液晶産業から見る競争力

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Transcript 液晶産業から見る競争力

国際比較ゼミ
プレゼンテーション
芳賀
堀内
黒瀬
小野寺
鈴木
良定
優子
圭史
あずさ
克奈
液晶産業から見る競争力
国際分業の進化と今後更なる市場の発展が
見込まれる液晶産業から、
先端産業における競争力、
競争力の源泉とは何かを見出す。
競争力とは
• 他社にはない、もしくは有意に秀でる技術、
シェア、生産基盤などの企業の力を、将来的
に
維持、成長させる力とする。
• 競争力にはその元となる競争力の源泉
が存在し、有効活用することにより競争力と
なっていると考える。
競争力を得る意義
• 競争力を得ることにより、シェア、売上高、
利益をより高め、さらに研究開発、
生産能力に結びつけることが出来る。
• シェア、売上高、利益に関係のありそうな
ことを中心に検証し、競争力の源泉を
探っていく。
結論
• 今回の液晶産業の市場分析、企業分析で
競争力をつけるために最も重要なことは
二つあると感じた。
『投資の継続』
『競争と協調による市場拡大』
の二つである
第一章
液晶産業の市場環境
液晶市場の動向
• 液晶市場は携帯の買い替え需要、大型液晶モ
ニター、液晶テレビの更なる普及が見込まれ
ている。よって市場規模はますます拡大してい
くと言われている。
• 液晶テレビの普及に伴い、生産の面ではパネ
ルの大型化を目標として企業が熾烈な競争を
繰り広げている。
1960年代後半
Rca 液晶の基礎的研究を発表
1877年
オーストリア人植物学者 Renitzer 液晶を発見
1973年
Rcaから権利を買い取ったSHARPが電卓に搭載成功
1986年
着色単色の液晶がディスプレイとして実用化
1988年
SHARP世界初14型TFTカラー液晶ディスプレイを開発
1992年
SHARP三重県多気町に世界最大の大型TFT液晶工場建設発表
1993年
台湾 フラットパネルディスプレイ技術発展4年計画(20億元600人)
1997年
フィリップス、ソニー、SHARPなどの共同開発により42型PALCディスプレイの開発に成功
台湾 第二期フラットパネルディスプレイ技術発展6年計画(40億円200人)
1999年
台湾への日本企業からのOEM開始される
韓国 LGとフィリップス業務提携
2004年
韓国 サムスンとソニーが業務提携
日本/韓/台湾/(中国)のシェア推移
100. 00%
90. 00%
80. 00%
70. 00%
60. 00%
50. 00%
40. 00%
30. 00%
20. 00%
10. 00%
0. 00
19
97
/1
19 19
97 97
/2 /3
19 19
97 98
/4 /1
19
98
/2
19 19
98 98
/3 /4
19 19
99 99
/1 /2
19
99
/3
19 20
99 00
/4 /1
20 20
00 00
/2 /3
20 20
00 01
/4 /1
20
01
/2
20 20
01 01
/3 /4
20 20
02 03
20 20
04 05
出所:ディスプレイリサーチ社
日本・韓国・台湾の現状
現在の液晶市場は
日本・韓国・台湾の3ヶ国に加え中国が
ほとんどを独占している。
この競争力源泉はどこにあるのだろうか?
