20101026ビクトーザに関する講演

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Transcript 20101026ビクトーザに関する講演

GLP-1受容体作動薬への期待
-ビクトーザに関する臨床データ-
Round Table Discussion
2010年10月26日(火) 17:20~19:00
オークラフロンティアホテルつくば 本館4 階「橘」
茨城県つくば市吾妻1 丁目1364-1
埼玉医科大学 総合医療センター 内分泌・糖尿病内科
Department of Endocrinology and Diabetes,
Saitama Medical Center, Saitama Medical University
松田 昌文
Matsuda, Masafumi
2型糖尿病でみられる膵島機能障害
グルカゴン
過剰分泌
促進が過剰になる
α細胞
肝糖産生
膵島
抑制が
弱まる
血糖上昇
β細胞(減少)
インスリン
分泌低下
促進が弱まる
糖取り込み
2
Ohneda A, et al: J Clin Endocrinol Metab 46, 504-510, 1978
Gomis R, et al: Diabetes Res Clin Pract 6, 191-198, 1989より作成
↓食欲
↓食物摂取
↑神経保護
体重↓
↓脂肪分解
↑脂肪生合成
↑脂肪組織や筋肉での
グルコース利用
食物摂取
GIP
↑β細胞の生残
↑インスリン分泌
↑インスリン生合成
GLP-1
↓肝グルコース
産生
↓血漿
グルコース
↓グルカゴン分泌
↑心機能
↑心保護
↓内皮細胞の
機能不全
↓胃排出
↓食後高血糖
GLP-1とGIPの作用は多岐にわたる。GLP-1 (紫色の矢印)の機能は主に膵島でのインスリン分泌促進とグルカゴン分泌の抑制である。その結果、
肝グルコース産生は低下し、また筋肉や脂肪組織でのグルコース取り込みが増加することで、血漿グルコース濃度が低下する。胃排出の抑制作用
も食後血糖値の低下に寄与する。更に、食欲と食物摂取が減少する。また、GLP-1は心血管系への作用も考えられている。GIP(緑色の矢印)は主
にβ細胞で作用すると考えられているが、脂肪組織の脂肪取り込みと脂肪生合成の亢進にも作用すると考えられている。
02-10-OTH-09-J-A103-SS
Holst JJ et al. Trends Mol Med 2008;14:161-8.より改変
血糖値
(mg/dL)
GLP-1の血糖依存的作用
270
225
180
135
90
*
*
プラセボ
GLP-1注入
*
*
*
*
*
グルカゴン
(pmol/L)
インスリン
(pmol/L)
注入
250
200
150
100
50
*
*
*
*
高血糖状態では
GLP-1はインスリン分泌を刺激し
グルカゴン分泌を抑制する
*
*
*
*
20
15
10
5
*
0
60
*
*
血糖値が正常になると、
インスリン濃度は低下し、
グルカゴン濃度は抑制されない
*
120
180
240
時間 (分)
2型糖尿病患者 N=10
*p<0.05 GLP-1 vs. プラセボ
02-10-OTH-09-J-A103-SS
Nauck MA et al Diabetologia 1993;36:741–744. より改変
DPP-4によるインクレチン分解
食事
DPP-4
腸管における
GIP及びGLP-1
の分泌
GIP (1–42)
GLP-1 (7–36)
急速な分解
(数分)
GIP (3–42)
GLP-1 (9–36)
GIP及びGLP-1
が作用する
02-10-OTH-09-J-A103-SS
Deacon CF et al Diabetes 1995;44:1126–1131; Kieffer TJ et al Endocrinology 1995;136:3585–3596; Ahrén B Curr Diab Rep
2003;3:365–372; Deacon CF et al J Clin Endocrinol Metab 1995;80:952–957; Weber AE J Med Chem 2004;47:4135–4141.より改変
ヒトGLP-1アナログ製剤
リラグルチド
ヒトGLP-1
リラグルチド
DPP-4により切断され、不活化
7
C-16 脂肪酸
(パルミチン酸)
9
ヒトGLP-1と97%の相同性を保つ
ヒトGLP-1アナログ
(1日1回の皮下注射)
7
9
His Ala Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp
Val
His Ala Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp
