Transcript HR図
第2回
色--等級図(HR図)から
恒星進化を読み取る
色--等級図から読み取る
恒星内部構造と恒星集団の性質
参考文献:
斉尾英行「恒星の進化」ほ
か
HR図に見る星の一生
星々が密集度 >> 滞在期間に比例
– MS, RGB, HB, AGB
星の進化=HR図上で
一筆書きのはず
星の分布が切れている
=滞在期間が非常に短い
Asymptotic giant
branch (AGB)
Horizontal
branch(HB)
Baade’s window
Red giant
branch (RGB)
Main
Sequence (MS)
等時曲線を用いた星団年齢測定
重い星ほど進化が早い: HR図を早く移動
星形成領域
– 大質量星 (> 8太陽質量)は既に主系列上
– 中小質量星は主系列より赤く明るい:
– ガス収縮時のエネルギーの解放により光る
前主系列星(pre-main sequence star)
若い星団 (年齢 < 1 Myr)
– 大質量星の主系列上
– それでも主系列の上端が存在する (星質量の上限)
年老いた星団
– 大質量星はHR図から消滅
– 中質量星が主系列から離れて行く: 転向点
ガス雲収縮時の進化
低温・希薄ガスの収縮
⇩
熱の発生(ガス粒子同士の衝突、等)
+ 放射冷却(主に電波放射, 分子・星間塵からの熱的放射)
原始星誕生
⇩
収縮が進み、中心部の熱が逃げにくくなる
断熱コア(芯)の形成 = 原始星誕生
⇩
表面からのエネルギー放射増大
+内部温度の上昇
林(忠四郎)トラック
Iben (1965)
中心部温度の上昇による
対流発生の効果を理論予測して
得られた進化経路
⇩
重力エネルギ−開放
によって赤外線で光る
⇩
重力収縮は続く
減光していく
⇩
高温>>>放射平衡
⇩
前主系列段階の終わり
核融合(p-p chain)
大質量星の誕生:ヘニエ トラック
大量のガスが巨大重力で
一気に降着
林フェイズの時期が短い
⇩
高温>>>放射平衡
⇩
核融合(p-p chain)
⇩
温度上昇
核融合(CNO cycle)
Iben (1965)
放射圧による
質量降着妨害の
効果が入っていない!
HR図上の
前主系列星等時曲線
原始星の誕生
=断熱コアの形成
これらの星々をHR図
上で連ねたもの
birthline
時間が経過すると
等時曲線は主系列に
近づく
1つの星団でHR図を
作ると、主系列に
沿う部分が狭い
星形成領域のJ,H,Kバンド測光観測
W3 Main
(Ojha et al. 2004
with Nagoya 1.4m
+ SIRIUS
W3 IRS5
星形成領域の色--等級図
W3 Main
(Ojha et al. 2004
with Nagoya 1.4m
+ SIRIUS
星間赤化の
程度がまちまち
色--色図から星間減光/赤化を推定
星間赤化がない場合:黒体に対応した値
星間赤化が大きいほど右上へ移動
色--等級図上の前主系列星
W3 Main (Ojha et al. 2004 with Nagoya 1.4m + SIRIUS
10--30 mag程度の
赤化を受けている
右下:ガスに深く
埋もれた星
上部:ガスに深く
埋もれた大質量星
左下:小質量
前主系列星
大部分は4太陽質
量
年齢は0.3 Myr程度
0.3 Myr
1.0 Myr
主系列星の老後≒原始星の進化を遡る
再び膨張へ
漸近巨星枝(AGB)星
⇧
ヘリウムフラッシュ(ヘリウムコアの核融合開始)・
水平分枝星へ進化
⇧
ヘリウムコアの縮退(温度が高くなっても膨張しない)
・収縮(核融合が起こりやすくなる)による温度上昇
赤色巨星枝(RGB)星
⇧
外層部の膨張+増光していく
⇧
星内部--外部間の温度勾配が大きくなる→対流層の発達
⇧
ヘリウムコア(支えとなるエネルギー源なし)
+核融合(p-p chain)殻(縮むとよりエネルギーを解放し高温になる)
HR図上に見る恒星の老後進化
RGB星・AGB星
⇩
星表面から
ガスが飛び散る
(放射圧のため)
⇩
星が軽くなる
芯がむき出しになる
白色矮星
白色矮星
大質量星の場合
超新星爆発
「等時曲線」(isochron)を用いた
球状星団年齢測定
等時曲線の理論計算 (Bergbucsh 1992)
HR図上の晩星の進化≠原始星の進化
Mira variable TX Cam
(Diamond & Kemball 1999)
降り積もる
ガスはなし
星の外層は不安定
重力 v.s. 放射圧
QuickTimeý Dz
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規則的な変光
光度上昇に伴う
放射圧の増大
>>>激しい質量放出
HR図と恒星進化のまとめ
HR図の作図:測光+距離計測+質量計測
主系列星:
星の重力と核融合反応のバランスが長く
続く
恒星の年齢:
星団の年齢を知った上で推定できる
(星が一斉に生まれたという仮定が入ってい
る)
HR図上での恒星の進化:
高光度・低温(不安定)
⇔低光度・高温(安定)