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わかりやすい力学と
機械強度設計法
(独)海上技術安全研究所
平田 宏一
第4章 機械設計の高度化
★本講義の内容だけでは機械設計はできない?
★教科書や参考書の設計手順で設計ができるのか?
★高度で合理的な機械設計を目指して
4.1 実際の機械設計
(1) 機械設計における強度設計の位置付け
★機械設計における強度設計の位置付け
●強度設計は,機械設計の一部分。
●強度設計とは異なる知識が必要。
★機械設計に必要な知識
●例えば,各機械要
素の使用方法を知っ
ておくこと。
(2) 強度設計の要点
●壊れないだけではダメ
で,正しく機能することが
重要。
★強度設計の要点
●どの部品が重要な
のか?
4.2 構造解析
(1) 構造解析の利用
●複雑形状な部品の強
度解析ができる。
●設計を迅速・合理的に
進めるための設計ツー
ルとなる。
★熱・流体解析(参考)
●A~D点での測定結果と比較。
●排気管流路の圧力損失要因を評価。
D
A
C
B
★熱・流体解析(参考)
●熱交換器部での圧
力損失を評価。
●圧力損失を考慮し
たダクト設計が可能。
●さらに熱交換器設
計にも適用可能。
★解析と実測との比較
●定格回転数において,
30%程度の相違があるが,
測定結果と解析結果とは
概ねよく一致。
●ディーゼルエンジンの
許容される圧力損失は
200~300mmAq(2~
3kPa)であり,本運転条件
では問題ない範囲で運転
している。
★熱・流体解析(参考)
CFD解析による排ガス圧力の計算例
製作されたダクト
(2) 構造解析の注意点
(a) 拘束条件の設定
●実機に合わせた拘束条件を設定すること。
(a) 拘束条件の設定
●熱応力の解析は適切な温度設定が重要。
常温時の解析結果
加熱時の解析結果
(b) 組立時の拘束条件
●組み立てた状態での解析は難しい。
圧力容器に2本のボルトでフタをし
た場合の解析結果
薄板をボルトで固定して荷重を与え
た場合の解析結果
(c) 解析結果の妥当性と評価
●ビジュアルな画面にだまされてはいけない。
●実機との比較が重要になる。
●妥当性を評価するのも,最終形状を決定するのも設計者自身。
4.3 機械の信頼性
(1) 信頼性評価
機械製品を開発する場合,
★故障しにくい製品であること。
★もし故障してもすぐに修理できる製品であること。
FMEA手法(Failure Mode and Effects Analysis)
機械システムを構成する部品(または機器)に故障が発生した
場合を想定し,その際,機械全体にどのような影響を与えるの
かを表を使って解析する。
●大型舶用スターリングエンジンのイメージ
簡単なFMEA解析シートを作成してみる。
●大型舶用スターリングエンジンのFMEA解析シート
番号
1
2
3
構成品
ヒータ
再生器
クーラ
品名
故障モード
亀裂発生
過圧
ヒートスポッ 機能停止
ト発生
フランジ
破損
過圧
燃焼ガス流
路
破損
クランク機構
機能停止
破裂
機能停止
破損
クーラ管
亀裂発生
腐食
機能停止
フランジ
破損
過圧
機能停止
腐食
性能低下
作動ガス漏れ
作動ガス漏れ
機能停止
破裂
機能停止
冷却水漏れ
荷重過大
性能低下
性能低下
ライナー
6
作動ガス漏れ
ハウジング
マトリックス 摩耗
ピストン
シリンダ
機能停止
全体への影響
ヒートスポッ
性能低下
ト発生
クリープ
作動ガス高
性能低下
温化
過圧
機能停止
ピストン
5
影 響
構成品への影響
ヒータ管
冷却水流路 破損
ピストンリン
異常摩耗
グ
4
推定原因
カバー
シャフト
軸受
シリンダとの 駆動部破損
性能低下
接触
ねじの緩み
異常摩耗
荷重過大
性能低下
過圧
破損
機能停止
高温化
荷重過大
破損
機能停止
ねじり過大
潤滑不調
破損
機能停止
荷重過大
燃焼ガス漏れ
性能低下
性能低下
性能低下
性能低下
破裂
機能停止
機能停止
性能低下
影響度E
発生頻度F
故障等級
(E×F)
備考
●FMEA解析の影響度と発生頻度
影響度の点数
故障等級=影響度×発生頻度
故障等級が高いほど,要注意!
例えば,30以上は設計見直し!
発生頻度の点数
●大型舶用スターリングエンジンのFMEA解析シート
(2) 機械の寿命
★摩擦,摩耗,腐食などが機械の寿命に大きく影響する。
スコッチ・ヨーク機構
★スコッチヨーク機構の摩擦・摩耗
250時間の運転で激しく摩耗した
プレート(S45C熱処理なし)
★スコッチヨーク機構の改良
●軸受の外周に,クラウニン
グ加工をした外輪を圧入。
●組立時のアライメント誤差
を吸収し,機械損失低減。
提案した軸受部の構造
★スコッチヨーク機構の改良
●初期モータリング
運転により外輪に損
傷が生じ,ヨーク軸
受部の新たな構造は
改良にならず。
・はめあい(圧入し
ろ)の設定・管理が極
めて重要
・従来式に修正
損傷した外輪と軸受
★ヒータ管の腐食
製作直後の熱交換器
ディーゼル排ガスによる運転
後の熱交換器
4.4 ものづくりのための機械設計
●力学や材料についての基礎知識は重要であるが,
それだけでは不十分であり,それらの知識を組み合わ
せる応用力が重要である。
●設計・製図・加工・評価が分業化されている現状で
は,情報伝達のための幅広い知識が必要である。
●マニュアル通りの機械設計はほとんどなく,実践を
通じて設計技術のレベルアップが図られる。
●強度計算・強度設計は,機械設計の一部分である。
平成19年2月27日
わかりやすい力学と機械強度設計法
(独)海上技術安全研究所 平田 宏一
http://www.nmri.go.jp/env/khirata/index_j.html