人の行為と情報の利用

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3. 人の行為と情報

~行為における情報の必要性~         3-1行為 3-2意志 3-3意図 3-4企図   3-4A 3-4B 3-5意思決定 3-6行動 3-7行為の相互性 3-8批判的評価

3-1

行為

 行為は自己実現のために行われる  未だ己のものとなっていない、己の目的を 実現すること  人の行為は、意志、意図、企図、意思決定、 行動からなる  情報は行為を成すことと密接な関係を持つ

人の行為

     意志  行為の発動根拠 意図  意志に基づいた目的や目標 企図  意図を実現するための企て 意思決定  企図を実行に移すか否かの決断 行動  意思決定に基ずいた行動

行為の過程

意思 決定 未だ己のものとなっていない、己の目的を実現すること

意志的行為と身体的行為

 意志的行為  他人から認識されない  行為の大半は他人から認識されない   身体的行為  他人から認識される  個人にとっては行為の大半は意志的行為 行為の最後の段階だけが他人から認識される

行為と情報

 行為の過程  意志-意図-企図-意思決定-行動  情報(知識、情報、データ)  行為の全ての過程に情報は関連する   行為は、未だ己のものとなっていない、己の目的を実 現すること(自己実現) 自己実現のために情報が果たす役割は大きい

自由意志

 行為は行為者自身の選択のみに依存する  行為者の目的を実現するための選択そのもの が自由(非決定的)である  個人が自らの意志で行為を行なうためには 自由な選択が前提となる  選択が自由であればあるほど、選択を行なうた めの情報(知識)が重要となる

3-2

意志

 行為の最初に位置する  1.行為主体における行為の発動根拠  成し遂げようとする心そのもの   ある目的を実現するために自発的で意識的な行動 を生起させる内的意欲 (スーパー大辞典) 道徳的価値評価の原因ともなる。  反射的・本能的な行動とは区別される (スーパー大辞典)

意志

   2意志は人間に至って初めて充分に発達した大脳 皮質の機能である。 すなわち意志は 熟慮を経た 理由を持ち、その助言 者は 理性 であり、そして 価値や文化的 目標を斟酌 する 。  属する社会の文化や価値観が反映  文化とは社会を構成する人々によって習得・共有・伝達 される行動様式ないし生活様式  習慣・様式・しきたり、言語・習俗・道徳・宗教・制度な  個別文化は独自の価値を持つ 注)一般意志の概念とは異なる(データベースのランク) 注)ルソーの特殊意志でも全体意志でもない

動機(参考)

  心理学では、動機  motivation 生理的動機( homeostatic m.

種の保存)  生物が外部環境状態の変化にかかわらず自己の状 態の恒常性を保つ動的な平衡状態のことを    空腹、睡眠、排泄、体温維持 性的動機 社会的動機 Murray, A.H. 1938 マーレー  親和動機:友情と絆をつくりたいとする動機  達成動機:成し遂げようとする動機  攻撃動機:害意をもって他人を攻撃したりする動機 動機は意志を行為に移すきっかけと考えられる 10

意志

 3 .意志は自己実現の基本となるもの  自己以外の何者によっても妨害されない  自分自身がしたいあるいは欲しいと思う内容そのも の  4.

強い意志は人の知的活動によって生起する

意志と情報

 意志の形成には知識(構造)が最も大きな 影響を持つ  データや情報を意志に結び付けるには個人 の知識(構造)が関与する  個別のデータや情報は意志を持つきっか けとなる  知識はきっかけを意志に結びつける  意志の形成には知識・情報・データが必 要

 意志  行為主体における行為の発動根拠  意志\President Says Saddam Hussein Must Leave Iraq Within 48 Hours.htm

 訳

意志の段階における 情報の利用の問題点  意志は自己以外の何者によっても妨害されな いが、反面、外部からの影響を受けやすい  外部からの影響  他人の意見や行動  マスコミの情報など  意志形成に外部の影響を受けやすい状況  自己の意志がない  知識が乏しい  自信が持てない  バンドワゴン効果 14

 意志が明確でない、意志がないまま行為に 移る場合がある  自分の意志が良く整理されていないため、次 の意図の段階で目的あるいは目標がうまく 設定できない  自己の意志と組織やグループの意志が相反 することがある 15

意志の段階における問題点への対 応(個人の場合)