Val
Ser
Lys Ala Ala Gln Gly Glu Leu Tyr Ser
Glu
Ser
Glu
Lys Ala Ala Gln Gly Glu Leu Tyr Ser
Glu
36
Phe
Ile Ala Trp Leu Val Lys Gly Arg Gly
36
Phe
Ile Ala Trp Leu Val Arg Gly Arg Gly
T½=1.5–2.1 min
Knudsen et al. J Med Chem 2000;43:1664–9;
Degn et al. Diabetes 2004;53:1187–94
• 皮下からゆっくりと吸収される
• DPP-4に切断されにくい
• 血中半減期の大幅な延長 (T½=13 hrs)
リラグルチド0.9mg/日投与前の血糖変動(3日間)
3日間の5分おきの組織液ブドウ糖濃度からの血糖推定値(mg/dl)
54歳 男性 BMI 29.5kg/m2
埼玉医科大学総合医療センター内分泌・糖尿病内科
3日間の5分おきの組織液ブドウ糖濃度からの血糖推定値(mg/dl)
54歳 男性 BMI 29.5kg/m2
埼玉医科大学総合医療センター内分泌・糖尿病内科
リラグルチド0.9mg/日投与中の血糖変動(3日間)
3日間の5分おきの組織液ブドウ糖濃度からの血糖推定値(mg/dl)
54歳 男性 BMI 29.5kg/m2
埼玉医科大学総合医療センター内分泌・糖尿病内科
リラグルチド0.9mg/日投与中の血糖変動(3日間)
3日間の5分おきの組織液ブドウ糖濃度からの血糖推定値(mg/dl)
平均
SD
前 125.4 ± 18.0
後 102.6 ± 11.3
最大 最小
( 185 , 72 )
( 135 , 79 )
食前平均 食後2時間平均
54歳 男性 BMI 29.5kg/m2
食後最高
114.3
136.4
185
100.2
108.4
135
埼玉医科大学総合医療センター内分泌・糖尿病内科
被験者背景
リラグルチド単独療法
リラグルチド
グリベンクラミド
268
132
男性
183 (68.3)
86 (65.2)
女性
85 (31.7)
46 (34.8)
症例数
性別 n(%)
年齢(歳)†
平均値(SD)
58.2 (10.4)
58.5 (10.4)
BMI (kg/m2)†
平均値(SD)
24.90 (3.69)
24.62 (3.84)
糖尿病罹病期間(年)†
平均値(SD)
8.13 (6.68)
8.48 (6.84)
50 (18.7)
23 (17.4)
食事療法+OAD(%)
218 (81.3)
109 (82.6)
HbA1C (%)(JDS値)†
平均値(SD)
8.27 (0.75)
8.28 (0.78)
HbA1C (%)(JDS値)‡
平均値(SD)
8.92 (1.08)
8.78 (0.97)
体重(kg)‡
平均値(SD)
65.22 (12.65)
64.77 (12.97)
空腹時血糖値(mg/dL)‡
平均値(SD)
204.2 (51.1)
201.3 (47.8)
前治療†
食事療法のみ(%)
†:スクリーニング時、 ‡:投与開始時(4~6週間のwash-out実施後)、OAD:経口糖尿病薬
被験者背景
リラグルチド+SU薬併用
リラグルチド0.6mg
+SU薬
リラグルチド0.9mg
+SU薬
プラセボ+SU薬
88
88
88
男性(%)
53 (60.2)
59 (67.0)
57(64.8)
女性(%)
35 (39.8)
29 (33.0)
31 (35.2)
年齢(歳)†
平均(SD)
59.1 (10.3)
61.3 (11.0)
58.6 (9.7)
BMI (kg/m2)†
平均(SD)
25.25 (3.58)
24.40 (3.37)
24.94 (3.96)
糖尿病罹病期間(年)†
平均(SD)
9.33 (5.77)
11.61 (7.68)
10.06 (7.28)
20 (22.7)
21 (23.9)
20 (22.7)
グリクラジド(%)
7 (8.0)
6 (6.8)
6 (6.8)
グリメピリド(%)
61 (69.3)
61 (69.3)
62 (70.5)
症例数
性別
グリベンクラミド(%)
前治療のSU薬†
HbA1C (%) JDS値‡
平均(SD)
8.60 (0.91)
8.21 (0.78)
8.45 (0.99)
体重(kg)‡
平均(SD)
66.10 (12.12)
64.53(11.97)
66.65(13.49)
空腹時血糖値(mg/dL)‡
平均(SD)
177.3 (40.4)
164.8 (37.3)
170.7 (42.1)
†:スクリーニング時、 ‡:投与開始時
リラグルチド投与時のHbA1C (JDS値)推移
リラグルチド単独療法
