小児医療の進歩上海 - J:COM神戸・芦屋

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日本における小児医療の
現状と課題
神戸大学名誉教授
兵庫県立こども病院名誉院長
阪神北広域こども急病センター理事長
中 村 肇
1
日本における小児医療の現状と課題
• 我が国における母子保健統計
• 新生児医療の進歩
• 小児救急医療体制
• 小児初期救急医療の現状
2
我が国における出生数の年次推移
千人
3,000
2,500
赤字は乳児死亡率(出生千対)
268万
76.7
209万
11.3
2,000
106万
3.0
1,500
1,000
500
0
昭和
22
27
32
37
42
47
52
57
62
4
9
14
3
諸外国の合計特殊出生率の推移
3.5
3
アメリカ
2.5
フランス
2
イギリス
スウェーデン
1.5
ドイツ
1
1.26
イタリア
日本
0.5
0
1960年
1970年
1980年
1990年
2000年
2005年
国立社会保障・人口問題研究所「人工資料統計集2008」
出生率、乳児死亡率、新生児死亡率と国民所得
医療の再評価
退院後ケア
35
医療技術の普及
地域化
基礎的研究の時代
30
300万円
ME機器の開発
積極的な救命医療
25
20
200万円
15
10
100万円
5
0
60
65
70
国民所得
75
出生率
80
85
乳児死亡率
90
95
00
新生児死亡率
5
低出生体重児(2,500g未満)の割合
8.6%
5.7%
1970
9.5%
6.3%
5.2%
1980
1990
2000
2005
1000g 未満児の出生数
3500
3115
100%
88.2% 90.2%
2866
3000
77.0%
80%
2500
2291
60%
2000
1500
500~1000g 出生児の
生存率の推移
1490
42.0%
40%
1000
20%
500
0
0%
1980
1990
2000
2005
1980
1990
2000
2005
超低出生体重児の発達予後
• 脳性麻痺, 精神発達遅滞
• てんかん、視力障害、難聴
• 広汎性発達障害、注意欠陥多動障害
• 愛情遮断症候群, 虐待
8
超低出生体重児の発達予後 6歳時
MR+CP,
13%
CP, 4%
MR, 13%
正常, 69%
全国調査、2006
超低出生体重児の発達予後 6歳時
特殊学校,
6%
特殊学級,
8%
未定,
11%
普通学級,
74%
全国調査、2006
11
これからの子どもの急病対策
• 一次、二次、三次の役割分担を明確に。
• 阪神北広域こども急病センターを一つのモデル
に。
基本的なコンセプトと運営方針
12
小児救急医療システム
三次救急
県立こども病院救急センター
二次救急
地域センター病院
一次救急
急病センター
電話相談 #8000
13
兵庫県立こども病院紹介
小児救急医療センター
2007年10月オープン
15
小児救急医療センター
PICU
(4床)
16
三次小児救急では
 PICUを整備・充実し、県下全域の救急救命医療に対応
 365日、24時間体制で、小児科医・小児外科医などが対
応
 小児医療機関ネットワークと医療資源の有効利用
二次救急医療施設、後方病院との連携
17
センター入院患者629例の内訳
2006
最重症, 144
死亡, 11
重症, 474
兵庫県立こども病院小児救急医療センター、
2006
18
疾患の特徴
例数
主な疾患
交通外傷
23例
多発外傷
熱傷
22例
入院11例、
溺水
6例
風呂3例、海2例、池1例
被虐待児疑い
3例
CPA1例、熱傷1例、四肢骨折1例
腫瘍性疾患
15例
脳腫瘍9例、卵巣腫瘍3例、腎腫瘍3例
13例
外来11例
兵庫県立こども病院小児救急医療センター、
2006
19
平成17年の年齢別死因順位
対人口10万
1位
2位
3位
0歳
先天奇形
96.5
呼吸障害
39.0
乳児突然死症候群
16.4
1~4歳
不慮の事故
5.2
先天奇形
4.1
悪性新生物
2.2
5~9歳
不慮の事故
3.9