 ①他人の意見に安易に左右されないよう、 十分な知識を持つ  ②自己の意志に基づいているか再確認す る  ③目的や目標を実現させるために自己の 自発的、意識的な行動を起こす内的な意 欲を確認する  ④自己実現に合致した意志である確認す る 16

(組織の一員の場合)

⑤業務として合意された組織の意志を確認する ⑥コンプライアンスを順守しているか確認する  Compliance: 企業が法律や内規などのごく基本的なルー ルに従って活動すること  服従、従順、承諾、納得  法令違反をしないことでは不十分 ⑦組織の意志が社会の規範を逸脱していないか確 認する  判断・評価・行為などの基準となるべき原則 ,法律~倫理 17

3-3

意図

 1)意志に基づいてしようとしている目的や考えてい る事柄  2)意志を実現するため目的と目標の設定を行う段 階   漠然とした目的の設定だけでは意志の達成は困難 目的の到達程度を示す目標の設定も重要  意図の目的や目標が企図の段階(情報収集など)や 意思決定の段階で評価基準・判断基準となる

意図とデータ

   目的あるいは目標の設定段階  知識と知識をおぎなう情報が必要   特に不確実でも新しいデータが必要 データを情報に変える知識が要求される 目的や目標の変化  同じ意志に基づいても、知識(構造)が異なれば目的や 目標が変わる  同じ意志に基づいても、使用する最新のデータや情報 が異なれば目的や目標が変わる 情報に基ずいた目的(最終目標)と目標(実現可 能な目標)の具体化が重要

意図の段階における 情報の利用の問題点     目的目標が設定できない  知識がない、意志が定かでない 目的を明確にしないまま情報収集を実行すると情報収 集する対象(範囲)が広くなる。 意図の整理が不十分なまま行為を押し進めると、設定した はずの目的に、行為の途中で疑問を持つことになる 収集する情報量が増える割には本当に必要な情報が収 集できない状況に陥る。 20

意図の段階の問題点への対応

 ①できる限り意図の段階で目的と目標を明確に 設定する   1)目的を確認する  目的:最終的に何をするために情報収集をするか、収集 した情報を使って何を判断するのかを確認する 2)目標を確認する  目的を実現するため具体的に達成可能な目標を確認する  ②目的と目標は意思決定の判断基準に なることを意識する 21

 ③自分の自発的な意志や、業務としての 目的・目標を再確認する。  ④情報収集の目的・目標を実現するため 収集した情報の具体的な利用方法を情報 収集の前に想定する。  ⑤情報検索の前にできる限り検索課題を 具体化することが良い情報検索結果につ ながる.

22

3-4

企図

 意図を実現するための企てや計画や企画  意図に基づいた目的と目標を達成するために いくつかの実現可能な計画や企画を組み立て る段階  意思決定における選択肢を準備する段階  情報を最も使用する段階  情報収集の段階(情報の量)  情報の 選択・整理・加工・分析の段階(情報の 質)

企図と情報

   情報を収集し、得られた情報から実行可能ないくつ かの手段を選定する 情報をできる限り多く収集する    実行可能な手段の選択肢が増える 的確な意思決定が可能になる その結果、目的目標に到達できる可能性が高くなる 情報収集が最も重要性な段階  既に持っている知識で処理可能な、新しいデータと情報 を収集する

3-4A) 企図の前段階(情報収集)

 情報収集の目的   情報量を確保する 情報の洪水の中から関連情報を多く集める  情報リテラシー:この段階と最も関係が深い       情報を探す方法を考え出せる 有力な情報源を特定できる 情報を収集する目的や目標を確認できる ネットワークを使って情報にアクセスできる データベースを使って情報検索ができる 情報の原文を入手できる 25

情報収集の段階 問題点  問題点1 情報が多すぎる       情報量が非常に多くなると、対象の情報全てに 目を通すことができない(時間が足りない) 処理できないほどの情報量は、実質的には 全く情報がないのと同一の状態 集めただけで満足する場合が多い  手元に在るだけでは情報にならない 必要な情報の占める割合が低下する 場所をとる 情報検索の回答が膨大な量になる 26

情報収集の段階 問題点    問題点2  全ての情報を集められない 情報が無いことを証明することは不可能(困難)  100%の情報収集は不可能 問題点3   原文を入手しない 情報源を確認できない・しない 検索が簡単になったため、原文を意識できない 問題点4  探し方が解らない 捜す分野、種類が解らない   必要な情報を見逃す 2012/11/16--------------------- 27