リラグルチド・SU薬併用療法
リラグルチド0.9mg+SU
リラグルチド0.6mg+SU
SU単独
リラグルチド0.9mg
グリベンクラミド2.5mg
HbA1C(%) JDS値
9.0
HbA1C (%) JDS値
9.0
8.92
8.78
8.5
8.5
8.28
8.0 8.27
8.0
7.51
8.60
8.45
7.83
7.5
7.5 8.21
7.0
7.0
6.5
7.06
-3W 0W 4W 8W 12W 16W 20W 24W
6.5
7.14
6.64
0W 4W 8W 12W 16W 20W 24W
前治療でのSU薬投与量
前治療でのSU薬投与量
最高用量の半量まで
最高用量まで
Kaku K., et al, JDS2009, Ⅲ-11-4
Seino Y., et al, JDS2009, Ⅲ-11-1
リラグルチド投与時の膵β細胞機能
(プロインスリン/インスリン 比)
リラグルチド単独療法
(pmol/L)/
(mcU/mL)
2.0
(pmol/L)/
(mcU/mL)
***
2.5
2.01
リラグルチド・SU薬併用療法
**
2.5
*
2.16
1.87
1.89
2
1.79
1.5
1.5
0.93
1.0
0.5
0.0
0
リラグルチド
0.9mg
ベースライン
Kaku K., et al, JDS2009, Ⅲ-11-4
1.22
1.12
1
0.5
グリベンクラミド
2.5mg
1.95
1.86
SU単独
投与後24週
リラグルチド
0.6mg
+SU
*p=0.0005
リラグルチド
0.9mg
+SU
**p=0.0001 ***0<0.0001
Seino Y., et al, JDS2009, Ⅲ-11-1
リラグルチド単独投与時
胃腸障害を発現した患者の割合
単独投与時、投与後4週でグリベンクラミド群と同程度まで血糖低下
(%)
20
15
リラグルチド0.9mg
グリベンクラミド2.5mg
10
5
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 (週)
Kaku K., et al, JDS2009, Ⅲ-11-4
リラグルチド単独投与時の体重の推移
(kg)
68
リラグルチド0.9mg
グリベンクラミド2.5mg
67
ベースライン値で調整
した両群間の差:
66
65
64
63
65.79
65.22
-1.91kg (95%CI:
[-2.34;-1.48];
p< 0.001)
64.22
64.77
平均 ± SE
0W
4W
8W
12W
16W
20W
24W
Kaku K., et al, JDS2009, Ⅲ-11-4
Liralitideによる体重減少効果
Liraglutide 1.8mg/day in US
0.9mg/day in Japan for DM treatment
N=90-98 in each group, BMI=~35kg/m2
www.thelancet.com Published online October 23, 2009 DOI:10.1016/S0140-6736(09)61375-1
食後インスリン及びグルカゴンの推移(投与後24週)
リラグルチド+SU薬併用
80
200
60
グルカゴン(pg/mL)
インスリン(μU/mL)
180
40
20
160
140
120
100
80
60
40
0
20
0 0.5 1
リラグルチド0.6mg+SU薬
リラグルチド0.9mg+SU薬
プラセボ+SU薬
2
0週
n=85
n=84
n=84
3
時間
24週
n=79
n=82
n=69
リラグルチド0.6mg+SU薬(0週)
リラグルチド0.9mg+SU薬(0週)
プラセボ+SU薬(0週)
0 0.5 1
リラグルチド0.6mg+SU薬
リラグルチド0.9mg+SU薬
プラセボ+SU薬
2
0週
n=87
n=88
n=86
3
24週
n=83
n=83
n=72
時間
Mean ± SD
リラグルチド0.6mg+SU薬(24週)
リラグルチド0.9mg+SU薬(24週)
プラセボ+SU薬(24週)
対象:SU薬にて治療中の2型糖尿病患者 264例
方法:リラグルチド又はプラセボ0.6又は0.9mg/日を1日1回朝又は夕に皮下注射し、SU薬を前治療の用法用量で経口投与し
た。
LEAD-5
Liraglutide Effect and Action in Diabetes
18~80歳の2型糖尿病患者
リラグルチド1.8mg 1日1回(n=232)†
3ヵ月以上のOAD療法
プラセボ 1日1回(n=115)†
HbA1c (NGSP値)
7.0–10.0% (OAD2剤)
7.5–10.0% (OAD1剤)
FPG
135–230mg/dl
インスリングラルギン 1日1回(n=234)
