本マニュアルの使い方

Download Report

Transcript 本マニュアルの使い方

薬局版
医薬品の安全使用のための業務手順書
作成マニュアルの使い方
平成19年3月
日本薬剤師会医療事故防止検討会
平成17年5月、医療安全対策ワーキンググルー
プによりとりまとめられた報告書「今後の医療安全
対策について」において、薬局においても病院、診
療所等と同様に管理者の責任の下で、安全管理体制
を整備することが当面取り組むべき課題として提言
されました。
また、「良質な医療を提供する体制の確立を図る
ための医療法等の一部を改正する法律」(平成18
年法律第84号)により、調剤を実施する薬局が医
療提供施設として 位置付けられたことを踏まえ、薬
局における安全管理体制等の整備を行うことで地域
医療に貢献することが求められています。
薬局は医療提供施設として
位置付けられました!
このため、平成18年6月の薬事法改正により
平成19年3月に薬事法第9条の規定に基づき薬事法
施行規則の一部が改正され
平成19年4月1日から
薬局は、患者の安全・
安心を提供する地域医
療の拠点です!
薬局の開設者には
「薬局における安全管理体制の整
備」 が義務付けられます。
薬局開設者に求められる安全管理体制の整備
注意!施行は平成19年4月1日
ただし、5に係る措置は7月1日
1.医療の安全を確保するための指針の策定
2.従業者に対する研修の実施
3.医薬品の安全使用のための責任者の設置
4.従業者から薬局開設者への事故報告の体制の
整備
5.医薬品の安全使用のための業務に関する手順
書の作成、及び当該手順書に基づく業務の実
施
6.医薬品の安全使用のために必要となる情報の
収集その他医薬品に係る医療の安全確保を目
的とした改善のための方策の実施
平成19年7月1日より
「医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成、
及び当該手順書に基づく業務の実施」
が義務付けられます!
医薬品の安全使用のための
業務手順書とは

業務手順書の作成は、薬局に限らず、全
ての病院、診療所、歯科診療所及び助産
所にかかる義務であり、これら全ての施
設は その規模や特徴に応じた業務手順
書を、平成19年7月1日までに作成し
なければなりません。
医薬品の安全使用のための
業務手順書
作成時の留意点
薬局開設者が遵守すべき事項は
「医薬品の安全使用のための業務に関する手順
書の作成、及び当該手順書に基づく業務の実
施」です。
 すなわち業務手順書は作成するだけではなく
「医薬品の業務手順書に基づく業務の実施」が
求められます。
 「当該手順書に基づく業務の実施」については、
医薬品安全管理責任者に対して、従業者の業務
が手順書に基づき行われているかを定期的に確
認させ、確認内容を記録させることが求められ
ます。

従って、医薬品の安全使用のために
各薬局で実際に行っている業務
を手順書として明文化する
必要があります。
重要なポイントです!
医薬品の安全使用のための
業務手順書
作成マニュアルについて
マニュアル作成の経緯
平成18年度、各施設が業務手順書を作成する際
に参考とするためのマニュアルが、
厚生労働科学研究
「医薬品等の安全管理体制の確立に関する研究」
(主任研究者:北澤式文・帝京平成大学薬学部
長)でまとめられました。


日本薬剤師会では、会員各位が自らの薬局で業務
手順書を作成する際に参考としていただくよう、
当該マニュアルから薬局に関連する事項を抜粋し、
薬局版として再編集しました。
マニュアル活用時の注意点1

本マニュアルは各薬局において業務手順書
を作成する上で参考となるマニュアルです。

本マニュアルを、各薬局の業務手順書とし
てそのまま使用することは出来ません。
マニュアルは手順書
ではありません!
マニュアル活用時の注意点2
各薬局の業務に沿っ
た手順書作成を!

同一の処方に基づく調剤であっても、
各薬局によって業務を行う順序や業務
の内容、手順が異なります。

さらに、薬局の設備、IT化の水準や利
用度、調剤に関与する薬剤師の人数に
よっても、安全管理に関する業務の内
容が異なります。
かならず、各薬局で作成してください!
マニュアル活用時の注意点3
マニュアルを参考に各薬局で実際に
行っている内容を明文化!