情報収集の段階 対応      ①目的・目標を確認する ②事前調査を行い基礎知識を得る ③複数の情報源を選択する ④原文を収集する ⑤情報の書誌事項を確認する  学会誌の書誌  URLのドメインの理解 gov go.jp

 ⑥「無い情報は無い」と考えて情報収集をする 28

情報収集の段階 対応     ⑦3~5割の情報で概要を判断する  例:3年程度の情報を使用する ⑧処理できる量を把握する ⑨捜す方法のみを明確に身に付ける  的確な指示をもらえる人を確保する ⑩幅広い情報から関連情報を選択する  質(信頼性)の高い情報のみを得ることは不 可能なのでなるべく多量の情報から選択す る 29

問題(2回目)

   Q1情報の活用に関して意志の段階で注意すべき内容に該当しない ものを選択しなさい ①意志が明確でないまま行為に移る場合がある②自己の意志と 組織の意志が相反することがある③組織の意志が規範を逸脱し ている場合がある④意志は目的を決める内的意欲である⑤意志 はしたいと思う心そのもので知識や情報と直接関係しない Q2目的、目標の段階における情報の活用に関する説明で間違って いるものを選択しなさい。 ①何をするために情報収集をするかを考えると目的が明確になる ②目的は判断・決定する際に役立つ③目標は目的を具体化した ものである④目的を明確にしなければ広範囲な情報収集が可能 で有効ある⑤目的を明確にしないまま情報収集すると情報量が 増える割には本当に必要な情報が収集できない状況に陥る Q3情報量が多すぎる問題点に該当しないものを選択しなさい ①情報量が非常に多くなると、対象の情報全てに目を通すこと ができない②処理できないほどの情報量は、実質的には全く情 報がないのと同一の状態になる③情報の漏れがなくなり誰もが 同じ情報を利用する④集めただけで満足する⑤必要な情報の占 める率が低下する 30

 Q4情報収集に関する説明として不適当なものを選択しなさい。 ①関連する全ての情報を集めることは不可能である②情報が無 いことを証明することは非常に困難である③情報を100%収集 することは重要である④情報収集の基本は原文を入手することで ある⑤情報を入手したら必ず情報源を確認することが基本的な対 応である  Q5情報収集段階の対応として間違っているものを選択しなさい。 ①処理できる量を把握する②なるべく多くの関連情報を収集す るよう努力する③3年程度の情報を収集して概要を理解する④必 要な時に捜す方法を身に付けておく④情報収集に関して的確な指 示をもらえる人を確保する⑤情報源の書誌事項を確認する 31

3-4B) 企図の後段階

(情報の選択、整理、加工、分析の段階

  情報の整理分析段階の目的 情報の質の確保   本当に必要な情報を選択する 選択した情報を判断に役立つよう目的・目標にあ わせて整理・加工・分析する 32

      情報リテラシーに含まれる内容 批判的かつ適切に情報を評価することができる 創造的な情報を識別することができる 情報源を認識し評価できる 情報を使うため情報を整理・加工できる 他人や、専門家、経験者との対話を通して情報の 理解や解釈が正しいか確認できる 33

情報の選択、整理、加工、分析段階の問題点   情報発信者の意志と情報収集者の意志が異なる 判断能力の不足    対象範囲が広くなると個人の判断能力を超える 知っている分野については評価可能だが、知らない 分野については評価できない。 専門用語の理解が困難  評価できない情報を使って判断する場合がある  会社経営や国際政治の場面では日常的に行われる    例)経営判断(不完全情報下のゲーム)  例)為替、投資 質の良い情報と悪い情報が混じっている 不要な情報、誤った情報を除くことが困難 34

情報の選択,整理,加工,分析段階の対応 ① 批判的に考える      自己の知識構造や価値基準で評価する  批判だけでも良くない。批判した上で役立つ情 報は自己の知識に組み入れることが必要 どのような情報にも偏りがある、中立ということ はない 情報に発信者の意図が入っている  マスメディアの場合も中立ということはない 反対意見も参考にする  情報発信者の意志を考慮すると理解が深まる 練習:本日の新聞記事(Web版) 35