–6
–4
–2
0
2
4
6
8
10
12
14
リラグルチドの用量漸増
BMI ≦45kg/m2
17ヵ国の107施設において
実施された試験
16
18
20
22 24 26
投与期間(週)
グラルギンの用量漸増
無作為化時に前治療のOADsを中止
メトホルミン/グリメピリドの用量漸増
†二重盲検試験
Diabetologia (2009) 52:2046–2055 に結果掲載
被験者背景
リラグルチド1.8mg
プラセボ
インスリン
グラルギン
232
115
234
132/100
56/59
140/94
年齢、歳
57.6 (9.5)
57.5 (9.6)
57.5 (10.5)
BMI、kg/m2
30.4 (5.3)
31.3 (5.0)
30.3 (5.3)
9.2 (5.8)
9.4 (6.2)
9.7 (6.4)
15 (7%)
217 (94%)
6 (5%)
109 (95%)
12 (5%)
212 (95%)
HbA1c %(NGSP値)
8.3 (0.9)
8.3 (0.9)
8.2 (0.6)
FPG mg/dl
164 (38)
9.4 (2.0)
9.1 (2.0)
135 (15.0)
81 (9.1)
133 (14.0)
80 (9.3)
133 (14.7)
81 (8.0)
無作為化した被験者数
性別、男性/女性
糖尿病罹病期間、年
前治療(%):
OAD 1剤
OAD 2剤
血圧、mmHg:
収縮期
拡張期
他に記述がない限り、データは平均値(SD)である
Data on file, Novo Nordisk Pharma Ltd. (LEAD-5)
HbA1c(NGSP値)の推移(26週間)
HbA1c(%) NGSP値
9
8.5
8
***
7.5
*
7
6.5
0
0
4
8
12
16
20
24
投与期間(週)
リラグルチド 1.8mg
プラセボ
p値は変化量を投与群間で比較
*p=0.0015、***p<0.0001
Mean±2SE
Russell-Jones et al. Diabetologia 2009;52(10);2046-55より作図 (LEAD-5)
インスリン グラルギン ~24U
1日8点測定血糖値プロファイル
自己測定血糖値(mg/dl)
234
216
198
180
162
144
126
108
0
朝食前 朝食後 昼食前 昼食後 夕食前 夕食後 就寝前 午前3時
90分
90分
90分
リラグルチド 1.8mg
ベースライン
Data on file, Novo Nordisk Pharma Ltd. (LEAD-5)
26週
プラセボ
インスリン グラルギン 24U
体重の推移(26週間)
90
89
88
体重(kg)
87
86
p<0.0001
85
p=0.0001
84
83
82
81
0
0
4
8
12
16
20
24
投与期間(週)
リラグルチド 1.8mg
プラセボ
p値は変化量を投与群間で比較
**p<0.01 ***p<0.0001
Mean±SE
Russell-Jones et al. Diabetologia 2009;52(10);2046-55より作図 (LEAD-5)
インスリングラルギン ~24U
悪心の発生頻度
悪心が発現した被験者の投与期間及び治療別割合-安全性解析集団
10
9
• 2例が悪心のために治療を中止した
被験者(%)
8
7
6
5
4
3
2
1
0
0
4
8
リラグルチド 1.8mg
Data on file, Novo Nordisk Pharma Ltd. (LEAD-5)
12
投与期間(週)
プラセボ
16
20
24
26
インスリングラルギン ~24U
プロインスリン/C-ペプチド比の変化量
プロインスリン/C-ペプチド比の変化量
0.008
ベースライン 0.026
ベースライン 0.026
ベースライン 0.024
0.006
0.004
0.002
0
-0.002
-0.004
-0.006
p<0.0001
-0.008
リラグルチド 1.8mg
Mean±2SE
Data on file, Novo Nordisk Pharma Ltd. (LEAD-5)
p=0.0019
プラセボ
インスリングラルギン 24U
収縮期血圧(SBP)の推移(26週間)
138
SBP(mmHg)
136
134
***
132
130
128
0
0
4
8
12
16
20
24
投与期間(週)
リラグルチド 1.8mg
p値は変化量を投与群間で比較
***p<0.0001
Mean±2SE
Data on file, Novo Nordisk Pharma Ltd. (LEAD-5)
プラセボ
インスリングラルギン
低血糖の定義
分類
低血糖の発現
被験者自身による
処置が可能か?
