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岩崎聡美、上田貴大、鵜沼彩夏、
鈴木美香、吉村奈保、浅見好香、塩沢真由、
塩田菜央、梶本めぐみ、鈴木悠介、中島廣人
 うつ病の定義とメンタルヘルスの
データ
 現状の制度と法律
 問題提起
 事例紹介
 提言
目次
2
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
導入 データ
3
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
4
メンタルヘルスケアに取り組んでいない理由
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
5
○大企業と中小企業の違い
大企業
• 情報:従業員の意識も高く、個人が知識を持っている
• 規律の有効性:ルールで成り立っている
• 資金:投資できる財政基盤があることが多い
中小企業
• 情報:法的リスクについて認識していない場合が多い
→情報を得る仕組みが確立していない・利用されていない
• 規律の有効性:人間関係で成り立っているため、形式ばった制度を作ったからと
いって、なじむとは限らない?
• 資金:メンタルヘルス対策に潤沢に投資できる状態の中小企業は多くない
導入
6
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
導入
7
アメリカ精神医学会編の「精神疾患の診断・統計マニュアル」第4版(「DSMJV」)では、
単極性うつ病を気分障害の一つに分類し、「大うつ病」として以下のように定義
2大症状:抑うつ気分と、興味または喜びの喪失
特徴的な症状:以下7項目
①著しい体重の減少または増加+ほとんど毎日食欲の減退か増進
②不眠または睡眠過多がほぼ毎日
③日々の行動や思考にいらだちや焦りがみられたり、逆に制止してしまう
④疲れやすく気力が減退
⑤過剰で不適切な罪悪感を覚えたり何事にも価値を見いだせなくなる
⑥思考力や集中力の減退
⑦常に自殺のことを考えたり(自殺念慮)、もくろんだり(自殺企図)する
また、DSM-IVではうつ病の重症度を、軽症、中等症、重症の3段階に分類
導入
8
「新型うつ」の特徴
 典型的なうつ症状がはっきり見られない「うつ病」を便宜上「新型うつ病」と呼
んでいる。学問上の定義も曖昧である。







【 「新型うつ」の特徴 】
自分の好きな仕事や活動の時だけ元気になる(うつ症状が軽くなる)
「うつ」で休職することにあまり抵抗がなく、休職中の手当など社内制度をよく
チェックしていて、上手に利用する傾向がある
身体的疲労感や不調感を伴うことが多い
自責感に乏しく、他罰的で会社や上司のせいにしがち
どちらかというと真面目で負けず嫌いな性格
『日本の人事部』記事https://jinjibu.jp/article/detl/bizguide/423/5/
定義、対策も含めどの企業も手探りの状態
9
大きい!
個
体
側
要
因
・遺伝
・性格
・既往歴
・育成歴
業務以外による
心理的負荷
・家庭での問題
・金銭問題
・対人関係
業務による
心理的負荷
・仕事の量や質の変化
・いじめ、ハラスメント
・過重な責任の発生
・仕事の失敗
・事故や災害の体験
社
会
的
要
因
現状の仕組み
健康診断・面談
産業医
治療
労働者
主治医
相談
メンタルヘルス対策の実施
(面談・メンタルチェック)
選任
メンタルヘルス
事業会社
労
働
契
約
衛生
委員会
行政
サービス
顧問契約
メンタルヘルス対策の提案
相談
社会保険
労務士
顧問契約
メンタルヘルス対策の提案
使用者
監督
(労働条件・労働者の保護)
労働基準
監督署
メンタルヘルスケア支援主体一覧
機関名/機能
相談(労働者向け)
相談(使用者向け)
啓発活動
産業医
○
○
○
労働基準監督署
○
○
○
○
○
社会保険労務士
メンタルヘルス対策支援センター
○
○
○
産業保健推進センター
○
○
○
地域産業保健センター(労働者50
人未満の事業所)
○
○
○
○
○
○
○
全国労働衛生団体連合会
中央・各都道府県労働災害防止協
会
○
メンタルヘルス研究所
○
総合労働相談コーナー(労働局)
○
こころの耳メール相談(厚労省)
○
働く人の悩みホットライン(日本産業
カウンセラー協会)
○
精神保健福祉センター
○
自殺予防総合対策センター
○
労災保険情報センター相談コー
ナー
人事院こころの相談室(公務員向
け)
○
○
○
○
12

労働安全衛生法
◦ 安全衛生管理体制
労働者を危険や健康障害から守るための措置
機械や危険物・有害物に関する規制
労働者に対する安全衛生教育
労働者の健康を保持増進するための措置など
◦ メンタルチェック義務化案(後述)