②複数の出所の違った情報を選択する  情報収集手段を複数持つ   偏った判断をさける  裏を取る:  供述・情報などの真偽を確認する、裏付けをとる 情報の発信は目的別に行われているので、ある目的 に重要で公表されなくても、他の重要でない別の目 的では公表されることがある  例)たばこの内容成分と米国FDA(規制) 36

③質の高い情報を選択する     おびただしい情報の中から、目的毎に質の高い情報 を捜す工夫が必要(目的により質は異なる)     正確な情報と迅速な情報 体系的な情報とデータ 解りやすい情報と専門的な情報 客観的な情報と主観的な情報 信頼性のある情報 情報の発信に複数の人がかかわっている情報は信頼 性が高い 結果がわかってから、情報の価値や信頼性の判断を つけることはだれにでもできるが事前の判断は困難 37

④評価できない情報は付帯情報から情報の質を考 慮し情報を選択する   出典をしらべる(書誌事項) 信頼性高いURLドメイン  go.jp ac.jp gov.uk gov edu   信頼性不明なURLドメイン  判断できるものは利用  Com, ne.jp, Wikipedia 出典の不明な情報は排除する 38

⑤評価を専門家に依頼する    情報の評価のみ依頼する 判断は自分で行う 情報リテラシ基準   他人や、専門家、経験者との対話を通して情報 の理解や解釈が正しいか確認できる 友人は専門家でない 39

   ⑥key-manの情報を選択する  定性情報の場合は発言した人により情報の質が決ま ることが多い ⑦知識を増やす  情報の発信者の意図、意志に惑わされない  専門用語 ⑧SDI情報の利用   選択的情報流通 Selective Dissemination種まき、散布 Information 40

問題 (

04

 Q1 人の行為は、意志 → A → B → C決定 → 行動よりなる。Aに入る言葉を選択しなさ い

問題1

 1 意図 2 企図 3 意志 4 意思 5 企画 Q2 Bに入る言葉を選択しなさい  1 意図 2 企図 3 意志 4 意思 5 企画 Q3 意志とは行為主体における行為の発動 Dで、成し遂げようとする Eそのものであ る。」Dに入る言葉を選択しなさい。 1 拠点 2 始点 3 原点 4 根拠 5 過程 41 41

  Q4 Eに入る言葉を選択しなさい。 1 意思 2 意欲 3 心 4 目的 5 行為 Q5 意図は意志にもとずいてしようとしている Fや考えている事柄である。Fに入る語を選 択しなさい。 1 手段 2 目的 3 事柄 4 思い 5 行為 42

人の行為 行為の過程 復習

意思 決定

3-5 意思決定

 意志決定と意思決定  意思決定が判断にあたる  意思 mind (intention)  何かをしようと心に決めること、 本心、考え  意志will  目的を実現させるための自発的、意識的な行 動を生起させる内的意欲。道徳的価値評価の 原因となる

意思決定と情報

 情報収集で得られた複数の選択肢の中か ら、実行する手段を決定する  企図で準備した実現可能な計画や企画を 絞り込む段階   選択肢から一つを選択する段階 意志に基づいて最終的に実行する手段を 決定し、実行に移すか否かを決断する段階  行動に移さない意思決定もある

情報量と意思決定

 収集した情報が多いほうが企図段階の選 択肢が増える  意志と目的、目標、情報量が同じでも、知識 が豊富なほうが多くの可能性を検討できる  一方、意志と目的、目標が同じでも、利用で きるデータと情報(情報量)と知識が多い方 が的確な意思決定が可能となる

 広範囲の情報を総合的に使用する  実行内容を決定するには多面的に判断する必 要がある  ①自己の知識(構造)  ②企図に基づいて収集した情報  ③判断するために加工した情報

 行動を伴わない意思決定  失敗の確率が高いことが好ましくない場合   行動すると目的・目標に遠くなる可能性が高い 場合 行動しなくても現状に満足できる場合  経営における意思決定、統計的意思決定、 理論的/心理的アプローチなど多くの考え 方や手法がある 48

 判断の段階の問題点  多くの判断が存在する  複数の矛盾した情報を使用して判断する必要が ある  少ない情報で判断しなければならない場合があ る  目的・目標が途中で不明確になることがある  無謀な決断と危険を冒さない決断がある  ハイリスク-ハイリターン/ローリスク-ローリ ターン 49

 個人の判断、企業の判断、組織・社会の判断 が相反する場合がある  早さを優先させる判断と正確さを優先させる 判断がある   多数の意見、知人の意見に惑わされる 議論して決めると間違いはないが創造性がな くなる 50