はい
いいえ*
血糖値の測定なし又は
血糖値≧56mg/dl
低血糖症状
血糖値<56mg/dl
重大でない
低血糖
重大な低血糖
*第三者によって食物投与、グルカゴン筋注またはグルコース静注が必要であった場合
Data on file, Novo Nordisk Pharma Ltd. (LEAD-5)
重大でない低血糖(血糖値<56mg/dl)と
症状のみ[淡色で表示]の低血糖
被験者1例あたりの年間発現件数(件/人・年)
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
リラグルチド 1.8mg
• 5例6件の「重大な低血糖」が発現した
• 昏睡及び発作は生じなかった
全ての投与群間比較についてp=NS
申請資料より作図 (LEAD-5)
プラセボ
インスリン グラルギン
Rates of hypoglycaemic episodes (major, minor and
symptoms only, respectively) were 0.06, 1.2 and 1.0
events/patient/year, respectively, in the liraglutide
group (vs 0, 1.3, 1.8 and 0, 1.0, 0.5 with glargine and
placebo, respectively).
2010年からの2型糖尿病治療薬
GLP-1受容体作動薬の登場により、血糖降下作用の高さと低血糖は
裏腹ではなくなり、体重増加の懸念もなくなる
各薬剤の単独療法における有効性・安全性のマトリックス
高い
HbA1c への効果
インスリン*
GLP-1受容
体作動薬*
SU
-1%
TZD
DPP-4阻害薬
BG
グリニド
α-GI
低い
インスリン*
HbA1c への効果
高い
-1%
GLP-1受容
体作動薬*
SU
TZDDPP-4阻害薬
BG
グリニド
α-GI
低い
リスクあり
リスクなし
低血糖のリスク
(*注射薬)
増加する
減少する
体重への影響
(*注射薬)
リラグルチド(ヒトGLP-1アナログ)とインスリンの使い分け
2型糖尿病の自然歴
(mg/dL)
350
前糖尿病
300
(IFG,耐糖能異常)
血 250
糖 200
150
100
50
相
対
量
250
200
150
100
50
0
この期間中に
糖尿病と診断
食後血糖
空腹時血糖
リラグルチド
(GLP-1アナログ)
インスリン抵抗性
インスリン
インクレチン効果
インスリンレベル
膵β細胞機能
–15
–10
–5
0
5
10
15
20
25
30 (年)
糖尿病の
始まり
IFG (impaired fasting glucose); 空腹時血糖異常
Kendall DM, et al: Am J Med 122, S37-S50, 2009
インクレチンに基く糖尿病治療
GLP-1アナログとDPP-4阻害薬の違い
血中GLP-1濃度
↑食欲
↓食物摂取
↑インスリン分泌
↓グルカゴン分泌
GLP-1アナログ
DPP-4阻害剤
GLP-1作用
Holst JJ et al, Trends Mol Med 14(4):161-8 (2008)
Halimi S et al, Diabetes Metab. 34 Suppl 2:S91-5 (2008)
http://www.glucagon.com/dpp4diabetes.html
GLP-1受容体作動薬 vs インスリン
有効性
(海外の臨床治験でメトホルミンやSU薬との併用で)
肥満糖尿病患者では1.8mgがグラルギンインスリン24単位と同等の効果
安全性や 他のメリット
低血糖を起さない
体重増加をきたさない (肥満の場合はインスリンよりもGLP-1を)
β細胞機能を保護できる
循環器系にも悪影響はない (血圧も低下:降圧薬を減らせる可能性)
量を調節する必要がない (単剤の場合 SU薬併用では注意が必要)
1日1度でよい (将来は1~2週間に一度の製剤が使用可能)
自己注射管理指導が評価される
SMBGも保険適用となる
デメリット
導入に時間がかかる (2日おきに増量でもまず問題ないと言われる)
周術期,ステロイド使用時に関してはデータがない
GLP-1の副作用(吐き気など)のある症例では使用が難しい
抗体産生はインスリンでも起こるがどのような影響があるか不明である
1型糖尿病やインスリン分泌の枯渇した2型糖尿病では単独では血糖低下が十分でない
可能性がある。
若干価格が高い可能性がある(インスリン使用量や多剤併用状況による)