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ホルモンとは何か?
生体内のあらゆる細胞の代謝活性を調節する甲状腺ホルモン
の分泌量をどのように制御すべきか?
・甲状腺ホルモンの血中濃度を感知するシステムが必要。
・感知システムが甲状腺ホルモンの濃度を感知したら、甲状腺
のホルモン産生のみを刺激するシステムが必要(甲状腺刺激
ホルモン)。
・甲状腺には甲状腺を刺激するシステムを受け入れるシステム
が必要。
甲状腺以外の部位に感知システムが存在したほうが、甲状腺
と感知システムが同時に破壊されない。
このようにある臓器で産生され、遠隔臓器に働いて機能を制御
する生理活性物質をホルモンと呼ぶ。
ホルモンの特徴
1.ホルモンの体液中の濃度は非常に微量であるのが特徴。
例えば、典型的なペプチドホルモンの血液中の濃度は、10-9
mol/L(nmol/L=ナノモル)程度と、きわめて低濃度である。
2.ホルモンが作用を発揮する器官を、ホルモンの標的器官
(target organ)と呼ぶ。ホルモンの標的器官の細胞には、ホ
ルモン分子に特異的に結合する蛋白質であるホルモン受容
体(ホルモン・レセプター)が存在する。
ホルモン分泌のfeedback機構
ホルモン分泌は、上記の図のように末端のホルモン濃度上昇によって
上位の内分泌器官がnegative feedback機構によって調節されている。
下垂体と視床下部の位置
下垂体は、視床下部の下にある。下垂体
は腺下垂体と神経下垂体の2つの部分と
からなる。下垂体前葉と中葉は腺下垂体
であり、後葉は神経下垂体である。
腺下垂体(前葉と中葉)は。下垂体門脈系
によって視床下部と血流を介して連絡して
おり、視床下部から分泌される視床下部ホ
ルモンによる調節を受けている。
神経下垂体(後葉)は、視床下部の視索上
核や室傍核から神経線維を直接受けてい
る。視床下部のこれらの神経細胞体にお
いて産生された後葉ホルモンは、軸索を
通って後葉に運ばれ、そこで血中に放出さ
れる。
下垂体ホルモンと視床下部ホルモン
系
視床下部ホルモン
下垂体ホルモン
標的臓器
GH系
GRH
GH
全身
ソマトスタチン
ACTH-副腎皮質系
CRH
ACTH
副腎皮質
TSH-甲状腺系
TRH
TSH
甲状腺
PRL
乳腺
LH/FSH
性腺
ソマトスタチン
PRL系
TRH
ドパミン
性腺系
GnRP
バゾプレッシン
ADH
腎臓
オキシトシン
OXT
子宮、乳腺
巨人症と小人症
小人症は、原因不明の特発性小
人症や成長ホルモン分泌低下に
よるものなどがある.
巨人症や末端肥大症の原因は成
長ホルモン分泌過剰によって発症
し、原因の多くは下垂体腺腫.
骨端線が閉鎖する前:巨人症
骨端線が閉鎖した後:末端肥大症
巨人症と末端肥大症
手足の先端、額、あご、唇、舌
等が肥大するのが末端肥大
症の特徴。
甲状腺機能亢進症
代表的症状
1) 動悸
2) 甲状腺腫
3) 眼球突出
若い人では,疲れやすい,動
悸,暑がり,神経過敏といった
症状が多く,年配の人では体
重減少,食欲減退が目立つ。
この体重減少は食欲がある
にもかかわらず体重が減る
のが特徴。
甲状腺ホルモンの作用
①熱量産生作用
脳、リンパ節などを除いてほとんどすべての組織
の酸素消費が増加する。・・・・・微熱へ
②蛋白代謝
蛋白分解・・・・・・・・・・・・・・・・・・体重減少へ
③糖代謝
糖吸収増加、グリコーゲンのブドウ糖への転化促
進などを介して血糖値を増加させる。
④脂質代謝
コレステロールの分解排泄を増加。
⑤カテコラミン作用の増強
心拍数増加、心拍出量の増加・・頻脈へ
バセドウ病の眼球突出
正面を見たとき、本来ならまぶたに
隠れるはずの上方の白目が見える。
眼窩組織に炎症が起きてその体積
が増えると、眼窩内圧が高まり眼
球が前方へ押し出されたり、視神
経が障害されて視力低下や視野
の異常が起きたりする。
橋本病
橋本病の症状
外来における甲状腺疾
患の中で、最も多いの
がバセドウ病で、次い
で橋本病が多い。
甲状腺癌
甲状腺癌は30歳代の女性に多く認められる。
①乳頭状腺癌:50-70%で最も多い。
予後も最も良い
砂粒状石灰化
②濾胞状腺癌:20%
次に予後が良い
粗大な石灰化
③未分化癌:予後悪い
④髄様癌
カルシトニン産生
クッシング症候群
原因疾患
・Cushing病(下垂体からのACTH分泌過剰)
下垂体腺腫など
・副腎皮質腫瘍(腺腫とがん)
・異所性ACTH産生腫瘍(肺小細胞癌など)
・医原性(長期間のステロイド投与)
症状
・肥満(中心性肥満、満月様顔貌)
・糖尿病
・皮膚線条、筋力低下
・出血性素因、浮腫
・高血圧
・骨粗鬆症
・精神障害
・易感染性
・性腺機能の低下
アルドステロン症
本疾患の発生頻度は、
1994年頃までは低カ
リウム血症を示す高
血圧症例を対象に診
断していた結果、全高
血圧症患者の1.0%以
下と極めて稀な疾患と
考えられていた。しか
し、血中アルドステロ
ン濃度/血漿レニン活
性の比を指標にスク
リーニングしたところ、
高血圧症の5-20%程
度の頻度で発見され
るとの報告が相次い
でいる。