搾乳方法

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福岡県南地域の酪農経営にお ける各種環境(牛舎環境、衛 生、飼養、設備)がバルク乳 質に及ぼす影響分析

近藤裕隆 1 、柿原孝彦 1 、藤吉弘子 2 、下川環 2 、 池田元彦 3 、志岐秀雄 4 、田中雅也 4 、山内千佳 4 、 1 徳満茂 5 福岡県朝倉普及センター 本資料に掲載されている個々の情報(テキスト・図版、 写真など)の著作権は、特に記されていない限り、左 2 久留米普及センター 3 八女普及センター 4 南筑後普及センター 記の5機関に帰属します。法律で認められたものを除 き、無断での引用・転載を禁止します。引用等を行う 場合には、必ず出所を明記して下さい。内容の全部ま 5 福岡県農業技術課 たは一部について、左記の5機関に無断で改変を行う ことはできません。

従来の乳房炎対策指導

搾乳方法に関する指導

・搾乳立会による調査指導 •

乳房炎の発見及び治療

・PLテスト ・細菌検査及び感受性試験

十分な効果が 得られなかった

調査の概要

調査の目的 • 各種要因がバルク乳中の体細胞数に及ぼす 影響を評価分析し、乳房炎予防による乳質 向上のための指標とする。 調査時期 • 平成17年8~11月 調査者 • 朝倉、久留米、八女、南筑後普及センターの 畜産担当普及指導員8名 調査実績 • 繋ぎ牛舎124戸(77%)

調査の概要

主な調査項目(合計115項目) • 乳質、飼養環境、搾乳機器、搾乳方法、乳 房炎治療、飼料給与、乾乳方法 分析方法 • 主要な要因解析方法 :数量化 Ⅰ 類を用いた多変量解析 • 分析に用いたソフト :(株)エスミの「エクセル数量化理論」

2 6 0 2 4 0 2 2 0 2 0 0 3 4 0 3 2 0 3 0 0 2 8 0

調査結果:搾乳方法に関するもの(○)

36 S C C 平均 30 ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 58 常時着用 季節着用 無し 5 0 4 5 4 0 3 5 3 0 2 5 2 0 1 5 1 0 5 0 3 4 0 3 2 0 3 0 0 2 8 0 2 6 0 2 4 0 2 2 0 2 0 0 S C C 平均 ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 36 56 32 牛乳が筋状 搾りきりo rア ラ ー ム 減圧o r自動離脱 5 0 4 5 5 0 1 5 1 0 4 0 3 5 3 0 2 5 2 0 図1 搾乳時のゴム手袋 図2 搾乳終了判断基準 その他 プレディッピングの有無、ポストディッピング方法 ミルカーユニット装着までの時間、乳房マッサージなど

2 6 0 2 4 0 2 2 0 2 0 0 3 4 0 3 2 0 3 0 0 2 8 0

調査結果:搾乳方法に関するもの(×)

S C C 平均 101 消毒薬有り ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 23 消毒薬無し 5 0 4 5 4 0 3 5 3 0 2 5 2 0 1 5 1 0 5 0 3 4 0 3 2 0 3 0 0 2 8 0 2 6 0 2 4 0 2 2 0 2 0 0 S C C 平均 ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 23 69 32 1頭2枚以上 1頭1枚 2~全頭1枚 5 0 4 5 4 0 3 5 3 0 2 5 2 0 1 5 1 0 5 0 図3 搾乳前の乳頭清拭 図4 乳頭清拭タオル数 その他 乳房炎牛の搾乳順変更、SA感染牛把握、 清拭用タオルの使用後洗浄、搾乳作業の担当分けなど

2 6 0 2 4 0 2 2 0 2 0 0 3 4 0 3 2 0 3 0 0 2 8 0

調査結果:飼養環境等に関するもの

S C C 平均 56 良い ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 67 5 0 4 5 4 0 5 0 3 5 3 0 2 5 2 0 1 5 1 0 悪い 340 320 300 280 260 240 220 200 42 S C C 平均 42 ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 39 -15% 10-25% 25% 5 0 25 20 15 10 50 45 40 35 30 図5 牛舎内の清潔度 図6 経産牛不適正BCS率

