H24 ①(長浜バイオ)
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Transcript H24 ①(長浜バイオ)
平成24年度 (2012年度)
第1回 疑問症例検討会
平成24年11月17日(土)
長浜バイオ大学 命岳館
企画担当責任者 今村真治(大津赤十字病院)
会場責任者 新川由基(市立長浜病院)
協力役員 冨田圭一(近江八幡市立総合医療センター)
宮平良満(滋賀医科大学医学部付属病院)
検討症例
症例
症例
症例
症例
症例
症例
症例
1 ;胸水(近江八幡市立総合医療センター)
2 ;胸水(市立長浜病院)
3 ;甲状腺-1(滋賀医科大学医学部付属病院)
4 ;甲状腺-2(滋賀医科大学医学部付属病院)
5 ;耳下腺(長浜赤十字病院)
6 ;リンパ節(大津赤十字病院)
7 ;リンパ節(済生会滋賀県病院)
症 例 1
(近江八幡市立総合医療センター)
【症例】 92歳 女性
【材料】 左胸水
HE ; セルブロック
少数ながらN/C比大なる異型細胞集簇を認めます。
免疫染色
synaptophysin, CD56, chromograninA
診 断
〔免疫染色〕
TTF-1(+)
chromograninA(+-)
synaptophysin(+)
CD56(+)
CK7(-)
CK20(-)
mesothelin(-)
CD141(-)
Calretinin(-)
〔診断〕 ;Carcinoma,compatible with small cell
carcinoma,left pleural effesion.
症 例 2
(市立長浜病院)
【症例】 74歳 男性
【材料】 胸水
HE ; 胸膜生検、肺生検
左肺下葉では組織学的にはUIPパターンを示す線維化が認め
られるほか、胸膜側で異型細胞の浸潤が認められます。同様
の細胞は胸膜生検組織においても認められます。
免疫染色
カルレチニン;(+)
CK5/6;(+)
AE1/AE3;(+)
ビメンチン;(+)
EMA;(弱陽性)
D2-40;(弱陽性)
Ber-EP4;(-)
CEA;(-)
病理組織診断
Lung,right lower lobe,wedge biopsy;
Malignant mesothelioma,epithelial-type.
Pulmonary fibrosis with UIP-pattern
Pleura,biopsy;
Malignant mesothelioma,epithelial-type.
悪性中皮腫
• 主な発生部位
胸膜;胸膜中皮腫 -----70~80%
腹膜;腹膜中皮腫 -----20%
心膜;心膜中皮腫 -----0,5%
• 好発年齢 ;40~70歳代
• 性別 ; 男:女=2~3:1
• 予後 ; きわめて不良(5年生存率4%)
• 組織型
上皮型 -----50~60%
肉腫型 (線維型)-----10~20%
混合型 ----20~30%
• 腫瘍マーカー ; ヒアルロン酸、CYFRA (CEAは陰性)
血算では血小板が高値。
症 例 3
(滋賀医科大学医学部付属病院)
【症 例】 56歳 女性
【材 料】 甲状腺穿刺
(1) 右
(2) 左
甲状腺 (1) 右
甲状腺 (2) 左
HE ; 甲状腺
楕円形核と淡い好酸性胞体をもつ異型濾胞上皮細胞
が小型濾胞を形成しながら密に増生しているところや
索状に増生する部分が見られる。通常の乳頭癌よりも
核がやや大きく核溝が目立つことにより、核内封入体
は乏しい。
病理組織診断
Papillary carcinoma.
Follicular variant.
症 例 4
(滋賀医科大学医学部付属病院)
【症 例】 80歳 女性
【材 料】 甲状腺穿刺
1 回目
2 回目(約6週間後)
HE;甲状腺
病変は被膜でほぼ全周性に囲まれ境界明瞭。充
実性胞巣状、索状、小濾胞状構造からなり、胞巣
間に血管が介在。好酸性顆粒状の胞体を有する
多角形細胞から構成。核は類円形~多角形で顆
粒状chromatin、小型で単個の核小体が見られる。
病理組織診断
Follicular adenoma.
Oxyphilic cell variant.
甲状腺 ; 好酸性細胞腺腫
• 腫瘍細胞が一様に好酸性細胞変性を起こし、細胞質内にミトコ
ンドリア由来の好酸性顆粒が高密度に詰まった好酸性変性細
胞よりなる腺腫。
• 腺腫の一部に好酸性変性が起きることは、しばしばみられるの
であえて好酸性細胞腺腫いうときは一様に好酸性細胞のみ出
現している場合に限定するべきである。
• 著明な核小体を示す肥大核、多辺形の好酸性の胞体を持つ大
型の細胞が、ゆるい結合を示す平面的な濾胞型集団で出現す
る。
• 胞体の顆粒はGiemsa染色で明瞭に認められる。
• 同様の良性の好酸性変性細胞は、橋本甲状腺炎、Basedow病
および腺腫様甲状腺腫にも出現するが、好酸性細胞腺腫の場
合は、よく揃った一様な細胞集団が出現するのが特徴である。
症例 5
(長浜赤十字病院)
【症 例】 69歳 男性
【現病歴】
左顔面麻痺、左耳下部腫脹にて来院。
USにて左耳下腺腫脹を指摘されFNA施行。
【材 料】 左耳下部腫脹部穿刺
HE; 左耳下腺腫脹部
耳下腺内の腫瘤は直径25×18mm大の充実性腫瘍で、不
完全な被膜に包まれており、中央には壊死や出血、線維化
が目立つ。腫瘍細胞はシート状に配列しており、核の大小不
同や核形不整が目立ち、明瞭な核小体が認められる。部分
的に粘液と細胞間橋が認められる。
病理組織診断
Parotid gland cancer.
