民に対して最低限の生活に必要な所得
を現金支給によって保障する制度
18世紀末のイギリスの思想家
「トマス・ペイン」が提唱した
未だ実行した国はない
トマス・ペイン
3-2 ベーシック・インカムの特徴
と利点
特徴
①現物ではなく金銭で給付される
②一括で給付されるのではなく、
定期的な支払いの形をとる
③公的に管理される資源の中から
政治的共同体によって支払われる
④世帯や世帯主ではなく、個人に支払われる
⑤資力調査なしに支払われる
⑥稼動能力調査なしに支払われる
利点
A 単純性が高い
B 分かりやすく支給できる
C 給付されることに対する屈辱感を感じることがな
くなる
D 主婦などにも独立した所得を与える
E 選別主義的なアプローチは失敗してきたから普遍
主義的なアプローチの方が効果的かもしれない
F 公正で結束力のある社会を作りだせる
など
3-3 ベーシック・インカム
の財源

生活保護や年金制度などの現金支給の社会保障を
すべて廃止する

医療や介護などの現物支給の社会保障は残しておく

増税
消費税か?所得税か?
→所得税を全国民一律45%とする
ベーシック・インカム 月7万円支給型
 毎月7万円支給される
 年間84万円
 年間に必要な予算は109兆円
(兆
ベーシック・インカム導入前と導入後
例:年収500万円の3人家族
(単位:万円)
収入
給与所得控除
社会保険料控除
基礎控除
配偶者控除
特定扶養控除
課税対象所得
所得税
税引き後所得
社会保険料支払
B・I
合計
現在
500
-154
-50
-38
-38
-63
157
(5%) -7.85
492.15
-50
442.15
ベーシック・インカム導入後
500
-20
480
(45%)-216
284
-20
252
516
3-4
題点
ベーシック・インカムの問
①働かない人が出るのではないか
→今の制度でも同じこと
②高所得、高資産を持つものに与えるべきか
→完全な平等の実現
③違法移民を招いてしまうのではないか
→受給条件の厳格化(日本国籍所有者に限る
等)
④3K(キツイ・汚い・危険)の仕事や
低賃金などの職場に人が集まらなくなるのでは
ないか
→企業の環境改善の努力を促せる
⑤社会主義的ではないか?
→「小さな政府」の実現
3-5
まだまだ増やせる
ベーシック・インカム
の予算
公務員の人員削減
今まで年金担当、生活保護担当などたくさんいた
社会保障に携わる役職の公務員をベーシック・イン
カムの担当者を据えるだけで済む

↓
大幅な人件費削減を見込める
~ベーシック・インカムを正義観で考える
~
①リバタリアニズムの場合
・肯定的の意思を示している
・現在の福祉国家よりも「小さな政府」が生まれるため
自由度が高いと考える
・生存の為に労働を強いられることはないため、
労働するか否かは自分の意思で決められる!
②功利主義の場合
・個々、社会における最大多数の最大の幸福が
実現できるのではないか
③ジョン・ロールズの場合
・功利主義は誰かの犠牲の下で最大多数の最大幸福が
成り立つが、ベーシック・インカムならば平等な負担を
課したうえで最大幸福が望めるのではないか?
④マイケル・サンデルの場合
・収入保証は個人主義的なのでコミュニタリアズムから
見れば賛成はしにくいが、全ての人に まっとうな生活を
保障する試みとしてのベーシック・インカムに反対している
わけではなく、福祉の1つの政策だと考えている
・コミュニティや分かち合いやお互いへの責任感に基づく
福祉の正当化が重要であり、ベーシック・インカムには
それらが必要である
第四章 我々のベーシック・インカム
案
4-1 やっぱり働かざるもの食うべからず
4-2 最低限の生活を保障しないベーシック・
インカム
4-3 ベーシック・インカム5万円Ver.
4-3-1 予算と財源
4-3-2 5万円である理由
4-1 やっぱり働かざる者食うべ
からず
我々の正義論
① 国民全員が等しく生活(最低限の生活ができる)でき、
またチャンスを与えられること
② 救済制度、立場や利権の悪用を決して許さないこと
働かなくても生活できる制度の確立は
現状と変わらないのではないか?
これは②に違反している!
4-2

最低限の保障をしないベーシック・
インカム
ぎりぎり生活できない額の支給
→月5万円
と定める
4-3
ベーシック・インカム月5万円
VER.
予算
・毎年一人当たり60万円
・毎年約78兆円
増税の変更点
・所得税ではなく消費税を増税する (10%前後)
→所得税の増税は労働のインセンティブを損なう恐れがある
→所得が増えるので消費からのほうが効率的な税収が望める
(兆
円)
ベーシック・インカム導入前と導入後その
2
例:年収500万円の3人家族
第五章 ベーシック・インカムの
真の敵
5-1 反対する公務員
5-2 日本政府の管理制度の甘さ
5-3 結局何が悪い?
5-1 反対する公
務員
社会保障にまつわる公務員を大幅に削減される
 自らの首を切ったり、給与削減はないと思われる

5-2
日本政府管理制度の甘さ
消えた年金問題
 東日本大震災における復興支援の義捐金や支給品が
なかなか行き届かなかった例
 国民の番号管理制度の徹底が優先

5-3
結局なにが悪
い?

天下りや裏献金のような汚職事件が絶えない

哲学や理論で人間の正義観を一括りにすることは
不可能である
最終章
経済政策に正義(公正)を求めること
は
可能か、あるいは妥当か
ベーシック・インカムこそ日本の公平なる正義に
ふさわしい経済政策であると我々は結論付けたが、
ベーシック・インカムに反対する人にとっての正
義はまた違う
 全人類が同じ価値観を共有するのは不可能
 すべての国民にとって平等な政策を立案するのは
不可能

★経済政策に正義は求めることは妥当である