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ロジットモデルの効用
効用の確率的部分
準備1
指数関数の微分
eの確認
x
 1
1    e
lim
x
x  
ここで h = 1/x とおくと x → ∞ のとき h →0 となるから


1

h
lim
h 0
1
h
e
(1+h)1/hの対数
log 1  h
1
h
1
 log 1  h 
h
log 1  h 

h
(log(1+h))/h の極限
log 1  h 
lim
h 0
h
 lim log 1  h 
h 0
 log e  1
1
h
(eh-1)/h の極限
log(1+h) = l ①
とおくと、
l
1+h=e
②
h=el-1
③
となる。
l と h の関係(②より)
1 + h = el ②
において
l→0
とすると右辺は 1 に収束するから、左辺
も 1 に収束する。よって
h →0
となる。
①を③で割る
log 1  h 
l
 l
h
e 1
ここで、 l → 0 とすると h → 0 となり、
左辺は1 に収束するから、右辺も 1 に収
束する
式の書き換え
lim
l 0
l
l
e 1
1
ここで、 分母と分子を入れ替え、l を h
に書き換えると
e 1
lim
1
h 0
h
h
指数関数y = exの導関数
x  x
x x
dy
e
e
e e e
 lim
 lim
x 0
dx x0
x
x

x
x

e e 1
 lim
x 0
x
x
 e lim
x
x 0
e
x

1
x
e
x
x
準備2
合成関数の微分
合成関数とは
z = f(y) , y = g(x)
を合成して得られる関数
z = f(g(x))
である。
合成関数の微分の定理
y = g(x) が区間(a,b)で微分可能であ
るとする。更にz = f (y)がy = g (x)の
値域を含む区間において微分可能
であれば、合成関数 z = f (g (x)) は
区間(a,b)で微分可能であって
dz/dx = (dz/dy)(dy/dx)
が成立する。
証明の考え方
z がxによって引き起こされる
z =f(y)
の変化量であるから、
z/x
のx→0のときの極限を求めれ
ばよい
x , y , zの変化量
変数 x が x 変化したときの
y = g (x) の変化量 y は
y = g (x + x) - g (x)
であり、 y が  y 変化したときの
z = f ( y ) の変化量は
z=f(y+y)-f(y)
である。
y / x
g(x)を微分したものを(dy/dx)とする。
g(x)は微分可能なので、x→0 とす
れば
y/x = (g(x+x)-g(x))/x → (dy/dx)
となる。そこで極限をとる前の式は
以下のように表すことができる。
y/x=(g(x+x)-g(x))/x=(dy/dx)+e1
xと e1の関係
y/x = (g(x+x)-g(x))/x =(dy/dx)+e1
において、
x → 0 のとき
(g(x+x)-g(x))/x → (dy/dx)
なので
e1→0
となる。
最左辺と最右辺を抜き出し式を整理
y/x = (dy/dx)+e1
y = ((dy/dx)+e1)x
④
ここで
x → 0 とすると y → 0 である。
このとき、
e1→0 である。
z / yとe2
同様に f(y) を微分したものをdz/dyとす
ると、f(y)は微分可能なので、
z/y = (f(y+y)-f(y))/y = (dz/dy)+e2
と表すことができる。
ここで、 x → 0 のとき e2→0 である。
最左辺と最右辺を抜き出し式を整理
z/y = (dz/dy)+e2
z = ((dz/dy)+e2)y
⑤
ここで
y → 0 とすると z → 0 であり
e2→0 である。
④を⑤に代入
z = ((dz/dy)+e2)((dy/dx)+e1)x
両辺をxで割ると
z/x = ((dz/dy)+e2)((dy/dx)+e1)
を得る。
x → 0 のときの極限
ここで、 x → 0 とすると y → 0 で
あり、このとき、e1→0、 e2→0 なので
dz/dx = (dz/dy)(dy/dx)
が成立する。
ロジットモデルの効用
ロジットモデルでは効用を「確定的な部分」と
「確率的な部分」から構成されると考えている。
確定的な部分を Uj
確率的な部分を εj
効用全体を
Vj
であらわす。
Vj  U j  e j
23
ノーベル賞の理由
効用の確率的部分
24
効用の「確率的な部分」
○ 観測されない属性
○ 測定誤差
○ 関数の同定ミス
などによって誤差は発生
確率的な部分は完全に確率的に決まるとし
その値は第一種極値分布に従うと仮定する。
25
第一種極値分布
分布関数
F e   exp  exp  e 
密度関数
f e   exp  e  exp  exp  e 
26
問題
以下の式を e で微分しなさい。
F e   exp  exp  e 
第一種極値分布の密度関数
0,4
0,4
0,3
0,3
f(ε)
0,2
0,2
0,1
0,1
0,0
-5,0
-4,0
-3,0
-2,0
-1,0
0,0
1,0
2,0
3,0
4,0
5,0
ε
28
第一種極値分布の分布関数
1,0
0,9
0,8
0,7
0,6
F(ε)
0,5
0,4
0,3
0,2
0,1
0,0
-5,0
-4,0
-3,0
-2,0
-1,0
0,0
1,0
2,0
3,0
4,0
5,0
ε
29
分布関数と密度関数の関係
F e   exp  exp  e 
積
分
微
分
f e   exp  e  exp  exp  e 
30
分布関数の簡単な説明
e 0
のときの値
F 0  exp  exp 0  0.36
値の意味
e 0
の確率が0.36
31
選択肢が選ばれるわけ
選択肢1と選択肢2から選択肢1が選ばれたのは
選択肢1の効用が選択肢2の効用を上回ったから
2つの選択肢から選択肢1を選ぶ確率は、
選択肢1の効用が選択肢2の効用を上回る確率
p1  PrV1  V2 
32
選択確率はロジットモデル
p1  PrV1  V2 
Vj  U j  e j
なので
 PrU1  e 1  U 2  e 2 
 Pre 2  e 1  U1  U 2 
33
確率的部分は第1種極値分布
e 2 e1 U1 U 2

  
exp  e 2  exp  exp  e 2 de 2  exp  e1  exp  exp  e1 de1
  



  exp  e1  exp  exp  e1  exp  exp  e1  U1  U 2 de1


  exp  e1 exp 1  exp  U1  U 2  exp  e1 de1

34
置換積分

  exp  e1 exp 1  exp  U1  U 2  exp  e1 de1

ここで
   exp  e1 
d
de1
 exp  e1 
d  exp  e1 de1
とおくと
すなわち
なので
  exp 1  exp  U1 exp U 2  d
0

35
結論
1

1  exp  U1  exp U 2 
exp U1 

exp U1   exp U 2 
36
効用の確率的部分の仮定がもたらすもの
exp U1 
p1  Pr V1  V2  
exp U1   exp U 2 
確率的部分に第一種極値分布を仮定すると
2つから1つを選ぶ確率はロジットモデルになる
37