また、なぜ米欧諸国は競争力を持ち得ないか。
テレビと液晶の歴史から考察する
• テレビから液晶への転換の兆しは97年前後
→韓国のメーカー市場参入は95年
出荷台数では数年後だが、売り上げベースでは2004年の段階でブラウン管を液晶が超えている。
• 当初から日本は液晶市場において高い競争力を有していた。
その後、日本に追随する形で韓国・続いて台湾の市場が現れた。(最近では中国)
なぜ、実質この3国間で市場が占められている状況になっているのだろうか。
欧米はなぜ、シェア上に現れないか。
国内テレビシェア推移
100%
80%
60%
↑
PDP
液晶カラーテレビ
CRTカラーテレビ
40%
20%
0%
93・・・94・・・95・・・96・・・97・・・98・・・99・・・00・・・01・・・02・・・03・・・04
国内シェア数値:JEITA
世界液晶生産規模推移
出所:日経MA
欧米諸国/米国の動向
• 完全に沈黙しているわけではない
•
シャープ・マイクロエレクトロニクス
テクノロジー・インコーポレイティッドなどの日本企業の生産拠点も
90年代前半には見られる。
世界液晶テレビ出荷シェア
出所:JEITA/日経新聞社推定より
米国での液晶事情
液晶の商品化に初めて目処をつけたRCA社をはじめ、
初期の段階では最も開発が進んでいた。
しかし当時LCDには開発と事業家のための予算が
投下されなかった。
LCDが有望視された情報表示装置には代替手段の
LEDと、未来にはPDPが控えていたため
研究費が割かれなかった。
結果、SHARPにとっては技術を提供されるチャンスを得た。
なぜLED、PDPだったか
開発に長期間の技術的蓄積を求められる上に
継続的な投資が必要とされるLCDは
短期的な利益を追求していたアメリカ型の
戦略をとっていた各社にとって選択肢とは
なりがたく、より短期的に利益の望める
LED,PDPへと目が向いていた。
事実RCAも社内で検討の結果、
短期的な利益が望めないことを示唆している。
LCD主要化後は
液晶の技術的な問題点が解消され、事業化が可能なレベルに到達したとき
アメリカの企業は参入を検討したが、すでに市場ではSHARPを筆頭にした
集団が圧倒的なシェアと技術に加えノウハウを獲得しており
新規進出は非常にリスクを伴いものであることを認識した。
世界の主要パソコン組み立て地、企業間の連携がより大規模なものと
なっていたことで一層、参入を難しくしていた。
次に欧州の液晶事情を考察する
欧州での液晶事情
ヨーロッパは技術の開発にとどまる。
→戦争の影響によるものも一要因と考えられる
たとえば、研究者などが大学から連行されるなどして研究が頓挫。
西ヨーロッパ諸国においては
大学を通じた研究機関での研究が活発であった。
⇔米国は政府系の研究施設
研究は材質などが中心だったことが論文数から
推定される。
フィリップスが唯一に近く成功している。
→韓国企業との事業展開による
日本の液晶市場
当初から液晶市場では独占的な立場(シェア/技術)
シャープが液晶を開発していた時期は
シャープ自身が自社のヒット商品であったテレビに
進化を求めていた時期に重なり、ブラウン管技術の蓄積と
関連した技術/ノウハウに通じた技術者が多く存在していた。
また、日本の製造業が電卓や腕時計、ゲーム機などで
占められる割合が増えていた時期であり、
加えて低コスト化合戦の最中であり、薄型低消費電力の
液晶への注目と需要は高かった。
シャープが電卓に初めて液晶を搭載
1973年EL-805 開発
既存のDRAM製造技術
ブラウン管技術(特化した技術者の存在)
→日本が有利な技術の転用が可能
開発スピード
材料調達から製造まで関係の深い関連企業が
国内に存在していた上に、日本企業の戦略として
系列外の企業とでも長期的な取引関係を
持っていたので、技術の共有と蓄積の面で
他国にない特徴を有していた。
短期的な利益を追求してLCDの開発に
傾注しなかったアメリカ型戦略に比べ、
日本型では長期的な研究開発事業化が可能であった。
日本の液晶事情
薄膜製造技術/セル生産に関して各種の要素が
製造装置に組み込まれたことで、装置の導入によって
比較的容易に時間的コストを抑えて高歩留りな生産を可能にした。
↓
他国の参入を許し、日本のシェア減少につながる
現在の協調的な関係に至る経緯
現在では、どの会社でも製造装置を自社で開発するなどの方策により
外部への独自技術への漏洩を防いでいる。
しかし、初期の基礎的技術などが他国に渡ったことで