対応

 ①自己の価値観をもつ   個人の判断、企業の判断、社会の価値観を近づける 知識を増やす  ②マクロ的把握  俯瞰    ③論理的思考 ④意志・目的・目標を再確認する ⑤情報をもとに自分で判断する習慣を付ける    客観的に、冷静に判断する 友人や知人の意見に惑わされず自分で決める 出典の違う情報を比較し判断する 51

    ⑥リスク管理を行なう  どこまで失敗が許されるかを予め決めておく。 失敗したときの対応を予め決めておく ⑦社会の価値観と組織の価値観を同じにする。  社会秩序を乱す行動や、社会から非難される行動 (企業の不祥事)をしないこと   法律を犯さない(従来)→規則を守る→論理、社会 規範に即した行動をとる:コンプライアンス 規範:判断、評価または行為などの拠るべき基準 ⑧意思決定という行為に対し、情報は単なる材料にす ぎないことを認識する ⑨情報の価値は実現価値であるが、期待価値で判断し ていることを認識する 52

3-6行動

  行為の最終段階 行動により行為が完了する  意志的行為(意志、意図、企図、意思決定)と区 別される   行為の中で他人から初めて唯一認識される 目的達成のため判断に従いに他人に対し行動 を起こす  刺激に無意識に反応する動物的行動は、意志的 行為を伴わないため行為ではない

身体的行為

   行動により他人に行為が認識される 行動は身体的行為であり、対外的に意志的行為 と大きな違いが生じる 他人との関係が生じることから行動の結果につい て責任が問われる  (参考文献)   岡部 勉:行為と価値の哲学、九州大学出版会、1995 有福 孝岳:行為の哲学、状況出版、1997

行動と責任

  法的責任の範囲   法律の知識が必要 例:食品の賞味期限の違法表示 道義的責任  個人のモラルに依存する  企業の道義的責任は大きくなっている  コンプライアンス

行動段階の問題点  法的責任と道徳的責任  行動は身体的行為で他人への能動的な働き かけ含まれるため、責任も自分でとること になる  意思決定で想定した通りに行動を実行しても目的 や目標を達成できることは殆どない  現実に対応した修正を加えながら行動する  現実に対応するため新たな情報収集が必要にな る場合が多い  行動を継続するために意志の強さが必要となる --------20101/11/08----------------------

対応  ①行動の前の意思決定は必ず自分で行う  ②自己の目的を認識して行動する  ③責任を取れない行動はしない。   ④リスクを把握して行動する ⑤他人の意見は参考にしても他人の意見 に安易に従う行動は避ける  ⑥強い意志は行動の大きな原動力になる (行為の継続) 57

行為と情報

(

レポート

05)  レポート用紙の配布  行為の具体例を記入する  意志的行為と身体的行為の理解  意志 , 意図 , 企図 , 意志決定 , 行動の理解 58

3-7

行為の相互性

(情報は人が発信し人が受信する)

 行為の相互性  一切の受動は同時に能動である  1つの主体は能動的であることなしには、同時に 受動的であることはできない:カント  行為の主体(情報の発信者)と行為の客体(情報 の受信者)は一方向的な存在でない 4-59

 能動者(行為の主体)と受動者(行為の 客 体)は入れ 替わる 能動者(行為の主体) 人が発信 能動的行為 受動者(行為の客体) 人が受信 受動的行為 働きかける主体 自己 働きかけられる客体 他者 原因 結果 行動により受動者に変化を生じ させる 受動者の中に変化が生じる 4-60

情報はサイクルを描く

   行為の循環 行為 A → 行為 B    情報の受信 A→ ↑ 判断 A→ ↓ 行動 A→ 情報の発信 A 情報の発信 B ← 行動 B ← 判断 B ← 情報の受信 B 能動者と受動者は相互に入れ替わるこ 4-61

行動と情報発信

 行動は結果として情報発信を伴う  行動はそれを受け止める相手にとっては情報 を受信すること  行動の結果生じる情報には行為者の意志 が含まれる  行動は意志に基づく行為の結果である  レポート:自己完結型の行為が多い  情報発信を伴わない→相手へ働きかけの必用な行動 は情報発信を伴う

3-8

批判的評価

 情報を批判的に評価する ( 使用するか見極める ) 1.

1次情報か 発信者の確認 2.

