地物属性 - 地理空間的思考の教育研究プロジェクト

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Transcript 地物属性 - 地理空間的思考の教育研究プロジェクト

2011-02-15
第1章 実世界のモデル化と形式化
2.一般地物モデルと応用スキーマ
太田守重
[email protected]
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
ここで学ぶこと
UMLクラス図の対象は実世界に生起する地理的な現象に限らない.地物及び
その間の関係を記述するためには,さらに特有のルールが求められる.この
ルールを記述するスキーマを,一般地物モデル(General feature Model)と呼ぶ.
ここでは一般地物モデルの概要を紹介し,そのルールに従って作られるUMLク
ラス図である,応用スキーマについて解説する.
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
一般地物モデル
実世界の現象の抽象概念を地物という。
地物型の定義と構造を記述するためのメタモデルを一般地物モデル (General
Feature Model)という。
その記述にはスキーマ言語 (UML)を使う。
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
一般地物モデル(GFM)の骨格
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
継承関係
型名:建物
定義:壁と屋根をもつ人工構造物
抽象:true
下位:校舎、駅舎
建物
型名:校舎
定義:学校の建物
抽象:false
上位:建物
校舎
駅舎
型名:駅舎
定義:駅の建物
抽象:false
上位:建物
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
プロパティ
プロパティは地物固有の性質を説明する抽象クラス。
プロパティは実際には、属性型、操作型及び関連役割
型として使用される。
前頁の例で、建物が名称と面積という属性をもつとす
ると、クラス図及びその記述は以下のようになる。
建物
名称:String
面積:Number
メンバー名と定義は
プロパティ型から継
承
型名:建物
定義:壁と屋根をもつ人工構造物
抽象:true
特化:継承1、継承2
特性:属性1、属性2
属性1:
メンバー名:名称
定義:対象物を識別する文字列
型名:String
基数:1
属性2:
メンバー名:面積
定義:幾何形状の大きさ
型名:Real
基数:1
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
地物属性
その地物であればおしなべて持つ普遍的かつ静的
な特性を地物属性という.
地物属性は,空間属性,時間属性,場所属性,及び
主題属性に分かれる.
空間属性:形状及び、地物同士の空間関係
時間属性:瞬間と期間、及び、地物同士の時間関係
場所属性:間接的に位置を示す属性
主題属性:その他のテーマ別の属性
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
地物関連
地物型は、関連型を通じて
その種類(関連、集成、合成)、
相手の地物型の役割名、及び
多重度を指定することができる。
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地物関連の表現
関連型
地物型
このGFMに準拠した関連の表記例
0..*
建物
プロパティ型
0..*
沿道建物
1
前面道路
道路
役割名
関連役割型
1..*
地物型:道路
地物型:建物
関連:
関連:
関連種類:集成
関連種類:関連
役割:
役割:
メンバー名:沿道建物
メンバー名:前面道路
定義:道路の沿う建物
定義:建物が面している道路
基数:
基数:
下限:0
下限:1
上限:なし
上限:1
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
操作型:
メンバー名:日陰
定義:与えられた条件下の、建物の
日陰形状を求める
入力:
引数:
名前:形状
データ型:立体
引数:
名前:日付
データ型:グレゴリオ暦
引数:
名前:時刻
データ型:時計
出力:多角形
操作
シグネチャ(signature)
メンバー名(member)
シグネチャの表現
引数(argument)
戻り値 (return value)
日陰(形状:立体、 日付:グレゴリオ暦、 時刻:時計):多角形
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応用スキーマ
応用スキーマ:GFMが示すルールに従って、それぞれの領域ごとに作られるス
キーマ
実世界:現象
論議領域
モデリングに必要な地
物を論議領域から抽出
する
地物の抽出
抽出した地物の定義と
構造を、GFMに従って
記述する。
応用スキーマ
応用スキーマに準拠す
る地物インスタンスの集
合を作成する。
データセット
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
論議領域
論議領域 (Universe of discourse)
興味を引くものすべてを含んだ、実世界又は仮想世界の景色 (view)
論議領域:
自宅から小学校までの経路
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
地物の抽出
マンション
居酒屋
公園
K病院
印刷会社
絵画教室
オフィスビル
喫茶店
小学校
道路
信号
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
地物型と関係の検討
マンション
居酒屋
公園
K病院
印刷会社
絵画教室
オフィスビル
喫茶店
小学校
道路
信号
建物(種類、位置)
公共建物
民間建物
公園(位置)
道路ネットワーク
中心線(形状、始点、終点)
交差点(位置、信号の有無、出る中心線、入る中心線)
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
UMLクラス図の設計
建物(種類、位置)
公共建物
民間建物
公園(位置)
道路ネットワーク
中心線(形状、始点、終点)
交差点(位置、信号の有無、
出る中心線、入る中心線)
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
まとめ
実世界に生起する現象についての知識を共有するためには、
合意されたメタモデルを使って、
モデルの形式表現としてのスキーマを作成し、
このスキーマに準拠するインスタンス集合としての
データセットを交換する。
地球上の位置と関連する地物については、
一般地物モデル (GFM) がISO標準として合意されており、
これに準拠するUMLクラス図を含む応用スキーマを作成し、
そのスキーマに従って、地物インスタンスの集合としての
データセットを交換する。
地理情報科学教育用スライド ©太田守重
参考文献
1. 有川正俊、太田守重監修(2007)『GISのためのモデリング入門』ソフトバ
ンククリエイティブ
2. 村山祐司,柴崎亮介監修(2008)『GISの理論』朝倉書店
3. (財)日本規格協会、JIS X 7109:2009 地理情報-応用スキーマのための規
則
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