シェアの保持は難しく、違って戦略を各社迫られた。
→欧米組はこの段階で日本企業との関係が薄かったことが
現状を生んだ一要因と考えられる。
日本企業がとった行動は以下のとおり
・より高付加価値な製品を開発することに特化
・企業間の関係をより深めた
いずれにしても液晶の開発は数千億円規模の投資が必要になることもあり
投下するか否かは企業にとって最大の選択である。
しかも、市場で売れる製品を製造するためには恒常的な技術に
対する投資が必要となる。
低コスト合戦では日本は対応できないため、
より高付加価値名製品を開発する方向へと動いた。
ここでいう高付加価値名製品とはたとえば医療用機器に組み込まれるような
特殊な用途に用いられるものを指す。
そこで企業は、独自に製品の開発をすることをやめ
合弁を進めるなどしてより低いコストでシェアを
保持する方向へと傾いた。
その連関については後に述べる。
日本企業は国家の大規模な支援を受けることが
その支援を最も必要とした世界規模的シェア合戦の
最中に受けることができなかったことも
ひとつの要因だと思われる。
韓国の液晶市場
本格参入は95年前後
(資料から判断するに十分な根拠がある)
これ以前には、初期日本のケースと同じく
液晶、DRAMなどにより基礎的な技術を
企業が生産を行った。
これは先例が日本にあることで
比較的有利に資源を活用できた。
→競争力へ…
しかしこれでは爆発的なシェア拡大を説明できない。
ここで、クリスタルサイクルが
重要な意味を持つ。
クリスタルサイクル
需要拡大する時期に各社の供給能力拡大行動が集中
するため、2年をめどとした好不況を繰り返すことが
観察される。
90年代のパネル下落を韓国などの企業
(特にLG)は巨額の投資を行い
翌年の需要拡大に応える事ができた。
→シェア増大
台湾の液晶市場
• 日系企業とのパイプを利用して、
技術提携などを通じて競争力強化において有利
• もともとの世界のパソコン主要組み立て地
• 中国と地理的に深く関係しており労働コスト削減
• 税制面での先端技術産業全般への優遇措置
(半導体などにも支援)
業界再編の歴史
シャープの技術的な行為に対して
他社はそれに応じるだけの巨額投資を自力で
調達することを断念。
後述する図式のように、ほとんどの企業が
何らかの協調した関係の中で競争力を
つけようとしている。
フィリップス
富士通
LGフィリップス
台湾・AUO
富士通ディスプレイ
テクノロジー
日立製作所
台湾・クオンタ
LG
Li Group
東芝松下
ディスプレイ
テクノロジー
松下電器産業
Samsung
東芝
SONY
水面下で交渉中?
シャープへの事業売却で合意
SHARP
・液晶に関連する企業は
ほぼ例外なく何らかの関係にある。
歴史的に見た競争力源泉
いわゆる日本型の戦略をとる企業が
長期的視点からの開発事業継続を可能にし、
研究開発から商品化まで実現できたこと。
短期的視点での事業選択を
収益性のみで判断しなかった点が
アメリカなどにない特異点だったといえる
日本企業の特性として、
長期継続取引などに見られる
系列外とも比較的長期間にわたる関係構築が
行われることで、企業の内外にとらわれない
情報/ノウハウの蓄積が可能であったこと。
各国ともに生産製造に関係する企業が
もともと存在しており、複合的な技術の集積が
必要とされるLCDを筆頭とする先端技術の
実用化に求められる条件が整っていた。
第二章
企業比較および国家比較
日本の液晶市場
日本独特の高い技術と高付加価値の液晶
によりシェア拡大
日本は液晶技術の特許取得数が多い
→他国企業より優位性あり
日本はもともと液晶において高いシェア
近年は韓国・台湾製の液晶との競争
国内 液晶テレビ販売シェア(2004年度)
日立
2%
アイワ
3%
その他
8%
東芝
6%
ソニー
12%
シャープ
55%
松下電器
14%
出所:電子情報技術産業協会
10インチ以上液晶パネル 世界シェア(20
04年度)
その他
19%
サムスン(韓)
26%
中華映管(台)
7%
シャープ(日)
8%
チーメイ(台)
8%
LGフィリップス(韓)
20%
AUO(台)
12%
出所:International Highway Construction
SHARPの特徴
• 他社に先駆けての市場参入と
製品開発
• 特許技術力
• 開発技術力
• 多額の設備投資・開発投資
SHARPの歴史
1970年 ディスプレイに液晶を使う技術の
研究をはじめる
1973年 世界初の液晶表示の電卓開発
1986年 事業革新 液晶事業部・研究所 設置