真実か、信用できるか 書誌事項の確認 3.

4.

5.

恣意的な情報でないか 発信者の意志の推定 情報発信の背景や目的は 目的・目標の推定 偏っていないか 前提条件の考察     情報を批判する 自分の考えと異なる点を批判する 自分の異なった意見を述べる、 問題だ,間違った判断である ….

と思う 63

 Information literacy is a set of abilities requiring individuals to  Determine the extent of information needed  Access the needed information effectively and efficiently   Evaluate information and its sources critically Incorporate selected information into one’s knowledge base  Use information effectively to accomplish a specific purpose  Understand the economic, legal, and social issues surrounding the use of information, and access and use information ethically and legally 

Information Literacy Competency Standards for Higher Education

64

Standard Three

 The information literate student evaluates  information and its sources critically  and incorporates selected information into his or her knowledge base and value system .

 情報と情報源を批判的に評価する      情報 の 主 たる 内容 を 理解 する 情報 と 情報源 の 信頼性 、 正確性 、 権威 、 偏 りなどを 考慮 する 新 しい 情報 とこれまでの 情報 を 合 わせて 新 しいアイデアや 仮 説 を 考 える これまでの 知識 と 比較 して 価値 のある 情報 か 決 める 自分 のこれまでに 価値観 を 変 えることができる 情報 か、 新 し い 考 えとして 取 り 入 れることができるか 決 める 65

批判的評価 事例

     情報の批判的評価 情報源の批判的評価 批判が目的でない 自分の知識構造に取り入れるのが目的 目的と目標達成のため利用するのが目的 66

  情報 の 自由 は 民主主義社会 の 基本原則 (4つの 自由 )  アメリカ 改正情報 の 自由法 : Freedom of Information Act (FOIA) as amended in 1996 年 :すべての 行政 電子情報 を Web で 公開 する 法律 で 日本 にはない の 行政 の 情報発信  行政 の 情報 は 市民 のものでもあるとの 自覚 が 必要 。    情報 を 受 け 取 った 市民 が 善 し 悪 しを 判断 できる 情報 提供 も 必要 。 基本的 には 都合 の 良 い 情報 も 悪 い 情報 も 公開 する 必 要 がある 必要 なときにアクセスできる 情報発信 67

「お 手盛 り」にならないよう に、 効果 をPRする 方法

         まず 事実 を 伝 えるPRが 重要 できれば 実績 をPRする 事前 に 理解 を 得 るPR: 完成直後 でないPR 情報 の 提 供 (ほとんどが 完成直後 の 評価 ) 客観性 のあるPR, 事実 にもとづいたPR 恣意的 な 情報収集 にもとづいた 情報発信 をしない 市民 に 理解 を 得 られるPR 情報発信責任者 , 担当窓口 を 明 らかにする 引用先 の 開示 ( 属性 など) できるだけ 正確 なPR 68

情報の受信方法

   批判的に考える  自己の知識構造や価値基準で評価する   どのような情報にも偏りがある、中立ということはない 情報に発信者の意図が入っている  反対意見も参考にする 複数の出所の違った情報を選択する 評価できない情報は付帯情報から情報の質を考慮し情報 を選択する 著者・発行年月日 69

 既にシナリオができあがっていた  権威付けが必要であった  論拠の理由が記述されていない  情報の自由  情報の自由が存在する根拠  情報は市民のものである理由が飛ばされて いる  権威でごまかしている 70

情報疲れ

 処理できる量を把握する  目的・目標を確認する  行動に移らない単なる情報収集は時間つぶし  3 割程度の情報でも判断できる  自分で判断できる基礎知識を持つ 71

3-9

まとめ

(1) 4-3情報の利用段階における問題点と対応 1) 意志の確認段階 自己の意志に基づいているか確認する 組織の意志が規範を逸脱していないか確認する 2) 意図(目的、目標)の段階 自分の自発的な意志や、業務としての目的・目標を再 確認する 具体的な情報の利用法を情報収集の前に想定する 3) 情報収集の段階(情報量対応) 処理できる量を把握する 3~5割,3年程度の情報で判断する 必要な時に捜す 72

まとめ

(2) 4) 情報の整理/加工/分析の段階     批判的に考える 複数の出所の違った情報を選択する 質の高い情報を選択する key-manの情報を選択する 5) 判断、意思決定の段階  自己の価値観をもつ   情報を元に自分で判断できる習慣を身に付ける マクロ的把握をする  目的目標を再確認する 6) 行動の段階  責任を取れない行動はしない 自己の目的を認識し有効な情報発信をする  73

