檜枝岐村パンフレットより
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Transcript 檜枝岐村パンフレットより
複雑性(系?)としてのサステナビリティ
と多層的環境サステナビリティ論
―「サステナビリティの前に」を豊富化するために―
立教大学社会学部
関礼子
0.「サステナビリティの前に」の前に
檜枝岐村パンフレットより
1.自然-シゼンとジネン
2.サステナブルな資源利用のしくみ
ズウ(ムジリ)を背負っての漁。
雰囲気がでている。
『地上』54(5)掲載の写真
最近はアミを使う。「ズウはマスコミ用だな。」
高橋ミヨシ氏より
高橋ミヨシ氏より
高橋ミヨシ氏より
檜枝岐村パンフレットより
「山椒魚天」 薄い衣の天ぷら3匹、野菜天添え。
衣から透ける手足が悩ましい。
手足が目立たぬよう、
厚めの衣に包まれて。
複数の生業オプションのなかで組み立てた生活世界
サンショ
ウウオ漁
イワナ漁
狩猟
養蚕
山菜とり
山に依存した暮らし
屋根ふき
ヘラ・杓子
づくり
出づくり
耕作
観光
ピーク
1
水芭蕉
観光
ピーク
2
冬
集落(平地)に下りた暮らし
ニッコウキスゲ
冬
観光
ピーク
3
紅葉
サンショウウオ漁の導入
サンショウウオの資源化
和漢薬の原材料
優れた現金収入源
ヤマへの組み込み
狩猟などのナワバリ感覚
(仕事・生業)
=「持ち沢」の感覚
サンショウウオ資源保全
観光への組み込み
(名物料理・山人料理)
沢を休ませる
捕獲数の加減
ヤマから観光へのシフト
民宿・食堂重要
漁師の減少と「伝統」化
沢を譲る・譲られる
観光資源化
他所で行われなくなったサンショウウオ漁が維持される
3.サンショウウオからのぞき見した
サステナビリティ
「ほの暗い場所から明るい場所をのぞき見
することは、これは興味深いことではない
か。そして小さな窓からのぞき見するとき
ほど、常に多くの物を見ることはできない
のである。」
(井伏鱒二「山椒魚」)
レッドデータブックのなかの
ハコネサンショウウオ
・22都府県で各県別レッド
データブック記載種
・森林伐採、堰堤建設、河川
改修などで生息数減少
・檜枝岐村でも国有林の森林
伐採で一時期、漁が困難
になる沢があった
(乾燥化で藪になるため)
都道府県
カテゴリー
統一カテゴリー
宮城県
準絶滅危惧種
準絶滅危惧種
山形県
準絶滅危惧種
準絶滅危惧種
茨城県
危急種
絶滅危惧Ⅱ類
埼玉県
準絶滅危惧種
準絶滅危惧種
東京都
準絶滅危惧(NT)西多摩
準絶滅危惧種
神奈川県
準絶滅危惧Ⅰ類
準絶滅危惧種
新潟県
準絶滅危惧
準絶滅危惧種
静岡県
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
絶滅危惧Ⅱ類
愛知県
準絶滅危惧
準絶滅危惧種
三重県
絶滅危惧Ⅱ類
絶滅危惧Ⅱ類
滋賀県
希少種
準絶滅危惧種
京都府
絶滅危惧種
絶滅危惧Ⅱ類
兵庫県
Bランク
絶滅危惧Ⅱ類
和歌山県
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類
鳥取県
準絶滅危惧(NT)
準絶滅危惧種
島根県
準絶滅危惧(NT)
準絶滅危惧種
岡山県
準絶滅危惧(NT)
準絶滅危惧種
広島県
絶滅危惧Ⅰ類
(CR+EN)
絶滅危惧Ⅰ類
山口県
情報不足種
情報不足
徳島県
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
絶滅危惧Ⅱ類
愛媛県
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
絶滅危惧Ⅱ類
高知県
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
絶滅危惧Ⅱ類
「山が好き」=ヤマ(仕事)
多元的な自然資源利用・保全・知の一体的世界像
多様なヤマ(仕事)
狩猟
山菜採集
サンショウウオ漁
木材加工(ヘラ・杓子)等
山を利用するための
知識
山を利用する社会的
しくみ
気象(自然の暦を読む)
資源利用のルール
地理・地形
場所の使用ルール
(山のものと女は
植生・生態
(なわばり慣行)
早いもん勝ち)
技法等
平等性を維持する「なわばり」 (「ミオキ」不可)
自然資源の持続的利用
(資源保持のための干渉、手法)
コモンズ的な利用
インパクトの強い開発行為
自然・生態系保全
自然・生態系利用の困難
主体のスクラップ・
アンド・ビルド
地域による自然・生態系
管理システムの脆弱化
管理システムの
スクラップ・アン
地域の多資源利用=管理が ド・ビルド
結果として担ってきた、
多面的機能の脆弱化
新しい管理システムと管理
主体を構築する必要性
森林の多面的機能+
多資源利用による多面的機能
(季節を限定せずに多面的機能を発揮)
監視機能
山火事防止
廃棄物不法投棄防止
植物等の盗掘防止
地域資源管理
地域外部からの
山菜・キノコの
商売的採取の防止
地形・地理・気象変化の
兆し・自然とのかかわり
を学ぶ
風倒木の発見や
処分(薪利用)
病害虫発生や植生変化
に関するモニタリング
登山道等の管理
獣害駆除
地域文化の維持
自然とのかかわり
のなかで会得する
知恵、伝承される
知恵
野生生物の個体数
変化モニタリング
救難救助
遭難者の捜索活動への協力
登山者へのアドバイス
地域の社会的しくみの維持
自
然
・
環
境
・
資
源
の
重
層
性
グローバル・
コモンズ
公共性
(景観・保健)
個々人の経済・生活
地域の暮らしや文化
地球温暖化の防止
生物多様性の保全
遺伝子プール
環境教育の推進
自然とのふれあい
保健・休養・レクリエーション
余暇・観光
自然資源の利用
地域経済
文化的・社会的独自性
多面的な機能
多様性・多面性あるサステナビリティ
=多層的環境サスティナビリティ論へと
展開していく必要性と可能性