1987年 高いシェアと技術→「液晶のシャ-プ」に
1988年 世界初14型カラー液晶ディスプレイ開発に成功
1995年 三重県に世界最大 大型液晶工場建設
2001年 AQUOS発表→SHARPの主力商品に
2004年 液晶テレビの一貫生産を行う亀山工場
稼動開始
SHARPの製品開発
 1988年 TFT液晶は3型までしかできないと
言われていた当時に14型
フルカラーTFT液晶開発
 1991年 世界初の壁掛けテレビ
液晶ハイビジョン発売
その後も、液晶ディスプレイの世界最大サイズを
次々に開発し液晶市場をリードしていった。
30年も前から液晶の開発に取り組んできた
結果、「液晶のシャープ」というイメージが
消費者に定着し、AQUOSのヒットにつながった
特許技術力
液晶の技術が海外でコピーされていた
↓
競合他社の参入を防ぐため特許網を構築
 特許戦略グループ(開発→権利化)
 もっとも重要である液晶や半導体の工場
は日本国内に(組み立ては中国へ)
 亀山工場での徹底した監視管理
シャープ独特の商品開発法
緊急プロジェクト
重要であると判断された開発テーマを
社内のあらゆる部門から集められ
作られたプロジェクトチームが1年~1年半の
期間で商品開発を実現させる
(常に10個ほどのプロジェクトチームがある)
優秀な人材
豊富な資金
SHARP 開発投資額の推移
十億円
300
技術研究開発費
設備投資
開発投資
450
400
250
350
200
300
250
150
200
100
150
100
50
50
0
0
2000
2001
2002
年度
2003
2004
出所:SHARP主要財務データ
企業別 液晶設備投資
設備投資額の推移
1600
1400
1200
2002年度
2003年度
2004年度(見込)
800
600
400
200
C
NE
三
洋
電
機
ー
ソ
ニ
立
日
下
松
芝
東
プ
ソ
ン
セ
イ
コ
ー
エ
ャ
ー
プ
0
シ
億円
1000
出所:半導体産業新聞
液晶メーカー 売上高推移
液晶メーカー 売上高推移
8,000
7,000
6,000
億円
5,000
2002年度
2003年度
2004年度(見込)
4,000
3,000
2,000
1,000
0
シ
プ
ー
ャ
セ
コ
イ
エ
ー
ン
ソ
プ
芝
東
下
松
日
立
ニ
ソ
ー
機
電
洋
三
NE
C
出所:半導体産業新聞
シャープ成功のサイクル
開発技術力
特許技術力
多額の研究開発費
経営資源の拡大
(優れた人材・資金)
好循環が
成立
市場での競争力の
強化
ヒット商品
↓
消費者の支持獲得
NECの液晶技術
1987年 液晶研究を始める
1991年 世界初のTFTカラー液晶
ノートパソコンを発売
主力商品のVALUESTARはデスクトップ
パソコン 売り上げ1位
NECの分業体制
 99年 台湾のチーメイとの提携
↓
NECは小型液晶と産業用商品に注力
パソコン向け液晶パネルはOEM調達
 04年 中国の上海広電との合弁会社
NECの技術力と上海広電の資金力
による事業の拡大
NECの特徴
パソコンの高い売り上げ
国際的な分業体制
お互いの長所を生かした分業
OEMによる生産性の向上
OEMの仕組み
OEMとは相手先ブランドで販売されることを
目的とした製造のこと
A社
研究
開発
B社
生産
組み立て
(A社ブランド名で
販売)
大量生産の実現・自社製品よりも低コストで生産が可能
液晶メーカー 提携状況
台湾
日本
クオンタ
中国
SHARP
チーメイ
NEC
合弁会社
上海広電
日立
合弁会社
AUO
松下
東芝
OEM
事業統合
日本 液晶企業の特徴
 最先端の核心技術、材料部材の高いシェア
 高い技術と高付加価値製品によりブランドとして
確立(特にSHARP)
 ほとんどのメーカーは中小型液晶にシフト
 OEMによる生産性の向上
 液晶産業が成長段階での政府援助はなし
→企業の資金力が重要
日本の液晶市場の競争力の源泉
世界初の製品を市場に送り出す
オリジナリティー
高い技術力・高付加価値商品
OEM導入による生産性の向上
研究開発への注力
韓国の液晶市場
サムスン
LGフィリップスから
世界シェア1位2位を占める
韓国企業
10インチ以上液晶パネルシェア
サムスン電
子
26%
その他
19%
中華映管
7%
シャープ
8%
奇美電子
8%
友達光電
12%
LGフィリップ
ス
20%
International highway construction corp.