労働基準法
現状の制度
13
従業員の健康管理のための総括安全衛生管理者・安全
管理者・衛生管理者・安全衛生推進者・安全委員会・産
業医等の選任
(労働安全衛生法第10条・11条・12条・13条・18条・19条)

健康診断とその結果に応じた事後措置
(労働安全衛生法65条・66条)

安全配慮義務
(労働契約法5条)

事業場の規模
1 ~ 9人
10~49人
50人以上
産業医
―
―
選任義務あり
衛生管理者
―
選任することも可 選任すること
衛生管理
スタッフ等
安全衛生推進者 ―
選任義務あり
衛生管理者が行
う
安全・衛生委員会 ―
―
月1回以上開催
事業所に対する従業員へのメンタルヘルスチェック等の義務付け案。
労働安全衛生法の改正案として提出された
ポイント
 労働者に受診義務
 結果を通知された労働者が申し出た際、医師の面接指導を事業者に義
務付け
 事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聞き、必要な場合には適切
な就業上の措置を講じなければならないこととする。
 厚生労働省から例示されたチェック項目
ひどく疲れた/へとへとだ/だるい/気がはりつめている/不安だ/
落ち着かない/ゆううつだ/何をするのも面倒だ/気分が晴れない
⇒法改正以後の運用面について未確定な部分が多いことなどからメンタル
ヘルスチェック義務化に対し不安を感じる人が多く、なかなか法案が通ら
ない状態が続いていたが、衆院の解散に伴い審議未了、廃案となった。
うつ病からの休職
障害年金
うつ病発症
生活保護
手続き簡素化
精神障害者保健
福祉手帳
休職
手続き簡素化
自立支援医療
制度
休職
期間
○
復職
労災
業務
上
×
傷病手当金

災害補償責任(労働基準法第8章)
療養補償・休業補償・障害保障(障害が残った場
合)
遺族補償・葬祭料(本人が死亡した場合)

解雇制限(労働基準法第19条)