意志 意図:目的 意図:目標 例1 やせたい 企図(手段) ダイエット 運動 意思決定 行動

レポート記入例A

目的と目標を具体化する 走る 食事制限 毎日走る 野菜中心食 例2 やせるぞ! 見本 やせる 良いスタイルになる 3kgやせる やせて誰かを見返す ジムに通う ダイエット 運動 走る ベンチプレス 毎日走る ベンチプレス ジョギング いいスタイルを手に入 れるため頑張る 毎日走る 自己完結型 他人への働きかけが無 74 目的目標が書かれてい

レポート記入例B (身体的行為の具体化)

意志 意図:目的 意図:目標 企図(手段) 例1 大学でコンピュータを学ぶ 大学に入学する 入試に合格する 過去問を勉強する 見本 大学でコンピュータを学ぶ 大学に入学する 入試に合格する 過去問を勉強する 意思決定 行動 志望校を受験する 願書を提出する コメント 企図を複数考える必要 目的と行動が一致しない 志望校を受験する 志望校を受験する 自己完結型 働きかけを行う相手が特定 できるような行為を考えてく ださい 75

レポート記入例C

(相手に対する行動の具体化)

意志 意図:目的 意図:目標 企図(手段) 意思決定 行動 コメント 例1 就職する 就職する 内定をもらう 企業をさがす 例2 就職する 就職する 最低1社から内定をもらう 第一志望企業から内定をもらう 複数の企業が内定をもら う 最低1社から内定をもらう 会社説明会に参加する 会社説明会に参加する 興味のある企業を見つける 面接を受ける 履歴書を書く 先輩からアドバイスをもらう 就活に専念する 資格を取る 企業を決め面接練習をする 面接官にアピール する 面接官に入社の意思を 伝える 全体に具体性がな 目的と目標が逆 面接で良い印象を与える 76

3-8行為と情報技術 略

   意志の形成に利用できる技術   知識の継続的な取得技術 E-learning:継続的に自ら学ぶ   Web情報の利用 図書館の利用 意図   情報検索 2次データの利用 企図   情報検索・情報収集 ヒューマンネットワーク(通信技術)  メール

  意思決定  先行文献の検索    ヒューマンネットワーク(通信技術) 情報の統計的処理 自らの意志に基づいた論理的判断を助ける手法や技 術 行動   Web情報の発信 プレゼンテーション

人の行為と情報 まとめ

 「情報」と「行為をなすこと」は密接な関係を持つ  人の行為は、意志、意図、企図、意思決定、行動 からなる  意志   自己実現の基本となるもので行為の発動根拠。 意志の形成には知識が重要である。  意図   設定する目的と目標が後の情報活動に重要となる。 取捨選択の判断基準になる

 企図   実行手段を検討する 情報収集が重要  意思決定   実行手段を決定し行動に移るか決定する 広範囲のデータ、情報、知識が使用されるが、知識が ベースとなる  行動   身体的行為で他人から認識される 責任がともなうため法的責任、道義的責任に関する知 識を身につける必要がある

行為と情報 まとめ

     意志と知識  データや情報は切っ掛け(手がかり、動機)となる 意図とデータ  不確実でも新しいデータが必要 <配布資料修正> 企図と情報収集  すべての情報が必要 意思決定と知識  収集した情報と知識が必要 行動と情報発信

問題 (06)

 Q1意図の整理が不十分なまま行為を押し進めると、 設定したはずのAに行為の途中で疑問を持つことに なる。Aに入る語を選択せよ  1行為 2企図 3意思 4意志 5目的 Q2人の行為は意志的行為とB的行為からなる。B に入る語を選択せよ 1身体 2意思 3受動 4能動 5選択  Q3意思決定では意志に基づいて実行するCを決定 し、Dに移すかを決断する。Cに入る語を選択せよ 1行為 2手段 3判断 4目的 5目標

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 Q4 Dに入る語を選択せよ 1行為 2行動 3判断 4修正 5分析  Q5間違っているものを選択しなさい      1 行動により他人から初めて行為が認識される 2 行動は身体的行為である 3 行動の結果には責任が問われる 4 行動には道徳的責任が伴う 5 行動は意志的行為に含まれる 84