韓国企業の競争力の源泉
• 設備投資と研究開発投資の規模が大きい。
• いち早く市場環境の情報を得て、すばやく
積極的な投資を行う。
• 先端産業における総合力に優れている。
サムスンの特徴
• 大型LCDと中小型LCDがともに強い。
(第7,8世代とともに第5,6世代に注力)
• 規模が大きいので、資本、技術の面で総合力が
ある。(LCD事業部の設定→拡大・専門化)
● 投資の規模が大きくタイミングもよい。
• デジタル製品→国内生産
アナログ製品→国外生産(中国など)
● ソニーと提携→テレビのシェアを伸ばす
サムスンの液晶事業における
歴史と価格
1986年 TFT‐LCDビジネスを開始
1993年 液晶産業に参入
1998年 大型TFTパネル世界シェアトップ
↓
6年連続
• 20インチ液晶TV価格
サムスン
約9万円強
平均
約10万円強
サムスンの設備投資と
売上高
サムスン 設備投資と売上高の推移
12000
2000
売上高(百万ドル)
10000
1600
1400
8000
1200
6000
1000
800
4000
600
400
2000
設備投資(百万ドル)
1800
売上高
設備投資
200
0
0
1999
2000
2001
2002
2003
2004
アジア半導体・液晶ハンドブック
LGフィリップスの特徴
• デジタルディスプレイ産業に多くの力を注
いでいる。
• モニター用TFT‐LCD世界シェアトップ
● 設備投資によって生産性を向上
→コストダウン
● 第5世代に注力
●
中国に工場を設立
LGフィリップスの歴史と価格
1987年 TFT‐LCDの開発を開始
1997年 OEM中心
パソコン用TFT‐LCDのみ生産
2001年 液晶産業に本格参入
TV用TFT‐LCDの生産開始
• 20インチ液晶TV価格
LGフィリップス 8万円強
平均
10万円強
LGフィリップスの設備投資と
売上高
LGフィリップス 設備投資と売上高
9000
1200
8000
売上高(百万ドル)
6000
800
5000
600
4000
3000
400
2000
設備投資(百万ドル)
1000
7000
売上高
設備投資
200
1000
0
0
1999
2000
2001
2002
2003
2004
アジア半導体・液晶ハンドブック
2001年液晶不況時の
韓国企業の動き
韓国企業 設備投資と液晶パネル世界シェアの推移
25
2000
20
1600
1400
15
1200
1000
10
800
600
5
設備投資額(百万ドル)
液晶パネル世界シェア(%)
1800
サムスン
LGフィリップス
サムスン
LGフィリップス
400
200
0
0
2000
2001
2002
年
2003
2004
アジア半導体・液晶ハンドブック
ディスプレイサーチ
日本経済新聞社
サムスンとLGフィリップスの比較
• サムスン
総合力があるため、主に自社でLCDの開発を進
めた。
生産性の向上と共に新しい製品や技術の開発に
投資をしている。
• LGフィリップス
OEMを中心に開発し、モニター向けから広げて
いき現在の地位に至った。
主に生産性の向上に力を入れて投資している。
韓国企業の特徴
• 日本が主流だった液晶市場にタイミングよ
く参入。
• 資本力を背景にした大幅な設備投資、研
究開発による短期間でシェア拡大。
• 液晶不景気時の大規模な設備投資による
技術進歩
• 現在では液晶産業が韓国での中心的な産
業の一つとなっている。
韓国企業の競争力の源泉
• 設備投資と研究開発投資の規模が大きい。
• いち早く市場環境の情報を得て、すばやく
積極的な投資を行う。
• 先端産業における総合力に優れている。
台湾液晶市場
<特徴>
・パソコン生産国
・手厚い政府支援
・OEM特化
台湾液晶パネル生産額推移
(億円)
台湾液晶パネル生産額推移
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
