Transcript 需要の価格弾力性
需要の価格弾力性 弾力性の推定 準備1 二項定理 2 順列 • n個の異なった文字 a1 , a2 , a3, ・・・, an から r 個とってきて並べるとき、異なった並べ 方の個数を調べる。 • 最初の1つは何でもいいので選び方は n 個 • 2番目は残りの(n-1)のうちのどれかなので、 最初のn個に対してそれぞれ(n-1)個ある。 • したがって最初と2つ目の文字を選ぶ選び方 はn (n-1)通り 3 n 個から r 個とってきて並べる並べ方の総数 • r 個まで繰り返すと、最初から r 番目までの 並べ方の総数は n(n-1)(n-2)・・・(n-r+1) である。 • いくつかのものを1列に並べた配列を順列と 呼ぶ。 • n個の異なった文字の中からr個を選んで並 べるとき、異なる並べ方の総数を nPr という記号で表す。 4 nPn=n! • • • • nPn= n(n-1)(n-2)・・・×(3)×(2)×(1) この値をnの階乗といい n! で表す。 特に n = 0の場合、0! = 1 と定義する。 この記号を使いnPrを表すと以下のようにな る。 n! n Pr n r ! 5 問題 以下の値を求めなさい。 3! 3 2 1 6 3 P3 0! 3! 3 2 1 6 3 P2 1! 1 3! 3 2 1 3 3 P1 2! 2 1 3! 1 3 P0 3! 6 組み合わせの数 • n 個から r 個を選び出す選び方を組み合わせ と呼び、nCrで表す。 • n 個の異なるものの中から r 個を選んで並べ る並べ方の個数は nPr である。 • n 個から r 個を選ぶ選び方は、 nCrである。 • これにはそれぞれr個の成分がありこれを並 べ替えると並べ方は r!個ある。 • したがって nPr = nCr×r! と表すことができる。 7 n Pr n Cr r! を整理する。 n! ここでn Pr なので n r ! n! n Cr r!n r ! ※ r = 0のとき、「何も並べない」という一通りがある と考える。 8 問題 以下の値を求めなさい。 3! 3 2 1 1 3 C3 0!3! 3 2 1 3! 3 2 1 3 3 C2 1!2! 1 2 1 3! 3 2 1 3 3 C1 2!1! 2 1 1 3! 3 2 1 1 3 C0 3!0! 3 2 1 9 展開後の式 二項定理 10 (a + b)n の値 ( a + b )n = ( a + b ) ( a + b ) ・・・( a + b ) なので、これを求めるには右辺を展開すれ ばよい。 すると n 個ある ( a + b ) から a または b を 選んで掛け合わせた an-r br (r = 0,1,2,・・・,n) という形の和が得られる。 11 an-r br の個数を数える それぞれの an-r br は n 個の ( a + b ) のう ち、 r 個は b をとり n-r 個は a をとって掛け 合わせたものである。 したがって、そのような積は n 個の因子か ら b の方を r 個を選ぶ選び方の総数だけ あり、その数は nCr である。 12 2項定理 n-r br を r = 0,1,2,・・・,n について加えたもの C a n r が(a + b)n となる。 従って (a + b)n= nC0 an b0 + nC1 an-1 b1 + nC2 an-2 b2 +・・・ + nCn-1 an-(n-1) b(n-1) + nCn an-(n) b(n) となる。 13 問題 以下の式を展開しなさい a b 3 C0a b 3 3 0 3 C1a b 3 C2 a b 3 C3a b 2 1 a 3a b 3ab b 3 a b 4 2 2 1 2 3 a 4a b 6a b 4ab b 4 3 2 2 0 3 3 4 14 微分の復習 f (x) = xn の微分 f (x) = xn の微分 df x h x n lim dx h0 h n lim Cx n h 0 0 n n C1 x n 1h n Cn1 xhn1 n Cn h n x n h lim x n nxn1h n Cn1 xhn1 n Cn h n x n h lim h nxn 1 n Cn 1 xhn2 n Cn h n1 h h0 h 0 lim nxn1 n Cn1 xhn2 n Cn h n1 nxn1 h0 16 問題 以下の式を x で微分しなさい。 f x x f x 3x 2 f x ax b (a , b は定数) df 0 x 1 dx df 6x dx df b 1 abx dx 17 準備2 指数関数 指数関数 a > 0 と任意の有理数x,yに対して axay=ax+y ax/ay=ax-y (ax)y=axy が成立する。このように定義され た ax を指数関数と呼ぶ 指数関数の性質 y= x a において 1 < a ならば増加関数 0 < a < 1 ならば減少関数 a > 1 のグラフ (a = 2.0) 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 0 < a < 1 のグラフ(a = 0.5) 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 対数の意味 a > 0 かつ a ≠ 1 ならば y > 0 の値を 指定すれば y = ax を満たす x の値は ただ一つ決まる。そこで y = a x を x に ついて解いた式を x = loga y という記号で表す。 対数における各部の名称 x = loga y において a を 底 (てい) y を 真数 (しんすう) と呼ぶ。 対数関数 x,y を入れ替えて表記した関数 y = log a x を対数関数と呼ぶ。 対数関数の定義域は (0, ∞) であ り、値域は (-∞, +∞) である。 