Transcript 日本版ISO
電力制度改革
小川 雄大
電力自由化
政府は東日本大震災後の電力不足をうけて、新
規参入を促し、安価で安定的な電力を供給する
ために、電力制度の改革を検討している。
発送電分離の議論
発送電分離とは
現在、電力会社は発電、送配電、小売りを一貫して担う「発送電
一体」体制となっている。
図表1 発送電分離の仕組み
電力市場の自由化と電力の
安定供給が目的
出所 読売新聞
政府は電力会社の送配電部門の中立性を高め、新規
参入企業も含めた様々な事業者が公平に競争できる環
境を整え、利用者が電気の調達先や料金を柔軟に選択
できるように自由化を目指している。
発送電分離の仕組み
図表2 発送電分離の4類型
分離の4手法
①送配電部門を電力会社から
完全に切り離す「所有分離」
②持ち株株会社などの下に発
電と送電を別会社に置く「法的
分離」
③送電網を中立組織が運用す
る「機能分離」
④送電部門は同一企業内に置
くが、会計を分離する「会計分
離」
出所 朝日新聞
日本の場合、電力会社は民間のため、発送電分離の際には
「機能分離」が有力な手法となる。そこで米の独立系統運用機
関(ISO)を参考にし、日本版ISOの設置が検討されている。
日本版ISO
図表3 ISOによる送配電の仕組み
託送料金を、
電力会社では
なく中立的な
ISOが決めるこ
とで新規参入
が増え、電気
料金の引き下
げにつながる。
出所 読売新聞
送配電網は電力会社にとって最も重要な設備であるが、新規参入
業者が、自前で整備することはコスト面から考えて、非常に難しく、
新規参入の障壁となってきた。
電力自由化の問題点
電力業界は「安定供給には発送電の一体運用が不可
欠」として、自由化に反対している。
図表4 年間事故停電時間の国際比較
英国、米カリ
フォルニア州で
は電力自由化
震災後、東電はもとより、他の電力会社も運転中止中の
後、停電事故
原発を多く抱え、再稼働に向けて政府に頼らざるを得な
が起きている。
い状況になっている。よってまだ不透明な部分はあるが、
この改革が実行される可能性は高い。
出所 電気事業連合会
送配電会社のガバナンスの問題
論点
発送電分離について