1998
1999
2000
2001
2002
出所:経済部資訊工業発展推進小組
台湾企業の世界生産シェア
台湾企業の世界生産シェア
液晶モニター
年
04
20
年
03
20
年
02
20
01
年
ノート型パソコ
ン
20
20
00
年
%
80
70
60
50
40
30
20
10
0
出所:資策会資訊市場情報
<台湾液晶企業の特徴>
• パソコン・液晶ともに世界シェア70%
• 国家政策により優遇措置
• パソコン生産大国であることから、日本か
らの信頼を得、提携関係を実現
• OEM受注で大量生産に特化したことで、
高技術を蓄積し生産能力が飛躍的に上昇
→低価格供給
台湾液晶産業の歴史
• 86年:液晶産業を政府指定の科学技術事業に
指定
↓
• 94・97年:政府により計200億円の
資金注入により共同研究強化
↓
• 99年:日本から製造技術の移転により、大型液
晶の量産体制が整い、大量生産開始
2003年「両兆双星」計画
「両兆双星」とは
・液晶ディスプレイ
・半導体産業
を台湾の核産業に
<目標>
生産額を3年間で4倍に
(2006年までに)
~主な政策~
・優遇税制
・政府機関での基礎研究
・ハイテクパークの環境整備
台湾液晶産業の優遇措置
• 事業所得税・・5年間無税
• 投資額の減免措置・・5~20%相当の控除(事
業所得税)
• 加速度減価償却・・2年短縮(通常5年)
↓
投資促進
液晶設備投資額推移
液晶設備投資額推移
億円( 1 2 0 円/ ドル)
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
1995
1997
1999
2001
2003
2005
出所:日経産業2003年2月
日本からの技術移転
OEM
97年
中華映管
99年
クオンタ
99年
チーメイ
三菱
シャープ
富士通
99年
NEC
新合弁会社
2001年
<台湾企業>
日本IBM
企業の液晶事業形態
• 大手ブランドメーカーによる発注
日本=シャープ、NEC,東芝、松下、富士
米国=DELL、IBM
↓
↑
高技術体化、大量生産・供給
• つねに安定した顧客
• 液晶不況期にも一定した供給量
R&D、人件費の低い台湾液晶企業
%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
コスト比較
R&D
パテント(特
許・特許権)
公共料金(電
気・ガス等)
原材料
建物
人件費
日本
韓国
台湾
IDC Japan2000
97
19 /1Q
97
19 /3Q
98
19 /1
98 Q
19 /3Q
99
19 /1Q
99
20 /3Q
00
20 /1Q
00
20 /3Q
01
20 /1Q
01
/3
Q
20
02
20
04
19
短期間で飛躍する台湾生産能力
地域別生産能力比較推移
100%
80%
60%
40%
20%
中国
台湾
韓国
日本
0%
出所:Display Search
企業からみる売上高推移の一例
広達売上高
(千億円)
10
8
6
4
2
0
1999
2000
2001
2002
2003
出所:広達の年次報告書2000~03年
さらなるステップアップ
• 生産能力をつけた台湾企業は、蓄積した
技術を生かし自社開発を進め、生産拠点
を中国へ
↓
• 日韓を追い抜く程のスピードで高付加価値
化を促進
<台湾企業の競争力の源泉>
• パソコン一大供給地により需要が存在
• 短期間で日韓にキャッチアップできる程の徹底的
な政府支援
• 日本からのOEM受注に特化し、生産技術の蓄積
• 低コストと、高水準の設備投資
各国企業の中国進出
• 日本企業のメリット
→台湾人の中国人に近い特性を利用し中国
市場のニーズに合わせた開発が可能
• 台湾企業のメリット
→日本の高い技術力をさらに組み込むこと
ができる
• 日本韓国台湾企業メリット
→大規模工場による生産コストの削減
台湾企業の中国進出