悪性新生物
2.0
先天奇形
0.7
10~14歳
不慮の事故
2.5
悪性新生物
1.8
心疾患
0.7
15~19歳
不慮の事故
9.4
自殺
7.8
悪性新生物
2.5
幼児以後の死亡原因のトップは「不慮の事
故」
20
年齢階層別事故による年間死亡数
2006
700
600
その他
500
煙・火炎への暴露
400
不慮の窒息
不慮の溺死・溺水
300
転倒・転落
200
交通事故
100
0
0歳
1.6
1~4歳
5.2
5~9歳 10~14歳 15~19歳
3.9
2.5
9.4
対人口10万
21
二次病院だけでは一次を担えない
病院小児科では、
•
患者数が多く、常勤医師のみでは対応できな
い。
変化した一次患者の医療ニーズは、
• 生死の心配ではなく、ひどくならないように。
• 親子の苦痛・不安を解消すため。
もっとコンプライアンス(応形能)の大きい
組織で
22
阪神北広域こども急病センター
伊丹市、宝塚市、川西市、猪名川町の3市1町と兵庫県に
より設立する財団。3市医師会、薬剤師会の協力により運
営。
阪神北圏域(人口60万)。夜間・休日365日対応。
伊丹市に平成20年4月開院。
23
3市1町の人口と出生数、小児人口
人口
小児人口
出生数
伊丹市
194,335
29,938
1,934
宝塚市
221,828
32,069
2,065
川西市
157,374
21,735
1,221
猪名川町
31,391
4,732
281
計
604,928
88,474
5,501
阪神北広域こども急病センター
域内人口
小児人口
年間受診者数
二次病院へ搬送
604,928人
88,474人
27,535名
540名
ほとんどが軽症患者。
育児不安のために来院。
核家族で、相談者がいない。
2010
2.0%
主要症状
発熱
14889
54.0%
嘔吐
2756
10.0%
咳・呼吸困難
3000
10.9%
発疹
腹痛
痛み
下痢
けいれん
事故
異物誤飲
その他
2203
1149
1047
676
338
86
84
1297
8.0%
4.2%
3.8%
2.5%
1.2%
0.3%
0.3%
4.7%
小児の初期救急医療は
1. 看護師による診療支援体制の構築
• トリアージ・ナースによる効率的な診療支援
• 看護師による電話相談への対応
2. IT,電子カルテ導入による医療の標準化
3.
地域ネットワークの形成
• 地域二次病院、地元救急隊との定期的な会合。
• トリアージ基準を明確にして、適切な搬送体
制
4.
住民への啓蒙活動
• 母親教室の開催、ニュースレターの刊行
• HP,マスメディアを通じての情報提供
27
看護師によるトリアージ
重篤な病態にある小児患者を迅速に見出すことができる
待ち時間や医療サービスの改善
患者やその家族の満足度の改善
医師とナース間のコミュニケーションの改善
患者評価の改善
医療スタッフの自律性の促進
小児初期救急におけるトリアージ
けいれん中
Y
or 意識レベル低下
蘇生
or 無呼吸
N
PATの異
常
N
緊急
Y
Y
SPO2 < 95%
SPO2 < 93%
or CR time 2sec以上
or 頻脈1
or 頻脈2、 or 徐脈
N
準緊急
Y
Y
SPO2
< 90%
N
SPO2 < 95%
Y 緊急
or 高熱 40.5℃以上
N
準緊急
or 頻脈2
N
非緊急
阪神北広域こども急病センター
H22.11.1.
子どもたちが健やかに発育し、
子どもたちが幸せな大人になるために
保健
医療
福祉
教育
研究
政府・行政
NPO・企業
家族の会
地域・コミュニティ
32
やさしい子育てのために
•ささげる心
devote
A mother devoted herself to her children.
母は我が子のために我が身を顧みなかった。
•おもいやり
sympathy
She is sympathetic to the old.
老人に思いやりがある。同情、共感。
•ほほえみ
smile
Smile your grief away.
笑って悲しみを忘れてしまいなさい。
ピタウ大司教のことば
33
34