損害賠償義務(民法415条・715条)
(*業務上の疾病にはうつ病も含まれる)
<事案>
従業員Xは、「中途退職者が続出する地獄のような職場(X主張)」への転勤
内示を受け、ストレス反応性不安障害を発症した。会社から休職命令が出さ
れる際、Xは主治医の「就労は可能と思われるが、可能であればストレスの
少ない職場への復帰が望ましい」という趣旨の診断書を提出し、休職期間満
了時にも主治医は同様の判断を示した。これに対し、会社は上司や産業医
の意見を参考に復職は難しいと判断し、最終的に休職期間満了で退職扱い
とした。これに対しXが「会社が復職可能判断を不当に無視した」として、地位
確認を求めた。
<判断>
裁判所は、主治医の「職場復帰は可能。ただし、会社が信頼回復のための
努力をすること、発病時の職場、当時の上司が係わる職場は望ましくないこ
と」などの所見に対し疑問を投げかけた。本人は、異動発令前の職場に復帰
することに固執し、会社に対し名誉棄損ともいうべき手紙を送付していた。裁
判所は、「信頼回復のためには本人の常軌を逸した主張を認めるしかない
が、それは原職復帰を意味する」ので、主治医の復職条件を完全に満足さ
せるのは不可能であり、こうした状況下で会社が職場復帰を拒否したのはや
むを得ない対応であったとして、「以上の事情に加え、原告が退職後も抗不
安薬を服用していたことも考慮し、会社が復職可能診断を不当に無視したと
は認められない」とした。
<事案>
元従業員Aの自殺は上司からの過剰なノルマ達成の強要や執拗な
叱責によるものとして、Aの相続人Xらが、不法行為に基づく損害賠償
に加え、予備的に債務不履行に基づく損害賠償が求めた。
<判断(予備的請求について趣旨抜粋)> Xらは、メンタルヘルス対策
の欠如等を安全配慮義務違反を基礎付ける事実として主張したが、
Yは過去に職場のメンタルヘルス等についての管理者研修を実施し
ており、 Aを含む管理者が受講している事からYにおいてメンタルヘ
ルス対策が何ら執られていないということはできないことから、Yの安
全配慮義務違反も認められない。業務改善の指導については、必ず
しも達成が容易な目標ではなかったものの、不可能を強いるものとは
いえないものであり、改善を求めることにより、Aが強度の心理的負
荷を受け、精神的疾患を発症するなどして自殺に至るということにつ
いて、Aの上司らに予見可能性はなかったというほかない。
 メンタルヘルス対策支援主体の乱
立・情報の散在
 大企業と中小企業の差
 管理者の情報不足
 精神科に特化した産業医の不足
 産業医と主治医の診断の食い違い
 行政の人手不足
問題提起
21
事例紹介1
22
〈事前対策〉
→主に早期発見を意図
・社員に対し支援プログラムの存在を周知徹底
→アクセスしやすい状態に
(トップから健康管理指針を出す等社内でも意識が高まっており、
人事も動きやすい)
・管理職に対し研修(積極的傾聴、リアクション等話の聞き方)
・新人研修の前に頻繁に面談を行い、顔なじみとなる→気軽に相
談しやすい環境作り
・相談窓口の存在(人事課の社員が率先して心理相談員等の資
格をとり、運営)
→相談業務以外にも、各種研修の企画運営等
事例紹介1
23
〈事後対策〉
→綿密なコミュニケーションにより情報を共有
・厚労省の職場復帰支援の手引き を指標に
・主治医が合わない場合は、相談窓口・産業医・本人で面談の上、別の
主治医紹介
・会社・家庭間でも連絡を取り合い、状態の確認等
・主治医からOKが出てもすぐに復帰させるのではなく、産業医等の意
見も聞きつつ慎重に判断(主治医の言葉のみをうのみにしない)
→8時間働ける状態である、と判断が下されてはじめて職場復帰
・復帰の際には、受け入れる職場側の環境も整える
→上司・同僚に対し配慮事項事前レクチャー、見ていてほしい点等
事例紹介1
24
〈成果〉
2009年、相談窓口設置当時
相談件数(=事前サポート件数):1件、休職者:3人
↓
2012年現在:相談件数:7件、休職者:1人
〈成功事例〉
48歳管理職が2年の休職期間を経て、復職
→本来休職期間は1年半だったが、会社の規則を変更し、
休職期間延長
安心感を与える 本人の強い復職希望の意思による
事例紹介1
25
・他の病気とは異なり、個別差がある。タダでさえ判断
能力が落ちている人に対し素人が助言するのは危険。
専門家の必要性。
・会社の方針がしっかりと定まっていないと、休職期間
が延びてしまう。
・休職になった時点で辞めさせてしまう企業が多い。
休職は労働者にとっても会社にとっても不利益なこと
だから、本人の意思さえあれば、親のような気持ちで
労働者を支え、復職してもらうことが大事。
26
・採用した時点から、親のような視点で
個別で柔軟の対応ができる。
・国の制度は労働者自らが調べないと
分からない。病気になっている人にとっ
ては調べることも大変だから、民間企
業内で国の制度に詳しい人がいると国
の支援を受けやすい。
27
社員はチームの一員、家族の一員であるという認識
→罹患したからといって切り捨てるのではなく、本人の
復職の意思があればそれを尊重し、徹底サポートコ
ミュニケーションを重視
 相談窓口、産業医、主治医、本人の四者が一体とな
り、情報を共有し合いサポート
→その際、本人の意思を重視し、一方的な介入はしな
い

事例紹介1
28
事例紹介2
29

事前予防策の限界
マネージメント層への教育、労働時間の管理
(明らかに過重な精神的付加など極端なものであれば対応しやすいが・・)

事後対策の難しさ
本人が頑張ってしまうため初期の軽度状態では周りに気づかれないことも多い。
遅刻や欠勤が目立ってきた時点で初めて産業医等が介入し、発覚する
ケアとしては時短勤務等があげられるが、事後対策としては手遅れの場合が多い

復職支援の方法
最近多いのが「リハビリ復職」…休職期間を利用して行う。仕事内容は簡単な軽作業
で、「まず会社にくること」を目的としている。数か月を経て、診断結果が良好ならば本
格的な復職へ
〈トラブル〉リハビリ復職期間満了直前に良好な診断結果がえられたものの復職が認
められず、一方的に退職扱い 等
事例紹介2
30
大企業と中小企業の違い
大企業 :従業員の意識も高く、個人が知識を持っている
ルールで成り立っている

中小企業:法的リスクについて認識していない場合が多い
人間関係で成り立っているため、対策といっても社員同士の距離をより近いものにする
等、人間関係の向上・雰囲気アットホームなものに改善するというようなものになる
行政関与・指導について
→中小企業の数に対し、人的資源が不足(労基職員一人当たりが抱える労働者数が多すぎる)
参考:東京新聞2012年11月5日「労働者保護、人手足りず 監督官1人に3000事業所」