Mucoepidermoid carcinoma.
粘表皮癌
• 上皮性粘液産生腫瘍で、起源は導管上皮由来で、粘
液細胞、類表皮細胞(扁平上皮細胞)および未分化な
小型細胞である中間細胞の種々なる分化を認める。
• 全唾液腺腫瘍の3%~15%。
• 好発部位;大唾液腺で耳下腺(約80%)、顎下腺(約
10%)、舌下腺(約5%)。耳下腺の悪性腫瘍の中で最も
頻度の高い腫瘍。
• 腫瘍の分化度(悪性度)により細胞像に違いがみられ
るが、胞体内に粘液を入れた粘液細胞とともに扁平
上皮への分化がみられることが共通の特徴。
症 例 6
(大津赤十字病院)
【症 例】 24歳 男性
【主 訴】 顔面浮腫、頚部リンパ節腫脹、呼吸苦
【現病歴】顔面と右上肢に浮腫出現。徐々に息
切れも伴い、近医受診。頚部リンパ節腫脹と胸
部CT上、右多量胸水、前縦隔腫瘤認めた。呼吸
困難増悪し当院紹介受診となる。
【材 料】 頚部リンパ節試験切除捺印標本
HE ; 頚部リンパ節
線維増生、小型リンパ球の介在浸潤、好酸球浸潤
を背景に、大型多核、chromatin増量の目立つ異
型細胞が散在性に増殖。2核~数核の細胞もある。
免疫染色
CD 30,
CD 3
CD30;(+)
CD3;(+)
CD15;(-)
EBER;(-)
CD20;(-)
病理組織診断
Classical Hodgkin lymphoma.
Nodular sclerosis.
ホジキンリンパ腫
• 診断基準;反応性背景の中のReed-Sternberg(RS)細胞の認識。
• 結節性リンパ球優勢型ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫の2~6%
• 古典的ホジキンリンパ腫
RS細胞が認められる腫瘍でホジキンリンパ腫の約95%
1)結節硬化型ホジキンリンパ腫;
ホジキンリンパ腫の40~70%
若年者~若年成人に好発。特異細胞はRS細胞ではなく、大多数lacuner cellと呼ば
れる巨細胞で、しばしば集簇して認められる。
2)混合細胞型ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫の20~50%。40歳以上の男性に多い。EBウイルスは高率に陽
性
3)リンパ球豊富型古典的ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫の6%以下で年長者の男性に多い
4)リンパ球現象型ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫の1%以下
症 例 7
(済生会滋賀県病院)
【症 例】 44歳 男性
【現病歴】 数年前より下腹部にしこりを自覚、最
近になって増大傾向が見られた。2012年夏ごろ
CTにて左総腸骨動脈周囲リンパ節、PETにてFDG
集積みられ、同年秋にリンパ節切除生検施行さ
れた。
【材 料】 リンパ節周囲結合組織術中捺印標本
HE ; 総腸骨動脈周囲リンパ節
リンパ組織は見られません。脂肪組織から線維組織が採取されており、出
血を伴って腫大した核を有する異型細胞が見られます。悪性リンパ腫、低
分化型癌、反応性に腫大した毛細血管内皮等が鑑別に挙げられます。
免疫染色
CD30
EMA
ALK
CK(AE1/AE
3;(-)
CD30;(+)
CD3;(-)
CD4;(-)
CD5;(-)
CD15;(-)
CD79a;(-)
PAX5;(-)
EMA;(+)
GranzymeB;(+)
ALK;(+)
LMP1(EBV);(-)
CD20;(-)
病理組織診断
Fatty and fibrous tissue. abdominal cavity.
Anaplastic large cell lymphoma.
ALK;positive
未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)
• T細胞リンパ腫で、ホジキンリンパ腫(HL)と同様に
CD30の過剰発現を特徴とする。
• ALCLには2種類がある。
1),anaplastic lymphoma kinase(ALK)陽性
若年者(20代前半)多く、初発臓器はリンパ節に多いが
節外にもある。化療に対して反応性が良い。腫瘍細胞は
多様性に富み、大型で円形~楕円形核で核膜にくびれ
を有し、腎臓形など特異な核形を示す。
2),anaplastic lymphoma kinase(ALK)陰性
高齢者(50代) に多く、病期は進行性で難治性。腫瘍
細胞は多形性に富み、Reed-Sternberg(RS)細胞に類似す
るものがあり、ホジキンリンパ腫との鑑別を要する。
未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)とホジキンリン
パ腫の対比、鑑別点
Anaplastic large cell lymphoma(ALCL)
Hodglon lymphoma
若年者に多い(平均23歳)
成人に多い(結節硬化型平均41歳、混合
細胞型47歳)
しばしば節外に発症
縦隔以外の節外発生は稀
高免疫グロブリン血症は稀
しばしば高免疫グロブリン血症を伴う
類洞浸潤像が目立つ
類洞浸潤像は無いか目立たない
腫瘍細胞の結合性あるいは粘着性増殖
腫瘍細胞は散在性
好酸球浸潤や類上皮細胞反応がない
好酸球浸潤や類上皮細胞反応を認める
被膜肥厚、結節硬化像はない
被膜肥厚、結節硬化像が認められる
馬蹄形、腎臓様、ドーナツ様の不整形大
型核
典型的なReed-Strnberg細胞やHodgkin細
胞、lacuner細胞
核小体は複数で不整形、目立たない
核小体は単一で大型明瞭
ALK陽性
ALK陰性
CD15/LeuM1陰性
ときにCD15/LeuM1陽性
EMA陽性
EMA陰性