• 2001年11月にハイテク分野に関する12
2項目の対中投資規制緩和→対中投資急
増
• アジア内で分業の進展から、中間財貿易
の飛躍的拡大
• 中国での生産→逆輸入によるコスト削減
台湾企業の新たな動き
OEMからの脱却
↓
中国で自社ブランド展開
• 台湾国内での研究開発の高まり
• より大規模な生産工場の必要性→コスト
低下
• 大きな中国市場を見込んでいる
日本、韓国、台湾からみられた
こと
全体としてアジア地域内の各国の特徴を生
かした水平分業体制、各企業による多額
の研究開発投資、設備投資により、市場
の拡大につながった。
↓
競争と協調
市場の特徴
他企業に先がけ的をえた研究開発をして、大量
販売により単位コストを小さくするという行動の繰
り返し
=研究開発費の固定費用的性格が強い
↓
国家、企業の比較優位を利用した分業体制による
生産規模の拡大
↓
1単位あたりの研究開発コストの減少
動学的な規模の経済性
を有する液晶市場
• 固定費用が大きい
• 生産規模が大きいほど単位コストが小さくなる
↓
規模の経済性
• 規模の経済性の源泉=固定費用=研究開発費
↓
他企業に先がけた投資、パテント取得が必要であり、
タイミングが重要である
=動学的
作られる比較優位
• 先端産業は研究開発費の割合が高いため、企
業や一国の比較優位は企業の技術開発、生産
規模に依存している。
• 技術開発、研究開発に関連する分野への政府
の援助等があれば、研究開発コストを設備投資
にまわし、商品価格を下げることが可能になる。
• つまり政府援助により比較優位を生み出すこと
が出来る
• 台湾液晶企業は政府援助によって比較優
位を持ち、日本企業はもともとの技術力で
比較優位を持った。
• 各国企業は比較優位を利用した分業体制
をとり生産を拡大してきた
↓
産業レベルでの動学的な規模の経済性
のもとに動いている
市場・企業を見たうえで
競争力の源泉はどこにあるか
•
•
•
•
•
•
•
研究開発
設備投資
コストパフォーマンス
市場参入のタイミング
設備投資のタイミング
政府の産業支援
企業基盤
結論
• 今回の液晶産業の市場分析、企業分析で
競争力をつけるために最も重要なことは二
つあると感じた。
『投資の継続』
『競争と協調による市場拡大』
の二つである
『投資の継続』
• 液晶産業は先端産業であり、装置産業
• パネルの大型化により生産コストを減少さ
せることが可能
• より大きいパネルを生み出すための研究
開発投資、生み出したパネルを生産する
ための設備投資が必要
『投資の継続』
• 先端産業であるため、他企業も研究開発を行っ
ている
↓
研究開発を怠ることは他企業から技術的に遅れる
ことを意味し競争力の低下につながる。
常に研究開発に対し投資を行い技術を高め、設備
投資によって生産に結びつけるという絶え間ない
投資が、競争力の維持、競争力を高めるために
必要不可欠である
『競争と協調による市場拡大』
• 日本の非常に高い技術力
• 韓国の高い技術力とコストのバランス
• 台湾のコストを生かしたOEM
↓
三カ国を中心とした水平分業の成立
『競争と協調による市場拡大』
• 幅広い層に対し、目的に応じた商品展開を可能
にした
• パソコンのモニターや液晶テレビの販売台数増
加
↓
三カ国が競争しながらも水平分業という協調をして
いたことにより、競争の基盤となる市場を拡大し、
市場全体の競争力に結びついた
結論
• 『投資の継続』により技術力の向上、生産
コストの削減を経て競争力を高めることが
できる
• 『競争と協調』により市場全体の競争力を
高めることができる
参考文献一覧
• 液晶ディスプレイの技術革新史
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『沼上 幹』
アジア半導体・液晶ハンドブック
液晶・PDPメーカー計画総覧
国際経済学入門
『伊藤 元重』
電子情報技術産業協会( JEITA )
日経新聞社