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課
題
E
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3
<25> 市場の失敗 BUT 政府は大失敗
~<E> 政治経済学~
政治経済学の発展  <N pp.193-8>
「市場の失敗」と政府の役割
「政府の失敗」の現実
なぜ政府は失敗するのか?
Microeconomics 競争市場と公共政策
[email protected]
Q 読解力チェック P.193-8
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基礎なのに有効な道具を理解できた?
1.
2.
「諸国民の富」を1776年に著したのは? p.194
その理論を政治に適用した近年の議論は? p.194

3.
4.
<A4> 政治経済学(N 2章)
ゆとり住宅にもフリーランチはない理由は? p.195
犯罪減少に有効な2つの方法は? p.197逮捕と処罰
1 「市場の失敗」と政府の役割
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<B>競争市場モデルの含意  スミス以後の成果
1.
2.
3.
完全競争市場  パレート効率(効率的資源配分)
∴政府の市場介入は,不要・有害(非効率)
∴政府は。市場が機能する前提の整備に専念
 <A1>司法・財産権・契約法,警察・軍事・外交
But 私的財以外は?, 不完全競争なら?, ‥
1.
2.
 競争市場が達成できないことは無数に存在
∴政府の役割?  But 政府は達成できるのか?
例1 不完全競争市場と政府の役割?
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<B>市場は完全競争市場だけではない
 <C>独占,<D>外部性のある寡占の規制は?
1企業
同質財
差別財
独占
少数企業
多数企業
同質型寡占
完全競争
差別型寡占
独占的競争
例2 公共財・共有資源と政府の役割?
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<B>財は私的財だけではない
 <C>独占,<D>公共財・共有資源の管理は?
競合性
非競合性
排除可能
排除不可能
私的財(パン)
共有資源(クジラ)
混雑する高速道路
自然独占(CATV)
公共財(国防)
主要な「市場の失敗」
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完全競争市場の前提の欠如  失敗(非効率)
1.
同質財を生産する企業が多数ではない

独占・寡占  価格支配力  But if コンテスタブル
 主要な要因: 規模の経済性・製品差別・参入規制
2.
外部性が存在し,意思決定が独立ではない

3.
公共財・共有資源  過少供給・過剰消費
不完全・非対称的な情報のために,取引費用が大

モラルハザード・逆選択  非効率な資源配分
Q1 確認 「市場の失敗」
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市場の失敗は,どんな失敗がなぜ起こる?
 ★すべての問題を政府なら解決できる?
1.
2.
3.
独占・寡占の例は? その主因は?
公共財・共有資源が私的財とは違って公的管理
を要すると指摘される原因は?
モラルハザードや逆選択の原因は?
A1 経済学の発展と対処法の変化
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競争市場の前提欠如  非効率な資源配分
従来: 政府が解決すべき・解決しうる?
 経済学の発展: 効率的な実現法
1.
2.
3.
原因(規模の経済性・差別化・参入規制)  対策
外部性  民間活力・競争市場の活用
非対称的情報  インセンティブ(誘因)設計
拡大する政府の役割と失敗
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拡大する政府の役割: 政府支出&規制
1.
2.
3.
市場経済の前提整備(司法・警察・軍事・外交)
市場の失敗への対処(独占・外部性・情報)
社会的安定(所得格差・経済変動の是正)
But 「政府の失敗」の露呈  対処法改善
∵市場は失敗 but 政府は大失敗(例:保険)
2 「政府の失敗」の現実
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旧来の「政府の役割」観 ≒ 救いの神
1.
2.
国民の不満・要望は,「政府のなすべきこと」で,
それは法律・行政により,「政府のなしうること」
But 現実には,「政府の失敗」が露呈
1.
2.
3.
市場の前提: 国民安全・領土保全(拉致・尖閣?)
市場の失敗: 独占の規制(電力価格?)
社会の安定: 所得格差(逆進的な再分配?)
市場の失敗と政府の失敗
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市場の失敗  競争市場の前提欠如
「市場の失敗=政府のなすべきこと」???
 旧来:
なすべきことであり,なしうること
 現実: なしえず,むしろ大失敗も少なくない
 今日: 実行するための費用便益を吟味・工夫
∴市場の失敗と政府の失敗を比較考慮
例 市場の失敗と電力事業規制
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かつては多数の電力会社
発電:巨額設備による規模の経済性
1.
2.
 公営
vs. 民営?  9民間電力体制
∴自然独占  政府(経産省)の規制
3.
1.
2.
参入規制・価格規制
国策(原子力)推進と安全規制
例 電力事業規制での政府の失敗
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規制の枠組の権益化・無責任な実態
 なぜ独立の第三者機関が規制しない?
 活断層調査等を含めた原発の安全基準・責任者は?
 原発事故の賠償責任者は?
 なぜ急に電力の原価批判や参入支援?
∴政府は情報でも管理でも優位でなかった

2013年 事業法改正
3 なぜ政府は失敗するのか?
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<A>合理的主体モデルからの教訓
 政治家や官僚も固有のインセンティブ(誘因)
 ∴なすべきことをなす誘因があるとは限らない
<B>競争市場モデルからの教訓
 合理的無知が支配的な政治では監視力は限定
 ∴競争市場のような自動チェック機能は働かない
Q2 インセンティブの相違
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公立の中高と有名予備校の目的と誘因
1.
2.
3.
4.
5.
数学の先生の平均的な授業の質が高いのは?
その理由は?
各々の校長と経営者,その質を気にするのは?
その理由は?
★公立中高が抱えるより複雑な問題は?
 マルチタスク
 より難しいインセンティブ設計
Q3 競争市場の圧力
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電電公社の民営化によりNTTは独占ではなくなり,
価格低下と質の向上が実現したという
1.
2.
総裁と社長では,最も気にすることは違う?
そのためNTT社長が手をつけねばならないことは?
 目標戦略組織・制度:
3.
4.
組織は戦略に従う
従業員の給与体系や昇進制度はどう変わる?
この傾向はグローバル化によってどう影響される?
復習 政治経済学の核心
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政治家・官僚のインセンティブ(誘因)問題
1.
2.
なすべきことをなす誘因の不足だけでなく,
なすべきでないことをなす誘因さえ生じうる
政治経済学の核心  <A4>政治で儲ける
1.
2.
合理的無知な多数から,少額を広く収集し,
利益団体を形成する少数に,高額を集中配分
政府の失敗を減らす近年の潮流
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市場の失敗と政府の失敗を比較考慮
 市場の失敗≠政府介入  政府の大失敗の可能性
政府介入の便益と費用・負担の明確化
 「政治経済学の核心」現象を抑制する制度
PFI (Private Financial Initiative)の活用
 民間企業・民営化・民間委託による誘因設計
Q4 大義名分に忍び寄る政府の失敗
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太陽光発電の42円での20年間買い取り
1.
2.
3.
4.
5.
この政策の便益の大義名分は?
現行電力価格の1.5倍近い費用の負担者は?
その便益の受益者は?
これは政治経済学の核心に合致する?
何が問題で,どうすれば改善できる?
要点
本日のポイント
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市場は万能ではない  市場の失敗
But 政府も万能ではない  政府の失敗
むしろ政治経済学の核心が常態化
∴納税者は政府介入への警戒心が重要
 名目・便益だけでなく,費用・負担の吟味
 PFI
次回準備: N22章 & <E1> モラルハザード