3 4 0 3 2 0 3 0 0 2 8 0 2 6 0 2 4 0 2 2 0 2 0 0

調査結果:飼養環境等に関するもの

35 S C C 平均 1.5イ ン チ 以下 79 2イ ン チ ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 9 2.5イ ン チ 以上 5 0 4 5 4 0 3 5 3 0 2 5 2 0 5 0 1 5 1 0 3 4 0 3 2 0 3 0 0 2 8 0 2 6 0 2 4 0 2 2 0 2 0 0 31 S C C 平均 15 2回 ヘ ゚ナ ル テ ィ率平均 58 20 3回 4回以上 T M R 図7 パイプライン直径 図8 飼料給与回数 その他 パイプラインの立ち上がり、牛体等の清潔度 ビタミンE給与、カビ毒吸着剤給与、乾乳場所の確保など 1 5 1 0 5 0 5 0 4 5 4 0 3 5 3 0 2 5 2 0

多変量解析に用いたアイテムとカテゴリ 乳房炎乳の廃棄頻度 – ほとんど廃棄せず – – 時々廃棄 頻繁に廃棄 搾乳時のゴム手袋着用 – 着用 – 着用せず ミルカー装着までの時間 – 1 分以内 – 1

2

分 – 2 分以上 搾乳中の乳房マッサージ – マッサージあり – マッサージなし マシンストリッピングの有無 – あり – なし 搾乳終了判断基準 – クロー内で筋状 – 搾りきりかアラーム – 自動離脱かマッサージシ ステム ミルカーの離脱方法 – – 真空遮断後すぐにとる 落ちてくるまで待つ ポストディッピングの方法 – 先端のみ浸漬 – 根本まで浸漬 パイプラインの直径 – 1

5

インチ以下 – 2 インチ – 2

5

インチ以上 バケットミルカーの清潔度 – 清潔 – 不潔 牛舎内環境の清潔度 – 清潔 – 不潔 牛床の清潔度 – 清潔 – 不潔 乾乳牛専用房の有無 – 専用房あり – 専用房なし 乾乳牛管理場所の清潔度 – 清潔 – 不潔 BCS不適正牛の割合 – 15 %未満 – 15 ~25% – 25 %以上 飼料給与回数 – 2 回 – 3 回 – 4 回以上 – TMR

図9 体細胞数に与える各種要因の影響 乳房炎乳廃棄の頻度 B C S 不適正牛の割合 搾乳終了判断基準 パイプラインの直径 舎内環境清潔度 乾乳牛専用房の有無 搾乳時のゴム手袋着用 牛床の清潔度 バケットミルカーの清潔度 ミルカー装着までの時間 ミルカーの離脱方法 マシンストリッピングの有無 ポストデッピングの有無 搾乳中の乳房マッサージの有無 飼料給与回数 乾乳牛管理場所の清潔度 0 40 126 80 決定係数 0.32

図10 影響の大きいカテゴリー 乳房炎乳を頻繁にすてる 太りすぎ痩せすぎ牛が25%以上 パイプラインの直径が1.5インチ以下 乳房に残乳がないほど搾りきってしまう 乳房炎乳を時々廃棄する 牛舎内が不潔 バケットミルカーが不潔 搾乳時にゴム手袋をしない 牛床が不潔 0 20 88 40

-40 図11 影響の大きいカテゴリー -20 0 乳房炎乳廃棄がほとんど無い 太りすぎ痩せすぎ牛が15%以下 クロー中の牛乳が筋状になったら搾乳終了 独立した乾乳房がある 牛舎内が清潔 パイプラインの直径が2.5インチ以上 牛床が清潔 搾乳時にゴム手袋をする パイプラインの直径が2インチ

まとめ

• バルク中の体細 胞数を減らすには、 乳房炎を予防する 必要がある。 • 乳房炎の発生に は、搾乳手順だけ でなく、飼料給与 や飼養環境の清 潔性、パイプライ ン径が影響を与え ている。 図12 各種要因の影響

今後の乳房炎対策指導

正しい搾乳方法の徹底

乳房炎の発見及び治療 +

診断に基づく適正な飼料給与

汚れにくい牛舎牛床への改造

乳頭に優しい搾乳機器の整備 乳房炎予防のための 総合的な診断指導が必要