特に a = e のときは自然対数と呼 び log x と表す 自然対数 y = log x のグラフ 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0 -3.0 -4.0 -5.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 指数関数と対数関数の関係 y = log x は x = の逆関数で あるから y = log x と x = ey は x と y の関 係式としては同じものである。 y e 問題 x= とする。 対数関数で表しなさい。 m e m log x 問題 y = とする。 対数関数で表しなさい。 n e n log y 準備 対数の話 問題 対数関数で表しなさい 1 a 0 loga 1 0 問題 対数関数で表しなさい aa 1 loga a 1 問題 対数関数で表しなさい xa loga x m m ya loga y n n xy a a a m n m n loga xy m n loga x loga y 問題 対数関数で表しなさい xa m x a y my loga x m loga x my y y loga x 対数の公式 (まとめ) loga 1 0 loga a 1 loga xy loga x loga y loga x y loga x y 対数変換 y = f (x) とする。 ここで両辺の値を真数とする対 数をとると、以下の式が成り立つ。 log y=log f (x) この変換を対数変換という。 指数モデルと回帰分析 需要の価格弾力性 弾力性とは 二つの変数 x, y において x の変化率に対するy の変化率 yの変化率 E xの変化率 需要の価格弾力性とは 価格の変化率に対する需要の変化率 需要の変化率 E 価格の変化率 注) 通常、需要関数は右下がりなので、Eは負の値となる。 x の変化と y の変化 y は x の関数とする y f x x がDx 変化したときの y の値は以下の式で あらわされる f x Dx x と y の変化率 x がDx 変化したときの x の変化率は以下 の式であらわされる Dx x x がDx 変化したときの y の変化率は以下 の式であらわされる f x Dx f x f x 弧弾力性 弧弾力性は以下の式で定義される。 f x Dx f x f x E Dx x 微少な変化の変化率 D を需要とし、 P を価格とする。∂D を需要の 微小な変化量とし、∂Pを価格の微小な変化量 とする。それぞれの変化率は以下の式で示さ れる。 D 需要の変化率 D P 価格の変化率 P 点弾力性 点弾力性は以下の式で定義される。 D D E P P 点弾力性の定義式 D D P P D D E P D P D P P 価格弾力性が一定の需要関数 特別な需要関数 需要量と価格の関係 • 普通の財では、価格が上昇すると市場にお ける需要量が減ると考えられている • 需要量と価格の間には負の相関関係が想定 されている • そのため需要曲線は右下がりで描かれ、単 調減少関数として定式化される • 需要の価格弾力性はいつも負となるため絶 対値を用いて表されることが多い 需要 普通の財の需要曲線 価格 指数モデルにより需要関数を仮定 D P 指数モデルのグラフ 140 120 100 80 D 60 40 20 0 0 0.01 0.02 0.03 P 0.04 0.05 0.06 需要関数をPで微分 (準備) D P D 1 P P 指数モデルにおける価格弾力性 P D E D P 以下の値を代入 D 1 P P D P 指数モデルにおける価格弾力性 P 1 E P P 問題 以下の式を整理しなさい P 1 P P PP P 1 P P 問題 以下の式を対数変換しなさい D P log D log P log D log log P 回帰式への適用 log D log log P y x 指数モデルは直接、需要の価格弾力性 係数を求めることができるモデル 需要の価格弾力性の意味 • 価格が1%変化したときの需要の変化率 • 価格弾力性の絶対値が1を超えたときは弾 力的需要 – 指数モデルを仮定したとき、値下げにより売上総 額が増える • 価格弾力性の絶対値が1未満の場合は非弾 力的需要 – 指数モデルを仮定したとき、値上げにより売上総 額が増える 弾力性が好まれる理由 • 変化率と変化率の比をとるため、すべての変 数に適用可能 • 単位に依存しない • 指数モデルを仮定することにより、対象ごとに 一つの値を持つため、製品間・地域間・期間 別に比較が容易 • 指数モデルを仮定することにより弾力的・非 弾力関の解釈が容易 グラフによる理解 指数モデルの形 需要 指数モデルにおける価格と需要の関係 価格 E 0.5 E 1.0 E 2.0 売上 指数モデルの価格と売上 価格 E = -0.5 E = -1.0 E = -2.0 対数変換時の注意事項 • 「0」は対数をとることができない • 対処法 –小さな値を代用 –欠損値として扱う –すべての値に1を加える –その他のアイデア 問題 1. 線形モデルにおける需要の価格弾力性をもとめな さい。 2. 線形モデルにおいて価格と需要の価格弾力性の 関係を説明しなさい。 3. 線形モデルに従い価格と売上高の関係を表しなさ い • ただし、 y は需要、 x は価格とし、線形モデルは以 下のものとする。 y x 線形モデルにおける 価格弾力性係数別の価格と売上 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% -150% -100% -50% E = -0.5 0% 50% 100% E = -1.0 150% 200% E = -2.0 250% 売上 線形モデルの価格と売上の関係 価格