日薬がこの度作成したマニュアルは、業務
を行う上で想定される安全管理に関する項
目を網羅的に記載していますが、各薬局で
作成する手順書は実際に実施している項目
についてのみ記載してください。

また、本手順書作成マニュアルには標準的
な安全対策を示しており、薬局によっては
本マニュアルに記載された以上の安全対策
を行っている場合も想定されます。その場
合はその業務内容を追加記載して下さい。
医薬品の安全使用のための
業務手順書
具体例
たとえば、ABC薬局で手順書を
作成する場合・・・
さあ、手順書を作成します!
手順書作成マニュアルの準備はいいで
すか!?
手順書作成
マニュアル
日本薬剤師会ホームページ
から、ダウンロードで
きる予定です!
「調剤室における医薬品の管理」の手
順書作成について説明します。
第3章
調剤室における医薬品の管理
手順書作成
マニュアル
第3章
調剤室における
医薬品の管理
P4
第3章(4ページ)を開いて
ください!
【 医療安全の確保へ向けた視点 】
医薬品の適切な保管管理は、名称類似・外
観類似による医薬品の取り間違い、規格間違
い、充填ミスなどを防止する上で非常に重要
であり、医薬品関連の事故を防止するための
基本となる。
また、有効期間・使用期限を遵守するとと
もに、医薬品の品質劣化を防止するため、温
度、湿度等の保管条件に留意する必要がある。
手順書作成の上で重要な視点で
す。必ず読みましょう!
P4
【 手順書を定めるべき事項 】
1.保管管理
手順書に定めるべき事故防止対
策です。必ず読みましょう!
2.品質管理
〔解説〕
医薬品棚の適切な配置や複数規格がある医薬品等
への注意表記は、医薬品の取り間違いを防止する上
で最も基本となる。
特に、規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神
薬(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)や特定生物由
来製品について関係法規を遵守するとともに、特に
安全管理が必要な医薬品(要注意薬)についても、
配置の工夫などの事故防止対策が必要である。
また、医薬品の品質確保の観点からは、有効期
間・使用期限を遵守するとともに、温度、湿度、遮
光等の医薬品ごとの保管条件に留意する必要がある。
P4
手順書の具体的項目例の見方
【 手順書の具体的項目例 】
1.保管管理
業務項目
(1)医薬品棚の配置
○ 類似名称、外観類似の医薬品がある場合の
取り間違い防止対策
○の項目は
基本的な安全対策
手順書の書き方
1.保管管理
(1)医薬品棚の配置
○ 類似名称、外観類似の医薬品がある場合の取り間
違い防止対策
実際に行っている安全対策
を記入する。
*名称や外観が類似している医薬品は取り間違いを
防止するため、同一棚番に配置しない。
マニュアルの具体的項目例の見方
○の項目は
基本的な安全対策
○ 同一銘柄で複数規格等のある医薬品に対する取り
間違い防止対策
・ 規格濃度、剤形違い、記号違い等
・の項目は手順書作成上、
参考となる視点
手順書の書き方
○ 同一銘柄で複数規格等のある医薬品に対する取り
間違い防止対策
・ 規格濃度、剤形違い、記号違い等
視点を参考にして実際に行っ
ている安全対策を記入する。
*複数規格、複数剤形のある薬剤は、「他規格あり」「他剤形あ
り」の注意表示を行う。
手順書完成イメージ
1.保管管理
(1)医薬品棚の配置
○基本的防止対策項目は、そ
のまま項目として残しても良
い(削除も可)。
○ 類似名称、外観類似の取り間違い防止対策
*名称や外観が類似している医薬品は取り間違いを防止す
るため、同一棚番に配置しない。
○ 同一銘柄で複数規格等のある医薬品に対する取り
間違い防止対策
*複数規格、複数剤形のある薬剤は、「他規格あり」「他剤形
あり」の注意表示を行う。
マニュアルの具体的項目例の見方
(2)医薬品の充填
○の項目は
基本的な安全対策
○ 医薬品の補充や充填時の取り間違い防止対策
・ 医薬品棚への補充、散薬瓶、錠剤自動分包機への充填時等
・ 複数人による確認
・の項目は手順書作成上、
参考となる視点
手順書の書き方
(2)医薬品の充填
○ 医薬品の補充や充填時の取り間違い防止対策
・ 医薬品棚への補充、散薬瓶、錠剤自動分包機への充填時等
・ 複数人による確認
業務手順書に「○○を毎日実施す
る。」や「◇◇を毎月実施する。」
の記載があった場合は、実施年月日
や実施者を薬局内に記録として残し
ていくことが必要です。
*医薬品棚の補充は声出し確認する。
*散薬瓶、錠剤自動分包機への充填は必ず2名で行い、医薬
品名、実施者を記録し、毎日業務終了時在庫量との照合を
行う。
行政からの指導時には記録の提示を
求められる場合も想定されます。
手順書完成イメージ
(2)医薬品の充填
○ 医薬品の補充や充填時の取り間違い防止対策
*医薬品棚の補充は声出し確認する。
*散薬瓶、錠剤自動分包機への充填は必ず2名で行い、
