Transcript テクスチャ合成
6月25日 太田智章 高山建志 五十嵐健夫 テクスチャ合成の新たな 応用と展開 k 情報処理 vol.53 No.6 June 2012 pp.582-588 テクスチャ合成とは あるパターンや材質(例:岩肌、木目 など)を表す画像をサンプルとして受 け取り、それと視覚的に類似した自由 な形・大きさの新しい画像を自動的に 合成する技術。 テクスチャ合成の用途 • 3次元CGにおいて物体表面上 をテクスチャで覆う場合 • 画像(または動画)に対して高度 な編集を行う場合 物体表面上を覆う場合① テクスチャ ①の問題点 広い面積 床 テクスチャ 貼り付け 困難 壁 物体表面上を覆う場合② ②の問題点 規則的な 繰り返し 不自然 不規則的な 繰り返し 自然 物体表面上を覆うテクスチャ合成 テクスチャ 高度な編集① :背景 :物体 高度な編集を行うテクスチャ合成 解説内容 1. テクスチャ合成の基礎技術 2. より高度な画像合成への応用 3. ソリッドテクスチャへの拡張 4. 画像合成以外への応用 5. 新たな方式による画像合成 テクスチャ合成の基礎技術 基礎技術の時系列 ピ ク セ ル ベ ー ス パ ッ チ ベ ー ス 最 座適 標化 ベベ ーー スス ピクセルベース 入力画像 出力画像 左と上の色が最も類似した所の色を割り当てる パッチベース 出 力 画 像 合成 入 力 画 像 最適化ベース 出力画像 入力画像 割 り 当 て 検 索 色の平均を割り当てる 座標ベース 入力画像 座 標 デ ー タ 色ではなく座標を割り当てる より高度な画像合成への応用 応用例 • 大まかに共通した構造を持つ画像のサンプ ルがいくつか入力として与えられたときに、ど の入力画像とも微妙に異なるような画像のバ リエーションを合成する手法(座標ベース) • 複数スケールにわたる構造を含む画像を合 成する手法(座標ベース) バリエーション合成 サンプル 複数スケールにわたる合成 領域全体 拡大率最大 の画像 データ量 膨大 テクスチャ合成 構造の似て いる部分 動的に生成 解決方法 複数スケールの テクスチャサンプル の集合 それらの間の 倍率の関係を表す グラフ 閲覧したいズームレベルと表示範囲を指定すると それに応じた画像をリアルタイムに合成して出力 ソリッドテクスチャへの拡張 ソリッドテクスチャとは • 3次元ボリュームとして色情報を格 納する表現形式 • 物体内部の情報を保持している • 2次元テクスチャと比べて作成が難 しい 拡張例 • 2次元テクスチャサンプルを入力として、そ れと類似した断面を持つようなソリッドテクス チャを合成できる手法(最適化ベース) • 上の手法で合成した、あるいは手動で作成 したソリッドテクスチャを入力として、より複 雑なソリッドテクスチャを合成する手法(筆 者・最適化ベース) 2次元→3次元 異方性のあるソリッドテクスチャ 色以外にも反射率などの情報を合成 3次元→複雑な3次元 一定の大きさに切り抜かれたパッチ 物体内部に繰り返し貼り付けていく 画像合成以外の応用 応用例 • 頭髪形状の生成 • 流体の速度場の生成 • 多数の物体が凝集してできる物体 配置パターンの生成 頭髪形状の合成 サンプル 結果 サンプル 結果 サンプル 結果 サンプル 結果 速度場の合成 入力の大局的速度場 合成結果 入力の局所的速度場 物体配置パターンの合成 サ ン プ ル 新たな方式による画像合成 画像合成の例 • PatchMatch • 合成したテクスチャをテクスチャサンプル1 枚と数キロバイト程度の付加情報だけで表 現し画像として記憶することを回避できる手 法 PatchMatchとは • アルゴリズム • 基礎技術より約20倍~100倍の高速化 色の検索 基礎技術による 画像合成 ボトルネック 左と上の色が最も類似した所の色を割り当てる PatchMatchの例 • 画像中の物体を削除してその穴を埋める • 内容をなるべく歪めずに 画像の縦横比を変える • 画像中の物体を好きな位置に動かす PatchMatchによる画像編集 建物壁面のパターン合成 縦横方向 規則的な 繰り返し 建物 切り取り 繰り返す 部分 任意の縦横幅の テクスチャ 繋ぎ合わせる 建物壁面のパターン画像 繰り返す部分 繰り返しのある画像 入力画像 出力画像 まとめ テクスチャ合成の基礎技術自体はある程 度成熟してしまったが、革新的な技術が 近年も活発に研究されており、テクスチャ 合成はこれからも注目すべき分野である