社労士の関わり
→顧問契約という形で請け負う。社会保険等各種手続きの代行が中心で、労務問題に関しての
アドバイスは仕事の一要素に過ぎない
労務問題に関し助言・警告をした場合も気に入られなくて契約を切られてしまえばそれまでな
ので、 あまり強い立場というわけでもない…

事例紹介2
31






EAP業界のパイオニア企業(EAPサービス創業12年の実績)
取引実績:500社以上
対象人数:85万人
対象は従業員個人からマネジメント層および組織全体まで、
0次予防(トレーニング・能力開発)、1次予防(セルフケア)、2次
予防(予防・早期発見)、3次予防(復職支援)にいたるまで総合
的にサポート。
相談対応件数:年間2万件以上
「すべて」の働く人や組織の「成長を支援」する生産性向上を志向
するEAPサービスを目指す。従業員個人の相談だけではなく、管
理監督者・人事・マネジメント層などへのプロアクティブなアプ
ローチとソリューションの提供を強みとし、組織全体のパフォーマ
ンス向上を目指した費用対効果の高い支援サービスを提供して
いる。
事例紹介3
32
①社員のメンタルヘルス対策を中心になって進めるの
は誰か。
→現状では、人事および産業医、産業看護婦。
・産業医は産業病や外科、内科を専門にする医師が多
い
(日本産業衛生学会などではメンタルヘルスが盛んに
取り上げられており、メンタルヘルス対策を意識して
いる産業医は全然いないというわけではない。)
②顧客企業から寄せられる相談やニーズの中で、近年著しく増え
ているものは?
⇒新型うつ。20代30代に多い。
うつ病による休職期間にも、ゲームや夜遊びをするなどして、昼
夜逆転生活に陥り、ますます会社に来ない!
対策:ボーダーラインを定める。
Ex.○回遅刻したら休職してもらう
きちんとルールを定めないと、ずるずると休んでしまう。
※リハビリ出勤は現在あまり使われない。
→これも同じく、朝早く出勤させても、早く帰れるので昼夜逆転
になりやすいため。
③メンタルヘルス対策について個人、人事、管理職の各層の認識の違いは?
→ 上司も安全配慮義務があることを認識
うつ病、過重労働などが報道⇒どの層も意識は高まっている。
⇔ただ、中小企業や地方の企業などでは、軟弱だ、怠けだということで片づけられ
ているケースもあるかもしれない。
④メンタルヘルス対策において、発症者発見や予防の観点から、既存の仕組みは
きちんと機能しているか?
→メンタルヘルスに関して、このような複雑なシステムが作られているのは日本だけ
であり、その意味では十分手厚いといってもよいのではないか?
⑤メンタルヘルスチェックの義務化法案について
→会社が労働者の心の健康状況を把握することができるため、休職の予防にもつ
ながりやすく取組としては必要だと思う。
相談件数については、横ばいとなっている。
⇒過重労働について、特に大企業については残業時間
の管理が徹底されてきたことと、経済状況の悪化によ
り泊まり込みの残業を必要とすることが減ったことの2
点が増加に至らない原因と思われる。

具体的な休職者の数字ピースマインド・イープの認識とすれば、
1000人の労働者のうち10人以上休職者がいれば、メンタル
ヘルス対策をしているんだなぁと感じ、1000人中7人以下で
あれば、ある程度対策していると見る。
①メンタルヘルスに詳しい産業医の育成
②一般企業全体へのメンタルチェック義務化
③労働者と企業の間のパイプとなる機関をつくる
+制度の周知徹底
提言
37
 産業医の専門性のギャップによる判断
のばらつきの低減
 面談段階での早期発見率UP!
38

中小企業を中心に、「対策の仕方がわからない」と
いう理由で手つかずの潜在ニーズを把握
→既存の支援制度、公的サービスの活用へ
→メンタルヘルス対策の定着、社会全体の関心喚起

産業界全体における、精神疾患等の早期発見・予
防の定着
※チェック内容については、専門家による一定期間で
の見直しが必要と考える
39
労働者と使用者、各専門
家団体を繋ぐワンストップ
の存在
<各専門機関の一本化>
→特に産業医、主治医の間の認識の
ギャップの解消、専門的知識の共有
<メンタルチェック結果の集積>
→メンタルケアへの潜在的ニーズの把
握・利用可能サービスの情報獲得・専
門家の紹介までを一度に解決
→使用者・労働者双方の悩みに対し連
携して解決策を提示
→産業医等が検査結果を保管した場合
の個人情報漏えい問題の回避
提言3
40
・某食品メーカー
・ピースマインドイープ株式会社
・社会保険労務士 北岡士郎さん
41



厚生労働省HP
こころの耳HP
JILPTH HP
42