医薬品名、実施者を記録し、毎日業務終了時在庫
量との照合を行う。
「当該手順書に基づく業務
(復習)
の実施については、医薬品 実際に行っている
安全管理責任者に対して、 業務を明文化する
従業者の業務が手順書に基
ことを忘れずに!
づき行われているかを定期
的に確認させ、確認内容を
記録させること」
マニュアルの具体的項目例の見方
(3)規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬
(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)
○の項目は基本的な安全対策
○ 麻薬及び向精神薬取締法、薬事法等の関係法
規の遵守
・ 法令を遵守した使用記録の作成・保管
・の項目は手順書作成上、
参考となる視点
手順書の書き方
(3)規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬
(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)
○ 麻薬及び向精神薬取締法、薬事法等の関係法
規の遵守
・ 法令を遵守した使用記録の作成・保管
視点を参考にして実際に行っ
ている安全対策を記入する。
* 麻薬管理簿に、納入の都度、医薬品名、数量、年月
日、受入者名と、払出の都度、使用患者名、医薬品
名、数量、年月日、調剤者名を記録する。
手順書の書き方
(3)規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬
(第1種、第2種)、毒薬・劇薬)
○ 麻薬及び向精神薬取締法、薬事法等の関係法
規の遵守
・ 法令を遵守した使用記録の作成・保管
注意!
* 麻薬管理簿に、納入の都度、医薬品名、数量、年月
麻薬を使用していない場合、記載は不
日、受入者名と、払出の都度、使用患者名、医薬品
要です。
名、数量、年月日、調剤者名を記録する。
手順書の書き方
(4)特定生物由来製品
○ 使用記録の作成、保管
・ 患者ID、患者氏名、使用日、医薬品名(規格、血液
型も含む)、使用製造番号、使用量
・ 20年間保存
同様に使用している場合のみ、記載して
ください!
マニュアルの具体的項目例の見方
巻末資料を参考に該当医薬品を
確認してください!
(5)特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)
○ 他の医薬品と区別した管理
・ 注意喚起のための表示、配置場所の区別、取り間違い
防止の工夫等
○ 必要に応じた使用量と在庫量の記録
巻末資料:
特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)例
これらの医薬品は、事故発生により患者に及ぼす
影響の大きさに十分配慮し、使用上及び管理上、特
に安全な取り扱いに留意しなければならない。
特に安全管理が必要な医薬品は、こ
の機会に、安全対策の見直しを!
手順書の書き方
(5)特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)
○ 他の医薬品と区別した管理
・ 注意喚起のための表示、配置場所の区別、取り間違い
防止の工夫等
○ 必要に応じた使用量と在庫量の記録
*抗がん剤、血糖降下剤は配置場所を区別し、取り間違
い防止のための注意表示を行う。
*医薬品ごとに在庫カードを配置し、調剤の都度、調剤
日、患者名、用法、用量、日数、調剤量を記録する。
*業務終了時、在庫カードの在庫数と実際の在庫数の
照合を行う。
調剤事故防止マニュアルを参考に
各薬局に合った安全対策を見直
しましょう!
手順書完成イメージ
(5)特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)
○ 他の医薬品と区別した管理
*抗がん剤、血糖降下剤は配置場所を区別し、取り間違
い防止のための注意表示を行う。
*医薬品ごとに在庫カードを配置し、調剤の都度、調剤
日、患者名、用法、用量、日数、調剤量を記録する。
○ 必要に応じた使用量と在庫量の記録
*業務終了時、在庫カードの在庫数と実際の在庫数の照合
を行う。
安全対策の方法や手順を変更した
際はその都度更新が必要です。
他の項目も、このようにマニュアルの業務
項目、基本的な安全対策項目、視点を参考
に手順書作成を行ってください。
平成19年7月1日まで
に作成
手順書作成
マニュアル
第3章
ABC薬局
調剤室における
医薬品の管理
医薬品安全使用
のための手順書
日本薬剤師会
最後に
平成19年度は、全国の薬局に「医薬品の安全
使用のための業務に関する手順書」の設置が求
められる最初の年度でもあり、さらに、施行ま
での期間も短いため、完全な内容の手順書の作
成は難しいと思われます。
今後、業務手順書は適宜改訂されるように心
がけ、より安全性の高い薬局業務の遂行に努め
ていただきたいと思います。